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山田医院だより

第24巻第10号(第285号)

成人期ADHDの仕事のサポートについて

ADHDとは注意欠陥・多動症の略で従来は児童期の疾患と考えられていましたが米国の精神医学会では2013年から、日本でも2022年から成人期のADHDがガイドラインで記載されるようになっています。そもそもADHDとは文字通りで不注意と多動性・衝動性が特徴的な特性です。注意を持続させることが困難であったり順序立てて行動をすることが苦手であったり、落ち着きがない、待てない、行動の抑制が困難であるなどの特徴が持続的に認められておりそのために日常生活において困難が起こっている状態です。逆に好きな分野や特異的な分野では集中力を維持できてミスが少ないことも特徴です。適切な方向では社会で十分に活躍できることも分かっています。有名人では坂本龍馬、トーマスエジソン、モーツアルトなどがADHDであったのではと考えられています。成人期ADHDにおいては多動性・衝動性はさほど目立たずに不注意が目立つことが多くなります。また関連する特徴としては実行機能の障害、感情調節障害がありこれらの障害から仕事のミスにつながり社会的信用を損ねたり、対人関係に問題が発生することもあります。具体的には不注意(長時間の作業が苦手、ケアレスミスが多い、片付けが苦手)、多動性(しゃべりすぎ、落ち着きがない、過度に干渉する)、衝動性(思ったことを考えずに話してしまう、代替案がないまま仕事をやめる、刺激を求めやすい、交通違反が多くなる)、実行機能の障害(物忘れが増える、締め切りを忘れる、予定通りに実行できない、優先順位が立てれない)、感情調節障害(感情が爆発する、気分を害すると適切な行動がとれない)という状態です。遺伝の影響が強く子どもの約5%、成人の2.5%に生じると言われています。成人期には男女差はないと考えられています。ADHD特性は治ることはなくうまく対応すると隠れると考えられています。そのために成人期ADHDは子どもの時から持続するパターンと、子どものときにはわからない状態が成人期に明らかになるパターンがあることになります。成人期ADHDは気分障害、不安障害など他の精神疾患を併存していることも多くADHD特性については早く気がつきサポートを受ける必要があります。診断はASRSという質問票を使用して傾向が分かります。これは上記に記載した特性の頻度で大まかにADHDを把握するツールになります。ADHDという名称の診断はレッテル貼りではなく当事者を周囲が、あるいは当事者自身が把握をして社会への適応を促進するために用いられる診断名であることを念頭に置く必要があります。仕事においては事例性(業務を推進するうえで困る具体的事実)と疾病性(症状や診断、治療などに関する事)を分ける必要があります。仕事場においては通常は産業医の仕事になりますが、業務上問題になっていることに優先して対応をして労働環境の適応性を向上させることです。これに対して疾病性については通常は主治医が対応をしますが医学的健康管理として診断や治療の立案、症状改善を図ることが求められます。産業医と主治医が協力して仕事場における対応を行うことが必要になります。2016年4月の障碍者雇用促進法の改正により雇用分野においては「合理的配慮の適応義務」が明記されました。障害者個々のニーズに応じて事業主に過重な負担がない範囲で障害者の能力発揮を妨げる社会的障壁を取り除くことで対話のプロセスを通して能力発揮をするために業務の周辺的な要素に対して特別な措置を講じることになります。成人期ADHDについては自身の特性を自覚していないことも多く無理な受診勧告等は難しいので本人が自らその可能性について思い至るようにサポートすることが大切です。現在は「太陽(愛)と北風(法)」の姿勢が参考になると言われています。これは困りごとに対しては公平性を確保したうえで対処して配慮と期待を示す一方で労働契約を結んだ労働
者は契約通りの労務を提供する義務があることも理解してもらい義務を履行できないときには法や規則に基づく対応を求めることがあることを理解してもらう事です。多くの職場でいわゆる「困ったさん」がいると思いますがその一部がADHDなど特性を持った人であり職場内での理解だけではなく当事者自身の認識も大切になりそれにより仕事がスムーズに進むことになります。今回は日本醫亊新報令和5年9月第3週号から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏

