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山田医院だより

第27巻 第6号(第317号)

難治性胃食道逆流症について

胃食道逆流症(GERD)は胃酸を含む胃内容物が食道内に逆流することにより胸やけや呑酸(口の中に苦いあるいは酸っぱい液体を感じること)などの症状を呈する疾患です。 GERDの内で内視鏡で食道粘膜にびらんや潰瘍などの粘膜障害を認める場合を逆流性食道炎と呼び、粘膜障害を伴わないものは非びらん性胃食道逆流症(NERD)と言います。 つまり胃食道逆流症は内視鏡検査で異常がある逆流性食道炎と内視鏡では異常がないNERDに分かれます。 近年、我が国においてもGERDは増加しており有病率は約10%と推定されます。 逆流性食道炎とNERDはほぼ同数と考えられています。 逆流性食道炎のリスクとしては男性、食道裂孔ヘルニア、肥満などがあり、NERDは女性に多く、食道裂孔ヘルニアは少なく低体重の方に多いとされています。

GERDの症状としては胸やけ、呑酸などの消化器症状だけではなく狭心症と鑑別を要する胸痛、慢性咳嗽などの呼吸器症状などがあります。 逆流性食道炎は内視鏡検査で診断されますが内視鏡検査での所見でロサンゼルス分類というものがあります。 日本においてはロサンゼルス分類のGradeAからGradeDに所見がほとんどないGradeNとGradeMを加えた改定ロサンゼルス分類が広く持ちいられています。 内視鏡検査を受けるとこの分類の記載があると思います。

GERDの治療はPPI(ラベプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾールなど)やP-CAB(タケキャブ)の登場によって大きく進歩して多くの症例ではこれらの酸分泌療法によって症状の改善が得られるようになりました。 ただし実臨床では一定数の患者さんで治療抵抗性が問題となりこれが表題の難治性胃食道逆流症です。 これは先ほどのPPIやP-CABを標準量で4-8週間服用しても逆流症状が改善しない状態となっています。 難治性の多くが単純に酸が抑えきれていない状態ではないことは重要な事です。 特にNERDでは症状の背景が多層的であり酸逆流のみでは説明できないことも少なくありません。 NERDについては粘膜損傷が乏しい一方で症状は強く知覚過敏や心理的要因が関与するケースが多いとも言われています。

このような難治例に対しての対応ですがStep0として生活習慣指導が大切になります。 肥満者に対する減量、喫煙者への禁煙指導、夜間症状がある人に対しての遅い夕食の回避、就寝時の頭部挙上はゆうこうでありまた左側臥位(左を下にした側臥位)では食道の胃酸暴露時間が短縮することから望ましいと考えられます。

Step1としては本当に薬剤抵抗性かどうかという事で服薬方法の確認(理想は食前投与。倍量1回投与よりも2分割投与。理想は夕食前投与。実際は夕食後投与が多くなっていますが)なお、重症例では初期治療としてはPPIよりもP-CABの4週間投与が第1選択です。

Step2としてはGERD以外の疾患について検討することです。 胸やけに加えて嚥下障害、つかえ感、胸痛、体重減少などがある場合には単純なGERDではなく食道カンジダ症、好酸球性食道炎、食道アカラシア、食道癌、、、などを鑑別することも大切になります。 特に好酸球性食道炎は近年増加傾向でPPI抵抗性症例の鑑別としては重要になります。

Step3として酸か酸以外かを切り分けるという事です。 P-CABは極めて強力な酸分泌抑制薬であるためにこれをきっちりと服用していても症状が持続する場合には非酸逆流あるいは機能性胸やけを考える必要があります。 胃内視鏡検査の次の段階の検査としては24時間食道pHモニタリング検査、食道インピーダンス・pH検査があります。 これは専門病院でしかできない検査で実際に胃酸が食道にどの程度逆流しているのか等を調べる検査になります。

なお酸分泌抑制薬以外の内服薬としては消化管運動機能改善薬(モサプリド)はNERDにおいてはPPIとの併用で上乗せ効果があります。 漢方薬では六君子湯、半夏瀉心湯、半夏厚朴湯などが使用されますが証に応じて効果を認めます。 そのたアコチアミドはPPI抵抗性GERDに対しての併用療法として症状改善をみとめます。 その他の治療として外科手術ならびに内視鏡治療があります。 特に最近では低侵襲である内視鏡治療も発展しています。

