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山田医院だより

第22巻第11号(第262号)

SpO2モニターについて

新型コロナ感染症の流行に伴いSpO2モニター(パルスオキシメーター)が一般に広く知れ渡りました。「沈黙の低酸素血症(silent hypoxia)」と言って高度の低酸素血症状態にもかかわらず息切れなどの自覚症状がほとんどないために自分ではその危険性に気がつきにくい状態がありこの状態を把握する方法としてこのモニターが使用されました。この「沈黙の低酸素血症」は実は安静時には呼吸困難を感じないのですが歩行などの体動にて呼吸困難を感じます。新型コロナ感染症においては自宅安静であることが多く移動も少ないためにこの低酸素に気がつかないことが多いために「沈黙の」低酸素血症という名前が付けられています。なお大阪においても自宅待機者には保健所から無料での貸し出しがあり自宅での測定が推奨されてもしSpO2が96%未満になれば中等症という事で入院を考慮される目安にもなりました。このパルスオキシメーターは以前から医療機関においては広く使用されており平成8年に私が引き継ぎ開業をしたときには1台10万程度していました。往診時に当初から使用していますがよく「これは血圧計ですか?」と聞かれたものです。現在ではネット販売では1万円未満で発売されていて小学生でも時々知っています。このモニターは赤色のLEDを解析して経皮的に動脈血酸素飽和度を測定します。この測定値は実際に動脈血中の酸素飽和度(SaO2)とほぼ相関しますが、動脈血の酸素飽和度が低値になるほど実測とモニターの値に差が生じます。SaO2が70%を割るとあてにならなくなります。パルスオキシメーターの使用時の注意点としては①装着してから動脈拍動を検出してから20-30秒してからの安定した値を測定値とする。②屋外などで太陽光が当たらないところで測定する。③手足が冷たくなっていると測定値が変動するので暖かい指を使用する。あるいは温めてから使用する。④指のむくみがあると測定値が乱れるのでむくみの少ない指を使用する。⑤爪のマニュキュア、白癬では値が異なります。(緑、青、茶色のマニュキュアは低値になります。)⑥測定部位が振動していると値が乱れます。⑦メトヘモグロビンがあると値に変化が生じます。(ニトロールなどの亜硝酸薬、プロカインなどの不整脈薬を服用時)特に既往歴がない健常人であれば平時のSaO2の数値が96%以上であることを確認して、普段と異なる症状があり平時のSaO2よりも3-4%下がる場合には受診が必要になります。なお、通常の状態においては低酸素血症になると頚動脈小体などの化学受容体が刺激され、この刺激が中枢神経にフィードバックされて呼吸中枢が刺激して呼吸回数の増加ならびに呼吸が深くなり酸素をより取り込むように自然に対応をしますこの時に呼吸困難感を自覚するようになります。モニターでSaO2が低下しているときにはまず上記のモニターの使用時の注意点の確認となります。通常は低酸素血症時には呼吸困難感などの自覚症状に加えて意識変動、血圧変動、頻呼吸などのいろいろな症状が出現するために医療従事者はSaO2だけで判断するのではなく呼吸数、意識状態などの全身状態に加えて胸部(肺、心臓)などを中心に診察をして異常の有無を確認します。特に呼吸回数は重要で通常の成人は1分間に14-20回の呼吸をしますがこれを超えて呼吸をしている時には異常を考える必要があります。逆にが正常であっても呼吸回数が多いときには呼吸不全を考えます。SaO2が正常でも低酸素血症あるいは呼吸不全がある場合とは心不全に伴う心拍出量の低下、膠原病等に伴う臓器の血流不全、貧血がある場合には酸素の供給量が低下するためにSaO2は正常でも低酸素血症や呼吸不全と起こします。なお、健康な人が軽度の肺炎になってもSaO2はほとんど変化がありません。この酸素飽和度モニターは実臨床だけではなく家庭においても役に立つと思いますが値だけに固執せずに異常が出た時にはこの異常についての原因並びに対応を考えることも必要です。また分からないことがあればかかりつけ医師に相談をしましょう。今回は日本醫亊新報令和3年11月2週号から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏

上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)

