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山田医院だより

第25巻第1号(第288号)

夜間頻尿について

夜間に排尿のために1回以上起きなければならない状態を夜間頻尿としますが一般には生活の質(QOL)を低下させる夜2回以上の排尿を加療対象とすることが多くなっています。
男性では夜3回以上、女性では4回以上になるとQOLへの影響の深刻度が明らかに増すようです。夜間頻尿は高齢者の下部尿路症状である蓄尿(膀胱に尿をためる)、排尿(尿を排
出する)、排尿後(尿の排出後)の中で最も頻度が高い症状でかつQOLへの影響が最も強いものです。病因としては①膀胱蓄尿障害、②多尿・夜間多尿、③睡眠障害の3つがありこ
れらが重複していることもあります。夜間に3回以上の排尿がある人は80歳では約50%になります。性差はなく75歳を超えると頻度が高くなります。関連する因子としては肥満、基礎疾患(糖尿病、高血圧、心疾患)、その他うつ病など精神疾患との関連も指摘されています。QOLへの影響としては睡眠が障害されるかどうかに関連しているために夜間排尿が1回だけであってもその後睡眠がとれず困る場合などは障害があると考えます。膀胱蓄尿障害をきたす疾患としては過活動膀胱、前立腺肥大、骨盤臓器脱などがあります。過活動膀胱は尿意切迫感(冷たいものを触る、トイレを見つけるなどした際に突然に排尿をしたい感じになり我慢出来ずにトイレに駆け込む状態)を必須として夜間のみならず昼間も頻尿がある状態です。前立腺肥大は男性の蓄尿障害の最大の原因です。多尿・夜間多尿は膀胱蓄尿障害と異なり全身疾患(例えば、高血圧、心不全、腎機能低下など)に伴うことが多い症状です。高齢者は脳梗塞の予防のためということで水分を過剰に摂取する傾向があり、また疾患としては糖尿病など生活習慣病で水分を多くとる方もあります。なお、塩分の摂取については日本においては50-60歳代を中心にナトリウム摂食が多くなり夜間多尿と結びつくことがあります。特に1日塩分摂取量が12gを超えるようならば日中にナトリウムの排泄が追い付かずに夜間に排尿が多くなります。その他に抗コリン作用を持つ薬剤など薬剤性多尿もあります。睡眠障害については入眠困難、中途覚醒などの不眠症状だけではなくこれらによって日中の機能障害(例えば倦怠感、強い眠気など)があれば不眠障害(不眠症)と診断されます。睡眠関連呼吸障害として閉塞性睡眠時無呼吸症候群、足むずむず症候群などがあり夜間頻尿との関連性を指摘されています。夜間頻尿を含む排尿障害においては排尿日誌の使用が診断等に必要であると言われています。これは入眠、起床時間の記載ならびに排尿時間と排尿量並びに飲水量、飲水時間を記載する記録でこれがあると診断がつけやすくなります。基本的には1日排尿量は20ml/kg、多尿は40ml/kg以上、夜間多尿は夜間の排尿量が1日の排尿量の33%以上(高齢者)となっています。毎日でなくてもせいぜい3日間の記録があると良いとされます。夜間頻尿に対する生活指導、行動療法としてはまずは1日飲水量の調整(通常は体重の2%程度)して1日排尿量が20ml/kgになる様にコントロールをします。塩分の摂取についても9.2g/日以下にすることで夜間排尿量は減少、また下肢の浮腫についても軽減するためにさらに効果が期待できます。運動療法としては夕方から30分程度の適度の歩行運動などが勧められています。なお、下肢を拳上した30分以内の昼寝、弾性ストッキングの着用、日光浴なども効果が期待できます。なおこれら1つだけの対応では効果が乏しく統合的に組み合わせることで効果が出やすくなります。薬物療法としては膀胱蓄尿障害に対してはいわゆる過活動膀胱や前立腺肥大症に対する薬剤の使用が基本的になります。多尿・夜間多尿については一般的な行動療法を行い効果がない場合で膀胱蓄尿障害に対する薬物の効果がなく腎機能低下ならびに心不全、ステロイドの服用がない場合などにおいては男性においてはデスモプレシンという薬剤が使えるようになりました。これによりいわゆる夜だけ頻尿の男性の方の治療成績が改善しつつあると言われています。夜間排尿は単に夜に排尿が多いだけの症状ではなく生活の質を落とす状態であり3つの原因(多尿・夜間多尿/膀胱蓄尿障害/睡眠障害)に対して治療を進めると対応がしやすくなる状態であると考えられています。夜間の排尿で困っている方は一度かかりつけ医に相談してみてはどうでしょうか。今回は日本医師会雑誌令和5年12月から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏

冷え性チェック!!

寒さが厳しい時期になってきましたね。この時期になると、悩まされるのが手足(末端)の冷え・・・皆さんはどうですか?冷え性の中でも、冷え性のタイプや症状が様々ある事、知っていましたか?少しでも冷えの感覚がある方は、ご自身が次のどのタイプに当てはまるかを確認してみてください。

<タイプ1>全身が冷える「全身型」
体内の熱生産が低下し、新陳代謝が低下。その結果、全身が冷えるタイプ。食欲や気力が失われ、疲労感や倦怠感が生じます。長年の冷えにより、手足も内臓も冷えています。
☆生活習慣の改善ポイント
・睡眠を十分にとり、休息する ・軽めの有酸素運動、ウォーキングからスタート
・腹巻、レッグウォーマー、マフラーを着用する ・バランスの良い食事を摂取する
・しょうが、ネギなど身体を温める食品を積極的に摂取する

<タイプ2>手足が冷える「四肢末端型」
手足の先まで血液が循環しないことから、手足に冷えを感じます。10-20代女性に最も多く、疲労や無理なダイエットが背景にある可能性があります。しもやけや立ちくらみ、ニキビ、月経トラブルが起こりやすいです。筋肉量も低下しています。
☆生活習慣の改善ポイント
・ウォーキングや筋トレをする ・湯船につかる(手浴・足浴など)
・夜更かしをしないようにする ・スマホで目を酷使しないように注意する
・プルーン、ナツメ、クコの実などのドライフルーツ、黒豆、黒ゴマ、ひじきなどの黒い食材がおすすめ

<タイプ3>上半身は熱いが下半身が冷える「上熱下寒型」
気や血のめぐりが悪く、滞った状態で上半身がのぼせて、下半身が冷えます。顔のほてりで冷えとは気づきにくいため注意が必要です。イライラ、頭痛、顔のほてり、肩こり、肌荒れのほか、月経トラブルや便秘が起こることもあります。
☆生活習慣の改善ポイント
・気を静めるために深呼吸をする ・足湯、半身浴で下半身を温める(岩盤浴もおすすめ)
・スクワットなどで下半身の筋力を強化する ・長時間同じ姿勢を続けない
・締め付けない服を着る ・水分の摂りすぎや、きつい冷房に注意
・冷飲、冷食、甘いもの、高脂のものを控える ・青魚、野菜、酢などがおすすめ

<タイプ4>ストレスで冷える「体感異常型」
ストレスで自律神経に影響が出て、血流が悪くなり冷えを感じます。疲れているのに眠れない、集中力がなくイライラする、食欲不振、胃痛、息が吐きづらいなどの症状がみられます。
☆生活習慣の改善ポイント
・気分転換し、ストレスを溜めない 吐く息を長くし深呼吸をする
・パソコン、スマホの長時間使用を避ける ・入浴、アロマなどでリラックスを心がける
・ヨガやストレッチなどのゆっくりとした運動をする
・香りの高いレモンやシソ、ミョウガ、ミント、香草は効果的

<タイプ5>各部位の症状に冷えがかかわる「症候型」
頭痛や腰痛、肩こり、アレルギーなどの具体的な症状があり、それらの不調の裏に冷えがかかわっています。
☆生活習慣の改善ポイント
・腹部やみぞおちを腹巻やカイロで温める ・暖かい食べ物、飲み物を飲む
・冷飲、冷食を避ける

このように、冷えにもいろいろなタイプがありましたが、みなさんは、どのタイプに当てはまりましたか?自分のタイプを見つけ、自分に合った改善方法を試しながら、まだまだ続く寒い冬を乗り切っていきましょう!!

