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山田医院だより

第22巻第2号(第253号)

Long-COVIDについて

新型コロナウイルス感染症の第3波はやや収束に向かっている状況ですが令和2年1月から広がった新型コロナうウイルス感染症では当初は感染に伴う死亡率の高さが問題となり、その後は無症候者特に若者に無症候者が多いことが問題となり、3密が大いに取り上げられて年末にかけては感染リスクが高まる「5つの場面」①飲酒を伴う懇親会②大人数や長時間の飲酒③マスクなしでの会話④狭い空間での共同生活⑤居場所の切り替わりでの注意喚起が広がりました。年明けからの緊急事態宣言もやや自粛疲れもあり密はあまり守られていませんがマスクや手洗いの励行もあり感染の制御になっていると思われます。今シーズンはインフルエンザはほぼゼロ状態であったことはマスクや手洗いの効果にくわえて同時期に複数のウイルス流行はないということが大きかったのではないかと思っています。コロナウイルス感染症についての当初の話題はPCR検査が受けられない、死亡率が高い、発症の2日ほど前から感染する、無症候者からの感染もある、感染した場合には10日間休まないといけない、濃厚接触になると14日休まないといけない、給付金について、ワクチン接種についてなどが中心でしたが最近特に問題となってきたことはコロナ後遺症ともいわれるLong-COVIDです。インフルエンザあるいはノロウイルス感染症などに罹患しても1週間程度せいぜい2週間程度でほぼ完全に回復しますコロナウイルス感染症に罹患した後で倦怠感、呼吸困難などの症状が比較的長期にわたり持続する人がいることが分かってきました。それもまれにではなく結構な割合で起こっていることも分かってきました。発症してから3週間以上症状が持続する場合をLong-COVIDと考えますが発症の多い欧米においては昨年7月からこのLong-COVIDについての報告がありました。イタリア、フランス、米国、英国などからの報告では1/2から2/3の患者さんにおいて何らかの症状が残っているようです。日本においても昨年10月に国際医療研究センターが報告していますが発症後2か月後で50%、4か月後で30%に何らかの後遺症が残っていて後遺症は高齢者だけではなく若年者においても高い割合であることが分かりました。症状としては非常に多彩であり数週間から数か月持続するもののありまた症状の出現は急性期の症状が続く場合もあれば急性期の症状が落ち着いた後から新しい症状が出現することもあるようです。疲労感、呼吸困難感、咳などが中心的な症状ですが筋肉痛、頭痛(あるいは頭がボーとした感じ)、胸痛、食欲不振なども多く特徴的な症状である味覚、嗅覚の障害も続く人があるようです。なお、数か月後に脱毛を認めることもあります。はっきりとした原因、病態生理は未解明ですが急性期の臓器障害の影響、急性期の高サイトカイン血症状態によるもの、残存するウイルスの活動、不十分な抗体反応によるなどいろいろなことが反映していると考えらえており、それに加えて療養に伴う筋力などの低下、併存症、心理的な変化、ライフスタイルの変化などコロナ感染症による直接的、間接的な心身への変化が複雑に絡み合って症状として出現していると考えられています。
症状が強い場合には働いたり、激しく動いた翌日になると倦怠感で動けなくなったり、痛みやだるさ、ブレインフォグ(頭がぼんやりしてしまう)などの筋痛症性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)に似た症状となっています。Long-COVIDがME/CFSと同じであるかまだまだ未解明ですが両者とも確立した治療法はなく現時点においてはリハビリ治療(特に呼吸困難、倦怠感に対しては効果的)、漢方治療、その他の対症療法を行うことになります。なお、身体的サポートだけではなくメンタルヘスルの対応も大切で精神科受診の対応が必要になることもあります。なお長引く症状とは気長に付き合っていくことが大切になります。いずれにせよ無理に身体を動かすことは避けるべきであると言われています。昨年12月において施行された一般市民の抗体検査では大阪では0.58%でまだ1%未満です。99%以上の人はこれからコロナ感染症にかかる可能性があるためにこのLong-COVIDを避けるためにはコロナ感染症に罹患しないことでマスク、手洗いの励行、3密を避けることに加えて3月から始まるコロナウイルスワクチンの接種をぜひとも受けるようにしましょう。コロナウイルス感染症については知見が日々アップデートされておりまたデマなども多く広がっています。不明点などについては専門家であるかかりつけ医師に相談をするようにしましょう。

