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山田医院だより

第24巻第8号(第283号)

性感染症の正しい知識について

昨年の梅毒感染者の報告数が1999年からの統計方法になってから初めて年間1万人を超えました。今回は「厚生労働省」令和5年8月号から抜粋をしてお伝えしたいと思います。今注目すべき性感染症としては過去最高更新している梅毒、6年連続で減少しているHIV感染症、今年になり増加しているエムポックスの3つがあります。性感染症は性交渉で感染します。性感染症は性的接触の経験のある人なら感染する可能性がありたった一度の性交渉でも感染はありえます。予防としては基本的にはコンドームの正しい使用です。ピルは飲んでも感染予防にはなりません。不安を感じた時には医療機関の受診あるいは大阪市保健所または各区の保健福祉センターに窓口があります。まず梅毒ですが、コロンブスがアメリカ大陸から持ち帰ってきた話が有名です。第2次世界大戦後のペニシリンの発見により激減した疾患で一時期は過去の病気なっていましたが年々増加傾向であり昨年は1万人の報告数を超えました。梅毒は梅毒トレポネーマという細菌によって引き起こされる感染症で主に性的接触により性器や口などの粘膜から感染します。この疾患は一度治っても繰り返し感染します。症状としては性器や口の中に小さなしこりやただれが出来たり、痛みや痒みのない皮疹が手のひらや身体中に広がります。これらの症状はしばらくすると消えてしまいますが体内で増えて脳、肝臓、心臓などの臓器障害を起こして死に至ることもあります。現在、女性は20歳代に、男性は20-50歳代を中心に幅広い世代で増加しています。また妊娠中に感染すると生まれてくる子供にも感染して死産、早産、先天梅毒の原因ともなります。梅毒の初期の症状である皮疹はしばらくすると消えてしまうために治ったものと思い込まずに検査をすることが大切です。症状がなくても感染性は残っているのでパートナーに感染する可能性はあります。なお、早期発見であれば抗菌薬の内服あるいは注射等での治療で比較的容易に治癒します。HIV感染症ですが1981年にアメリカではじめてエイズの患者さんが発見されてから40年以上経ちました。HIVに感染して数年から数10年の経過で免疫の働きが低下して免疫不全となり悪性腫瘍、感染症に罹患した状態がAIDSになります。当初は治療薬がなく「死の病」と言われていましたが現在では治療薬の開発が進んでおり早期発見、早期治療で感染していない人と同じように長く健康的に生活できるようになっています。HIVは感染力が弱く社会生活一般ではうつることはほとんどありません。主な感染経路としては1性的接触による感染、2血液を介しての感染、3母子感染となります。HIVに感染すると数週間後にインフルエ
ンザ様の症状が出ますがその後は無症状となり数10年後にAIDSとなり発症するパターンが多くなっています。血液検査を受けなければわからないために不安等があれば血液検査を受けることを勧めます。最後の話題はエムポックスです。これは昨年来世界各国で発生して話題となったいわゆる「サル痘」の事で昨年11月にWHOによりMPOX「エムポックス」と名称変更となりました。世界的には今年になり減少傾向ですが日本においては今年になり増加している疾患です。感染すると発熱、リンパ節腫大に加えて体のあちこちに(顔、口、手足、陰部などに)発疹ができます。多くの場合には2-4週間ほどで自然に軽快します。皮疹に触れる事、性交渉などでの感染が報告されています。日本においての報告数は男性が大部分でその方の多くが男性間での性交渉者となっています。治療は対症的なもので特効薬はありません。なお天然痘のワクチンにより85%近くの発症予防があるとされています。(このワクチンは現在は使用されていません。)性感染症においては単独の病原体だけが感染することもありますが複数の病原体に感染することも多く(例えば梅毒とHIV感染の合併など)治療に際しては注意が必要です。また患者さん本人だけを治療しても繰り返して感染するためにパートナーの治療も必要になります。どのような疾患でも同様ですが早期発見早期治療が大切であるために身に覚えがある場合には積極的に検査を受けることも大切です。なお治療に関しては長期になることもありますがきっちりと服薬を守ることも大切です。今回は性感染症について簡単に話題を提供しました。

山田医院 医師 山田良宏

森林浴を通して五感を育てる!