懐かしいアタマジラミ

朝夕涼しくなりましたね。今年の夏はコロナに加えインフルエンザの流行もありましたが、どうにか共存できるようになりつつあるのではと感じています。先日新聞でアタマジラミについて載っていました。それを見た途端可愛い末っ子である次男のまだまだ可愛い2歳前の頃を思い出しました。我が家の長女と次男の年の差は7歳。保育園の次男と、小学3年生の長女。私は12年ぶりに看護師の免許を使いパートに行きだしたある土曜日の事。
仕事から帰り保育園にお迎えに行くと次男のクラスでアタマジラミが流行。次男の髪の毛にも1匹見つかったと、、その頃長女はロングヘアーだったので長女に移ったら大変や!!と主人に次男を託し薬局に「スミスリン」のシャンプーを買いに走りました。帰宅すると主人も次男もいなくてその当時まだ携帯電話も普及してなくて家で心配しながら待ってると、サラサラヘアが可愛かった次男が、妖怪人間ベムに変身、私は凍ってしまった苦い思い出があります。1ミリも髪の毛が残ってなかったです。。保育園の先生はその行動力を大絶賛してくれたのですが、、、。
アタマジラミとは、成虫で全長が2-3ミリ。頭に寄生して毛髪に産卵し、痒みを起こします。主に頭と頭の接触で感染します。従来の駆除剤が効きにくいタイプ{抵抗性}の対策が問題になっているそうです。アタマジラミにかかったら、目の細かいくしで髪の中までかきわけ根元からとかします。
専用の駆除剤のシャンプーを薬局で購入(ネットにもありますが商品到着まで待てません)
「フェノトリン」がアタマジラミの神経を麻痺させます。
今は新たな駆除剤、{ジメチコン}を使ったローションも出てるようで、アタマジラミや卵をコーティングして窒息させます。臨床試験で抵抗性の患者やさんにも改善が見られたということです。すぐやめずに根気よくつかうことも大切みたいです。
家庭でもタオルや帽子、枕カバーなどは使用後洗ったり熱湯につけたりり、そして健康な家族の頭皮もよく観察してください。保育園や幼稚園では昼寝の際特に注意が必要です。2019年までは毎年1000~1500件アタマジラミの相談が東京都の保健所にあったそうですが2020年コロナ禍の発生の為か極端に減っています。
山田医院にはあまりアタマジラミのお子さん来られませんが保育園などでは発生しているのでしょうか?丸坊主にしなくても是非薬局で相談してください。今回も雑談が多い投稿になりましたが、アタマジラミで若かりし頃の家族を思い出しどうしても書きたくなりました。我が家の場合主人の素早い行動で家族に誰一人としてアタマジラミが移らなかったのですが、冷蔵庫にその頃の次男の写真が貼ってあって悲しい?笑える?思い出の一枚です。
※妖怪人間ベラとは、、ぜひネットで検索してください。私が「タイガーマスク」の次位に好きだった漫画の主人公です※

山田医院 看護師 冨嶋友子

加齢性黄斑変性について

目をカメラに例えると、フィルムに当たるのが網膜で、眼球の奥にあります。入ってきた光が像を結ぶ膜で、この網膜の中心部にあり、光を生じる視細胞が集中している部位を「黄斑」と呼びます。黄斑が加齢や生活習慣の乱れなどによってダメージを受けてしまう病気を「加齢性黄斑変性」といいます。欧米では失明原因の第1位で、日本では比較的少ないと考えられていましたが、高齢化や生活の欧米化を背景に患者が増えてきており、厚生労働省の調査によると、中途失明原因の第4位になっています。50歳以上の約1%に見られ、なかでも男性に多い病気です。
症状はものが歪んで見えたり、視野の中心が暗くなる、色がわかりにくい、視力が低下する等。片目から出るケースが多く、もう片方の目で見え方が補えてしまい自覚しにくいという特徴があります。眼鏡を調整しても矯正視力が上がらなかったり、検診や人間ドックの眼底検査で異常を指摘され、初めて気がつくことも多くあるそうです。自覚するのは、日常に支障が出るほど悪化して初めて気づくこともあり、発見が遅れると治療が難しく失明することもあり、早期発見が重要な病気です。
病院で行う視力検査や眼底検査のほかに自宅でもできるアムスラー検査という簡便な検査もあります。方眼紙のような図を片目ずつ見て歪みがないか調べる方法です。
加齢性黄斑変性症には2つのタイプがあり、まず網膜の外側に異常な血管(脈絡膜新生血管)ができ、そこから血液成分が漏れ出て黄斑部に障害が出る滲出型。もう1つは黄斑の組織が徐々に縮んでいく萎縮型で、日本人は滲出型が多くみられます。
治療ですが、滲出型は新生血管の原因となる血管内皮増殖因子(VEGF)を阻害する薬を目に注射する治療が一般的です。その他にも光に反応する薬剤を体内に注射し、それが新生血管に到着したときにレーザーを照射して新生血管を破壊する光線力学的療法や、新生血管をレーザーで焼く光凝固療法があります。手術は以前は新生血管を抜去する方法が行われていましたが、最近はVEGF阻害薬やレーザーが使えるようになり行われなくなっています。萎縮型には残念ながら現在治療方法はありませんが滲出型に移行すると視力が急激に低下するので定期的な診察が必要です。
予防には生活の改善が欠かせません。喫煙はリスクを高めます。動脈硬化を起こすため高血圧や脂質異常の患者もリスクがあり、それらの治療と共に、脂の多い肉は控え野菜や魚を積極的にとると良いとされています。ルテイン、ビタミンC、ビタミンE、βカロテン、亜鉛などを含んだサプリメントも推奨されています。ルテインは寒締めほうれん草、ケール、小松菜にも含まれます。スマートフォン、パソコンのブルーライトから目を守ることも必要です。

