第26巻 第5号(第304号)
糖尿病の食事療法について
今回は糖尿病の食事療法について、日本醫亊新報令和7年4月4週号から抜粋をしました。
糖尿病の食事療法と言えば基本的にはエネルギー制限食(カロリー制限食)がガイドライン初版(2002年)から採用されてきましたが、2024年版においてこれまでのエネルギー制限食に加えて糖質制限食や低GI(glycemic index)食も採用されました。
これに伴い、これまでは炭水化物摂取をエネルギー比率50-60%、蛋白質摂取を20%以下として残りを脂肪で摂取するという3大栄養素比率についても無くなりました。
2024年版のガイドラインに沿って食事療法について解説をすると、エネルギー制限食は基本的には過体重・肥満者に限定しており科学的根拠がないことから、今までのエネルギー設定法(目標体重×身体活動係数)がなくなりなした。
エネルギー制限食は、実は外国のみならず日本においても根拠が乏しく、2型糖尿病食事療法として採用される根拠はない状態です。
そもそもエネルギー制限食は直接的な血糖管理法ではなく、体重減量を介してインスリン抵抗性を是正することを目標としたものです。
エネルギー制限食は満腹中枢よる体重のセットポイントを変更できないために、リバウンドが必然的に起こります。なお、難治性貧血や骨密度低下などの問題が報告されています。
低GI食についてですが、まずGIとはブドウ糖50gを摂取した後の血糖上昇曲線下面積を100とした時と糖質50gを含んだ該当食品を摂取したとの血糖上昇の曲線と比べて数値化したものです。
すなわち同じカロリーとして摂取しても血糖が上がりにくいものを低GI食としてそうした食品を食べるように勧めています。
この低GI食は有効ですが、問題点としては食材のGI値のデータベースが欠如していることと、例えば同じ米飯であっても品種等(ササニシキとコシヒカリなど)によりGI値が異なっている可能性があることと個人により食品ごとの血糖上昇作用が異なる事です。
人によってはクッキーよりもバナナで血糖が上昇しやすい人がいれば、逆にクッキーの方がバナナよりも血糖が上昇しないなどがあることです。
糖質制限食は炭水化物制限と同様と考えてよい食事療法です。
ガイドラインにおいては6-12か月以内においては有効とされていますが、実際に継続できた場合には長期にわたり効果は持続すると考えられています。
一般的にお勧めとしては「緩やかな」糖質制限食です。4つのポイントがあり、
1糖質を制限する事
2タンパク質と脂肪はお腹いっぱいに食べる事
3食べる順番を考えてゆっくりと食べる
4身体活動を増やすこと
の4つのポイントが大切です。
糖質制限についてですが、まず、お菓子とジュースは厳格に制限して、米・パン・麺・芋についてはこれまでの摂取量の10分の3に減らす。
果物を取るときは米・パンなどを減らす事になります。タンパク質と脂肪はおなかいっぱいに食べる事ですが、肉、魚、卵、大豆製品、チーズは積極的に摂り、味付けとしてはオリーブ油、ごま油、ラー油、バター、マヨネーズを積極的に使用する。味付けとして砂糖、みりん、ハチミツ、シロップ、ケチャップ、とんかつソースは糖質が多いので控えることが大切です。
なお野菜、海藻、キノコ類の積極的な摂取も大切です。食べる順番を考えてゆっくりと食べる事についてはタンパク質と脂質には糖質による血糖上昇を抑える作用があるために、おかずを先に食べて、主食を最後に回すことが大切でしかもインクレチンが分泌されるのを待つべく、食べ始めから主食を食べるまでの時間はできれば20分以上あけるのが理想です。
身体活動を増やすことについては何をやってもよい、いつやってもよい、けがをしなければやればやるほどよいという感じです。
この食餌療法を導入すると1か月程度でHbA1cは0.5-2%程度(通常は1%以上)、体重は1-2kg程度(肥満の場合には3kg)低下していれば導入は成功していると考えられます。
