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山田医院だより

第24巻第4号(第279号)

自殺の防止に向けて

2006年に自殺対策基本法が施行され国を挙げて自殺対策に取り組んできたこともあり日本の自殺者数は年間3万人台から約2万人となり、2010年以降は10年連続で減少してきました。しかし2020年は新型コロナウイルス感染症が拡大する中で自殺者は11年ぶりに前年を上回り女性の自殺者は2年連続で増えて、小中高生の自殺者は過去最多の水準となっています。日本の自殺者数は男性の自殺者が女性の約2倍となっています。年齢別にみると40・50歳代の中高年の自殺者が多く男性では40歳代、女性では50歳代が最も多くなっています。原因動機について見てみると健康問題が最も多く、経済生活問題、家庭問題と続きます。詳細にみると健康問題では「うつ病」、経済生活問題では「生活苦」「多重債務」家庭問題では「夫婦関係の不安」「親子関係の不安」が多く、中高生においては「学校問題」中でも学業不振や進路の問題が多くなっています。いずれにおいてもこれらの原因が単一ではなく複合的に重なり合っているものと考えられています。その多くが追い込まれた末の死と考えられるために社会全体で対処することにより自殺を防ぐという考えが社会の問題として捉えられるようになりました。自殺者は減りましたが一方で日本人の自殺死亡率は10万人当たり18.5と他の先進諸国に比べるとまだまだ高値であり、30%減らすことが自殺対策の数値目標となっています。新型コロナウイルス感染症の影響としては流行間には著名人などの自殺報道による影響の可能性も指摘されています。自殺に関する報道はセンセーショナルな見出しや過度の繰り返しなどその報じ方によっては自殺を誘発する可能性があるためにWHOにおいては自殺報道ガイドラインが策定されているほどです。新たな自殺総合対策大綱の基本方針の基本的な骨格に関しては2つのポイントがあり1つについては自殺の様々な要因に対して幅広く制度横断的に対処をしていくことでもう1つは今まさに自殺を思い悩んでいる人だけではなく悩みが深刻になる前から未然に問題を解決していくという事です。昨年策定された自殺総合対策大綱の新たなポイントとしては①子ども・若者の自殺対策の更なる推進・強化②女性に対する支援の強化③地域自殺対策の取り組み強化④総合的な自殺対策の更なる推進・強化となっています。個人的な対応としては優しい声かけが大きな援助となります。身近な人が人の話を聞いて場合によっては支援につなげるといったゲートキーパーの役割が重要となります。困った時や悩んだ時の相談先については①電話相談②SNS・チャット相談③メール相談④電話、FAX、チャット、SNSなどがあります。色々な機関がそれぞれに対しての対応をしていますが①電話相談については「こころの電話相談 0570-064-556」があります。悩みを抱えた人がどこからでも共通の電話番号で住んでいる地域の心の健康相談電話につながることができる統一ダイアルとなっています。相談員が寄り添ってお話をきいてくれます。②SNS・チャットについてはライフリンクの「生きづらビット」、「あなたのいばしょ」があります。これはSNS・チャットによる自殺防止の相談を行い必要に応じて電話や対面による支援や居場所活動などにつなぐものです。相談者の7割が10-20歳代の若者になっています。③メール相談は「栃木いのちの電話」などがあります。電話相談もしていますが声を出せずに苦しんでいてもメールでは可能なこともあり声に出せない方からの悩みや不安については
メールでも聴いているようです。④電話、FAX、チャット、SNSは「よりそいホットライン」があります。なんでも相談できる窓口としてLGBTの人や在日の外国人にも対応できるように
しています。個人個人が最もフィットする相談窓口に相談できます。なお、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応(悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る)を図ることができる人のことをゲートキーパーと言いますが、言わば「命の門番」とも位置付けられる人のことです。これは特別な資格は必要ありません。困っている人から声をかけられたらその人は選ばれた人です。思いを受け入れてあげましょう。無理に助言するのではなくつらい気持ちを聞いてあげることが大切です。聞いてあげるだけでも十分で、そのうえで解決の糸口になる専門家などにつなぐこと事も大切です。ただしゲートキーパー自身も抱え込むことなく自身を守ることも大切です。今回は雑誌「厚生労働省」令和5年3月号から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏

上手な水分補給で元気な体を!

4月に入り気温25度の夏日に達する日もチラホラ観測されています。今年も猛暑、酷暑に悩まされる季節になりそうです。近年、熱中症などで救急搬送される方々も年々増加しています。熱中症を起こす大きな原因が体内の水分不足(脱水)です。人間が生命を維持するうえで、水は酸素とともに重要な物質です。水は血液やリンパ液などの体液の主成分です。成人では体重の6割が、高齢者は5割が水分を占めています。子供では7割、胎児に至っては9割だそうです。例えば体重60Kgの人では約36Lの水が含まれています。この体の水を「体内水」と呼びますが、手足を眺めても顔を見ても水らしいものは見えませんが、体内水は健康を維持するためにとっても大切な役割を果たしています。身近に感じる体内水と言えば涙ぐらいです。
1.水分補給の基本
①喉の渇きは体の脱水を知らせる危険信号です。渇きを感じてから飲むのではなくて、渇きを感じる前に水分を取ることが脱水防止になります。
②少量をこまめに飲むのが理想です。水分は腸で一定の速度で吸収されます。一度に沢山の水分を摂取しても腸では吸収できず水分は胃内に留まります。
③規則正しい食事をしましょう。三食食事すると約1リットルの水分を食事からとることができます。ダイエットや食事制限すると食事からとる水分量が少なくなります。