山田医院 看護師 盛田里穂

肝臓のALT値で脂肪肝の恐れが、、、

最近、会社の健康診断の結果を持って受診されるかたが多いように思います。
そんな時に、いつだったかの新聞の見出しにこんなのがあったのを思い出したので調べてみました。また、以前の山田医院便りにもどなたか掲載されてたかとも思います。再確認の意味もあり、ご自分の血液検査結果を確認して見てください。
さて、生活習慣病ときいて思い浮かべるのは、糖尿病や高血圧、脂質異常症だと思いますが、実は肝臓病の多くも、生活習慣病なのです。飲酒しない人にもその影は忍び寄ります。 今年の6月、日本肝臓学会は健康診断の血液検査で肝機能を表すALT(GPT)値が30U/㍑を超える場合には、かかりつけ医の受診を推奨すると発表されました。ALTとは、肝細胞に多く含まれる酵素で、肝臓がダメージを受けると血中に漏れ出して値が高くなります。これまでALT値が30を超えていても「正常値」とされることがあったのに、今回、学会が【30超】を受診の目安にした背景には、肝炎ウイルスによる肝疾患が減る一方で、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)(ナッフルデイと読みます)や、アルコール性肝障害など、生活習慣に伴う脂肪肝が新型コロナウイルス渦以降、増加していることなどがあります。「これらを放置すれば肝硬変や肝がんになる可能性がある。学会としてはALT値を示し、早期発見、早期治療の契機にする必要があった」とある教授は指摘しています。特に注目されているのがNAFLDです。NAFLDとは、アルコールやウイルスなどを原因としない脂肪肝の総称です。その原因は食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が主な原因だそうです。余ったエネルギーが中性脂肪として肝臓に蓄積されます。日本でも急増しており、線維化が進んだNAFLD患者数は2030年には約100万人になると推定されるそうです。特に肥満や糖尿病、高血圧などがあればリスクがさらに高まります。従来、NAFLDは肝硬変や肝がんには進行しない良性の脂肪肝と考えられていました。が、しかし、現在は、10~20%が肝硬変や肝がんに進行する可能性がある非アルコール性脂肪肝炎(NASH)(ナッシュと読みます)に移行することがわかってきたそうです。
さらに、NAFLDは肝がんだけでなく、大腸がんや乳がんのリスクも上げると言われています。そこで、NAFLDやNASHの予防と治療についてですが、食事と適度な運動が大切になってきます。

●量は、腹八分目に、年齢と活動量に応じたカロリーを守る
●質は、タンパク質、脂質、糖質をバランスよく。十分な野菜をとりビタミン、ミネラル、植物繊維をとる。
●就寝2時間前までに食事をすませる。運動はウオーキングなどの有酸素運動と、筋肉量を増やし基礎代謝を高める筋トレを組み合わせる。

沈黙の臓器といわれる肝臓は症状が出たときには病状が進行していることが多いそうです。ALTの検査値を見て受診することは、様々な肝臓病を早期に発見するチャンスだと思って、思い当たる人は、ぜひ、早々に受診をお勧めします。 ( *日本経済新聞 9/2分参照 )

山田医院 看護師 橘智子

インフルエンザ予防接種について

10月1日からインフルエンザ予防接種が始まりました。今年のワクチンもA型2種類、B型2種類の計4株が入っていますが昨年と比較するとA型1種類だけが変更で他の3種類は変更ありません。1回の接種量は3歳で変わります。日本においては13歳以上の方は1回、13歳未満の方は2回接種となっています。欧米では年少児を除いては1回の接種となっています。米国では9歳以上は1回接種、9歳未満は過去のシーズンで2回以上の接種があれば1回接種となっています。これは免疫力があれば(過去にインフルエンザに罹患したり、ワクチン接種歴がある)と1回の追加接種で十分な効果があると考えられているからです。もちろん免疫力が低下している場合には2回の接種を行うこともあります。なお、接種後2週間してから効果がでて5か月ほど持続すると言われてい
ます。副反応としては接種部位の発赤、腫脹などの局所反応は10-20%程度、発熱、倦怠感等の全身症状は5-10%程度でいずれもせいぜい2-3日で改善します。ワクチンは高齢者、基礎疾患がある方については重症化予防を主な目的としていますが65歳未満の青壮年層では約60%の予防効果を認めています。他のワクチンとの同時接種については基本的に有効性も安全性も問題はありません。ただし2回接種の場合には基本的には3-4週間あけることが理想です。妊婦においても接種には問題はありません。妊婦はインフルエンザに罹患すると重症化するために逆に推奨されます。また妊娠中の接種で抗体が胎児に移行して効果が6か月続くと言われていますので生まれてくる赤ちゃんのためにもお勧めできます。ワクチンには4つの下部が入っているので一度イン
フルエンザに罹患しても接種を勧めています。なおなお、一般の風邪に罹患した場合には治ってすぐに、COVID-19の場合には治癒後2週間程度してからの接種を勧めています。なお、卵アレルギーがあっても加工品が食べる事ができれば接種は可能です。

山田医院 医師 山田良宏