糖質制限食の外食ではフランス料理でフランス料理では通常はオードブルからメインディッシュまで砂糖を使用することがないために、フランスパンに手を出さなければデザートまで問題なく過ごせます。
丼物については糖質を単品で食べる事になるので血糖管理は難しくなります。
糖質制限食で大切な事は先ほどの4つのポイントですが、導入しても血糖が下がらないときは糖質の認識が間違っている可能性が高く糖質の内容(砂糖だけではなく米、パン、麺、芋などは糖質であることを理解することが大切です。
また血糖が下がりすぎる場合には糖質制限だけではなくエネルギー制限をしている可能性があるために糖質制限食が継続できるように(リバウンドしないように)お腹いっぱい食べる事が大切です。食事療法についてはまだまだ研究段階のようでわかりきっているようで実はよく分からない分野のようです。
山田医院 医師 山田良宏
腰部脊柱管狭窄症について
脊柱管とは背骨(脊椎)の穴(椎孔)が連なってできた空間であり、そこを脳と身体をつなぐ神経の束である脊髄が通る空間のことです。
その脊柱管に変形が生じ、神経の通り道が狭くなり脊髄が圧迫される疾患を脊柱管狭窄症といいます。
この狭窄が腰部で生じ症状を引き起こしている場合腰部脊柱管狭窄症と診断されます。
腰部脊柱管狭窄症は加齢によるものがほとんどで55~80歳代に多く見られます。腰部脊柱管狭窄症の原因は特に加齢、労働、あるいは背骨の病気による影響で変形した椎間板と椎骨や椎間関節から突出した骨などにより神経が圧迫され神経の血流が低下することで起こります。
また腰椎椎間板ヘルニアや腰椎変性すべり症などの疾患も腰部脊柱管狭窄症を併発する原因となります。
腰部脊柱管狭窄症の症状は、腰より下の神経に関連する症状が出てきます。
具体的な症状として、腰部から下肢にかけての痛みやしびれ、下肢の筋力低下・歩行障害、膀胱直腸障害(尿や便が漏れる・出なくなる)歩いていると足が痛くなり座って休むと歩けるようになる(間欠性跛行)が挙げられます。
下肢のしびれや痛みは圧迫を受けている神経によって異なります。
症状の強さは、重症度や姿勢により変化します。日常生活の中の症状の変化は、特に姿勢による影響を受けます。
背筋を伸ばして立ったり、歩いたりすると、症状が出現したり、強くなることが多いです。反対に少し背中を丸めたり、座って休んだりすると症状が軽減してきます。
間欠性跛行とは、「下肢のしびれや痛みで長時間連続で歩けなくなりますが、しばらく休むとまた歩けるようになる」という腰部脊柱管狭窄症に特徴的な症状になります。
症状の悪化とともに、連続して歩ける時間、距離が短くなっていきます。
しかし背中が丸まった姿勢や自転車等の腰が曲がっている状態では症状が増悪しにくいことも特徴です。膀胱直腸障害は症状が進行していくと頻尿、夜間尿から残尿感、尿失禁、便失禁へと進行していきます。膀胱直腸障害が見られている場合は、重症化していると捉えられます。
腰部脊柱管狭窄症の検査および診断はレントゲン写真で腰椎の変形の有無や腰椎すべり症の有無を確認していきます。
より詳しく診断するためにMRIや脊髄造影などの検査が必要になる場合もあります。
下肢の動脈が詰まって血行障害を生じた時にも似たような症状となることがあるので注意が必要です。
腰部脊柱管狭窄症の治療は保存的治療と外科的治療を経過に合わせて適宜選択することで治療を行います。
保存的治療では手術をせず薬物療法や神経ブロック、装着療法(コルセット)、リハビリテーションを行っていきます。症状の重症度によって、手術療法(外科的治療)が選択されます。狭くなった脊柱管を広げることで、神経の圧迫を取り、症状の改善を図ります。
主に除圧術が行われますが、背骨の状態を見て、腰椎すべり症などがある場合には腰椎の不安定があるので、除圧固定術を選択して、除圧と同時に腰椎を安定させるような治療を行います。
