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山田医院だより

第26巻 第4号(第303号)

レビー小体病について

80歳を過ぎると罹患率が急激に増大するパーキンソン病の患者さんは、日本においては増加しており「パーキンソン病パンデミック」とも言われています。
一方レビー小体型認知症については認知症全体に占める割合は、アルツハイマー型認知症に次いで多く約20%程度と言われています。
このパーキンソン病とレビー小体型認知症はともにレビー小体と言われる異常なタンパク質凝集体(α―シヌクレインタンパク)を持つことからレビー小体病という病名でまとめられています。

便宜上、先にパーキンソン症状(動作緩慢、筋強剛、安静時の振戦、姿勢反射の障害)があり1年以上の経過で認知症が出現した場合には「認知症を伴うパーキンソン病」としてそれ以外(パーキンソン症状の出現から1年未満での認知症発症、最初に認知症症状がありその後パーキンソン症状が出現など)はレビー小体型認知症としていますが、パーキンソン病とレビー小体型認知症は最終的には同じ症状になることから両者を合わせた包括的用語としてレビー小体病と言われています。

なお進展については消化管等で出現したレビー小体が中枢に向けて進展するパターンと脳でできたレビー小体が脳に広がるパターンがあると言われており、このためにレビー小体病では様々な非運動症状が人によって違いいろいろなパターンで出現すると言われています。

レビー小体病の症状としてはいわゆるパーキンソン症状である動作緩慢、振戦、筋強剛、振戦、姿勢反射障害以外にも便秘、嗅覚障害、睡眠障害、精神症状(認知症、幻視、妄想、うつなど)、起立性低血圧、過活動膀胱などの症状があります。便秘、嗅覚障害、睡眠障害、うつ症状などはレビー小体病の前駆症状としても重要な位置づけにあります。

レビー小体病の中核である運動障害、認知症の出現前に起こることが分かっています。

便秘についてはパーキンソン病の9割に認めるほど多い状態で逆に便秘を伴うパーキンソン病では認知機能の低下の進行も早くなります。
嗅覚障害についてもパーキンソン病の8割に認めるもので、匂いがしても何の匂いかわからない、間違った匂いと感じることが特徴的です。
この嗅覚障害がある場合には便秘、起立性低血圧など自律神経障害の合併が多くなります。睡眠障害としてはレム睡眠行動異常症があります。通常レム睡眠期は筋肉の緊張がなくなり動かなくなっていますが(日常的な現象としてはいわゆる「金縛り」がありこれは頭はさえているものの手足が動かない状態)脳の障害のためにレム睡眠期でも体が動く状態であるために夢の中で
の行動に付随して体が動き悪夢を見た時に暴れるという事が起こります。
レム睡眠期は睡眠の後半で多くなるために朝方にこのような現象が起こりやすくなります。若年者の睡眠中の行動異常であるパラソムニアはノンレム睡眠期に起こるために多くは開眼していてドアを開けて外に出るなど比較的合目的な行動ができますが、睡眠時行動異常症では閉眼しているためにベッド上あるいはベッドの脇など多くは室内・ベッド近傍で限定的に起こる事が分かっています。

その他の睡眠障害としてはむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)があります。これは下肢がむずむずとして動かしたくなる、安静時夜間に多く、動かすことでむずむずがなくなる
というもので鉄欠乏性貧血、腎不全などでも起こりますがパーキンソン病の方では通常の3倍も多く発症します。

認知機能障害については初期では記憶障害は比較的軽度です。認知機能の変動が日内あるいは日間でも大きいのが特徴です。
短期記憶は比較的維持できますがserial7(100から7づつ引いていく連続減算のテスト)や図形模写についての成績が悪いのが特徴です。精神症状としては幻視、幻覚が有名です。繰り返す具体的な幻視が特徴的で小さな子どもが見える、小動物、虫などの幻視も多くまた見知らぬ一家が住んでいるなどかなり詳しく説明できます。

