第27巻 第5号(第316号)
深部静脈血栓症について
深部静脈血栓症は最近では地震の際の車中泊時に発症する「エコノミ―クラス症候群」として一般にも広く知られています。
これは主に下肢或いは骨盤内の静脈などで形成された血栓が原因です。
この血栓が血管内に飛んで肺動脈を閉塞すると肺塞栓症となります。
この深部静脈血栓症と肺塞栓症は臨床症状としては大きく異なりますが治療の考え方は共通する部分も多く、一連の病態であることから静脈血栓塞栓症と総称されることもあります。
今回はこの静脈血栓塞栓症についての話題を日本醫亊新報令和8年5月号から抜粋をしました。
この静脈血栓塞栓症は従来は術後に発症する合併症として捉えられることが多かったのですが予防が広く普及しており、現在では周術期の発症率は低下傾向でありむしろ一般外来で遭遇する割合が多くなっています。(現在では約4分の3が外来での発症)
深部静脈血栓症のみでは致死的になることはありませんが、肺塞栓症を発症すると未治療では死亡率が30%と高い疾患です。
血栓はウィルヒョウの3徴として知られる血流停滞(長期の臥床、肥満、妊娠、下肢のギプス固定、長時間坐位など)、血管内皮傷害(外傷、骨折、喫煙、カテーテル留置など)、血液凝固能亢進(悪性腫瘍、妊娠、産後、感染症など)があると生じやすくなります。
これらのリスクがある場合には血栓症に注意が必要です。
この静脈血栓塞栓症の治療については2010年代後半から新しい薬剤の出現で大きく変わりました。
深部静脈血栓症では下肢の腫脹、疼痛などの症状を認めることが一般的です。
血液検査でのD-ダイマー測定ならびに画像診断(超音波検査、造影CT検査)で診断を行い、治療となります。
急性期治療の主な目的は血栓をなくすことです。
2010年代後半より以前は、経口抗凝固剤としてはワルファリンしかなかったために、まずはヘパリンの点滴治療を行い、その後にワルファリンの服用を開始するために入院で実施することが原則でした。
2010年代後半から出現したDOACにより、急性期から点滴治療ではなく内服だけの治療が可能となり、外来治療が容易になりました。
現在では多くの症例において外来での治療が可能となりましたが、例外としては
1骨盤内の血栓量が多い症例
2腫脹や疼痛などの下肢の症状が強い症例
3出血リスクが高い症例
においては現在でも入院での対応が必要です。
なお、深部静脈血栓症治療時の安静度ですが、適切な治療中であり下肢痛が強くなく、全身状態が安定していればベッド上安静ではなく早期に離床して歩行は可能となっています。
急性期が改善した慢性期の治療についてですが、再発予防を目的とした抗凝固療法が実施されます。
基本的にはどのような患者さんにおいても3か月間の抗凝固療法は継続されるべきで、特に高リスクである癌がある方、膠原病等がある方など
リスクがある方については可能な範囲で継続での加療が必要とされています。
ただし、長期服用については出血のリスクを伴うために低用量の投与についても推奨されています。
特に、日本人を含むアジア人は出血のリスクが高いためにこの低用量持続療法は意義があります。
なお、以前からがん患者さんには深部静脈血栓症が多く発生することが知られており、腫瘍循環器領域の一分野としても重要視されています。
癌そのものによる血液凝固能の亢進のみならず臥床、手術、カテーテル留置、薬剤、感染症などの治療中に生じる様々な要因がリスク因子となるからです。
がん患者さんでの深部静脈血栓症に対する治療と再発予防の基本的な考え方は非がん患者さんに対する考え方と同じですが、がん患者さんは血栓リスクだけではなく出血リスクも高いという特有の注意点があります。
特に消化器癌における抗凝固剤の使用においては、出血のリスクが高くなります。
これらを考慮しながらも、がんの活動性が継続する限りはより長期的な抗凝固療法の継続が推奨されています。
深部静脈血栓症には血栓後症候群と言われる慢性期合併症を呈することがあります。
これは慢性静脈不全症候群で下肢の浮腫、疼痛、皮膚の硬化、色素沈着、静脈性潰瘍などを生じるもので長期にわたり生活の質を障害します。
深部静脈血栓症の患者さんの20-50%において発症するもので、特に診断時に下肢の腫脹が強い症例ではリスクとなります。