私も最近腰に激痛が走るようになり整形外科を受診したところ、脊椎すべり症による腰部脊柱管狭窄症と言われ保存的療法で経過観察しているところです。
日ごろから適度な運動をする、腰に負担のかからない動作、姿勢を心がける、腰回り、股関節のストレッチを行い筋肉を動かすようにするなど日常生活に気を付けて悪化させないように注意したいと思っています。皆さんも腰痛にならないように日常生活に気を付けてお過ごしください。
山田医院 看護師 中島早苗
新規事務職員の紹介~亀川 莉々彩~
山田医院だよりを書くのは初になります。初めまして、2月末ぐらいから医療事務として勤務させてもらっています亀川といいます。
これまで他の医療機関で働いたこともないため、不慣れで多々ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
以前は予防接種の種類や名前も知らないぐらいだったので、ここに来てから学ぶことが多く急に詳しくなっている感じがします。
予防接種といえば幼少期に何種類ものワクチンを済まさないといけないので、いつ何を打つかのスケジュールを覚えていないといけないのが親御さんも大変ですよね。
ちなみに私の母も打ち忘れたことがあって、後から打ったものが1つあったと思います。
趣味は音楽と映画鑑賞と、旅行です。2年前ぐらいに九州に行きはフェリーに乗って行きました。道中間近で渦潮が見えたり瀬戸大橋の真下ギリギリを通るのが見えたりと、船の上からしか見られない景色を楽しめるのがとてもよかったです。
いつか世界一周するような豪華客船にも乗ってみたいな、なんて思います。
学生の頃の部活は、小学生の時から、家庭科部などずっと文化系で、ピアノとスイミングの習い事をしていました。
ピアノを習っていた時は綺麗なホールで発表会があって、緊張したのを覚えています。最近知りましたが、ピアノと水泳は、脳や心肺機能の発達にも子供の習い事にいいみたいです。自分に効果があったかは定かではありませんが笑)
山田医院だより、気になる見出し見つけたら診察の待ち時間にでも、また読んでみてください。
帯状疱疹について~後編~
以前、帯状疱疹についてお話ししたのを覚えているでしょうか?
帯状疱疹は、体の片側の一部にピリピリとした痛みがあらわれ、その部分に赤い発疹が出てきます。
痛みは徐々に増強、夜も眠れないほど激しい場合もあります。皮膚の症状が治まった後も痛みが残る事があり、3ヶ月以上痛みが続くものを帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼びます。
「刺すような痛み」「焼けるような痛み」と表現され、数年にわたって痛みが改善されない事もあります。
PHNは帯状疱疹の合併症の中で最も多く、50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち約2割がPHNになるといわれています。
帯状疱疹は50歳代から発症率が高くなり、80歳までに約3人が発症すると言われています。
その予防策として、ワクチンがあります。ワクチンには、生ワクチン(病原性を弱めた細菌やウイルスそのものを成分としたワクチン)と不活化ワクチン(病原性をなくした細菌やウイルスの一部を成分としたワクチン)があり、大阪市では、令和7年4月1日から一定の年齢に達した大阪市在住の方を対象に、帯状疱疹ワクチン接種の一部費用助成制度が開始されました。
対象者は、令和7年度中に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳以上になる方です。
以下に2種類のワクチンについて説明しています。
| 種類 | 生ワクチン
(乾燥弱毒水痘ワクチン) |
不活化ワクチン
(シングリックス) |
| 助成(接種)回数 | 1回/皮下注射 | 2回/筋肉注射(2ヶ月以上あけ て2回接種) |
| 接種費用(自己負担額) | 4500円/回 | 11000円/回 |
