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山田医院だより

第22巻第4号(第255号)

新型コロナウイルスワクチンについて

新型コロナウイルス感染症COVID-19の収束の光明となるワクチンの接種は日本においては今年の2月に医療従事者から始まり4月中旬からは高齢者も接種開始となりました。大阪においてはクリニック等の地域の医療機関の医療従事者の接種は4月下旬から高齢者は5月中旬から始まることになります。コロナウイルスワクチンは令和2年1月10日に中国保健当局が遺伝子の全塩基配列を公表した日から世界中で開発レースが始まりわずか11か月で3社が治験第3相の論文を発表するという驚くべき速さで開発から実用化までが進みました。今までのワクチンの2大製法であった生ワクチンと不活化ワクチンではない新たなワクチン製法であるmRNAワクチンとウイルスベクターワクチンが今回接種するワクチンとなります。これは新型コロナウイルスの病原体の認識される部位をコードする塩基配列を作成するmRNAを人に直接(mRNAワクチンの場合)あるいは他のウイルスを介して(ウイルスベクターワクチンの場合)筋肉に打ち込み、筋肉の細胞がこのmRNAを取り込んで標的抗原を生産してこれを免疫細胞が認識して獲得免疫を成立させる方法です。今までのような病原体の抗原を多量に打ち込んでこれをもとに免疫を獲得するのではなくヒトの筋肉細胞で抗原を作り出してそれをもとに免疫を獲得するという今までの発想とは異なるもので遺伝子工学の発展がもたらした技術革新です。この技術革新と欧米COVID-19が大流行したことによりワクチンの治験が短期間に終了したことがワクチンの実施が短期間で進んだ大きな要因となっています。このワクチンを接種することでウイルス遺伝子がヒト遺伝子に取り込まれて個体あるいは子孫に遺伝的な影響が出るとのデマがありますがmRNAは不安定であるためにせいぜい数日で分解されること、ヒトにおいてはDNA→mRNA→蛋白という一方向しか処理されない分子生物学のセントラルドクマからもこのようなデマは心配がないことは分かります。ワクチンの接種状況は接種完了の割合でみると令和3年4月17日の時点において最速のイスラエルでは57%、アメリカでは23%ですが日本においては0.54%となっています。日本において見込まれているワクチンはファイザー社、モデルナ社のmRNAワクチン、アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンの3製剤が現在使用される予定ですが、現時点ではファイザー社の「コミナティ筋注」が接種されています。ワクチンは発症を予防する効果が高くとくにmRNAワクチンのワクチンの予防効果は95%程度と極めて高くなっています。なお無症候性感染(感染するものの発症しない)の予防効果は不明であり、また感染伝播の予防効果についての証明は不十分であると言われています。このことからもワクチンを接種後も他者への感染を防ぐための行動すなわちマスクの着用、手指衛生、会食の回避等の継続は必要であると考えられています。変異株に対する効果としては変化なし、やや低下などいろいろな報告があり実際の予防効果については未確定ですが接種による変異株へのデメリットは考えにくいために接種をためらう必要はないとされています。実際にCOVID-19に罹患した人の調査では少なくとも8か月は再感染を予防する免疫を持っていることが分かっています。ワクチンの効果期間は不明ですが6か月から12か月程度ではないかとも考えられています。その後については再接種が必要かもしれません、、、。ワクチンの有害事象については接種部位の疼痛、腫脹、倦怠感、発熱、頭部痛などの一般的な事象については他の予防接種と比較するとやや多くなっていました。なお高齢者よりも若年者の方が多く、また1回目よりも2回目の方が多い傾向になっていました。なお何れにおいても数日以内に自然軽快しており後遺障害の残存は少ない状態でした。問題となるアナフィラキシーについてはせいぜい10万接種に1件程度であり、薬剤例えばペニシリンについては100万接種につき4590件の報告があることからも頻度としては極めて少ないと考えられています。なおファイザー社のコミナティ筋注については9つの添加物が含まれていますが注意すべき成分は3成分であり、特にポリエチレングリコール(PEG)は多種の薬剤、化粧品に含まれていてアナフィラキシーの原因物質として知られています。PEG含有物によるアナフィラキシー歴がある人についてはコミナティ筋注の接種は禁忌となります。また同じく多種の薬剤に含まれているポリソルベートもPEGと交差抗原性があるためにこのポリソルベートによるアナフィラキシー歴も禁忌となります。なおワクチンと共通の添加物を含まない薬剤、食物等によるアナフィラキシーでは通常の注意での接種が可能です。その他に他のワクチン接種との間隔は2週間程
度あける、後期高齢者、超高齢者においても接種は可能となっています。妊産婦においては12週以降の接種が勧められており授乳婦については通常通り可能となっています。基礎疾患については安定していれば接種は可能ですが接種前にはかかりつけ医と相談が必要です。大阪市は集団接種から始まり継いで個別接種も始まります。接種の可否ならびに接種場所についてはかかりつけ医師と相談して決めることをお勧めします。今回は日本醫亊新報令和3年3月27日号から抜粋しました。