山田医院 医師 山田良宏

コロナうつの増加

新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されてからもう1年以上・・・
こんなにも長い間、窮屈を強いられる状況になろうとは夢にも思いませんでした。感染予防のため、マスク着用、ソーシャルディスタンス、テレワークへ移行など多くの人に大きな環境の変化がありました。中には急激な環境の変化で強いストレスや不安にさらされた方もおられます。「コロナうつ」という言葉も生まれるほどこころの不調を訴える人が増えています。コロナの影響か因果関係は不明ですが、2020年の自殺者は11年ぶりに増加し、女性は前年より885人も増えたそうです。
そもそも「うつ病」とは誰もがなりうる病気です。嫌なことがあれば気分が沈んだりやる気がなくなったりすることはあります。人にはストレスに対して抵抗力があり、ある一定の所までは自分で元に戻れますが、限界を超えてしまうと自分で戻すことができなくなってしまいます。気分が落ち込むような状態が長く続くことをうつ病といいます。「コロナうつ」とはコロナウイルスによるストレスにより心身に不調が現れる状態のことを指します。
コロナうつの症状は主に以下の通り
・やる気がでない・仕事に行きたくない・気分が落ち込む・いらいらする・自分を責めすぎる・眠れない・頭痛・下痢便秘等など抑うつ気分が2週間以上続く場合は一人で抱え込まず、早めに医療機関等に相談してください。ようやくワクチンへの展望がみえてきたものの、コロナとの付き合いはまだ長引きそうな気がします。うつにならないよう、適度な運動をする、興味のあることを始めてみるなどして気分転換しながら上手く自分自身と付き合っていきましょう!

山田医院 医療事務 川村 理恵

高コレステロール血症

定期健診や健康診断でコレステロールが高いと気にしている人は多くいると思います。コレステロールが高くなる原因は、体質(遺伝)、閉経によるホルモンの低下、食生活の欧米化、飲酒喫煙、ストレス、運動不足など様々。どれか一つというよりも複数の原因が影響し合って基準値をはずれる場合が多いようです。診断基準はLDL(悪玉)コレステロールは140㎎ /dl以上、HDL(善玉)コレステロールは40㎎/dl未満、トリグリセライド(中性脂肪)は150㎎/dl以上です。
コレステロールが高くなると、LDL(悪玉)コレステロールは、血管の内壁に入り込み、おかゆのようなドロドロとした塊を作り、その塊が次第に大きくなり血管の内壁にこぶを作ります。また、カルシウムが沈着して石灰化し弾力が無くなり、ちょっとした刺激で破れやすくなります。なおHDL(善玉)コレステロールは逆に動脈硬化を防ぐ働きがあります。動脈瘤や動脈硬化により血管の内壁が詰まったり破れてしまうと、その場所によって心筋梗塞、狭心症、脳卒中を引き起こす命にかかわる深刻な病気を招きかねません。コレステロールが高い人は内服療法もありますが、それに合わせて食事に気をつける、1日30分以上のウォーキングをするといった生活習慣の改善が必要となります。
余談ですが、アニメの「はたらく細胞」をご存知でしょうか。人の体内の様子が町や工場などのように描かれていて、赤血球、白血球、血小板などの細胞が可愛い女の子などに擬人化され、肺炎球菌、腸炎ビブリオ菌といった病原体はモンスターとして登場します。新人赤血球が主人公で、この子の主な仕事は体の色々なところに住んでいる細胞に酸素や栄養物の入った段ボールを運搬し、帰りに二酸化炭素を回収し肺胞に届けます。その道中に色々な事件が起こり、楽しいアニメになっています。この前に観た内容は、酸素を運搬中に血管内に泥の様なものがたくさん落ちて中々通れなく、赤血球が困っていて、この泥の様なものがまさにLDL(悪玉)コレステロールだったということです。
他にもたくさんお話があり、「たんこぶ」の回では、急に嵐のような風が吹いてきて、赤血球と血小板が頭の方に飛ばされ、でもキズは無いから白血球は出番がなかった、と帰ってきたり、「出血性ショック」の回では、人数が少なくなって赤血球が疲れているところに、急に東北弁のおじさん赤血球が入ってきて助けてくれ、これは輸血で入ってきた赤血球だった、とか楽しく描かれています。深夜ですがBSで放送されていますし、配信でもアマゾンプライムとか、無料の配信ではTVerでも観ることができます。また原作のマンガの本も面白いです。興味のある方ご覧になってみてください。