私は絵画をしておりますので写生などで公園に行く機会が多くあります。この猛暑の中でも木陰にいると僅かな心地よさを感じることがあります。森林の持つ力や魅力について調べてみましたのでその一部を紹介します。
森林浴は1982年頃に日本で誕生した概念です。日本の国土の2/3は森林が占めております。日光浴、海水浴と並んで自然浴の一つとして生まれました。その後40年程かけて世界各地に広がり「SHINRIN-YOKU」と言う言葉が世界中で使われています。その理由については世界中でも、ものすごいスピードで都市化、コンピュータ化が進み人々が強いストレスを感じるようになったこともあるようです。ストレスが生活習慣病のリスクを増やしていることが考えられました。今では誰もが好きな時に自然の中で手軽にできる健康増進法として、多くの国々で「SHINRIN-YOKU」が推奨されているそうです。
新型コロナウイルスの世界的なパンデミックが発生しました。この出来事をきっかけに一人ひとりが自分の健康をしっかり守り良い健康状態を保っていくことの必要性を今まで以上に考えるようになったそうです。とりわけ免疫力の増強は最大の予防となり、免疫力を高めメンタルを整える方法として森林浴がますます推奨されているようです。
森林浴をきっかけに五感を磨く
森林浴は普段行っている散歩やウォーキング、ハイキング、ピクニックとは少し違います。それは人に備わった五感の感覚(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)は誰もが生まれながらにしてもっているもので、森林浴は本能的な感覚を取り戻す時間とも言えます。森林から放たれる香り、光,風などを五感で感じてゆったり過ごす時間です。仕事やデジタル機能、タバコ、アルコールなどは森林浴中は忘れましょう。時間をかけてゆっくりと自然の音、香り、景色、感触を味わう、そのことによって心が落ち着き、喜びのようなものが感じられるものです。しかし、森林浴も全ての人がリラックスした状態になれるというものでもありません。
①視覚においては、私たちの暮らしがデジタル化しても、目や耳など体の機能は急に変わることができません。そのため人工光に長時間さらされると目の不快感を覚えるのです。パソコンで長時間作業を続けると、目が疲れを感じ頭痛に悩まされることもあるのです。色彩が人の感情に与える影響については、人が最も安らぎを感じるには、自然界にある緑色と青色だと言われています。逆に灰色などは自然界にあまり見られない色は、人に攻撃的な感情をもたらしやすいと言われています。人工的なものを見続けている目を休めるためにも、休憩の時間は緑や青色を目にできる場所へ行くことを意識的に行いましょう。
②聴覚について、人は普段たくさんのノイズに囲まれて暮らしています。過度のノイズは難聴のリスクを高め、血圧の上昇や緊張、不安を引き起こし集中力の低下、睡眠の妨げにもなります。私たちは完全な静寂に身を置くことは困難ですが、できるだけ人工音から離れる機会を持つことが必要です。
③嗅覚は人の感覚の中で最も原始的な感覚だと言われています。香りは人の感情や記憶と深くつながっています。気分や行動に直接的な影響を与えています。自然の香りは樹木の放つ香り、土壌や苔、岩の香り,雨の香りなどが混じりあっています。雨が降った後に感じるすがすがしく新鮮な香りは自然において欠かせない要素が樹木の放つ香りです。
④触覚は手足、肌に感じる自然とのふれあい、そよ風を肌で感じ、静流の冷たさを感じる。草むらに横たわる。こうした体験を重ねるだけでも心身は元気を取り戻します。
⑤味覚はその土地で採れたもの、山菜や果物、空気、水、森の恵みなどで味わうものです。自宅で森林浴の気分を楽しむには、ヒノキの精油や観葉植物によって効果は限定的ながらも森林浴に似たリフレッシュを感じることができます。
森林浴の効果
森林浴によって、交感神経の活動が抑制され副交感神経の活動は亢進します。それによって、自律神経のバランスが整いやすくなり、体がリラックス状態になり臓器にもいい影響をもたらします。血圧、心拍数や血糖値を下げる。睡眠の質と時間を改善する。気力や活力向上してうつ状態を改善する。また、免疫機能を高めるなどの多くの効果が認められています。
森林浴は、森林の持つ癒し効果を健康増進や疾病予防に用いる方法で、予防医療、治療、リハビリテーション分野での応用にも期待されているようです。
森林浴によって五感を刺激し心身への効果を促し、自らを健康へと導いていきましょう。
遠くの森林に行かなくても、近くの公園や庭先の植物に目を向けて、森林浴を気軽に試してみましょう。

