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山田医院だより

第22巻第9号(第260号)

花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)について

花粉-アレルギー症候群(PFAS:ピーファスと呼びます)と言われてもなじみがない方が多いと思いますが子どもでも5-20%に見られるアレルギー専門医では広く知られた病態です。PFASは花粉症の方が花粉のたんぱく質の構造と類似したくだものや野菜を摂食した際に交差反応のためにアレルギー症状を起こす疾患です。よくある例としてはハンノキ/シラカバの花粉症がある方がバラ科のリンゴ、桃などを食べた際に口腔内の違和感、痒みなどを感じるパターンです。口腔アレルギー症候群(OAS)が食物アレルギーの特殊型に分類されていますが、これは食物アレルギーの症状が口腔咽頭粘膜の過敏症状から始まるすべてのものを包括しています。OASは原因がくだもの、野菜ではなく魚、甲殻類、ラテックスなどの場合もあります。またPFASの多くは口腔咽頭粘膜の過敏症状(OAS)から始まりますが一部の例においてはOASはなくいきなり全身症状が見られることもあります。日本においてPFASで最も多いのはハンノキ/シラカバ花粉症に交差反応がある食物アレルギーで症状としては口腔咽頭粘膜の過敏症状の症状が多くなっていますが目や鼻のアレルギー症状も見受けることがあります。このPFASの診断は血液検査/皮膚テストで行います。血液検査においては食材と共に花粉の特異的IgEを検査します。ただし、食材の特異的IgE抗体は感度が低いために食材に含まれているアレルギーに関与しているコンポーネントに対する特異的IgE抗体を測定することになります。皮膚テストの場合には新鮮な食材を使用して行います。一般にPFASの原因タンパク質は熱不安定、易消化性であることが多く加熱することで多くの患者さんは原因食物を摂取することが可能ですが加熱の状態によっては症状が出現することもありアナフィラキシーの既往がある人はボスミン注射(エピペン)の保持が必要です。色々な議論があるようですがPFASの始まりは花粉感作と考えられています。日本においてPFASの原因として最も多いシラカバ花粉とハンノキ花粉についてですが、これらはカバノキ科樹木でいずれも風に乗って遠方まで運ばれます。そのためにカバノキ科樹木がない地区においても花粉症がおこります。シラカバは中部地方より北部にある樹木であるために見かけることはありませんがハンノキは山地、公園などにも多く、またヤシャブシは西日本の太平洋側に広く自生する樹木で街路樹としても使用されています。カバノキ科樹木花粉症ではスギ花粉症で見られるくしゃみ、鼻水、鼻閉、目のかゆみだけではなく咳が主症状となることもあり数か月にわたる咳嗽の原因であることもあります。2月前から乾いた咳が続く場合にはカバノキ科のアレルギーの可能性もあります。このカバノキ科花粉と交差反応があるのはバラ科のリンゴ、サクランボ、もも、なし、マメ科の大豆、ピーナッツ、マタタビ科のキウイフルーツなどがあります。この抗原は熱を加えたり消化酵素と触れるととても壊れやすいために生でない場合には症状を起こしにくくなっています。ただし、大豆製品について豆腐や豆乳など加工してあっても症状を起こしやすいので注意が必要です。ヨモギやブタクサなどのキク科の花粉は秋の代表的な花粉症ですがこれらは飛散距離は短くその植物が生えている周辺でのみ飛散します。日本においてはカバノキ科樹木の花粉症に比べると少なくなっていますが全身症状を起こす場合も多く注意が必要と言われています。イネ科植物は世界的に広く分布していて草原の生態系の約20%を占めていて花粉は風によって媒介さえる風媒花であるために花粉は多数作られて数100m以上移動するようです。ヨーロッパでは一般的な花粉症は日本のスギ花粉とは異なりイネ科花粉症となっています。日本においては9-10月に花粉飛散のピークがあります。イネ科花粉と交差反応があるのはウリ科のメロン、スイカ、ナス科のトマト、ジャガイモ、マタタビ科のキウイフルーツ、ミカン科のオレンジ、マメ科のピーナッツなどです。有病率で最も多いスギ科花粉と共通抗原が証明されているのはトマトのみです。最後に最近話題となっている豆乳によるアレルギーについてですが、大豆アレルギー自体は子どもでは減少傾向であり食物アレルギーの2%とされています。ただし最近では成人を中心に花粉抗原との交差反応によるアレルギー症状が多くなっています。女性が圧倒的に多く、リンゴなどのくだものによるOASを合併する人が多く、症状としては半数にショックを起こします。多くは生の豆乳の飲用でおこります。ただし、豆腐は安全に食べる事ができることも多いのが特徴です。この豆乳アレルギーはくだものによるアレルギーなどとは異なりショックに至る重症例が多いので注意が必要となっています。PFASの治療について免疫療法はまだ確定しておらず基本的には除去食対応となります。また全身症状を引き起こすタイプではアドレナリンの自己注射(エピペン)の使用も必要となります。何らかの野菜あるいはくだもので口の中がかゆくなる、のどの違和感を感じるなどの症状がある方は一度担当医師に相談をしてはどうでしょうか。今回はチャイルドヘルス令和3年9月号から抜粋しました。