この血栓後症候群の予防は深部静脈血栓症急性期での適切でかつ十分な抗凝固療法です。
深部静脈血栓症はそれほど稀ではない疾患であるために、早期発見早期治療が大切になります。
山田医院 医師 山田良宏
膝関節トラブル
私は、テニス、謎解きとよく運動をするほうです。
でも、若い頃から歩くのは嫌いで徒歩より自転車、自転車よりバイク、バイクより車。
その頃はテニスや謎解きを楽しむ余裕もなく、かなり運動不足だったと思います。それに引き換え主人は、歩くのが苦にならないっていうより歩くのが好きで出勤時も勿論最寄り駅まで、朝は余裕が大体あるので天王寺まで徒歩で行ったり、夜飲み会で電車なくなって梅田から歩いて帰宅したこともあります(笑)
電車乗り越して京都まで行ったときは、電話が来て長男が迎えに行ったり、長男が家を出てからはタクシーで帰宅して私が烈火の如く起こった事も2~3度あります。
タクシーの運転手さんがチャイム鳴らして代金請求するので、鬼の形相で対応していたと思います(運転手さんにはペコペコ、主人にはキー!!)
休日は少年野球のコーチしていたので、運動はかなり充実。
次男が高校になったら桜ノ宮まで歩いて野球の応援に行ってました。余談でしたが、今そんな2人もお互いに年を重ねて、膝の問題に悩まされています。
私は若い頃の運動不足、主人の場合は明らかに歩きすぎでは?
特に主人は重症で、自費の再生医療も高額出して受けましたが、効果なく、今は近場でも自転車、万博では車いす、家族で出かけても、車いすを借りれるところでは車いすです。
最近私も膝の違和感、時には痛みを感じるようになり、ナース仲間に「テニスのし過ぎ~」など言われながらサポーターでどうにか凌いでいます。膝の痛みの原因は様々ですが
★加齢による軟骨のすり減り
★筋力低下(特に太もも)
★体重増加による負担
★半月板の損傷
など挙げられます。
中でも多いのが変形性膝関節症です。
以下のような症状ありませんか?
●立ち上がる時に痛い
●階段(特に下り)がつらい
●正座が出来ない
●膝に水が貯まる
\簡単セルフチェック/
✅ 朝起きて最初の一歩が痛い□ 椅子から立つ時に「よっこいしょ」となる
✅ 歩き始めは痛いけど、しばらくするとマシになる
✅膝がこわばる感じがある
2つ以上当てはまる方は要注意です!
初期は動き始めが痛いのが特徴ですではなぜ痛くなるのか?
▲軟骨がすり減る
▲骨同士がこすれる
▲炎症が起きる
※軟骨自体には神経がないため、実際の痛みは周囲の炎症や骨への負担で感じています。
さらに、それにより運動をしなくなり、筋力が落ちる→関節が不安定→さらに悪化という悪循環に(今主人ここ)
今から出来る予防、
対策として
◇太ももを鍛える(椅子に座って足を延ばすだけでもOK)
◇体重コントロール(今私ここ)体重が1キロ増えると膝には3キロの負担が、って事は15キロ膝にT_T
◇無理な動きは避ける→急な階段、長時間の正座は避ける(私正座大好き、今、山田先生の助言により正座封印中)
◇膝周りのストレッチ(太ももの裏を伸ばすのも効果的)
→無理のない範囲でゆっくり行いましょう
受診の目安
▽痛みが続く
▽腫れや熱感がある
▽あるくのがつらい
痛みは年のせいと思って放置しないことが大切です。
さあ、私も膝、これ以上悪くならないように、まず5キロ増えた体重を減らそうと努力中です(とりあえず毎日2個食べてた小さいアイスを2日に1本にしています)小さな積み重ねが、これからの膝を守ります。膝でお悩みの方、一緒に無理せずコツコツ頑張りましょう
山田医院 看護師 冨嶋友子
嚥下障害
おいしいものを、お腹いっぱい食べたいというのは、人間の根源的な欲求の一つです。
けれど、長く生きていれば、自分自身が、口からうまく食べられなくなるという事態に陥ることは、ままあります。
口からうまく食べられない状態を、嚥下障害、あるいは摂食嚥下障害といいます。
嚥下とは飲み込むことを指す言葉。
口から胃に流れ込むはずの食物が途中でとまってしまったり、肺炎につながる気管のほうに入ってしまう誤嚥を引き起こしやすくなったりする状態が、嚥下障害です。
誤嚥機能の低下は、窒息を起こしやすくするだけでなく、誤嚥性肺炎という、高齢者に最も多いタイプの肺炎を引き起こす原因にもなってしまいます。
見逃さないで!嚥下障害のサイン
咳、痰、声の変化は?