また何か気配を感じる、視界の端で何かが通ったように見える、紐が蛇に見える、妻が見かけはそっくりだけどそっくり替え玉に入れ替わっている、テレビの中の像を現実のものと取り違えるなどがあります。

その他うつを伴うことがあります。レビー小体病でのうつは無気力(アパシー)が主体で薬剤の反応が悪いものの電気痙攣療法の効果が高くなっています。

若年者の場合にはとくにレビー小体病では希死念慮がアルツハイマー型認知症よりも強いので注意が必要です。

起立性低血圧も有名な症状です。薬物療法以上に生活療法としての弾性ストッキングの使用、腹帯の使用、水分1日に2リットル以上の摂取、塩分を1日に8-10gの摂取、起床後の冷水コップ1杯の飲用、就寝時の頭部挙上など勧めれています。

今回は日本医師会雑誌令和7年3月号からレビー小体病についての話題を掲載しました。

山田医院 医師 山田良宏

ポリファーマシーについて

最近になって聞いた言葉ですが、複数の薬を服用することによって発生するポリファーマシーという状態が社会問題になっています。

ポリpoly多い、ファーマシーpharmacy薬、からなる表現で、日本語にすると多剤併用問題と言われます。
単に服用する薬が多いのが悪い、という訳ではなく、薬が多いことで良くない作用が出ていることを表現します。

一般に6種類の服用薬を超えるとポリファーマシーの傾向が出る可能性が高くなります。ではどんな問題が起こるのでしょうか。

年齢とともに、食事の好みや体の大きさ、生理機能が変わると薬の種類や量が変わることがあります。いつも飲んでいるからと続けてしまうと、実はもう必要のない薬だったり、効果が不足している薬になってしまうことがあるので、定期的に処方の見直しが必要です。

複数の医療機関でよく似た作用の薬が処方されることもあります。例えば、腰痛のため整形外科で鎮痛剤が処方されているときに、熱を出して内科で解熱剤が処方されると、この2つは解熱鎮痛剤という同じ作用のある薬である可能性があります。
また鎮痛剤は胃薬と同時に処方されることがありますが、もともと胃痛で胃薬を常用している場合にはかぶってしまいます。

他にも、起こっている症状が、別の薬の副作用と気がつかずに、ほかの病院を受診して、その症状を対処するためのまた別の薬が処方されてしまうこともあります。
薬の飲み忘れを伝えそびれてしまうと、医師は薬の効果が十分ではないと判断してさらにほかの薬を処方してしまうことがあります。
薬によっては相互作用と言って、飲み合わせが悪く、効き目が悪くなってしまったり、逆に効きすぎてしまうことがあります。
さらに薬が多いと、飲み間違いや飲み忘れの頻度も高くなります。
解決策としては、お薬手帳は医療機関ごとに分けるのではなくて1冊の手帳で管理しましょう。
医療機関にかかるときは飲んでいる薬をすべて伝えて、服用できなかったり飲み忘れも伝えましょう。かかりつけ医(山田先生のような困った事を相談できる医院)を持つほかに、かかりつけ薬局を持っていると、必要に応じて服薬管理をしてきちんと忘れずに内服できるような工夫をしてくれたり、薬剤師から医師に相談してくれることもあります。

山田医院 看護師 盛田里穂

骨粗鬆症

骨粗鬆症は、骨の量(骨量)が減少し、骨が脆くなることによって骨折しやすくなる病気です。日本では約1000万人以上の患者が存在し、高齢化社会においてその数は増加の一途を辿っています。骨粗鬆症は、初期段階では症状が現れにくいため、気づかないうちに骨折を引き起こしやすく、健康に大きな影響を及ぼす可能性があります。

骨粗鬆症の症状

骨粗鬆症の最大の特徴は、痛みを感じることがない場合が多いという点です。
骨の密度が減少し、骨が脆くなるものの、初期の段階では痛みを感じることは少ないです。
しかし、ちょっとした転倒や衝撃などで骨折を起こしやすくなります。特に脊椎の圧迫骨折(背骨の骨折)橈骨遠位端骨折(手首の骨折)大腿骨頚部骨折(太ももの付け根の骨折) での骨折が多く見られます骨折が起こると、その部分が激しく痛み、動けなくなることがあります。

