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山田医院だより

第25巻第2号(第289号)

新型コロナ後遺症の対応と問題点について

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者さんが2019年12月に初めて報告されてから約4年が経過しました。山田医院においても2020年春過ぎに初めて診断をしています。急性期治療薬あるいはワクチンについては開発が勧められ罹患率並びに死亡率は低下、WHOは2023年5月に緊急事態宣言の終了を発表、日本も同月より感染症法での位置づけが5類となり医療費の公費負担などが終了となりました。ただし急性期症状の後に持続遷延化する各種症状についてはまだ知見が乏しく苦しむ患者さんも多く日本だけではなく世界的に社会問題となっています。今回は日本醫亊新報令和6年2月3週号から新型コロナ後遺症について抜粋をしました。一般的に新型コロナ後遺症あるいはlong COVIDと言われる症状に対する医学的な呼称と定義には統一されたものがない状態です。2021年に米国国立衛生研究所が表記したPASC、WHOが表記したPCCのどちらかで表記されることが多くなっているようです。日本においては罹患後症状という表現が使用されており厚生労働省が公表している診療手引きは現在は第2版まで改定されていますがCOVID-19後遺症として標準病名が記載されています。現在この後遺症を専門的にみる医療機関は少なく大阪においては北野病院が有名でありその他大阪公立大学医学部付属病院においても対応ができていますがまだまだ専門医療機関は少ない状態であり当院のような非専門医が一般外来とともに対応しているのが現状です。COVID-19罹患後に1/3から半数程度の患者さんにおいて何らかの症状が持続することが知られています。デルタ株の時には感染者の約1.5%が、現在のオミクロン株では感染者の0.1%に後遺症に伴う通院が必要になっています。男女比は若干女性に多い傾向であり年齢では30-50歳代が全体の60%を占めており10歳代の若者は15%程度も70歳以上の高齢者は少なくなっています。以前は高齢者に後遺症が多い報告がありましたが現在は若者でも後遺症が多いことに注意が必要です。なお急性期は85%が軽症となっていて急性期が重症であれば後遺症が残存しやすいことは確かですが軽症でも後遺症が少なからず認められます。特に現在流行のオミクロン株では95%が軽症です。症状としては全身多臓器に渡る多彩な症状を呈しますが倦怠感、易疲労感が最多で約60%において認められます。デルタ株で多かった嗅覚・味覚障害、脱毛はオミクロン株では大きく低下し代りに倦怠感、頭痛、睡眠障害、呼吸困難などが多くなっています。記憶力、集中力の低下、考えがまとまらないなどのいわゆるブレインフォグは特にオミクロン株で増加しており性差はなく30-50歳代に多く認めています。10歳代の若者ではオミクロン株では倦怠感が多くなっています。後遺症の原因としてはウイルスの受容体が発現する全身臓器に直接的に障害を及ぼすことが示唆されており炎症、自己免疫、サイトカイン、腸内細菌変化、ウイルスの再活性化などの他に生活環境の変化によるストレスなども関係していると考えられています。成長ホルモン、甲状腺ホルモン、ステロイドホルモンの変化が確認されています。治療としては嗅覚味覚障害については耳鼻咽喉科、脱毛、皮膚炎については皮膚科、心の不調については精神科といった臓器別の治療が行われることもありますが総合診療的なアプローチが必要となっています。薬物としては現段階では後遺症特有の特効薬あるいは治療薬が存在しない状態です。薬物としては漢方薬の使用が多くなています。補中益気湯、人参養栄湯、加味帰脾湯を中心にいろいろな漢方薬が使われます。低亜鉛血症は味覚嗅覚障害の原因となることが多く投薬を行うことになります。現在急性期に使用されている抗ウイルス薬の投与の臨床研究がされています。コロナウイルスワクチンを複数回接種する事で後遺症の治療、咽頭部擦過法なども提唱されています。現在COVID–19は5類に移行して重症化は少なくなったもののCOVID-19罹患後の症状で悩む人も多く多職種並びに医療連携が必要な状況となっています。当院においてもCOVID-19の後遺症で悩む人の診
療は行っており適宜専門医療機関への紹介もしています。また症状持続で悩まれる人は診察時にご相談ください。