 

山田医院 看護師 川上 啓

新型コロナワクチン予防接種について

新型コロナワクチン予防接種は3月31日までです。接種を希望される方はお早めに接種しましょう。後遺症、重症化に対しては効果が証明されています。

こむらがえり

水泳や山登りの最中、またはその後だけでなく、睡眠中にこむら返りに悩まされた人はいられるのではないでしょうか。今回はこむら返りを調べてみました。「つる」とは、どんな状態?
ふくらはぎなどの筋肉が突然、けいれんを起こして収縮。痛みとともに硬直してしまい、自分では動かせなくなった状態を「つる」といいます。特に、就寝中や寝起き、水泳やテニスなどの運動のとき、また登山やマラソンなどのときやそのあとに、足の筋肉などがつりやすくなります。

なぜふくらはぎはつりやすいのか?
1、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉のひとつであり。負担がかかりやすく疲労がたまりやすい
2、心臓から遠い位置にあるためむくみや血行不良が起きやすく、酸素やミネラルなどが不足しやすい
3、足元に近いため気温の影響などで冷えやすく、筋肉のこわばりや血流不足が起きやすい
4、就寝中などはあお向けの姿勢をとることでつま先がさがり、ふくらはぎの筋肉が収縮しやすくなる

これらの要素がくみ合わさるなどして、筋肉や神経に影響をあたえることでこむら返りが発生するのです、
ミネラルバランスのみだれがつりの原因に筋肉のつりを引き起こす理由は、はっきりとは解明されていません。しかし、特に病気などの理由がない場合は、電解質異常(ミネラルバランスの乱れ)が一因と考えられています。就寝中やスポーツの際に汗をかいて体が脱水状態になると、ミネラルが一気に失われて、バランスが大きく乱れるケースがあります。また、水泳などの際の筋肉疲労や冷えによって血流が滞った場合にも、ミネラルが必要な部分にうまく運ばれず、筋肉の異常な収縮などにつながることがあります。脚がつった時の膝裏伸ばしこむら返りが起きたほうの足を前に伸ばして座り、手やタオルを使ってつま先とふくらはぎを伸ばします。特にひざ裏をしっかりと伸ばすことで、硬くこわばってしまったふくらはぎの筋肉がほぐれて、周囲の血流が促進されます。

こむら返り予防に波止場のポーズ
ふくらはぎの疲れやむくみは、歩行中や就寝中の足のつりやこむら返りの原因になります。日中に足の疲れを感じたら波止場ポーズで予防しましょう。
しっかりしたいすが階段などに片足を乗せて、両手を太ももの上に置く。大きく息を吐きながら、前の足に体重をかけ、後ろ足のかかとを床につけたまま、ふくらはぎと膝裏をゆっくり伸ばす。そのまま深く呼吸を続けながら、ポーズを30秒キープする。少し腰を落とし、踵を床につけたまま後ろのあしの膝を曲げて5秒キープする。左右の足を入れ替えて、反対側も同様に行う。階段や段差があれば、簡単に行うことができます。運動の前後や、就寝前などのタイミングで取り入れることで、予防したり、つらい症状を緩和したりすることでこむら返りが起こりにくくなる可能性があります。自分の生活の質の維持のためストレッチなどとりいれてみては?

 

山田医院医療事務阿知波真弓

お酒を飲んで顔が赤くなりますか?