さらに、背中や腰の痛みを感じることがあり、進行すると身長が縮んだり、背中が丸くなることもあります。

これらの症状は、骨粗鬆症の進行を示す重要な兆候です。

骨粗鬆症の原因と病態

骨は生きた組織であり、新しい骨が作られる「骨形成」と、古い骨が壊れる「骨吸収」というプロセスが常に繰り返されています。
骨粗鬆症は、このバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回ることで、骨密度が低下し、骨がスカスカになっていく病気です。
特に、女性に多く見られ、特に閉経後の女性においてホルモンバランスの変化が大きな要因となります。
女性ホルモン(エストロゲン)の減少は、骨吸収を促進するため、骨密度が急激に減少し、骨粗鬆症のリスクが高まります。加えて、加齢による骨密度の自然な低下も影響を与えます。

骨粗鬆症の予防

骨粗鬆症は、予防が非常に重要な病気です。

予防策として転倒を避ける:生活環境を安全に保つことが重要です。

カルシウムの摂取

骨の形成に必要なカルシウムを十分に摂取することが基本です。

ビタミンD、ビタミンK、リン、マグネシウムを摂取する

これらの栄養素は骨の健康をサポートします。
適量のタンパク質の摂取:骨の強化には、タンパク質も重要です。禁煙とアルコール制限:喫煙は骨密度を低下させ、過度のアルコール摂取も骨折リスクを高めます。

運動と日光浴

適度な運動は骨を強化し、日光浴によってビタミンDの生成を助けます。これらの予防策を生活に取り入れることで、骨粗鬆症のリスクを低減させることができます。

山田医院 医療事務 増田 教恵

春バテをご存知でしょうか?

こんにちは。皆さんは春バテをご存知でしょうか?

春バテとは、春先の季節の変わり目の寒暖差やストレスによる自律神経の乱れなどによって生じる心身の不調のことをいいます。
気候の変化や生活環境の変化が生じやすい3~4月にかけて多くなることから「春バテ」と呼ばれています。

春バテとは、その名の通り、春に起こりやすい不調のことをいいます。
春は寒暖差などの気温の変化が大きいことに加え、異動・転勤・新生活の始まりなど生活が大きく変化する季節です。

変化に対応するため、外部の刺激に適応して体を健康な状態に保つ「自律神経」が過剰に働きます。
その結果、心身の調子を崩しやすくなり、疲労感や倦怠感、イライラ、不眠などの症状があらわれます。その状態は近年、春バテと呼ばれています。
春バテの症状は人によってさまざまですが、その原因の多くは自律神経の乱れにあります。
日々の生活習慣の見直しとセルフケアで、春バテを予防・対策しましょう。

《春バテの予防・対策》
・規則正しい生活

体調管理の基本は規則正しい生活リズムを心掛けることが重要なポイントとなります。
睡眠時間をしっかり確保し、毎朝同じ時間に起床して、カーテンを開けて日光を浴びて生活リズムを整えましょう。

・栄養バランスの取れた食事

ビタミンB群やタンパク質を積極的に摂ると、疲労回復に役立ちます。
1日3食を規則正しく摂取し、野菜や肉、魚などをよく噛んでゆっくり食べ、食べる量は腹八分目を心掛けましょう。

・適度な運動習慣

軽い運動を継続的におこなうことで、自律神経のバランスを整えることができます。軽いストレッチやウォーキングで血流を促進しましょう。

・リラックスする時間を作る

深呼吸やストレス発散のための趣味を楽しむのも効果的です。
規則正しい生活リズムを維持することで、自律神経のバランスが整い、春バテの予防につながります。意識して春バテに負けない健康な体を目指しましょう。
それでも症状が続く場合や、日常生活に支障をきたすほど辛いときは、無理せず医療機関を受診しましょう。

山田医院 医療事務 大澤美穂子