山田医院 医師 山田良宏

血圧について

当院では診察に来られた成人の患者様にはまず血圧を測ることが多いです。怪我、発熱などの診察などは例外ですべてではありませんが。血圧には最高血圧と最低血圧があります。心臓がギュっと収縮して血液を送り出すときの血圧が高いほう、収縮期血圧。血液が心臓に戻ってきて心臓が膨らみ次に送り出す血液をためている時の状態を低いほう、拡張期血圧と言います。良く患者さんは「ここに来たら血圧高くなるねん」とか「先生に測られたらもっと高くなるねん」っておっしゃいます。(笑)血圧に心配のある方はほとんど診察室では血圧が高くなりますね。皆様ご存じでしょうが自宅での血圧は135/80、診察室での血圧は140/90までが正常とされています。ただ、理想血圧は120/80なので塩分制限や適度な運動で理想血圧を意識して下さい。

脈圧(血圧の上下の差)は一般的に30~50とされています。この差が大きい時も小さい時も動脈硬化や循環器疾患発症のリスクがあります。自宅で血圧を測る場合は起床後と就寝前の2回。朝は起きてトイレを済ませ、薬や食事と摂る前に測ります。患者さんに「下の血圧どうしたら下がるん?」もよく聞かれます
拡張期血圧が高くなる原因は身体の末梢血管が硬くなっているからです。30分以上の「ややきつい」と感じる有酸素運動定期的に行うことが有効とされています。ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどですね。
血圧が高いと一番怖いのは動脈硬化のリスクが高まる事です。動脈硬化によって引き起こされる可能性のある病気は脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、動脈瘤。腎硬化症、網膜症、眼底出血などです。これらのリスクを下げるためには薬で血圧を下げるのも大事ですが一番大切なのは、血圧が高くなる根本的な事を取り除くことです。
血圧が高い原因である
①過剰な塩分摂取②肥満③過剰飲酒④ストレス⑤自律神経の乱れ⑥運動不足⑦喫煙
なかなか簡単なようで難しい生活習慣の改善をまず試みましょう。
逆に血圧が低い方も多いです。100/60以下は低血圧と言われますが特に治療の必要はありません。血圧の低下により各臓器へ送られる血液量が減少し種々の自覚症状や臓器の機能障害が発生した場合は問題となります。
低血圧の人が訴える症状は立ち眩み、眩暈、朝起き不良、頭痛、頭重感、倦怠感、疲労感、肩こり、動悸、胸痛、失神、悪心などがあります。昔、漫画やドラマに良く「私低血圧なので朝起きれなくて」なんてセリフがありましたが、私は若いころは低血圧でいつも90/50などでしたが、朝目が開くとともに起き上がれ、即パンを食べれるという元気な低血圧でした。そして歩くのは大嫌いだけど、謎解きの時とテニスだけはめっちゃ歩いて走ります。あ、仕事の時も歩きます。基本土日は家でビデオ三昧なのでこたつにお菓子と飲み物とティッシュを置いてなるべく動かなくてよいように準備し素敵な自堕落な一日を夫婦で送っています。週末の料理は主人が担当なのでゴルフの日以外は私は洗い物しかしません。
インフルエンザとコロナが猛威を奮っていますが、私はコロナには昨年夏に罹患しましたが、生まれてこの方インフルエンザには罹患した事がありません。孫は昨年の12月下旬にインフルエンザAに、そして今年の1月中旬にインフルエンザBに罹患。どちらも娘は勿論私も孫の看病しましたが、娘も私も移りませんでした。患者さんでも1か月の間に同じようにA,Bと続けて罹患した方、Aに2回罹患した方など気の毒な方が沢山います。この受験時期本人も親御さんも気が気じゃないでしょうが、聞き飽きてしまったセリフでしょうが、手洗い、うがい、そしてインフルエンザなら薬があるので予防と早期治療を心がけましょう。