山田医院 医師 山田良宏

貧血からの~アルコール依存症のお話

保育園のころ、「車に酔う人」と聞かれ「はーい」と手を挙げたら遠足のバスが窓際にしてもらえるのに憧れていて、ある時思い切って「はーい」と手をあげてしまい、罪悪感で遠足が楽しめなかった苦い思い出。高校の時朝礼の時貧血で倒れる女の子に憧れてた私、ある時私も本当に倒れたのですが、無理なダイエットによる空腹で恥をかいた苦い思い出が2つもある、情けない私です。貧血といえば女性の病気と言うイメージがありますね。
朝礼の時倒れるのは、一時的に脳の血液量が減少した脳貧血で赤血球の異常である貧血とは異なります
貧血にもいろいろな原因があります。良く聞く鉄欠乏性貧血。これは女性の生理なども要因となります。
鉄分不足の食生活や過度なダイエットなども引き起こすことがあります。その他の原因に、胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、腎障害、大腸がんもありますが、なんと、アルコール摂取量が多い人にも二次的な貧血を起こすことがあります。今回はこの貧血について。飲酒は栄養失調の原因になりやすく、特にビタミンB12、葉酸、鉄分が不足することで貧血を起こしてしまうとの事です。貧血の種類としては、飲みすぎた場合は大球性貧血、肥満のないアルコール摂取量が多い人は巨赤芽球貧血が多いそうです。では飲みすぎとはどのくらいの量になるのでしょうか。
「節度ある適度な飲酒」は一日の純アルコール量換算で一日20G以下であると言われています。
これは一日ビール500mml、日本酒1合弱、25度焼酎で100ml以下、ワイン2ハイ程度に相当します。一日の飲酒量がこの3倍で飲みすぎとなります。アルコール依存症に一歩近づくことになるので要注意です!我が家の大黒柱もギリギリ?25度焼酎の一升瓶が1週間持ちません。これは困った、、、少し減らしたら?と言おうものなら速攻不機嫌です。この症状もアルコール依存症の入り口です。
でも、飲みながら鼻歌を歌い週末はお料理してくれるのでじっと我慢の子です。皆様、アルコール依存症は体に悪いだけでなく、仕事、経済的にも様々な影響があるのでほどほどにお願いします。
先月も山田医院便りを書いたのですが、先月は私の番でなく間違って提出してしまいました。2か月続いて私の雑談にお付き合い、申し訳ありませんでしたトホホホホ。

山田医院 看護師 冨嶋友子

紫外線は夏だけ気を付ければいい?

春のぽかぽか陽気は気持ちがいいですが、徐々に暖かくなり始めるこの時期に気になりだすのが紫外線。本格的に日差しが強くなるまではまだ平気。なんていう油断は大敵です。実は紫外線量が多くなる春だからこそ、適切な紫外線対策が重要になってきます。
紫外線の基礎知識から春に気を付けたい紫外線対策のポイントを紹介します。
初めに地上に届く紫外線にはUVAとUVBの2種類があります。
UVAは太陽が届く紫外線の約9割を占め、紫外線の中で最も波長が長く、雲や窓ガラスも透過して肌にも到達します。肌に急激な障害を与えることは少ないですが、肌の奥の真皮まで侵入し、肌のハリや弾力を失わせる原因になります。
UVBは真夏に最も量が多くなり、波長が短く肌への作用が強いため表皮細胞やDNAを傷つけるなどの肌への作用が大きいのが特徴です。短時間でも肌の表面にダメージを与えシミ・そばかすの原因になります。
UVBは真夏に最も量が多くなりますが、UVAは春に一気に増え、真夏の量とほとんど変わらないと言われています。そのため春の紫外線対策は必須というわけなのです。
1.室内でも日焼け止めを塗る
日差しが弱いように感じる春ですが、3月~4月は紫外線が一気に増える時期。シワやたるみの原因となるUVAは窓を通過するため、室内にいても日焼け止めを塗るようにしましょう。
2.春先は「PA値」に注目して日焼け止めを選ぼう
日焼け止めには「PA」と「SPF」が表示されています。
PAはProtection grade of UVAの略で、UVA防止効果指数とも呼ばれます。日焼け以外にもシワやたるみの原因となるUVAの防止効果を示すもので、「PA+」「PA++」のようにプラスの数で防止効果があらわされているのが特徴です。
SPFはSun Protection Factorの略で紫外線防御指数ともよばれ、主にUVBの防止効果を示すものです。日焼けで肌が赤くなる反応をどれだけ防止できるかの数値です。最大値は50+で、数値が大きいほどUVBを防ぐ効果が高いことを表します。
春先はシワやたるみの原因になるUVAの量が急増する時季。UVA防止効果を表すPA値のも注目して日焼け止めを選ぶとよいでしょう。
3.身体の内側からも紫外線対策を
紫外線は外側からと内側からのケアが重要です。一般的には紫外線を浴びた肌には抗酸化作用をもつビタミンを取り入れることで、シミ・そばかすや肌老化などの予防が期待されるといわれています。なかでもビタミンA・ビタミンC・ビタミンEの栄養素は抗菌化作業が非常に強く合わせて摂ることで相互作用によりさらに効果が期待できます。
以上のことを踏まえてこれから多くなる紫外線に気をつけていきましょう!