上腸間膜動脈症候群とは腹部大動脈から分岐する上腸間膜動脈が十二指腸の一部を圧迫してしまい消化管の通過障害が生じた状態を指します。聞きなれない病名ですが食後の胃もたれや吐き気、腹痛などのため胃カメラの検査を行っても異常がなく、ストレスやうつが原因と診断される一部の患者にこの病気の人がいます。十二指腸は腹部大動脈とそこから45~60度程度の角度で分岐している上腸間膜動脈に挟まれています。この部位には通常は脂肪組織やリンパ組織が存在し十二指腸への圧迫が生じないようにクッションとしての役目を果たしていますが脂肪組織が少ないと緩衝材としての役目を果たすことが出来ず上腸間膜動脈症候群を引き起こすと考えられています。上腸間膜動脈症候群は脂肪が急激に減少することが一つの原因と考えられています。ダイエットによる急激な体重減少、側弯症などの解剖学的な異常、腹部手術の既往歴、長期臥床、膵炎、胃潰瘍などさま様々な原因が考えられます。症状としては十二指腸における食物の通過障害に関連したものが主な症状です。食事を摂取してもうまく食物が通過しないため吐き気や嘔吐、上腹部の痛み、腹部膨満などの症状を認めるようになります。これらの症状は仰向けで悪化しうつ伏せや左側を下にすると改善するのもこの疾患の特徴です。診断には腹部単純レントゲンや超音波検査、腹部CTといった画像検査が有用で症状から上部消化管内視鏡検査が行われることもありますがこの疾患の診断にはあまり有用ではありません。治療としては原因となっている状況を取り除くこことにより解消します。適度の体重を維持し、急激な体重減少を避
けること。一度にたくさん食べ過ぎないこと。お腹の締め付けを避け姿勢を前のめりにしないように注意し特に食後はリラックスした姿勢をとること体位は前述のように仰向けにならずうつ伏せや左側を下にするようにします。また栄養チューブを狭窄部位に挿入したり点滴治療を行なったりする場合もあります。中には腸蠕動調整薬や整腸剤が有効な場合もあります。重症例に対しては手術により十二指腸の狭窄を解除するような治療も検討されます。上腸間膜動脈症候群が長期間持続すると栄養失調や脱水、電解質異常、誤嚥性肺炎などの健康被害起こすことになります。また嘔吐すると腹部症状がなくなることも多いため精神的な物で吐いているのだろうと誤解をうけることもまれではなく精神的な病気として治療を受けることもあります。そのためこのような症状がある場合は適切な検査、治療を行うことが重要です。まずは身近なかかりつけ医に相談されることをお勧めします。

山田医院 看護師 中島早苗

免疫力アップするには

ようやくコロナウィルス感染症が下火?になってきたようですが、このままおさまっていくのでしょうかそれとも・・・。海外ニュースが伝えてましたが、ヨーロッパでは再びコロナウィルス感染症が増えてきているようです。日本もそうなるのでしょうか?感染しない、たとえ感染しても重症化しないために、ワクチン接種だけでなく、健康管理も大切です。治療薬の開発も進んでいるようですが、自分自身が出来ることをコツコツ実践し防衛していきましょう。今までしていたマスク着用、手洗い、換気などの予防手段はもちろんのこと。「免疫力アップ」に努めましょう。免疫力は腸内細菌と密接な関わりがあります。新型コロナ感染症は腸内環境が悪いと重症化しやすいそうです。腸内環境を整えることは「免疫力アップ」だけでなく、嬉しいことにアンチエイジング効果もあるそうです。望ましい腸内環境とは腸内細菌の多様性が保たれていること、ヒトの大腸には、約1000種類ともされる腸内細菌が共生しています。O157のような病原性の細菌は別として、腸内細菌の種類や数が減ると健康に悪影響を及ぼします。近年この多様性は環境の変化の影響を受けて、乏しくなってきました。望ましい腸内環境を作ることをめざしましょう。まず食生活の改善です。健康には善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)が占める割合を増やすことが重要です。善玉菌が腸内で生き続けるには、餌がいります。餌は水溶性食物繊維です。ゴボウ、にんじん、オクラ、ホウレン草、などの野菜類。納豆など豆類、里芋、こんにゃく、海藻、キノコ類をしっかりとりましょう。日本食は魚や豆類が多く、その上様々な発酵食品があります。日本食中心の食生活を送ってみてはいかがでしょうか。あまり善玉菌のことばかり考えて食生活を送るのも、ストレスになり、かえって腸内環境が悪くなってしまうかもしれませんが、杓子定規にならずにつづけていきましょう。腸内環境の改善は、お腹の調子を整えるだけでなく、10年後の健康維持につながっています。

 

山田医院 助産師 清水ユタカ

冬の血圧管理!

寒い日が増えてきましたがみなさん体調はいかがですか?冬は気温の低下や空気の乾燥、日照時間の減少など、私たちの体にとって厳しい環境になります。中でも気温が低下する冬に影響を受けやすいのが「血圧」です。今回は冬の血圧管理についてご紹介します。