よく咳や痰がでる/痰に食べかすが混じっている/食事によくむせる/会話中によくむせる/夜間、咳き込むことがある/食事のあと、がらがら声になる
食生活の変化は?
食事をするのに長い時間がかかるようになった
ご飯より麺類を好むようになるなど、食事の好みが変わってきた
食べるとすぐ疲れてしまい、残してしまう
気になる食事のトラブル?
飲食をすると、喉の違和感がある
飲食すると、胸が詰まったような感じがする
食べこぼしが多い
飲み込んだあとも、口の中に食物が残ってしまう
過去に、食物を喉に詰まらせたことがある
気になる様子は?
体重が減少してきた、痩せてきた
水分を取りたがらない
発熱を繰り返したり、微熱がつづいたりしているなど、嚥下障害があるときに起こりやすいサインです。
嚥下障害が原因ではなくても、こうした症状がみられる場合には、なんらかの異変が生じている可能性があります。
30秒間でつばを何回飲み込めるか試してみましょう
どの程度、食べる力があるかを確かめるために、唾液を飲み込んでみてもらう方法があります。
反復唾液嚥下テスト
1, 楽な姿勢で座る
2, 口の中を湿らせる
3, のど仏に指を当てる
4, 30秒間、つばの飲み込みを繰り返し、飲み込めた回数を数える
飲み込む力を確かめるためのスクリーニングデストのひとつ。
唾液を飲み込む回数が少ない人は、嚥下機能の低下が疑われます。
高齢者の場合、3回以上「ごくん」とできれば、嚥下機能に特別な問題はないと考えられます。
1回または2回しかできない人は異常です。
実際の食事の場面でも、飲み込みに苦労しているようなら、嚥下機能低下が疑われます。
食べ方、食べるものの性状が必要な状態かもしれません。医師や看護師、介護職の人に相談してみましょう。
山田医院 医療事務 阿知波真弓
高齢者の肺炎球菌ワクチンと帯状疱疹ワクチンについて
65歳になってから66歳になるまでの間に肺炎球菌ワクチンの接種が公費でできます。
生活保護を受けている方、非課税の方は無料ですがそれ以外の方は1回につき6000円の費用が掛かります。
昨年度までとは異なり20価結合型ワクチン(プレベナー)を接種します。
接種後発熱を認めることがありますが高齢者の肺炎は致死的であるためにお勧めしています。なお基本的には1回の接種で終了です。
65歳、70歳、、、、、100歳になる学年の人が対象のワクチンが帯状疱疹ワクチンです。
1回接種の生ワクチン(4500円の費用が発生、効果は5年で50%程度)と2回接種の不活化ワクチン(合計22000円の費用が発生。効果は15年で90%程度)
尿酸値が高い方へ
尿酸値は血液検査で1デシリットルあたり7.0mgを超えると高尿酸値血症と診断されます。 患者の数は約1,000万人で成人男性の20%女性の5%と言われています。 女性ホルモンが尿酸値の上昇を抑制する働きがあるため、閉経前の女性は少ないのです。
尿酸値が高いと、尿酸が結晶となり関節に沈着して通風という、関節の腫れと痛みを引き起こします。 また尿中の尿酸値が結晶化して尿路結石を起こしやすくなります。 それから生活習慣病の合併、糖尿病、高血圧、慢性腎臓疾患のリスクが上昇します。
尿酸は、食事などで身体に入ったプリン体が肝臓で分解されて生産され、腎臓でろ過されて尿とともに排出されます。 通常は体内で産生されたのと同量の尿酸が排出されてバランスを保ちますが、尿酸が過剰に産生されたり、排泄力が低下すると尿酸が上昇します。