コロナの流行も落ち着いてきたこともあり、この年始、何年かぶりに実家で姉妹家族が集まりお酒ものみながら楽しい時間を過ごしました。私は3人姉妹の末っ子なのですが、3人のうち真ん中の姉だけが若い頃から今でも、少しお酒をのむだけで顔が真っ赤になります。一番上の姉と私はいくらのんでもほぼ変わらず(笑)。以前から気にはなっていたのですが、姉妹でこんなにちがうもの?と気になったので飲酒で顔が赤くなることについて調べてみました。お酒を飲んで顔が赤くなることを“フラッシング反応”と呼びます。これは、体内にあるALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)というアルコールを無害な物質へと分解する酵素のはたらきが弱かったり、そもそもこの酵素を持たなかったりするためであり、いわゆるお酒に弱い体質の方に多い反応です。このフラッシング反応が起こる原因は、アルコールの分解に時間がかかることから、毒性の強いアセトアルデヒドが血液中に急激にたまることだと考えられます。また、顔が赤くなるほかにも、吐き気・動悸・眠気・頭痛などを引き起こすとされています。分解酵素のはたらきが弱い、あるいは分解酵素を持っていない方がアルコールを飲むリスクは、顔が赤くなるなどの一時的な症状以外にもあります。そもそも飲酒自体が口腔がんや食道がん、肝臓がんなどの多くのがんの原因になるとされていますが、なかでも食道がんは分解できなかったアセトアルデヒドが発症原因になるとされています。そのため、アルコールで顔が赤くなる体質の方のほうが発症リスクが高いといえます。また、アルコールで顔が赤くなる体質の方が飲酒に加えて喫煙もすると、そうでない方よりもさらに発がんリスクが上昇することが明らかになっています。特にフラッシング反応が出る体質の方の発症リスクが高いとされる食道がんは多くの場合、初期には自覚症状がありません。健康診断の内視鏡検査(胃カメラ)などで偶然見つかることがほとんどです。そのため、定期的に検査を受けることが重要です。お酒を飲んで顔が赤くなる方は、アルコールの分解酵素を持っていない、または分解酵素のはたらきが弱いというケースが多いです。このような体質の方がお酒を飲み続けたり、喫煙を続けたりすると食道がんをはじめとするがんの発がんリスクが、フラッシング反応が出ない体質の方以上に上がってしまいます。心当たりのある方は、特に定期的な健診を心がけてください。飲酒で顔が赤くなる人もそうでない人も、お酒は楽しく、適量に!付き合いたいものですね。

 

山田医院医療事務 東川敏美

小児歯科とは?

歯科で標榜できるのは「歯科」「歯科口腔外科」「矯正歯科」そして「小児歯科」の4つです。
「歯科口腔外科」「矯正歯科」は通常数年以上の研修が必要であり敷居が高い分野ですが「小児歯科」は子どもを診察すると考えると標榜しやすいかもしれません。比較的新しい歯科医院ではほとんどに「小児歯科」の標榜があります。現在歯科医院は7万近くありますが日本歯科学会会員は約5000人ほどしかいない状態でさらに専門医は1200名程度のようです。医科においても小児科標榜の医院であっても小児科専門医師ではないのと同じ状態です。小児歯科専門医でなくても小児歯科の知識や診療技術に問題があるわけではなくよく勉強している歯科医師は小児歯科診療の知識、技術に優れています。虫歯や歯周疾患があっても軽度で歯や口の健康状態が比較的良好であればかかりつけの歯科医院で全く問題はないと考えられますが重度の虫歯、虫歯がたくさんある、低年齢、神経発達症がある、基礎疾患があり診療上の配慮が必要である場合などは小児歯科専門医の方がよいかもしれません。これは医科においても同様で一般的な疾患については通常のかかりつけ医でよく小児科専門医の受診が必要ではないと思われます。ただし、子どもは大人を小さくしただけではなく子どもの口の中は大人とは異なる様々な特性があり虫歯の病態、治療法や予防法についても大人とは異なることもあるようです。またスタッフも慣れているためにきめ細かなアドバイスも得られることもあります。ネットでの検索をしてからの受診でもよいと思いますがかかりつけの歯科医師と相談してみるのがよいと思います。今回の話題はチャイルドヘルス令和6年1月号から抜粋をしました。

 

山田医院 医師 山田良宏