最後に長期治療についてですが、状態が安定した場合には最低容量への減量、オンデマンド療法(症状出現時に数日間内服して改善すれば中止にする方法),必要時のみの短期間投与などもあります。 PPIの長期投与ではビタミンB12欠乏、腸内細菌叢の変化、骨折のリスクなどが報告されています。 ビタミンB12欠乏については2年以上のPPIの使用でリスクが上昇します。 また胃癌リスクについてはPPIについてはピロリ菌感染が背景にある場合には長期投与で胃粘膜萎縮の進行があるために除菌後でも注意が必要、また長期にわたるほど胃癌リスクは上昇する傾向があります。 P-CABについても除菌後胃癌発生リスクと関連する可能性も報告されており特に高容量で長期にわたる投与は注意が必要です。 以上より酸分泌抑制薬の長期投与はピロリ菌感染歴や除菌後の胃粘膜萎縮の程度を踏めて必要最小限の投与量、帰還での対応が必要になります。

今回は日本醫亊新報令和8年6月号から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏

目の日焼け大丈夫?

ご提示いただいた文章の内容(文字や言葉)は変更せず、意味の区切りや句点(。)に合わせて読みやすくなるよう改行を整えました。

夏本番となるこの時期注意したいのが日焼けです。 しかし肌の日焼けは気にしていても以外に目の日焼けには無頓着…という人も多いのではないでしょうか。 実は、紫外線は様々な目の病気とかかわりがあり目にも紫外線予防が大切なのです。

紫外線を浴びて肌や目が日焼けすると活性酸素という物質が増えます。 活性酸素とは体内に取り込まれた酸素が紫外線や大気汚染などの酸化ストレスによって過剰に活性化したもので細胞に傷害をもたらします。 目が日焼けした場合この活性酸素が角膜などにダメージを与えることによってさまざまな症状を引き起こします。

目が長時間紫外線にさらされると目が充血したり、目がゴロゴロする感じがしたり、涙が出たり、ひどくなると目に強い痛みを感じる場合があります。 特に紫外線の反射が強いスキー場や海水浴場などで長時間紫外線に直接さらされると角膜が傷つきます。

また目に入った紫外線は角膜だけでなく、肌にも影響を与えます。 脳が目に紫外線が入ったことをキャッチし防御反応として肌がメラニン色素を生成するためです。 紫外線が目に及ぼす影響は想像以上に深刻なものになることもあり目の角膜のほか網膜や水晶体などにもダメージを与えさまざまな目の病気のきっかけとなる可能性もあります。

紫外線が関連する代表的な疾患は次の通りです。

1紫外線角膜炎(雪目・雪眼炎:せつがんえん):強い紫外線に長時間さらされた時にみられる急性の角膜炎で、雪面など紫外線の反射が強い昼間に強い紫外線を数時間浴びたのち約6~10時間経過してから目の充血、目がゴロゴロする、涙が出る、目が痛くて開けられない、まぶしい、目がかすむ、見えにくいなどの症状が出ます。

2翼状片(よくじょうへん):翼状片は球結膜(白目)の部分の組織が異常増殖して目頭のほうから角膜(黒目)の上に三角形状に伸びてかぶさるようになってしまう疾患です。発症原因は不明な点も多いですが農業や漁業従事者など戸外での活動時間が長い人に多発していることから紫外線の影響が一因と考えられています

3白内障:白内障は眼科疾患の中でも最も罹患者が多い病気のひとつで日本人に最も多く見られる皮質白内障は紫外線との関係性がよく知られています。白内障の症状は目がかすむ、細かい文字が見えにくい、光をまぶしく感じるなどの症状が現われ徐々に視力が低下します

4瞼裂斑炎(けんれつはんえん):角膜(黒目)のすぐ外側の球結膜(白目)が黄色く濁って盛り上がる疾患です。充血を伴い目の痛みや異物感などの症状が生じます。コンタクトレンズの使用や加齢の他、紫外線や潮風にさらされることなどが原因となります。

5加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい):加齢によって網膜の中心にある黄斑部に異常が生じる病気です。初期は物の中心部が暗く見えたりゆがんで見えたりします。病気の進行に伴って見えにくい範囲が徐々に広がり視力が低下します。網膜まで到達する紫外線はわずかですが長年の紫外線のばく露が加齢黄斑変性につながる可能性があります。

