第24巻第7号(第282号)|大阪市阿倍野区で内科・外科・小児外科なら山田医院にお任せください。

  • お問合せはこちらから

    0666223166

  • 診療時間

    ※括弧内は受付時間 休診日 木曜午後、土曜午後、日曜、祝日

お問い合わせはこちらから

0666223166
診療時間

※括弧内は受付時間 休診日 木曜午後、土曜午後、日曜、祝日

山田医院だより

第24巻第7号(第282号)

冠動脈血行再建術の現状について

冠動脈バイパス術(CABG)は1960年代に欧米で始まり日本においても1970年代以降になり積極的に行われるようになりました。ただしカテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション(PCI))の登場と進歩によりCABGの症例はその数並びに質とともに変化してきました。すなわちCABGの対象としてはより多枝病変、複雑病変、低心機能例などとなってきました。CABGがPCIと大きく異なる点は病変部の末梢にバイパスグラフとを吻合して虚血の改善と心筋梗塞の予防を行う点でありまたCABGでは多枝病変でも一期的に完全血行再建を行う事ができるという点です。また以前とは異なり最近のCABGの待機手術では死亡率が1.0%未満となってきています。エビデンスとしては主幹部病変(左冠動脈の根元の部分)、2枝、3枝病変については冠動脈バイパス術(CABG)が第1選択となります。これらにおいてはまずCABGを施行してその後の人生において至適内科的治療を行いそれでもコントロールできないときにはカテーテル治療(PCI)を行う事になります。CABGは当初は人工心肺の技術が追い付いておらず人工心肺を用いない心拍動下CABG(心臓を止めないで動いたままで行う手術)が行われていましたが、1970年代の人工心肺の急速な発達に伴い心拍を止めて手術を行うCABGが普及しましたが、脳梗塞や腎機能障害、不整脈などの合併症が問題となり1990年代後半から再び心拍動下CABGが見直されるようになり日本において現在では半数以上の手術は心拍動下CABGが行われています。なお、手術としては心臓が動いたまま血管を縫合する心拍動下CABGは一定以上の習熟度がある外科医が施行すると早期並びに遠隔期においてもアウトカムは向上、特にハイリスクの患者さんには恩恵がある手術です。次にバイパス手術に使用されるグラフト(血管)についてですが、一般には内胸動脈を使用することが最も多くまた基本的にはこれが第1選択となっています。NO(一酸化窒素)を分泌することで内分泌的効果を吻合した冠動脈にも及ぼし長期にわたり効果が持続すると言われています。内胸動脈よりも効果は劣るものの2番目に使用されるのが下肢の静脈である大伏在静脈です。内膜肥厚の進行、血管壁の硬化、拡大、血栓形成などがあり閉塞が起こる場合もありますがnontouch法といい周囲の脂肪組織をつけたまままた拡張などを行わない方法での採取の場
合には効果が高くなることも分かってきました。その他に上肢の橈骨動脈なども利用されます。なお、手術方法についても通常のCABGでは胸骨の正中切開を行いますが低侵襲冠動脈バイパス術(MICSCABG)は左肋骨間の開胸で行う手術となります。2009年頃から手術のデバイスの発展に伴い注目されるようになり広がりつつあるようです。低侵襲であるために心機能予後の悪い方に対しても行われるようになりました。なお、ダビンチを用いたロボット補助下でのCABGはさらに発展版として世界的にはトライされています。日本においては先ほど述べたバイパスのグラフトとして利用する内胸動脈採取についてはロボット下手術の適応があるために採用されつつあります。なお、CABGと併用される手技として冠動脈内膜摘除術があります。これは動脈硬化が著しい石灰化病変などにおいては吻合するだけでは血流が維持できないために内膜摘除を行う事が重要になる事もあります。現時点では最終的に重症の心不全となった場合には心臓移植や補助人工心臓を利用することになりますが限定的になるために様々な細胞移植による心筋再生療法が進生応用まで進んできました。今回は外科的冠動脈血行再建術(心臓バイパス術)についての現状等について日本外科学会雑誌2023年7月発行から採用をしています。