山田医院 看護師 畑中幸子

連日、猛暑が続き体力的にもしんどい日々ですね。そんな暑い時期には、どうしても汗をかきますよね。私は、人より汗をかく方で毎年、1人汗をかいているタイプなので少し恥ずかしい思いをするのですが皆さんはどうでしょうか?そこで汗について調べてみました。そもそも汗は、体温を下げるために出ているもので体の表面で蒸発しその時に「気化熱」という熱を放出し、この作用により体温を下げています。汗は血漿という成分がもとになっています。汗を出す器官である汗腺は血管のすぐ近くにあり、体温が上がりすぎないように状況に合わせて血液中から血漿を取り出し、汗を作っています。また、汗をかくことで気になる点は“におい”ですよね。現代人は多くの人が運動不足な上、夏はエアコン漬けで昔と比べて汗をかかなくなりました。しかし、本来汗はサラサラで、においのしないものであるそうです。汗腺は、血漿の中の水分だけをろ過し、ミネラルは再度血管に戻してから汗として排出します。こうして出てきた汗は限りなく水に近いのでサラサラしています。これがいい汗だそうです。ところが汗をかく習慣があまりないと、汗腺のろ過機能が衰え、ミネラルも一緒に汗の中へ。すると、濃度が濃いべたついた汗になりくさい汗になります。いい汗にするには、たくさん汗をかき汗腺を鍛えることが大切です。においの原因は他にもあり、肉食偏重の食生活やストレスが多いと汗がにおいやすくなるようです。汗腺を鍛えるには、汗ばむ程度の速さで30分程ウォーキングなどをしたり40°弱程度のお湯で半身浴をしたりすると体の芯から温まりいい汗が出ます。また食事では、血行を促進するショウガや代謝を上げるお酢などを取り入れるといい汗がかけるようになるようです。汗のにおいが気になるときは、肉類や脂っこいものを控えめにし、抗酸化作用のあるビタミンCを含む野菜や果物、ビタミンEを含むオリーブオイルや玄米などをとるといいそうです。 とはいえ、汗さえかいていれば健康かというとそういうわけではなく、汗の量が尋常ではない、または一部にだけかくなど出方が不自然な場合、病気が隠れていることもあるそうなので注意が必要です。まだまだ暑い日が続きますが、熱中症にならないように十分に注意しながら、適度に運動し汗をかき暑い夏を乗り越えていきましょう。

