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山田医院だより

第23巻第12号(第275号)

HPVワクチンについて

日本ではヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは子宮頸がんワクチンという名称で広がったこともあり女性の病気を予防するための面が強調されているワクチンで実際に定期接種は女性の み と な っ て い ま す が 今 回 は チ ャ イ ル ド ヘ ル ス 令 和 4 年 12 月 号 か ら の 抜 粋 で HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)についての話題を取り上げてみます。1983年にドイツのウイルス学者であるHausen博士らが子宮頸がん組織からヒトパピローマウイルス(HPV)16と18を発見しました。以後各種研究でHPV16,18などが子宮頸部の細胞に感染することが原因で子宮頸がんが生じることが分かりました。このHPVは子宮頸がん以外にも中咽頭癌、肛門癌、陰茎癌など様々ながんの原因となっています。因みにHausen博士はウイルス発癌メカニズム理解の発端となった発見で2008年にノーベル医学・生理学賞を受賞されています。子宮頸がんについては性行為に伴いHPVに感染した細胞が高度異形成、前癌状態、上皮内癌を通して子宮頸がんとなり発症します。子宮頸がんは日本においては毎年1万人以上の発症と約3000人の死者を生じている疾患です。子宮頸がんは1次予防としてはHPVワクチンの接種と2次予防としての子宮癌検診の両者を適切に実施することで予防できる癌です。日本においては2013年からの積極的接種勧奨の差し控えにより接種率は10%以下の状況になり子宮癌健診受診率は長期間40%台と低迷している状況で子宮頸がんの増加を指摘されています。HPVワクチンの有効性データが世界中から出てきています。オーストラリア、スウェーデン、デンマーク等からの発表で子宮頸がん発症の予防効果は85%以上となっています。安全性についてはWHOからの報告でもHPVワクチンの安全性は既に確立されているとされています。日本における2つの安全性調査においても症状が出るリスクに統計学的な優位差はなかったと結論されています。副反応と疑われた症状については思春期の起立不耐症の1つである体位性頻脈症候群や身体活動低下に伴うデコンディショニングと考えられています。なおHPVワクチンの接種年齢ですが世界的には大多数が初交前の9-12歳が対象です。接種回数は日本を除くほとんどすべての国が2回接種となっています。日本においては定期接種においては小学6年生から高校1年生までとなっていて接種回数は3回となっています。なお2013年から2021年の間に定期接種の対象であったにもかかわらず接種機会を逃した平成9年度から平成17年度生まれの女性についてはキャッチアップ接種という事で3年間に限り無料で接種ができるようになりました。このワクチンについては初交前が最も有効ですが性行為の経験がある人についてもすべてのハイリスクのHPVに感染している可能性は低いためにHPVワクチンの効果が期待できるために例えば米国のCDCでは26歳までのすべの女性に接種を推奨しています。なお27~45歳の女性においても状況に応じて個別に接種の検討をすることが勧められています。なお男性については先ほど述べたようにHPVは中咽頭癌、肛門癌などの原因ともなるために接種による予防が可能ということもあり先進国を中心にすでに30か国以上で男性へのHPVワクチン接種が行われています。中咽頭癌はいわゆる扁桃腺や舌根部にできる癌ですが、この中咽頭癌の約半数にHPVが関与すると言われています。このHPVが関与する中咽頭癌は男性に多くなっています。米国では中咽頭癌は子宮頸がんよりも新規発生が多い疾患で今後日本においても注意が必要になります。なお、日本においても公費ではなく有料になりますが4価HPVワクチンのガーダシルが9歳以上の男性にも適応承認となっています。なお世界におけるHPVワクチンの接種状況ですが2019年以降に需要が急増しており2021年においての需要が9000万接種に対して出荷量は6000万接種に満たず不足となっています。このためにWHOでは最も必要とされている15歳未満の女子にワクチンを届るために男子へのワクチン接種プログラムやキャッチアップ接種の一時中断を求めるなど重要性に応じた優先順位をつけてされているのが現状です。日本においてはコロナワクチンにおいても最高5回までの接種が始まっており、また乳幼児の接種も始まっていますがワクチンの廃棄も多く無駄が多い状況です。一方、世界的には1回の接種もできていない国も多くあります。このHPVワクチンについてもキャッチアップ、接種回数など多くの課題がある状況です。日本は世界的にとても恵まれた状況であることに感謝が必要だと日々感じています。