山田医院 医師 山田良宏

健康寿命、平均寿命

健康上の問題で日常生活を制限されることなく生活出来る期間を{健康寿命}と言います。
元気に年を重ねるため老化のスピードをどれだけ延ばせるか、老化を遅らせることは出来るのか、、。昨年の時点で日本の健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳です。
平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳です。晩年の10年前後は寝たきりなどの状態のケースが多いと言うことになります。できれば一日でも長く自分の足で動き、元気に年を重ねたいですね。そのためには健康寿命を延ばすことが必要になります。
それには血管を若く保つのが大事で、活性酸素が増えすぎると体内のたんぱく質や脂質などに反応し細胞を「酸化」させます。この状態は「さび」と呼ばれ金属がさび付くように体内でも血管でもこの反応が起き、血管の老化につながるようです。
あるマガジンに活性酸素増加度チェックが載ってました。

◇睡眠不足やストレスが多い。
◇揚げ物をよく食べる
◇賞味期限が過ぎた食品、調味料をよく使う
◇疲労の激しいスポーツを行う機会が多い。
◇煙草を吸っている

さて、何個当てはまりましたか?
私は夜更かししてドラマ三昧、揚げ物好き(そんなには食べませんが)賞味期限過ぎたものが冷蔵庫に潜んでいる、テニスが好き(山田先生にはテニスは長寿と言ってもらえましたが、、あ、、私さびまくってます?トホホホホ
さてそれを解消するためには。
〇腹八分目を心がける(満腹は体に負担がかかり錆を増やす活性酸素の増加につながる)
〇抗酸化食材を多くとる(パイナップル、色の濃い野菜や果物)
〇食材は新鮮で加工しすぎていないものを取る(食材は鮮度が落ちる過程で酸化が進む)
現在要介護になる原因の一位は認知症だそうです。健康寿命を少しでも延ばすには生活習慣を見直して認知症のリスクを抑えることも必要です。
私の母は認知症が少しあり、施設暮らしですが可愛い認知症で会いに行くと癒されます。一緒に住むとなるとそれだけでは済まないと思いますが。
皆さん今日から身体を錆びさせないように少しずつ生活改善をしましょう!
毎日暑く、テレビでもクーラーの大切さが言われています。夜間の熱中症が多く、年を取ると暑いと気付かない間に熱中症になる事が多いので、夜間もクーラーをかけて寝ましょう!と言ってますが、私ここ3年ほど夜間のクーラーはかけずに、クーラーなしでは寝れない主人とは別室で一人で寝ています。もちろん朝起きたら寝るまではクーラー大好きなのですが、、若いころは夜間クーラーのタイマーが切れると目覚めて追加クーラーしていたのですが、、、これも高齢になった証拠でしょうか、、、。皆様は夜間もしっかり室温調節をして寝てくださいね!では今年も猛暑を乗り切りましょう!

山田医院 看護師 冨嶋友子

新規スタッフの自己紹介

はじめまして。6月より事務員として勤務しております伏見彩乃(ふしみあやの)です。前職は和歌山市内の診療所で勤務しておりましたが、引越しを機にこちらでお世話になっております。和歌山は特産物も多く穏やかな気候で、自家製の梅干しや梅酒作りも行っていました。伸び伸びとしていて大好きな地元です。同郷の方がいらっしゃれば、ぜひお声がけください。
趣味は映画鑑賞で、邦画洋画ジャンル問わず自宅や映画館を含め月に5~10本程度観ています。気に入った作品があればロケ地巡りをしたりもします。
大阪で暮らすことも働くことも初めてで土地勘もなく、ご迷惑をおかけすることも多々あるかと思いますが、皆さまにとって快い対応となりますよう心掛けてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