山田医院 看護師 冨嶋 友子

乳児期の臍(さい)ヘルニア

昨年12月に産まれた孫はピンポン玉を一回り小さくしたくらいの「でべそ」で段々大きくなってきたので心配になり山田先生に診てもらいました。いわゆる臍ヘルニアです。
臍ヘルニアとは生後へその緒がとれた後にへそが突出した状態でその中に腸管が飛び出した状態をいいます。乳児期の臍ヘルニアはすべての子どもに発生の機会があります。新生児では10人に1人の割合で発生します。低出生体重児ではさらに高い頻度で発生します。
子宮内では赤ちゃんはへその緒(臍帯)を介して母親とつながっています。出生後にはそのへその緒は切断されその後乾燥し自然に取れていきますが、その時体の中ではへその緒の穴が閉じるように筋膜や瘢痕組織を作り出し少しずつ穴を塞いでいきます。しかしへその緒の穴が完全に閉じるまでに赤ちゃんが泣いたり排便する際に強い腹圧などが加わればへその緒の穴が完全に塞がれずに隙間から腸管が飛び出し臍ヘルニアを発症します。臍ヘルニアの原因は出産後のへその緒の処理がうまくいかなかったためではありません。
ヘルニアの症状は生後1か月頃から徐々に現れ、生後3ヵ月ごろまでに増大する傾向にありピンポン玉くらいに大きくなることもあります。臍ヘルニアをつまむと、飲み込んだミルクと空気などが混ざった内容を含む腸管がグジュグジュするのが感じられます。
臍ヘルニアは放置しても1年で80%が、2年で90%が自然に治るといわれて少し前までは経過観察が主流で、治らなかった10%が手術となっていました。しかし最近では臍ヘルニアが増大して「でべそ」は治ってもへその形がゆがむなどの美容的な問題が生じることが懸念され臍ヘルニアをガーゼやスポンジ、綿球で圧迫して腹腔内に戻し、皮膚がのびるのを防ぎつつ穴の閉鎖を促す圧迫療法が行われます。圧迫療法の原理は同じですが各病院や各医師によってやり方が少し異なります。医師に指導されて家族が家庭で行う方法と、医師が定期的に外来で行う方法の2つに大別されます。また、圧迫療法に用いる材料も様々です。ほぼ必発の合併症としてテープかぶれがありますがかぶれた場合は圧迫療法を中断し治ってから再開します。最近では固形の圧迫器も市販されています。個人差はありますが2~3か月で完治することが多いです。圧迫療法はヘルニアが小さいほど早く治る傾向があります。治療開始の時期も大切で生後早いほど効果が高く生後6か月以降では効果は低くなります。経過観察や圧迫療法で臍ヘルニアが改善しなかったり皮膚がたるんで見た目が悪くなってしまった場合は1~2歳ごろに手術を行います。臍ヘルニアは前述のように自然治癒することが多く悪さをすることはほとんどありませんが極めてまれに飛び出した腸管がヘルニアの出口で強く締め付けられ血流障害を起こすことがあります。(ヘルニア嵌頓)症状は嘔吐、腹痛、整復困難な膨隆で緊急処置を必要とする場合があるので気をつけましょう。大人の臍ヘルニアは乳幼児の臍ヘルニアとは異なり肥満、妊娠、腹部の病気による腹水貯留などによって腹腔内からの過度な圧迫が腹筋にかかることが主な原因で自然に治ることはほとんどなく、発症すると腸管がはまり込んで虚血状態に陥る嵌頓を引き起こすことがあるので原則的には手術が必要となります。孫の「でべそ」がきれいに治りますようにと願って今回は臍ヘルニアについて調べてみました。