山田医院 事務員 柴田 明

疲れにくい体つくり

朝から体がだるい、少し体を動かしただけでどっと疲れる…。と体が疲れやすいと感じることはありませんか?体が疲れやすくなる原因には過労や睡眠不足からくる肉体的疲労、ストレスからくる精神的疲労、また運動不足から血行不良による疲労感や女性ホルモンの変動によって起こる疲労感もあります。今の季節は夏バテもありますね。疲れにくい体をつくるためには、何より日々の生活を整えることが重要です。食生活や運動、睡眠習慣を見直してみましょう。規則正しい生活習慣ができると、自然とホルモンバランスも整います。
今回は食生活について紹介します。疲れにくい体をつくるためには、1日3食をバランスよく食べることが基本です。食事の時間もできるだけ毎日同じ時間にすることで消化がスムーズになり、疲れやだるさを感じにくくなるでしょう。また、スーパーで食材を選ぶときはできるだけ「旬のもの」を取り入れましょう。旬の食べ物はその時期に栄養価が一番高いとされています。そして、疲労回復のために摂りたい栄養素は次の4つです。特に、「疲れた…」と思ったときに積極的に摂りたいのが「ビタミンB群」です。ビタミンB群は、疲労回復に働くビタ
ミン。たんぱく質に豊富に含まれていることが多いため、疲れたときこそ肉や魚をしっかり食べましょう。
<ビタミンB1>豚肉、うなぎ、カツオ、大豆、玄米、ごま、落花生 など。ビタミンB1はエネルギー産生をサポートして疲れをやわらげます。ごはんやパンなどに含まれる糖質をエネルギーに変えるときに欠かせません。
<ビタミンB2>レバー、卵黄、納豆 など。ビタミンB2は、代謝に大きく関わります。精神的なストレスの緩和に効果的な栄養素です。
<ビタミンB6>カツオ、マグロ、レバー など。ビタミンB6も、たんぱく質をエネルギーに変えるサポートをします。体のだるさに効果的に働く栄養素です。また、疲労回復といえば「酸っぱいもの」を思い浮かべる人も多いでしょう。ビタミンB群以外に「クエン酸」も効果的です。
<クエン酸>柑橘類、梅干し、お酢、野菜類 など。クエン酸は、活性酸素を取り除く、新陳代謝を促進するといった働きがあり、疲労回復を促進。玉ねぎやニラ、ネギ、ニンニクなどに含まれる「アリシン」と一緒に摂ると吸収率がアップします。
私たちの体の中では、さまざまな栄養素が助け合いながら働きます。そのため、これらの食材を単体でたくさん摂ればいいというわけではありません。複数の食材をバランスよく食べる工夫をしましょう。
まだまだ暑い日が続きます。しっかり食事をして、ゆっくり休んで元気に過ごしたいですね!

山田医院 看護師 三栖佳子

小児感染症の迅速検査について

小児科では以前から感染症が診療の中心を占めていました。迅速抗原検査(RADT)は病原体を検出する検査です。COVID-19の流行前までは検査適正使用が声高に叫ばれており、検査の精度並びに事前確率を十分に考慮して行うように指導を受けていました。COVID-19流行に伴いまずは「検査」が当たり前となっていました。事前確率は無視されまた無症状者の感度は60%足らずにもかかわらずCOVID-19のRADTは乱発されていました。社会的、公衆衛生的には必要であったものの問題はその検査結果の解釈でした。検査の理解に必要なものとして感度/特異度があります。感度は疾患のある人が検査で陽性となる割合で特異度は疾患のない人が検査で陰性になる割合です。RADTについてはRSウイルス、溶連菌感染症では感度は85%と比較的高いもののその他の検査では60%程度です。ただし特異度はおおむね95%以上です。つまり検査が陽性である場合にはその疾患である可能性は高くなりますが陰性である場合に本当に陰性かは検討する必要があります。この時に大切な事は陽性的中率と陰性的中率です。検査が陽性の人が病気である確率が陽性的中率で検査が陰性の人が病気でない確率が陰性的中率です。この確率は有病率に左右されます。周囲での流行状況と症状の経過並びに身体所見が大切になります。周囲である疾患が流行していて症状の経過並びに身体所見がその疾患らしければ有病率は上がり事前確率が高いために検査は有効と考えられます。RADTはあくまでも補助診断であるために医師の問診、診察を受けて必要に応じて検査を受け検査結果からだけではなく総合的に診断を受けることが大切で検査が陰性であったもその疾患らしければきっちりと休むことも大切です。今回は日本醫亊新報令和5年7月第5週号から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