血圧とは?
血管の中を流れる血液の勢いが動脈の壁に与える圧力のことを血圧といいます。心臓が全身に血液を送り出すために収縮したときの血圧が最も高い血圧になり、収縮期血圧(上の血圧)と呼ばれています。それに対して、全身から戻った血液が心臓内に溜まり、心臓が拡張しているときの血圧が最も低い血圧になり、拡張期血圧(下の血圧)と呼ばれます。
血圧は、昼間は交感神経が優位になるため上がり、夜は副交感神経が優位になるため下がるという1日のリズムがあります。一方で、血圧はさまざまな要因によっても変化します。例えば、急激な温度低下、緊張や興奮、激しい運動、飲み過ぎ、睡眠不足、ストレスなどによって、血圧は一時的に高くなります。冬の血圧管理が必要なワケは?
寒くなると血管を収縮させ、熱の放散を防ぐ仕組みがあります。その際、血管の収縮に伴って、血圧も上がります。例えば、暖かい室内から急に寒い外に出たりすると、血圧は急上昇し、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす原因となります。このような急激な温度変化による血圧変動で起こる健康被害を「ヒートショック」と呼びます。特に、注意したいのが起床時です。寒い日に起床してすぐ布団から出ると、急激な温度変化によって血圧が急上昇します。他にも、熱い湯船や寒い脱衣所といった温度差が生じやすい場所には注意が必要です。ヒートショックは誰にでも起こる危険性がありますが、特に高血圧、糖尿病、脂質異常症などの疾患がある方や高齢者は注意しましょう。

冬場の心筋梗塞、脳梗塞の予防方法
・屋外に出るときはしっかりと防寒対策をとる。
・短時間外に出るときでも防寒対策をしましょう。
・室内だけでなく、トイレやお風呂の脱衣所も暖める。
・起床してすぐに行動することを避ける。
・お風呂の温度は40℃以下のぬるめのお湯につかる。

湯船から出るときは急に立ち上がらずゆっくりと出ましょう。
などがあります。以上のことにを付けて冬は血圧の管理を意識してみましょう!

山田医院 医療事務 宮脇若菜

新型コロナワクチン3回目接種について

10月28日に開催された第25回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において3回目接種の審議が行われたところで、実施については2回目の接種から概ね8か月以上してから行う事となりま
した。令和3年12月から第2回目接種完了者全てに対して追加接種の機会を提供していくとの見解が示されました。大阪市においては11月中下旬から医療従事者等に「接種券一体型予診票」の送付が開始となります。いままでは予診票と接種券が別々になっていましたが今後は一体型になります。12月1日から3回目の接種が開始となります。なお、3回目の接種についてはこの接種券一体型予診票がない方は接種できないことになっています。大阪市においては高齢者を含む一般市民の1回目接種は5月24日からで2回目は6月14日からとなっています。このために基本的には早い人でも2月14日からとなります。このために高齢者への接種券一体型予診票の送付は令和4年1月頃になるようです。なお当初認められていなかった交互接種(1,2回目の接種はモデルナ社で3回目はファイザー社など)については認められることになりました。なお当面は18歳以上の方にのみ3回接種となっています。当院においてはネット予約を中心にしてネットを使用できない人に限り電話あるいは直接の受診での対応を考えています。ネットについては山田医院のホームページを参照ください。なお、まだ1回目の接種をされていない方については3回目と同時期に並行して行いますので希望者はネットを介しての予約をお願いします。

吃音について

吃音とは呼吸器や発声器官に異常がないにもかかわらず発話時にスムーズに言葉が出ない症状です。中核症状としては「おおおおおおおお母さん、、」などのように言葉の一部を繰り返すタイプ、「お・・・・・・・母さん」などのように言葉の一部を引き延ばすタイプ、「・・・・・・・お母さん」など言葉が出てこなく最初の音だけが大きくなったりするタイプがあります。一方幼児期には言いたいことがうまく言えずに「えーと」のような言葉を入れたり、「お母さん、お母さんが言ったよ」などのように言葉全体を繰り返したり、「おお母さん」のように回の繰り返しがあったり、「お母さんが、お母さんに」のように言い誤りがあったり、「・・・・お母さん」と間があったりしますがこれらは正常範囲の非流暢性と言われています。吃音の原因の基礎には本人の体質的要因がありそこに言語の急速に伸びる時期の言語的要因、環境要因など多数の要因が考えられています。過去には「母親が吃音と診断して対応したために本当に吃音となった」という説が流行しましたがこの母親の教育方法の間違いは現在は否定されています。吃音は10人に1人程度発症、男児に多くなっています。またほとんどが2-4歳代に発症いますが7-8割が成長と共に自然に消失すると言われています。吃音への介入方法は進展時期により異なりますが基本的には「吃音による生活上の困り感を減らす」ことになります。幼児早期(発症から1年以内)においてはまず、ゆっくりとお子さんの話を聞く時間を持ちましょう。(出来たら1対1で話ができる時間を)つかえても遮らず最後まで聞きましょう。(聞き終えたら「~なのね。」を話の内容を繰り返してあげましょう。)また話し方のアドバイスはしないようにしましょう。質問の数を減らしましょう。得意な言葉を見つけてあげてたくさん褒めましょう。など、幼児期後期からの対応は周囲の環境においての調整も大切になります。言葉の対応は難しいものです。悩むときにはかかりつけ医師にも相談をしましょう。今回はチャイルドヘルス令和3年10月号から抜粋しました。

 

山田医院 医師 山田良宏