山田医院 医療事務 宮脇若菜

尿管結石

ある日、突然、腹部の激痛に襲われたことはありませんか。それ尿路結石かも?今回は、尿路結石を調べてみました。尿は腎臓でつくられ、尿管、膀胱、尿道を通って排泄されます。この尿の通り道を総称して尿路といいます。尿路結石は尿路に石のように固い塊(結石)ができ詰まり、様々な症状を引き起こす病気です。そして、結石が存在する部位によって腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿路結石の4つに分類されます。
結石のほとんどは腎臓でつくられますが、尿とともに尿路や膀胱、尿道へと流れることで移動します。結石が尿とともにスムーズに流れ、自然に排泄されれば、問題ありません。しかし、結石が、腎臓や膀胱などにとどまり尿路を防ぐと、背中や脇腹、下腹部などの激しい痛みや血尿などを引き起こすことがあります。では、そもそもなぜ、腎臓に結石などという余計なものがつくられてしまうのでしょうか。
腎臓は、血液中の老廃物をろ過して尿がつくられています。つまり、尿には血液中にいらなくなった様々な物質が溶け込んでいるのです。何らかの原因で尿の成分のバランスが崩れたり、尿が濃くなってしまうと、これらの物質が溶けきることができず、結晶化することがあります。この結晶が集まり、固まったものが結石です。これらの結石ができる過程では、多くはこれといった自覚症状はみられず、気づかぬうちに結晶化が進み、結石になります。では、どんな人がかかりやすいでしょうか。男女別では、2.4対1で男性が圧倒的にかかりやすく、とく30~50代の男性に多くみられます。女性に少ない理由は、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが関係しているとされ、女性は閉経後の50代以降に多くなります。また、尿路結石は食生活や運動など生活習慣と関係が深く、肥満の人、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のある人は、尿路結石になりやすいことがわかっています。とくに肥満の人は、そうでない人に比べて約2倍、尿路結石になりやすいという報告もあります。突然の背中から脇腹にかけての激痛に襲われた時には、結石を疑ってみては。

山田医院 医療事務 阿知波真弓

水いぼ(伝染性軟属腫)