山田医院 医師 山田良宏

山田医院 医師 山田良宏

年末年始で忙しい毎日を過ごしていると、ついつい食事をおろそかにしてしまっていませんか? 仕事で夜遅く帰宅したり、家事が忙しくて朝食の時間が取れなかったり、やっと食事の時間が取れたと思ったら、ついつい自分が好きなものばかりを食べ過ぎてしまったり、このように、食生活が乱れていると生活習慣病のリスクが高まります。以下のポイントに気を付けながら食生活を見直してみましょう。
① 朝食は必ず食べる
前日の夕食が遅かった、朝の支度で時間がないなどにより、朝食を抜いてしまう人も多くいると思いますが、朝食は体を目覚めさせ、生活リズムを整える働きがあります。必ず食べるようにしましょう。脳のエネルギー源になる炭水化物(ごはんやパンなど)は必須。一緒にたんぱく質(肉・魚・卵など)も食べると体温が上昇し、代謝もアップします。
② 野菜を積極的にとる
野菜を日頃からとることは、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病の予防にもつながります。1日350g以上食べると良いとされています。彩りを意識して多くの種類の野菜にしましょう。生のままでは量が多いため、温野菜にする、ミキサーでスムージーやジュースにするなどの工夫をすると食べやすくなりますよ。
③ 塩分は控えめに
塩分のとりすぎは高血圧、脳梗塞、心筋梗塞、胃がんなどを引き起こすリスクが高まります。ソースやしょうゆなどは「かける」より「つける」、こしょうなどの香辛料や、酢やレモンなどの酸味を利用して味に変化をつけるなど、上手に塩分を減らしましょう。
④ 糖質&脂質は控えめに
糖質や脂質のとりすぎは、肥満、糖尿病、脂質異常症などを引き起こすリスクが高まります。糖質&脂質の塊ともいえる甘いお菓子やスナック菓子はなるべく控え、食べる場合はあらかじめ量を決め、小皿に出すなど食べ過ぎないように工夫をしましょう。血液中の脂質であるコレステロールや中性脂肪は、細胞の原料やエネルギー源など、体に不可欠なものですが、バラ
ンスが崩れると動脈硬化のリスクが高まります。血液をサラサラにする、青魚を積極的にとりましょう。バランスのとれた適切な質と量の食を、1日3食規則正しく食べることが“健康なからだ”の基本となります。健康なからだで2023年も元気に過ごしましょう!

山田医院 医療事務 永野葵

狭心症について

験はありませんか? 狭心症とは、心臓に血液を送って酸素や栄養素を届ける冠動脈が詰まって狭くなり、十分な酸素や栄養分が届かなくなる病気です。冠動脈は大きく3本ありますが、詰まった箇所が多いほど重篤です。狭心症の症状しては、
①労作性狭心症→階段を上がったり、重いものを持ったり、運動をしたり、心理的なストレスをうけたりしたときに、胸のいたみや圧迫感を覚えます。
②不安定狭心症→労作性狭心症と違い、痛みが強くなる、発作の回数が増える、少しの動作や安静状態でも発作が起こるといった、痛みや圧迫感のパターンが変化します。
③冠攣縮性狭心症→安静時、特に夜間や早朝、明け方などに胸の痛みが起こります。痛みで目が覚めることもあります。
痛む場所は、主に胸の中央部から胸全体にかけてで、重圧感、圧迫感、絞扼感(締め付けられるような感じ)を伴います。ときには、背中や上腹部、左の胸の内側などが痛むことがあり、また、まれに首や顎に痛みが出ることもあります。呼吸が苦しい、冷や汗や脂汗が出る。吐き気がする、胃が痛むといった症状を訴える人もいます。寒い冬の夜、暖かいレストランでたらふく飲み食いし、食後タバコを一服すって店を出て、冷たい夜風にさらされたとたんに発作を起こす、といった事態が最も典型的な発症例と言えるでしょう。 狭心症の原因としては、ほとんどが動脈硬化です。動脈硬化とは、高血圧その他のさまざまな要因で血管が柔軟性を失い、硬くなってしまった状態です。動脈硬化が進むと、血管の厚みが増し、血管を狭めます。また、コレステロールが溜まって、血管壁の内側に、脂質からなるコブのようなものができます。このコブを「プラーク」と言います。プラークが大きくなって破れると、そこに急速に血の塊(血栓)ができ、血管が塞がれてしまいます。この状態が心筋梗塞です。狭心症の前兆は、胸の痛みや、胸が締め付けられるような圧迫感です。しかし、安静にしていれば治まることが多いので、軽く考えて放置してしまう人が少なくありません。高血圧、肥満、糖尿病、高脂血症、抗尿酸血症、ストレス、喫煙、家族歴、などのリスク要因を抱えていると、発症しやすいと言われています。思い当たる症状のある人は、医師に相談することをお勧めします。