山田医院 医師 山田良宏

外反母趾について

外反母趾は、足の親指が小指側にくの字のように曲がっている状態です。足の形をみると、親指の付け根にある関節部分が出っ張っています。靴を履くと、この出っ張りが内側にあたって、皮膚が赤くなる、神経が圧迫されて痛みが生じるなどのトラブルが起こります。いったん曲がり始めた足の指は、何の手当もしないと、より外側に曲がっていくことが多く、自然に治癒することはありません。さらに症状が進むと歩くことが困難になることさえあるので、注意が必要です。
どうして外反母趾になるの?足には、親指から小指にかけて横のアーチがあります。この横のアーチが崩れることで、足の扇のように広がっていきます。横に広がったままの状態で、親指の先端が小指側に傾いていき、その結果外反母趾が起こるのです。
では、どういう人がなりやすいのか?ハイヒール、ミュールなどのヒールの高い、先の細くなった靴を好んでよくはいている人は、親指に余分な負担がかかり、横アーチが崩れやすくなります。デザイン重視のために合わない靴を履くのは、とても危険です。他に、年齢的な筋肉や靭帯の衰えも、誘因の一つです。また、母親や祖母などが外反母趾という遺伝的な体質の人なども注意が必要です。
足に合う靴の必須条件は甲の部分がぴったりあうことです。外反母趾でも甲をしっかり締めると、横アーチが、復活し、親指の曲がりが修正されることがあります。ですから、靴を購入するときには、甲の合う靴を選ぶことが重要です。それには、ひも靴がおすすめですが、ひも靴以外の靴を選ぶときにも、甲が合うことを忘れないで下さい。
足に合わない靴は外反母趾を招き、足に合った靴は外反母趾の進行を抑えます。どんな靴が履くかによって、足の健康状態が決まってくるので注意しましょう。

山田医院 医療事務 阿知波真弓

体質は毎日の食事がつくる !

長引くコロナ禍生活で感染予防対策に合わせて、感染に対する体力や免疫力UPにも努めなければなりません、その体力つくりに必要なものの中に食事があります。自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は活動する時に働いて行動や運動の担当で血管を収縮して血圧や心拍を上昇させて食欲は抑制されます。副交感神経は休む時に働いて休息や食事の担当で血管を拡張して血圧や心拍を低下させます。また、胃腸の働きを活発にしますので食事に必要な消化機能は副交感神経の支配下にあり、食べることで副交感神経が活性化します。肉食主義か菜食主義かで体格だけでなく性格やかかりやすい病気までも違うとも言われています。肉や野菜かで交感神経、副交感神経のどちらかが優位になることに関係していると考えられます。これはあくまでも傾向であり、肉食か菜食かだけですべてが決まるわけではなく、食生活以外にも生活の方法やストレスのかかり具合などでも変化します。
食生活の乱れは自律神経の乱れ
腸管は胸腺、脾臓、リンパ節などと同様に免疫細胞が集まる身体器官で、全身の免疫細胞の六割がここに集まっています。さらに腸管の免疫細胞は、加齢の影響を受けにくい特徴があると言われています。これらの理由により毎日の食事次第で免疫力は上がりもするし下がりもします。甘いものや揚げ物、脂肪の多い肉食中心の食事、野菜不足、まとめ食いや朝食抜きなどの食生活の乱れは、自律神経の乱れを招く原因になります。また、免疫力を高めるからと多量に食べたり、体にいいからと同じ食材ばかりに偏るなど、バランスの悪い行き過ぎた食べ方についても改めなければなりません。それだけに規則正しいバランスのとれた食事の習慣が免疫力を上げて、偏食や過食バランスの悪い食事は免疫力を下げます。
体調が良いと感じる時は交感神経と副交感神経のどちらかに固定されているのではなくて、公園でみる遊具のシーソーのように揺れながら、なんとかバランスを保たれているのが自律神経です。
食事の大切さは色々言われていますが、食事内容がその人の免疫力にそのまま投影されるからだと考えます。例えば、単身赴任の男性や学生生活で一人暮らしになって飲まず食わずではないが、生命維持やエネルギーになる、つまりお腹を満たす食事はとっているわけです。このことは満腹になるだけの食事では免疫は働かず、健康を維持していくことが難しくなります。奥さんや母親が作ってくれたバランスのいい食事で副交感神経が優位になって免疫力が維持されていたのに、一人になって外食やコンビニ弁当中心の食事では副交感神経が優位になりにくく、以前のように免疫力が維持されなくなります。
今後、数年はこのようなコロナ禍生活が続く恐れがあるとも言われています。その上冬季には感冒などの呼吸器疾患の流行も控えています。それらに備えて少しでも免疫力UPにつながる食生活について考えたいものです。