山田医院看護師 中島早苗

カフェインの影響

皆さんコーヒーはお好きですか?この寒い時期、ホットで飲まれる方も多いのではないでしょうか?私自身好きなのですが、飲むと高確率で頻尿や腹痛下痢といった症状が表れるので、出来るだけ控えるようにしています。コーヒーに含まれるカフェインについて、人体への影響を調べてみました。カフェインはコーヒーを始め、緑茶、紅茶、コーラ、ココア、エナジードリンクなどにも含まれています。神経を鎮静させる作用を持つアデノシンという物質と化学構造が似ており、ヒトの体内においてアデノシンが作用を発揮するために結合しなければならない場所(受容体)に結合します。その結果、アデノシンが受容体に結合できなくなることで、その働きが阻害され、神経を興奮させます。カフェインを過剰に摂取し、中枢神経系が過剰に刺激されると、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠が起こります。消化器管の刺激により下痢や吐き気、嘔吐することもあります。食品からのカフェインの摂取に関しては、国際機関などで注意喚起が出されています。世界保健機関(WHO)では、妊婦に対しコーヒーを1日3杯〜4杯程度にすること、米国食品医薬品局(FDA)は、健康な大人では1日当たり400㎎(コーヒーでは4~5杯程度)まで、であればカフェインによる健康への危険な悪影響はないとしています。人により平気であったり、私のように少量でも過敏症状が出る人もいるようです。怖いのがカフェイン依存症。普段から摂取しすぎるあまり少量では満足出来ず、摂取量が増えていきます。離脱することで落ち着かなくなったり頭痛や倦怠感を自覚するようになります。そんなカフェインですがマイナス面だけでなく、眠気や疲労を抑え、運動機能を高める興奮作用や、骨格筋に働き、疲労感を抑え活動性を増大させるといった作用も報告されています。多くの種類があり奥が深いコーヒーの世界。香ばしい良い香りにはアロマ効果もありますね。適量を守り上手く付き合いながら楽しいコーヒータイムを!

山田医院 医療事務 伏見彩乃

新型コロナワクチン予防接種について

まだ接種をしていない方については3月31日まで無料で接種可能です。数か月の発症予防並びに1年間の後遺症が発生予防となります。
まだ接種をしていない人は接種の検討をしましょう。

ダウン症候群の成人期医療について

ダウン症候群は最も多い染色体疾患であり知的障害の原因としても最も多い疾患です。主な身体的特徴や合併症は世界共通です。現在では平均寿命は60歳以上となっています。ダウン症候群は少なくとも学童期までは包括的なフォローを受けていることが多いもののそれ以降はかかりつけ医がいなくなり適切な医療を受けていないのが現状です。一般にダウン症候群では老化が早いと表現されており30歳前後から変形性膝関節症などの健康課題を経験して40歳以降になると加齢に起因する諸問題が顕著となります。以下については特に問題となります。①甲状腺機能低下症:成人の半数に認められるために20歳以降では1-2年おきの検査が必要。②高尿酸血症:半数近くに認められ治療が必要。③肥満症:諸外国に比べると頻度、程度は低いものの脂質異常症、糖尿病とも関連があり注意が必要。④精神疾患:生涯で30%程度に合併。特にうつ病の頻度が高くなっています。なお小児期から軽度から中等度の知的障害を示すが成人後はIQ30-40程度で発達年齢は5-10歳程度となります。なお退行様症状(急激退行)といい急激に動作緩慢、発語の減少、睡眠障害などの症状が認めることがあります。⑤認知症:40歳以上でアルツハイマーの合併が高くなり50歳代で約3分の1に発症すると言われています。その他に聴力障害、視力障害、環軸椎不安定性などがあります。ダウン症候群の主な死因は肺炎などの呼吸器感染症、先天性心疾患、認知症などで一般成人と異なり悪性腫瘍の発生は少なく全死因の2%程度に過ぎない状態で。いわゆる一般高齢者と同様のケアが必要とされます。ダウン症候群についての自然経過を理解して生涯を通じた適切な医療提供体制の構築が必要とされています。今回は日本醫亊新報令和6年2月1週号から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