2.習慣づけたい水分補給方法
体内の水分量は一定に保つには、体外へ排泄される量に見合う水分を上手に取ることが大切です。
①起き抜け、寝る前、トイレに行った後には水分補給を、寝ている間に発汗したり呼気から水分を失われます。睡眠中や起床時は脱水気味になっています。
②水筒やペットボトルを持ち歩くなど、身近な所に飲料水を置いておく、こまめに水分をとりやすくする。外出時でも気軽に水分補給することです。
③野菜や果物を多くとることです。夏の旬のキュウリ、スイカ、トマトなどの野菜やナシ、ブドウなどの果物にも水分がたっぷり含まれています。夏は発汗が増えるのでこれらの食材を積極的に取りましょう
④入浴前後や運動時にも水分補給を、入浴により体が温まると新陳代謝が活発になり発汗が促進します。また運動時にも発汗量が通常以上に増える分、より積極的に水分をとる必要があります。

3.水分補給に適した飲料
水分であればなんでもよいと言う訳ではありません。水分補給に適した飲料を選ぶことが大切です。
①お酒は水分補給に不向きお酒を飲むとトイレが近くなります。
これはお酒には利尿作用があるためです。この時の尿は飲んだお酒の水分が吸収されたものではなくて、主に血液中の水分であり、そのため体内ではお酒を飲む前よりもむしろ脱水が進むこともあります。
②カフェインが少ない飲料水
コーヒや紅茶、お茶などには多く含まれるカフェインもお酒と同じ利尿作用があります。番茶、玄米茶など低カフェイン飲料や麦茶、そば茶などのノンカフェインのものを選びましょう
③塩分や水だけでは吸収率の低下
激しい運動の後などで大量に発汗すると、水分だけでなく塩分も失われますので塩分の補給も必要です。しかし、これら二つだけでは吸収が進みません。同時に糖分も一緒にとることで吸収率を高めることができます。

山田医院 看護師 畑中幸子

乾癬について

乾癬は、皮膚がカサカサして赤くなるなど、慢性的な皮疹をともなう皮膚の病気です。皮疹の表面には古くなった角質が白くたまり、フケのようにボロボロと剥がれ落ちます。その症状は見た目にもわかることから、人目が気になり、外出するのがためらわれる、やりたいことも我慢してしまうといった人が多いようです。発症の原因は、多くは複数の遺伝子と、生活習慣などの環境因子の両方から影響をうけて起こるとされています。環境因子としては、細菌やウイルスによる感染症、外傷や皮膚への刺激、服用中の薬、喫煙、肥満、糖尿病や高血圧などの持病、疲労、精神的ストレス、アルコールなどが考えられます。
乾癬は、免疫が自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つと考えられています。何らかの原因で炎症反応が次々と起こり、自分自身を攻撃してしまい症状が慢性化してしまうのです。
どんな治療をするの?乾癬は現在のところ、はっきりした原因がわかっていないため、乾癬を完治させる治療法は見つかっていません。乾癬に対する治療は、現時点では、対症療法です。まずは、外用療法から始めるのが基本となります。外用薬を行ったうえで、部分的に症状が残ってしまう部分的な再発に対して、光線療法など内服療法、注射薬、点滴薬などもあります。これらの治療法を組み合わせて、症状の改善とよりよい状態の維持を目指します。 乾癬とよく似た症状が現れる病気はたくさんあり、一見しただけでは見分けがつきにくいものです。皮膚に何らかの症状がみられるときは、皮膚科の専門医を受診するようにして下さい。