結膜下出血について

先日、小学2年生の孫がダンスを踊っていた時、指が目に当たりました。たいしたことはないかと思っていましたが、次の日プールに入ると目が痛いと保健室で1時間ほど冷やしてもらったそうです。心配になり眼科に連れて行ったところ結膜下出血との診断で、孫の場合は「放っておいても大丈夫」と言われましたが、結膜下出血にも様々なケースがあるので、今回は色々と調べてみました。
◆結膜下出血とは
結膜とは、白目の表面を覆っている粘膜のことで、大小の血管が多数存在しています。
結膜下出血とは、結膜下の小さな血管が破れて出血したもので、白目部分が真っ赤になります。程度は様々で、小さな点状のものから斑状、時には眼球結膜全体をおおう広範なものもあります。結膜下の出血では、眼球内部に出血が入ることはなく視力低下の心配はありません。
◆症状
一般的には痛みやかゆみ、眼脂などはなく、ほとんど無症状です。ときに異物感や発症時の一瞬の眼痛がある場合もありますが、視力低下や視野狭窄はありません。
◆原因
・けが(外傷、手術など)
・ウイルスによる急性結膜炎(人にうつる場合があります)
・全身疾患(高血圧、動脈硬化、糖尿病)
・結膜弛緩症(結膜のたるみ)
・原因不明のもの(誘因として考えられるのは、嘔吐や咳、くしゃみなど急激に静脈のうっ滞が起こる状態)
◆治療
出血自体は軽度であれば、10日~2週間前後で自然に吸収されます。
出血量が多い場合は吸収に2~3ヵ月かかることもありますが、必ず出血は吸収されます。
多くの場合、出血は放置しておいてかまいませんが、気をつけたい結膜下出血もあります。
*眼外傷を受けた場合
*出血以外に痛みやかゆみ、眼脂を伴う場合
*ひんぱんに出血をくりかえす場合
*発熱を伴う場合
これらに当てはまる場合や心配な時は、念のために眼科で診察を受けましょう。
◆結膜下出血のワンポイントアドバイス
・蒸しタオルで温めると、出血の吸収が促進されます。
・くりかえし出血がおこる場合は、必ず眼科受診を。
・全身的な疾患(高血圧や糖尿病、貧血、白血病、紫斑病など)が原因の可能性もあり、内科受診が必要な場合があるため、眼科医の指示を受けましょう。
・眼の外傷が起こった時の状況は詳しく伝えましょう。

鋭利なものや金属片で眼外傷を受けたり、ボールや転倒で眼球の弱い部分が衝撃を受けた場合は、それに合った
検査と治療が必要な場合があります。
・出血が止まらない、または長引く場合は非ステロイド系点眼薬や止血のための結膜下注射を行うこともありま
す。
目の異変を感じたり、心配なときは迷わず眼科受診をしましょう!

夏季に流行するウイルス感染症について

風邪やインフルエンザ、ノロウイルスが冬に流行するように夏季にも注意すべきウイルス感染症があります。いわゆる夏風邪の代表としてのエンテロウイルス、アデノウイルスがあり、これらは乳幼児や小児の間で流行して2次的に成人への感染がおこることもあります。特別な治療を行わずに自然治癒するものがほとんどですが、中には合併症を起こすものがあり、手足口病やおたふくかぜは成人にはなり難いのですがかかると重症化しやすくなります。今回はあまり聞かないウイルスについて日本醫亊新報令和5年7月号から抜粋をしました。エンテロウイルスに
よる感染症ではコクサッキーウイルス、エコーウイルスなどがあり多彩な症状があります。Bohnholm病は主としてコクサッキーウイルスB群が主原因ですが片側性の胸部痛を伴うのが特徴です。咳や深呼吸で悪化、数日ほど続きます。その他に発熱、頭部痛、嘔気、嘔吐があり時々精巣炎(精巣の痛み)を伴うことがあります。これと似たものとしてヒトパレコウイルス3型感染症があります。これもエンテロウイルスに属するウイルスです。これは発熱、咽頭部痛案毒に加えて四肢の近位部筋肉痛がり、精巣炎(精巣の痛み)を伴うこともあります。この2つのエンテロウイルスによるなんとなく似通って異なる疾患は特に特別な治療法はありませんが症状として特異的なのでトピックとなっています。手足口病もエンテロウイルスによる疾患ですが特にウイルスの種類によっては皮疹の範囲が広くなったり爪が剥がれたりすることがありまた脳髄膜炎を起こすこともあり注意が必要です。今年はCOVID-19の流行もありかなりややこしい状況です。また小学校高学年に水痘ワクチンを2回しているにもかかわらず水痘に罹患する子どもが比較的多く見受けます。皮疹が50個以下と軽症で症状も軽くなっていますが兄弟間への感染もあり注意が必要となっています。夏風邪に対しては基本的には手洗いが大切で必要に応じてマスク対応も考えて行動をしましょう。

山田医院 医師