うっかり目の日焼けをしてしまったまた紫外線角膜炎が疑われる症状が出た場合は目を閉じて安静にし睡眠を十分とるなどして目を休めることが大切です。 濡れタオルや保冷剤などでまぶたを冷やすのも効果的です。 ほとんどの場合、24~48時間で自然治癒します。

市販の目薬を使用する際はヒアルロン酸の目薬など刺激の少ないタイプを選びましょう。 角膜に傷がついているのでスーッとするタイプの市販の目薬では痛みを感じることがあります。 基本的には目を休めていれば治りますが2日経っても痛みが引かない、痛みが強い場合は眼科を受診し適切な治療を受けましょう。

目の日焼けを防ぐためには帽子をかぶる、日傘を使う、UVカットサングラス・眼鏡をかける、ドライアイを改善する、目に良いとされる栄養素「ルティン」を摂取するなどがあげられます。 「ルテイン」は紫外線を吸収して目を守り抗酸化作用によって活性酸素を除去すると言われています。 ほうれん草やブロッコリーなど緑黄色野菜に多く含まれ食事に取り入れることで紫外線によって増えた活性酸素を少しでも抑えるように意識するのも良いですね。

今年の夏も暑くなりそうですが肌、目の日焼け予防をしっかりとして楽しみたいですね。

山田医院看護師 中島早苗

第二、第三のミルクって何?

近年、健康食品の流通・需要が増えているなか、第二・第三のミルクといった言葉をきいたことがあるでしょうか?
私も最近テレビ報道でみて、ちょっと気になったので、今回はその事について調べてみました!

まず、第一のミルクとは、皆さんもよく知っている牛乳(動物性)の事です。 第二のミルクは、豆乳(植物性/大豆由来)です。
そして、第三のミルクというのが、アーモンドミルク、クオーツミルク、ココナッツミルク、ライスミルクなど(植物性/ナッツ・穀物由来)のことをいいます。
従来の「牛乳」「豆乳」に続く、新しい植物性ミルクの総称です。

そして、プラントベースミルクといった言葉を聞いた事があるでしょうか? プラントベースは、「プラント(植物)」と「ベース(土台・主成分)」からなる言葉で、プラントベースミルクは植物性原料で作られたミルクの総称です。

植物性ミルクは、乳頭不耐症(牛乳や乳製品に含まれる成分である乳糖を消化できないことにより、お腹の不調をきたす)や乳アレルギーで牛乳が飲めない方にも安心して取り入れる事ができます。 しかも、植物由来のため、ノンコレステロールで低脂肪。 カロリーが低いものも多く、健康志向の方からも広く注目が集まっているようです。

代表的な種類のものには、どんなものがあるのでしょう。 その特徴も説明していきましょう。

1、ソイミルク(豆乳)…プラントベースミルクの代表的なもの。原材料が大豆のため、からだ作りに欠かせないたんぱく質を多く含む。牛乳からは摂取できないイソフラボンを含有。ただ、大豆特有の風味があり、ややクセが強い。市場に多く出回っている。

2、オーツミルク…オーツ麦から作られるミルクで、穀物由来の自然な甘みがあり、コ-ヒート紅茶との相性がよい。食物繊維が豊富で、他の植物性ミルクに比べてクセは少なくクリーミー。近年世界的にも話題に!!

3、ココナッツミルク…ココナッツ種子の固形胚乳から作られる。ココナッツ特有の風味と甘みが特徴。材料として使用されることが多い。カロリー・脂質はやや高め。

アーモンドミルク…細かく砕いたアーモンドを水と合わせて濾したもので、ナッツ特有の香ばしい風味があり、あっさりとした後味が特徴。抗酸化作用の強いビタミンEが非常に豊富で、吸収率が高い。カロリーや糖質が低い。

5、ライスミルク…米や玄米から作られ、ほのかに自然の甘みを感じる。口当たりがサラッとしていてクセを感じにくいため、プラントベースミルク初心者の人でも取り入れやすい。

6、ヘンプミルク…「ヘンプ」とは日本語で「麻」の意味。ヘンプミルクは麻の実から作られる。日本ではまだあまり普及されていませんが、欧米では栄養価の高さが注目を集めている。味や香りにややクセがあり、人によっては飲みにくく感じることも…

色々な種類のプラントベースミルクがありますね。 あまりなじみのない方も、これを機に試してみては? 私もソイミルク、アーモンドミルクは試したことありますが、他のものはなかったので、みつけたら一度飲んでみてようと思います。 用途や目的に合わせて選んでいくのもいいかもしれませんね。