山田医院 看護師 橘 智子

感染性胃腸炎

最近はすっかり寒く冬らしくなりましたね。11月が暖かかったので余計に寒く感じます。
寒くなると、風邪だけでなく胃腸炎も流行ってきます。最近はサポウイルスによる胃腸炎が出ているそうです。私は知らなかったのですがサポウイルスは20年前ぐらいから知られているウイルスで、ノロウイルス同様に嘔吐・下痢を主症状とする胃腸炎です。特に乳幼児の感染性胃腸炎の原因となるウイルスのひとつです。
他にもノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルスがよく知られていますが、いずれのウイルスによる胃腸炎でもほぼ同じような症状で、嘔気・嘔吐・下痢・腹痛・発熱など…。
感染経路として、いずれのウイルスも人から人へ移ります。例えばウイルスのついた手で調理をすることで食材にウイルスが付着しそれを口にして感染するケースや、嘔吐物が飛び散った飛沫を吸い込むことで感染したり、きちんと処理しきれなかった嘔吐物や便に含まれるウイルスが乾燥して空気中を漂い、それらを吸い込んだり手で触れたりして体内に入ることでも感染します。
感染を予防するには、◎石鹸による手洗いを徹底する:十分に泡立てて洗い手の脂肪などの汚れを落とすことでウイルスをはがしやすくする。しっかり水分を拭いてからアルコール消毒するとさらに効果的◎食品は十分に加熱し、調理器具は消毒をする:牡蠣やアサリなどの二枚貝を食べる際には中心部が85~90℃で90秒以上加熱すること◎感染者の吐しゃ物を適切に処理する:処理する前には手袋・マスク・エプロンできれば足カバーなどをしてペーパータオルを使ってすべて取り除き、床や壁などは0.1%濃度の次亜塩素酸ナトリウムを使って消毒し、ごみ袋に入れて消毒液をかけて殺菌する。最後に必ず手洗い・うがいを行う。
嘔吐・下痢が続くときの注意点として◎脱水症状のサインを見逃さない:軽度の脱水症状は皮膚の乾燥・めまい・ふらつき・手足の冷え、悪化すると尿の回数が減る・頭痛など◎水分とミネラルをバランスよく補う:経口補水液がおすすめ◎最初から下痢止めを使わないこと:無理に止めるとウイルスが腸管内にたまってかえって回復を遅らせてしまう可能性がある。
食事は少しずつ回数を分けて摂取するようにします。嘔吐の症状がみられる間は一度にたくさんの水分を摂るのではなく、5分おきを目安に少しずつ、乳幼児はスプーンやスポイトを使ったり、ペットボトルのキャップ一杯ずつ与えてみましょう。この時冷たい飲み物は腸に刺激をあたえるため、常温か温めてから飲むようにしましょう。(経口摂取ができなかったり、脱水症状がみられた時は点滴などが必要な時をあるので受診しましょう)嘔吐が治まったら、消化の良いものを少しずつ食べ始めます。下痢の症状がひどい時は重湯・味噌汁の上澄み・具のない野菜スープなど固形物のないものにし、腸への負担が少ないものから摂取します。症状が少しずつ改善してきたらおかゆ・パンがゆ・煮込みうどん・白身魚・鶏ひき肉などから食べて様子をみましょう。嘔吐や下痢が続くと食事や水分が十分に摂れず、体力を消耗してしまい、腸が受けたダメージが回復するまでには一般的に1週間から10日ほどかかるといわれています。年齢や免疫力によっても回復には個人差があるので無理せず、しっかり休養をとるようにしましょう。