先日、当院の診察室から幼児の大きな泣き声が聞こえてました。それは、水いぼを摘除していたからです。私の孫も以前に水いぼを摘除し大泣きしていたことを思い出しました。
子供には負担が大きくストレスであろうと思います。そこで、水いぼについて調べてみました。
「水いぼ」は、子供によく見られるウイルス性の皮膚感染症です。乳幼児から小学校低学年児童に多くみられます。表面が滑らかで光沢がありキラッと光るところが水滴のように見えるのでこの名が付いたようです。全身、どこにでもできます。
水いぼの原因は?
軟属腫ウイルスというウイルスに感染して発症します。空気感染ではなく接触で感染・拡大します。プールの時期に多くなるのはこのためで、子供同士の接触のほかビート板などの水泳用具を介しても感染します。兄弟でどちらかが水イボに感染している場合は、一緒に入浴することでも感染します。アトピー性皮膚炎など皮膚の弱い子供では、しばしば水いぼを引っかいてしまい、広げてしまうことがあります。水いぼを掻き破ると、中のウイルスが手に付きます。その手で周りの皮膚を引っかくと、皮膚の中へウイルスが入り込んでしまうために、水いぼは広がってしまうのです。
水いぼとイボとの違いは?
いずれもウイルスが原因で起こるという点では共通であり感染力がありますが、イボは表面がざらついており、水いぼのように光沢を持っていないことで鑑別できます。水いぼは小児好発で成人に起こることはかなり珍しいですが、イボは小児成人、関係なく起こります。
どんな治療をしますか?
①特殊なピンセットで摘除 ⇒ 保険適用で行える治療法で一般的です。専用のピンセットで水いぼを摘み取ってしまいます。確実に摘除できますが、痛みを伴うのが欠点です。痛みをなくすために、あらかじめペンレステープを貼っておくと、痛みを軽減して摘除できます ②局所薬物療法 ⇒ イソジン外用法です。 ベビー綿棒にイソジン液をつけて、水いぼに塗布して乾燥させます。塗布→乾燥→塗布→乾燥を5~6回繰り返します。(ヘアードライヤーの冷風を使って乾燥させると治療時間が短縮できます)治癒までに時間はかかりますが、摘み取る痛みはありません。水いぼの小さいものは摘除できないので、この方法で行います。 ③液体窒素による冷凍凝固 ⇒ 液体窒素による冷凍凝固も有効ですが、治療後に色素沈着がおこります。まれに瘢痕になることがあります。(当院ではおこなっていません) ④内服治療 ⇒ イボの治療に使うヨクイニンを内服します。
水いぼの予防は?
水いぼができている人の多くは、皮膚がカサカサしています。アトピー性皮膚炎のようなバリア機能が破綻している状態も要注意です。普段から乾燥を防ぎ、保湿をしっかりと行い、掻いてしまうような湿疹やかゆみがあれば、早めにしっかりと治療をしましょう。成人に水いぼが少ないのは、成長により皮膚の防御力が上がりウイルスに強い肌になるからです。 プールでの感染を防ぐには、プールから上がるときに十分シャワーで身体を洗うことです。水いぼを直接触れると人から人へも感染します。水いぼができてしまったら、他の人にうつさないような配慮も必要です。 水いぼは、放っておいても1~2年で治ることが多いですが、別の部位に広がったり、ほかの子供にうつしてしまうこともあります。ケースバイケースの判断が求められますので、かかりつけ医とよく相談しましょう。 *大阪府医師会のげんき情報など参照しました

山田医院 看護師 橘智子

HPVワクチンについて

ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスに対するワクチンは一般には子宮頚がんワクチンとして広く知られています。子宮頸がんの95%以上はヒトパピローマウイルスの感染が原因となるからです。このウイルスは性交渉で感染するウイルスですが、性交渉の経験がある女性は生涯で80%が感染します。ただし、感染しても80-90%は3年以内に消失しますが残りの方においてはこのウイルスが子宮頸部の細胞に取り込まれて前癌病変を発症、さらにその一部は進行してがんの状態になると言われています。子宮癌まで進行すると一般的に治療は子宮全摘術あるいは放射線治療が必要となり妊孕性がなくなります。子宮頸がんの初期には自覚症状がないために子宮がん検診を受けないと発見されることはありません。これらの事から子宮頸がん予防にはワクチンを早期発見には子宮がん検診が必要と言われています。なおHPVのなかでも16型、18型は特に子宮頸がんへの進行頻度並びにスピードが速いと言われています。ただし、この16型、18型についてはHPVワクチンによって防ぐことができます。HPVワクチンは2010年に13-16歳で公費となったために1994-1999年生まれの70%ほどの方は接種されていますが多様な症状がマスコミを中心に問題となり厚生労働省も推奨接種を外したために2000年生まれ以降の方の接種はほぼゼロ状態となっています。ワクチンの有効性は90%以上と言われており諸外国を含めて効果が示されています。安全性については最近では「名古屋スタディー」などにおいてもいわゆる痛み、だるさなどの多様な症状についてはHPVワクチン接種との因果関係は証明されなかった結果が出ています。最近は接種の希望者がやや増えてきていますがまだまだ少ない状況です。諸外国では男性への定期接種も増えてきています。今後日本においてはまず13-16歳の女児への接種を増やして、その後男児への接種、現在外国でも中心となりつつある9価ワクチンの導入、接種法の検討(3回を2回に)、ワクチン接種の漏れがある2000年以降生まれの女性への接種などの検討がされています。今回は4月10日に行われた大阪小児科医会予防接種セミナーから大阪大学婦人科の上田豊先生の講義から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