山田医院 医療事務 阿知波真弓

予防接種のこと

令和5年4月から4種混合ワクチンも生後2か月から接種できるようになりました。また、最近は大学や専門学校に入学する時、就職する時、海外留学する時に追加でワクチン接種をする方も増えています。そもそも予防接種はなぜするのか?接種すれば病気にならないのか?ワクチンの種類やその効果はいつまで続くのか…など考えたことはありませんか?基本的なことですが改めて考えてみましょう。
予防接種とは感染症の原因となるウイルスや細菌、または菌が作り出す毒素の力を弱めて作った予防接種液(ワクチン)を作り、これを身体に接種してその病気に対する抵抗力(免疫)をつけることをいいます。病気によっては重い症状が現れたり、合併症や後遺症が心配されたり、命にかかわるような病気もあります。こうした病気を予防し、かかったとしても症状を軽くしてくれるのが予防接種です。また、自分を守るだけでなく、周りの人にうつさない(流行を抑え、集団や社会を守る)という目的もあります。一方でワクチン接種後の副反応はゼロではありません。軽いものは発熱、発疹や接種部の腫れなど、重い場合はアナフィラーキシ―、脳炎、脳症、痙攣、ギランバレー症候群などがまれに起こることがあります。自然にかかった場合、強い免疫を獲得することが多いですが、上記に上げたように病気の重症化や周囲への感染を考えるとワクチンで予防できる病気は予防するのが最善の方法といわれています。
ワクチンには生ワクチン・不活化ワクチン・トキソイド・メッセンジャーRNAワクチンがあります。生ワクチンは毒性を弱められたウイルスや細菌が体内で増殖して免疫を高めていくので1回の接種でも十分な免疫を作ることができますが、自然感染よりは弱いので追加接種が必要なものもあります。不活化ワクチンはウイルスや細菌の病原性(毒性)を完全になくして免疫を作るのに必要な成分だけを製剤にしたもので、自然感染や生ワクチンよりも免疫力が弱いため1回の接種では十分ではなく、数回の接種、追加接種が必要になります。トキソイドは病原体となる細菌が作る毒素だけを取り出し毒素をなくして作られているので、数回接種して免疫をつけます。メッセンジャーRNAはウイルスを構成するたんぱく質の遺伝情報を接種する新しい種類ワクチンで決められた回数の接種や追加接種が必要です。
赤ちゃんは生後5~6か月までは生まれた時にお母さんからもらった免疫などで、多くの細菌やウイルスから守られていますがその免疫が落ち始めるころからむしろ感染症にかかりやすくなります。そのため生後5~6か月までに予防接種の十分な効果を発揮させるためには、生後2か月から予防接種を始めることが重要です。
予防接種は昔と比べるとずいぶん種類が増えています。この3年は何度もコロナワクチンの追加接種がありましたね。また年代によっては受けていないワクチンもあり、そのため成人がかかると重症化することもあります。予防接種について簡単にお話するのはなかなか難しいですが、山田医院でも様々な予防接種を受けることができますのでいつでもご相談くださいね。

山田医院 看護師 三栖佳子

新規事務職員の紹介

はじめまして。4月から事務でお世話になっております柴田 明(しばた めい)です。今年3月に大学を卒業しました。大学では外国語学部で、インドネシア語を専攻していました。1回生の春休みには3週間の海外実習でインドネシアにも実際に行き、現地の大学に通いながらホームステイをしました。コロナが始まったばかりの時で、行けるかどうか⁉といった時期でしたが無事に行けて、ボロブドゥール遺跡やプランバナン寺院などの世界遺産に行ったり、市場で買い物をしたり様々な体験ができとてもいい思い出になりました。学生時代はコロナでなかなか海外に行けなかったので、インドネシアに限らずまた旅行できたらなと思っています。
好きなことはドラマや映画を見ることです。中でも韓国ドラマをよく見ているので、もし同じく好きな方がいたら嬉しいですしぜひお話したいです。大学で韓国語も少し学習したので、もう少し余裕ができたら韓国語の勉強をまた始めたいなと思っています。いつの日かドラマを字幕なしで見られるぐらいになるのが目標です。
最後に、病院という環境で働くのは初めてで、まだまだ不慣れでご迷惑をおかけすることもたくさんあるかと思いますが、精一杯頑張りますのでよろしくお願いいたします。

山田医院 事務員 柴田 明

家庭内の事故予防について

外に比べると家の中は安全な印象があると思います。乳幼児の事故で最も多いのが家庭内で全体の4割になるようです。乳幼児の事故で最も多いのは「ころぶ」で最も重症度が高いのは「溺れる」です。コロナ禍で家庭内の事故でとくに増えたともいわれているのは①異物誤嚥②窓からの転落事故③アルコール消毒液関連事故④トレッドミル挟まれ事故とも言われています。異物の誤嚥については好発年齢は生後6か月から11ヶ月で夕方から夜にかけてのリビングでの発生が多くなっています。2歳以上になると好奇心や興味で穴という穴に異物を入れるようになります。鼻の穴、耳の穴がその代表です。トイレットペーパーの芯の大きさまでは口に入るので気を付ける必要があります。また誤嚥物で特に注意が必要なものの1つにボタン電池があります。ボタン電池でも特にリチウム電池が危険です。電池表面に「CR2025」などの表示があります。この一番最初にあるアルファべットが「B」「C」「G」のときはリチウム電池なので注意が必要です。転落については5歳までに多発しているようです。ベランダに至るドア、窓には補助錠を付ける、足がかりとなるような室外機や植木鉢などは柵から60cm離して設置する。柵の隙間、窓の開閉は11㎝未満になるようにすることが大切です。手指消毒液としてのアルコールによる誤嚥によるアルコール中毒、噴射が眼に入る化学性眼外傷などがあり注意が必要です。その他、屋内では浴室での溺水も注意が必要で2歳以下の子供がいる場合には残し湯をしないことも大切です。子どもは昨日できなかったことが今日できるようになることを見かけるので保護者の見守りだけで
はコントロールが困難です。事故のことをよく知り予防策が大切です。今回はチャイルドヘルス令和5年4月号から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