| 発症予防効果 | 接種後1年時点:6割程度
接種後5年時点:4割程度 |
接種後1年時点:9割以上
接種後5年時点:9割程度 接種後10年時点:7割程度 |
| 他のワクチンを接種する場合 の間隔 | 他の生ワクチンは27日以上 不活化ワクチンは制限なし | 制限なし |
| 接種できない対象者 | 免疫抑制剤などによる治療を 受けている人
妊娠が明らかな人 |
特になし |
| 主な副反応 | 接種部位の赤み、かゆみ、痛 みなど | 接種部位の痛み、赤み、筋肉 痛、腫れ、頭痛など |
※生活保護受給者、市民税非課税世帯の方は確認書類を提示することで無料となります。
詳細は、大阪市ホームページ「帯状疱疹ワクチン接種について」で確認できます。
解らないことがあれば当院でもお気軽にご相談ください。
山田医院 看護師 川上 啓
アレルギー検査の機械の導入のお知らせ
最近話題となっている1滴の血液で41項目のアレルギー検査ができるドロップスクリーンという機械を導入しました。
41項目(ダニ・ハウスダスト・花粉などの吸入系等が19項目、食物系が22項目)のアレルゲンの検査ができます。
当院のポリシーとしてはアレルギーを疑う場合のみ検査をすることにしています。
これから離乳食を開始するので検査をしたい、特に症状はないけども心配なので検査を受けたいなどの場合には検査はしていませんが、摂食後に皮疹が出現、慢性的に皮疹がある、季節的に鼻汁がある、慢性的に鼻汁がある、気管支喘息があるなどの場合にはアレルギー検査の意義があるので積極的に行っています。
ご希望の方はまた相談をしてください。
癌患者さんの子どもの居場所について
がんは高齢者に多い病気ですが、18歳未満の子どもを持つがん患者さんは全国で5万6千人ほどで、その子どもたちは平均11歳と言われています。
子育て真っ最中の親世代ががんになると、本人の仕事や生活だけではなく家族の日常にも影響があります。
理由を子どもに知らせていないと「僕は何か悪いことをしたのかな」など思うかもしれません。子どもたちにも親が病気になったことや生活にどんな変化があるという事を話して分かってもらうことが大切です。
多くの親御は子どもがショックを受けてしまうのでは、、と不安に思うことがありますが、子どもの方が柔軟性や適応力がある事が分かっています。
なお、これ以上の治療が望めないときには子どもに伝えることが大切です。
まだ小さいから、、ショックが大きいから、、との思いこみの結果、きっちりと伝えていなければ子どもにとって心の準備ができず、突然の別れと同じように感じる可能性があります。お子さんが自分でも何かしてあげられたという思いを持てることが大切です。
自分自身にとって大切な人や物を失う事を喪失(ロス)と言い、喪失に伴う悲しみを悲観(グリーフ)といいます。
子どもの悲観は行動面の変化や身体の症状として現れやすくなります。
子どもの悲観を複雑にする要因としては何も知らされておらず心構えができない状態で突然の別れではショックが大きく感じられます。
一般に2-3歳まではまだ概念の理解はできないと言われています。決まった養育者が安定して養育をする体制の確保が大切です。
5-6歳からは身体の機能の停止いう死の側面は理解できますが、眠っていることとは区別がつかないためにあいまいな言い方はせずに「死」という言葉を使って説明が必要です。
9-10さいころまでに概ね理解はきますが、身近な人は死なない、悪い人だけが死ぬと思うこともあるために必ず「死」は訪れる事を伝えることが必要です。
12歳ころまで大人と同じような理解が進むと言われています。子どもにとって親は必要な存在ですが、単に生活を共にして日常の世話をしてくれるというだけではなく、自分が愛されていた、望まれて生まれてきたという親とのつながりを持てることが大切です。
今回はチャイルドヘルス令和7年5月号から抜粋をしました。
山田医院 医師 山田良宏