山田医院看護師 三栖佳子

気管支にきのこ??

数年前からひどい咳に悩まされてきた私の姉。本人いわく、咳をしすぎて肋骨が折れてる、、かと思うくらいのひどい咳。医院では咳喘息との診断で、服薬して数か月かかりましたがやっと咳が止まりました。
なのに、今年の秋また同じ症状が、咳喘息の治療をしつつ、1泊の検査入院で原因は何かを調べることになりました。検査結果はなんと、スエヒロタケというキノコの胞子が器官に寄生!していたそうです。人の体にきのこ??あまりにびっくりしたので調べてみました。
人に感染するキノコは「スエヒロタケ」「ヒトヨタケ」の2種類が知られており、日本国内でもいくつもの事例が確認されている。スエヒロタケによる『肺スエヒロタケ感染症』はアレルギーによる気管支肺アスペルギルス症と同様に、人や犬に寄生して感染症を引き起こします。きのこの菌糸が気管支に住み着いて、咳や痰が長く続き喘息症状がでたり、レントゲンに影がでることもあるそうです。人間の足からキノコが生えてきた事例や海外では肺炎から脳炎になり死亡した事例もあるとか。
スエヒロタケによる感染は健康な人だときのこの胞子を吸い込んでも免疫が胞子に勝ちます。が、スエヒロタケの胞子は免疫に対して耐性が強く、生き残ることがあるので注意が必要だそうです。発生率としては中高年に多く、女性は男性患者の約2倍を超えるようです。予防するにはキノコの胞子が飛んでる場所に行かないことだそうですが、日本では難しいとか。ちなみにキノコを食べることと感染は全く関係ないそうですのでご安心を。
普段から気管支や肺を傷めないように注意して、しつこい咳や痰のときはかならず医院を受診すること。気管支炎、気管支拡張症などを持っている人は特に注意が必要だそうです。

山田医院医療事務 東川敏美

社会手当について

社会手当制度とは所定の要件に該当する場合に主に税金を財源として金銭を給付する制度です。健康保険との違いは国民からの保険料などの拠出が前提とされていない事でまた生活保護との違いは受給する人に対する資金調査がないことです。社会手当制度には児童に関する児童手当、児童扶養手当、障害者を対象とする特別児童扶養手当、障害児福祉手当がありいずれも手続きは区役所窓口になります。児童手当の対象児童は0歳から中学校卒業までで児童を養育している人に支給されます。所得上限額がありますが月額で3歳未満は15000円、3歳以上小学校終了までは10000円、中学生は10000円です。ひとり親の家庭を支援する制度として児童扶養手当があります。当初は母子家庭だけでしたが2010年からは父子家庭も対象となっています。需給は18歳に達する日以降の最初の3月31日までにある児童を扶養している人ですが児童に心身の一定の障害がある場合には20歳未満までが対象となります。障害児に対する社会手当としては特別児童扶養手当があります。20歳未満の身体あるいは精神に障害がある児童を家庭で養育している父母に支給されます。対象はおおむね身体障害者1,2,3級になります。障害児童福祉手当は障害のために必要となる精神的、物質的な特別な負担の軽減の一助として支給されるもので障害児本人に支給されます。なお自治体によっては児童育成手当、災害遺児手当などがあります。社会手当については区役所等の専門機関での相談が大切です。

山田医院 医師 山田良宏