山田医院 看護師 畑中幸子

冷えによる体調不良から身を守りましょう

冷え症は寒い時期の代表的な症状ですが夏場では服装や食事が「冷え」に対して無防備になりがちで低めの温度のエアコンや冷たい飲み物、食べ物などにより、体温の低下や血行不良を起こす人が多く見られます。9月に入り体には夏の疲れが溜まっているうえ、昼夜の気温変化も激しくなります。季節の変わり目には、しっかりとした体調管理をしないと「冷え」による思いがけない体調不良につながります。エアコンを長時間使用していると、自律神経系の交感神経が働き、体温を体の中から逃がさないように血管が収縮します。このため血流は悪化して、冷え症を起こすのです。また自律神経の乱れは、他にも基礎代謝や新陳代謝を低下させてしまいます。冷えによる体調不良がないかをチェックしてみましょう。

1.身体がだるい、やる気が起こらない
2.なかなか寝付けない、眠りが浅い
3.手足やお腹、腰の周りが冷たい
4.食欲がない
5.消化不良を起こしている

冷えから身を守るためには体を温め血行を改善することが大切です。次のポイントを参考にして健康維持に努めましょう。

・首、手、足から冷えるので、その部分の保温をしっかりとしましょう。
・いつまでも夏用の寝具・パジャマは使わないように注意しましょう。
・エアコンの使用は暑い日だけにして、設定温度も高めにしましょう(外気との温度差は5度以内に)。
・ウオーキングやストレッチなど軽い運動を心がけましょう。
・38~40度くらいのぬるめの湯でゆっくりと半身浴をして、体の芯から温めましょう。
・十分な睡眠をとりましょう。
・体を内側から温める食材をとりましょう。
・体を温める食材としては、ニンジン、カボチャ、ダイコン、カブなどの根菜類、ヤマイモ、サトイモ、サツマイモ
などの芋類、シソ、ショウガ、ニンニク、ネギ、タマネギなどの薬味野菜があります。
・疲労回復力をアップさせるビタミンやミネラル,抗酸化物質,酵素,良質なたんぱく質が豊富な食材をとりましょう。

山田医院 医療事務 杉山恭子

つらい肩こり

最近、私はひどい肩こりに悩まされています。元々肩こり・頭痛もちですが最近特にひどく、肩にずっと重りがのっているようです。じんわり頭痛もしています。新型コロナウイルスの影響で今まで週に1・2日していた運動をしなくなったので体が硬くなったから?整骨院で筋肉のほぐしやマッサージをしなくなったからでしょうか?そこで最近、自宅でヨガを始めましたが腕を上に上げたり横に伸ばしたりしてその姿勢を保つのも痛いくらいです。
肩こりのほとんどは肩周辺の筋肉のこわばり、筋肉の血行不良によるものといわれています。血行不良により、筋肉に老廃物が蓄積し、蓄積した老廃物によって血管が圧迫されることが肩こりの痛みの一因といわれています。ひどくなると、吐き気や頭痛を伴うこともあります。
肩こりの原因にはいろいろなことが考えられます。①同じ姿勢を長時間継続する②眼精疲労③運動不足④ストレス⑤冷え性⑥ホルモンの乱れ…など
肩こりを改善する方法として①ストレッチやマッサージ・ツボ押し:リンパの流れを刺激するのも効果的。肩を大きく回して筋肉を温め、左右の鎖骨のくぼみを肩の上部から鎖骨の方向に向かって5回ずつ指で擦り、リンパの流れをよくしてから、肩の筋肉を伸び縮みさせるようなエクササイズ・ストレッチを組み合わせる。②姿勢の改善:デスクワークや学生さん、最近はリモートを利用し、机やパソコンに向かう時間が多く、両肩が胸の方に寄ってしまうがち。肩甲骨同士を適度に寄せる姿勢を意識する。③リラックスタイムを設ける:ゆっくりお風呂に入る、好きな音楽に没頭する、アロマの香りを楽しむ、ペットと遊ぶ…など④枕の見直し⁈:自分に合っていない枕が肩こりの原因になることも。Sカーブを保つ高さか、無理なく寝返りが打てるか、枕の材質(硬さ)や首元を支える枕の形はあっているかなど見直してみてはどうでしょう。私はもう一つ方法として、漢方を服用してみました。私が服用したのは葛根湯です。葛根湯と聞くと風邪の初期症状に効果的な薬で有名ですが肩こりに効くということを教えてもらいました。まだ、数回しか服用していませんがなんとなく痛みが楽になっています。
肩こりの効果に期待できる漢方は①葛根湯:麻黄のもつ発汗作用が体を内側から温めるので肩や首の筋肉を温めてこわばりを取り除き症状が緩和される。葛根はうなじの凝りに効く。②桂枝茯苓丸:血行促進する漢方の一つで生理不順や更年期障害のぼせなどの症状に処方されることも多い。③大柴胡湯:ストレスを感じる肥満気味の方に。④当帰芍薬散:冷え性でむくみやすい方に。
他にも症状に合わせて効果が期待される漢方はあるようです。こうやって考えながら文章を打っているだけでも背中が痛くなってきました。私はしばらく、葛根湯を服用し、入浴・ストレッチ・ヨガ・ペットの癒しを取り入れて効果を見てみたいと思います!(^.^)!また、病気が原因で肩こりが起こる場合もありますのでひどいときには受診してくださいね。

山田医院 看護師 三栖佳子