山田医院 看護師 盛田里穂

睡眠の役割りについて

少し前になりますが、睡眠のメカニズムについてお話ししました。今回は、その続きで睡眠の役割り・メリットについてお話ししていきます。睡眠は、大切なんだろうけど、そもそもどんな役割・メリットがあるの?そんな素朴な疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?脳には、中枢神経における、髄脳(延髄)、後脳(橋、小脳)、中脳、間脳(視床下部、松果体)などがあり、最後に完成する終脳(大脳)があります。実は、この大脳のために睡眠が生まれたといっても過言ではありません。大脳は高級な新製品のようなもので、性能は大変高いですが、膨大なエネルギーを消費して活性酸素のような老廃物を多量に出し、そのせいでもろくて壊れやすく、長時間の連続運転に耐えれません。大脳はその重量に対して大体1300g、つまり全体の2%にしかすぎないのに、安静時でもエネルギー消費量の役18%も消費していることからもいかに疲れやすいかがわかります。それだけに、厳重に管理しなければならないのですが、疲れやすい大脳をいつも安定した状態に維持するためには、定期的にうまく休息(鎮静化)させ、休息した大脳をうまく覚醒(活性化)させるような管理技術、つまり睡眠が必要なのです。
次に、睡眠のメリットとは…以下のような事があげられます。
1.脳を作り育てる。2.脳を守り、修復し、よりよく活動させる。3.認知症予防にも効果的。4.身体を回復させ、成長させて健全な状態に。5.記憶や運動技術を向上させる。これらの事を、1ずつ詳しくお話していきます。
1.脳を作り育てる。
レム睡眠という言葉を聞いた事があるかもしれませんが、このレム睡眠中に大脳を活性化し、脳を創る・育てる役割があると言われています。実際に、生後1か月の新生児は総睡眠時間16時間のうち50%はレム睡眠です。加齢とともにレム睡眠は減少し、成人だと総睡眠時間7~8時間のうち20%程度になります。このことからも小さい子は睡眠中に一生懸命、脳を創って育てているという事が解ります。ただ、レム睡眠についてはまだまだ分かっていないことの方が多いと言われてるようです。
2.脳を守り、修復し、よりよく活動させる。
さきほどのレム睡眠に対して、ノンレム睡眠があります。これは、眠りの深さを段階1~4にわけ、段階4が最も深いレベルとなります。レム睡眠中は睡眠段階1と非常によく似た脳波になり、ノンレム睡眠のような睡眠段階2~4のような深いレベルの脳波は現れません。ノンレム睡眠の睡眠段階1と2が浅い睡眠、3と4が深い睡眠となります。このノンレム睡眠の3と4で脳の機能低下から守り、修復をしています。ちなみに、レム睡眠中の脳波は、眠りが浅いと思われがちですが、外部刺激に対する応答は著しく低下しているので決して浅い眠りというわけではありません。
今回も書ききれなくなりました…残りは少し先になりますが、また次回に!!