産生過剰は、プリン体を含む食品やアルコールの取りすぎが主な原因となります。 プリン体を多く含む食品は、肉、レバー、魚卵、魚の干物、エビなど。 ビールは特にプリン体が多いので有名ですが、アルコール自体にも、体内のATPという物質の分解を進め二次的に尿酸値を上昇させる働きがあります。 その為、プリン体カットの発泡酒でもたくさん飲むとアルコールの作用で尿酸値が上がります。 ビールは500mlまで、日本酒は1合、ワインは150mlまでが1日摂取量の目安です。 他に果糖も尿酸値が上がりますので、清涼飲料水やお菓子も取りすぎには注意が必要です。
排泄量低下の原因は、腎臓の病気、肥満などがあります。 肥満があるとインスリンの働きが悪くなり、尿酸の産生を促進し腎臓での排泄を低下させます。 肥満、内臓脂肪の蓄積は、このインスリン抵抗性と高尿酸血症をどちらも引き起こすため、セットで発症しやすく、食事療法と適度な運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など1日30~60分程度)が推奨されます。 高尿酸血症は動脈硬化も引き起こすので、高血圧、糖尿病を合併しているときは特に注意が必要です。 ただし、高強度の運動はかえって尿酸値を上昇させてしまう可能性もあります(運動性高尿酸血症)。 他に遺伝的要素もあり、体質的に尿酸値の排出力の弱い人は肥満や食事アルコールの過剰摂取がなくても尿酸値が高くなることがあります。
受診の目安は7.0mg/dlですが、すぐに薬物療法をするとは限らず、痛風発作、尿路結石の有無、慢性疾患の有無などで判断されます。
山田医院 看護師 盛田里穂
子どものけいれんについて
よく経験する「熱性けいれん」はけいれんを起こさない発作もあるために「熱性発作」と言われることもあります。 この熱性けいれんは主として生後6か月から60か月までの乳幼児期に起こる通常は38度以上の発熱に伴う発作性疾患で髄膜炎などの発作の原因が見られないものです。 発作の多くは手足が左右対称に突っ張る全身性強直けいれんや手足を伸ばしたり曲げたりしながら全身が動く間代性けいれんがあります。 通常は5分以内におさまり後遺症の心配もありません。 日本では約8%の有病率と言われています。
熱性けいれんの約2/3は1回のみの発作で終わりますが再発するのは1/3程度です。 熱性けいれんの家族歴がある、生後12か月未満の発症、発熱後1時間以内に発作、39°C以下での発作などがあると繰り返す可能性が高いことが知られています。
熱性けいれんの再発予防としてダイアップ坐薬を使用する方法があります。 15分以上の発作などがあれば適応になります。 なお、ダイアップ坐薬は投与後15分程度してから効果がでます。 そのために発作中に使用する薬剤ではありません。
基本的な使い方は37.5°Cの発熱を目安として1回に0.4-.05mg/kgを挿肛、発熱が8時間後も持続しているようであれば同量を再度挿肛します。 2回の投与で24時間は血中濃度が維持できます。 熱性けいれんはほとんどが発熱24時間以内に起こるので通常は3回の挿入は必要ありません。 なお解熱剤の坐薬はダイアップ挿入後30分以上してからの挿入となります。
熱性けいれんは8%という有病率から見てもよくある疾患です。 心配事があればまたかかりつけ医師に相談をしましょう。 今回はチャイルドヘルス令和8年5月号から抜粋をしました。
山田医院 医師 山田良宏