山田医院 看護師 川上 啓

ゆらぎ世代

『ゆらぎ世代』という言葉をご存知ですか? 主に40代〜50代頃の、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量低下によって心身にさまざまな不調が現れやすい女性たちのことを指します。 そう、これまででいう「更年期」のことです。 現在は医学的・社会的な配慮から「ゆらぎ世代」という言葉で表現されることが増えています。 私自身、現在『ゆらぎ世代』真っ最中。 少しでもこの時期を快適に過ごせるように調べてみました。

おおむね40代後半〜50代前半(閉経前後の約10年間)に起こる症状です。 原因は女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少によるホルモンバランスの乱れといわれています。 よくみられる症状としては身体的なサイン: ほてり・ホットフラッシュ、汗が止まらない、動悸、めまい、肩こり、疲れやすいなど。 精神的なサイン: イライラする、急に不安になる、やる気が出ない、涙もろくなるなど 。

この時期は無理をせず、自身の心身の変化を理解してセルフケアを行うことが大切とされています。 趣味やリフレッシュ、休息の時間にあてストレスを溜めないこと。 栄養バランスの取れた食事(大豆イソフラボンの摂取)、適度な運動(ヨガやウォーキング)、質の良い睡眠を心がけることが基本です。 不調が日常生活に支障をきたす場合は、婦人科や専門医に相談して治療(ホルモン補充療法など)やアドバイスを受けることも選択肢の一つです。

食事と言えば、この時期に摂取することが推奨される大豆イソフラボン。 大豆イソフラボンは腸内細菌によってエクオールという成分に変換されます。 このエクオールが女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きを持ち、更年期症状の軽減や肌のうるおい保持など、女性の健康をサポートする効果が期待されています。

ただ腸内環境によって大豆イソフラボンからエクオールを作り出せない人もいるんです。 日本人女性の約半分が作れないとも言われています。 エクオールを作れないひとは自体をサプリメントなどで補うことができます。 私もゆらぎの世代に入ってからは納豆を食べて、豆腐を食べて、豆乳をのんで、日々大豆イソフラボンを摂るように心がけていますが、自分がエクオールを作れるのか疑問が。 そんな時は婦人科等で調べること(自費検査)ができます。 私は自宅で尿を取って郵送で送るだけの検査を利用しました。 1週間くらいで結果がでて、手軽でしたよ〜。

ゆらぎの世代の方。 医療機関や友達、ゆらぎ世代の先輩に相談しながら、体の節目の時期を一緒に乗り越えましょう!

山田医院 医療事務 東川敏美

虫刺されとアレルギーについて

虫刺されによるアナフィラキシーと言えば蜂刺されに代表されます。 日本では年間に10-20人程度の死亡例の報告がありますがほとんどは中年以降です。 若年者ではまれですがこれは蜂に刺される機会が子どもでは少ないことによると考えられています。 スズメバチとアシナガバチの毒素は似ているのでスズメバチに対してアレルギーを起こしたことがある人はアシナガバチにも気を付ける必要があります。 なおミツバチは異なる毒素のようで交叉はしないようですが、刺されたときに針が残るのはミツバチなので抜針が必要です。

なお蚊に刺されると真っ赤になる人がいますがこれは蚊の唾液に対するアレルギー反応です。 典型的には刺されると刺されたところが赤く膨らみ、周りが赤くなる反応が起こります。(即時型反応) その後刺された部分が固く盛り上がってかゆくなる反応(遅発型反応)が起こります。 即時型反応は20分ほどで出現して、遅発型反応は24-36時間後に出現します。 なお7-10日ほどで自然におさまります。

蚊に何度か刺されるうちに蚊の唾液に対する反応の仕方を変えていきます。 これは免疫が慣れる過程です。 第1段階は初めて刺されるときは反応がほとんどない。 第2段階は何度か刺されると数時間から翌日に出る遅発反応が出るようになる。 第3段階はさらに刺され続けると即時型反応が出現。 第4段階はもっと慣れてくると遅発型反応が弱くなる。 第5段階の最終段階は即時型反応も出にくくなる。という経過です。

すべての人が同じように進むわけではありませんが蚊に刺される機会が少ない子どもでは大人に比べると反応が強く出てしまうわけです。 なお、蚊に刺されてひっかくことでできるひっかき傷から「とびひ」になる子もいますので要注意です。

今回はチャイルドヘルス令和8年6月号から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