山田医院 看護師 川上 啓

目の前に蚊が飛んでる??ような気がする『飛蚊症(ひぶんしょう)』

物を見ているとき、視界に黒い影や糸くずのようなものが浮遊しているように見えること、ありませんか?こうした症状は「飛蚊症」と呼ばれ、特に晴れた日の空や白い壁などを見ているとき、目の前に「浮遊物」が現れることが多いようです。黒い点や輪のようなもの、あたかも蚊が飛んでいるように見えるものなど、さまざまな形で見えることがあり、目を動かすとその方向にふわっとついてきます。これは目の病気?ほっておいていいの?気になりますよね。『飛蚊症』について調べてみました。
最も多い原因は加齢
目の中にある『硝子体(しょうしたい)』というゼリー状物質の加齢による変化である『後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)』によって、60歳ごろになると、60%程度の人が見えるとされ、この場合は『生理的飛蚊症』と呼ばれます。加齢にともなったものです。もともと、近視が強い人(裸眼視力が低いが、眼鏡やコンタクトレンズを使うとよく見える人)は若い頃から見えることがあります。性別による差は特にありません。
ただし加齢以外が原因のことも。目の中にある神経の膜(網膜)に穴が開く『網膜裂孔(もうまくれっこう)』や、神経の膜が剥がれる『網膜剥離(もうまくはくり)』の際にも、こうしたものが見えることがあります。アトピー性皮膚炎の人はかゆみがあるために目をこすることが多く、若くして網膜剥離を起こすことがあるようです。また、糖尿病や自己免疫疾患を持つ人に飛蚊症が見られた場合は、目の中の出血や炎症による混濁によることがあるので、早急な眼科受診が必要です。
視界に浮遊物がは飛蚊症によるもの?病気によるもの?
本来の飛蚊症であれば、通常は片目で起きます。ごくまれに両目同時ということもありますが非常に少ないです。
片目ずつを閉じて、どちらか片方の目で見える場合、そちらの目で飛蚊症が起こっているといえます。浮遊物の数が1、2個までであれば生理的飛蚊症の可能性が高く、さほど心配はないと思われます。『時々見えてすぐ消える』場合はあまり心配いりません。浮遊物の数が急に10~20個と増えた場合は、先述の網膜裂孔や網膜剥離、糖尿病網膜症による眼内の出血、アトピー性皮膚炎による網膜剥離などの可能性があるため、眼科の受診をお勧めします。

山田医院 医療事務 東川敏美

離乳食について考える

海外では離乳食という表現に対して補完食という表現を使うことが一般的です。これは母乳をやめて食するという意味ではなく母乳の補完をする食べ物という意味があります。WHOでは生後6か月以降は母乳だけでは不足する栄養素を補完食で取りながら2歳までは母乳を与えることを推奨しています。日本において保護者が離乳食で困ることの第1位は「作るのが負担、大変」ということです。ベビーフードは保護者の負担を少しでも軽減する1つの方法と言えます。ベビーフードには味が濃いのではないか?たくさんの食品添加物が使われているのではないかなどの印象がありますが味付けについては日本ベビーフード協会では味付けは必要最低限として塩分濃度の設定などをしています。また長期間の常温保存が可能であるのは食品添加物を使用しているからではなく加圧あるいは加熱殺菌をしているからです。ベビーフードに不信感を持つのではなくうまく利用することが大切です。離乳食の開始は生後5-6か月頃ですが目安としては①首が座る②5秒以上座れる③スプーンを口に入れても押し出すことが少なくなる④食べ物に興味を持つなどと言われています。以前は食物アレルギーの予防のために離乳食特に卵などの摂食を遅らせることがありましたが最近では逆に遅らせることで食物アレルギーのリスクが増加するともいわれています。ただし、むやみに離乳食を早めに食べさせても食物アレルギーの予防効果は認められていません。なお食物アレルギーは食べたものが腸管で感作されるのではなく、食物が付く皮膚で感作されるためにまずは適切なスキンケアと外用剤で皮膚炎を改善させてから離乳食を開始していくことが大切です。完全母乳児では特に鉄ならびにビタミンDが不足しがちなのでこれらに対して特に注意をしていくことが大切です。特にビタミンDなどは生後1か月から服用できるサプリメントもあり医学的にも推奨されています。離乳食については奥が深くいろいろと研究もされています。今後いろいろと考え方が変わるかもしれませんが、赤ちゃんと食を楽しむことを基本としていろいろとトライをしてみましょう。今回はチャイルドヘルス令和3年2月号から抜粋しました。

山田医院 医師 山田良宏