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山田医院だより

第22巻第1号(第252号)

脂肪肝について

以前からたびたび脂肪肝関連について記載していますが今回は日経メディカル令和2年12月号で特集があったために抜粋をします。生活習慣病に関連する脂肪肝をNAFLD(ナッフルディー)と言います。つまりアルコール性、ウイルス性、薬剤性などの他の原因を除いた脂肪肝の事です。このNAFLDのうち80-90%は長い経過を見ていてもほとんど進行がなく脂肪肝のままでいます。
特にこのような状態はNAFLDからD(Disease:病気)を取り除いてNAFL(ナッフル)といいます。しかし残りの10-20%は徐々に進行して肝硬変から肝臓癌になる脂肪肝でこれをNASH(ナッシュ)と言います。健診においてのデータではNAFLDは約30%の人に見られるものでNASHは3%と言われています。肥満人口の増加に伴いNAFLDは増加傾向となっています。なお、肥満ではないNAFLDは7-20%で日本を含めアジアで高い傾向となっています。NAFLDは脂肪肝の進行に伴い倦怠感などの自覚症状もありますが基本的には自覚に乏しく本人が気がつく前に進行してしまうケースが多くあります。一般に血液検査において肝機能障害はAST,ALT,γ-GTなどの検査値の異常を認めた場合に指摘されますが健診ではぎりぎり引っかからないケースも多く腹部超音波検査が必要になります。超音波検査において脂肪肝を認めた場合には血液検査においての肝線維化を予測スコアリングであるFIB-4indexやNFS(NAFLD Fibrosis Score)などで線維化が進行していると考えられるとNAFLDのうちで進行する可能性が高いNASHと考えられるので専門医療機関に受診して精査等が必要になります。というのもNASHでは約7年で肝線維化のステージが1段階進行して、肝硬変を伴うNASHからは肝臓癌に年に約2-3%の割合で進行するからです。自覚症状に乏しいのでそのまま放置すると気がついたときには肝硬変から肝不全あるいは肝臓癌になっている可能性があるからです。このNAFLDのリスクとしては肥満、肥満と関連した脂質異常症、糖尿病、高血圧であり、特に糖尿病とNAFLDの合併率は高く男性で8割、女性で5割ほどあると言われています。一般に脂肪肝と聞くと食べすぎか、、で終わってしまうことが多いのですがNASHになると予後がよくないので最近では糖尿病の3大合併症である網膜症、腎症、神経障害にこのANFLDを加えて4大合併症とする動きもあります。なお、NAFLDの合併症としては乾癬、骨粗鬆症、睡眠時無呼吸症候群、心血管疾患などがありますが特に睡眠時無呼吸症候群は他の生活習慣病がなくてもNAFLDを疑うほど大切な疾患です。では、脂肪肝の治療はどうするのでしょうか。脂肪肝の診断を受けた際にはこの脂肪肝がNAFLDかNASHかどうかの見極めが大切ですがいずれにせよ治療の中心は生活習慣病の改善と基礎疾患・合併症の治療となりますが何よりも大切なことは食事・運動療法による減量です。減量にはカロリー制限がより重要で脂質制限だけではなく炭水化物制限も有効です。5%の減量でQOLが改善、7%の減量で炎症が改善、10%の減量で肝線維化も改善されます。努力を必要とする減量はまず失敗するものなのでまずは500gだけの減量と考え毎食のご飯の量を1口だけ減らすだけでも構いません。なお果糖は食べすぎの原因、中性脂肪が肝臓に溜まる原因ともなるために減らすことが必要です。なお、6か月ほどの経過でも体重が減らない場合には薬が必要となります。なお最近は脂肪肝患者さんの予後改善を目指す運動療法として肝臓リハビリテーション(肝リハ)と言われています。目標は筋力・筋肉量の改善です。体重減少の有無にかかわらず脂肪肝を改善すると言われています。基本的にはレジスタンス運動(いわゆる筋トレ)の瘢に有酸素運動を取り入れることが理想です。なお脂肪肝の方は肥満が多いために運動に際して膝関節を痛めないように注意をすることが大切です。具体的にはレジスタンス運動としてはその場での足踏み(20回)、立ったままでお辞儀(10回)、両手の上げ下げ(10回)、スクワット(10回)、立った状態で椅子の背もたれをもってつま先立ち(10-20回)で有酸素運動としては軽く息が弾む程度の速さで30分ほどの歩行(約2Km)です。現在は脂肪肝に特異的な薬剤はありませんがビタミンEの内服、糖尿病があればSGLT2阻害剤、血圧高値でARBなどを使用することになります。医師から脂肪肝の診断を受けても深刻感にかける様子を見せる方が多いのが現状です。確かに脂肪肝はその者が食べ過ぎあるいは運動不足を映す鏡であり進行すると肝硬変から肝臓癌へつながる病気で本気で対応をしなければならない疾患です。幸いなことにまずは高価な治療薬を使用するのではなく無料でできる運動、食事療法が第1選択となります。少しだけでも体重が減ればよい、体重が減らなくても筋肉量が増えればよいので脂肪肝と診断されたら放置せずにかかりつけ医師に相談をして対応を考えましょう。

山田医院 医師 山田良宏

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤は、足の静脈に起こる病気です。足の表面にボコボコ血管が蛇行してみえるほか、足がつる、むくむ、痛むなどの症状が起こります。静脈内にある血液の逆流を防ぐ逆流防止弁が壊れるのが原因です。その結果血液は逆流し、足の下のほうに血液がたまってしまうため、静脈が瘤のように大きくふくらんでしまうのです。おもな症状としては、足のむくみ、だるさ、重い、ふくはぎがほてる、こむら返り、びりびり痛みを感じるなどです。症状の起きるしくみとしては、心臓に戻る血液の流れが悪くなることで静脈に血液がたまり、そこにつながる毛細血管内の血液がなかなか心臓に戻れなくなる。一方で、動脈からはどんどん血液が流れ込んで血液の渋滞が起き、毛細血管の機能に支障をきたします。そのため、さまざまな不快症状が生じるのです。
引き起こす主な原因は、
①立ち仕事や長時間のデスクワーク 足を動かすことが少なく、静脈の流れを滞らせてしまうことや座りっぱなしでいるのも同様。
②加齢加齢とともに血管や弁の働きが弱まってしまう場合があります。また、高齢になって歩く機会が減ってしまうと、さらに血管に負担をかけてしまいます。
③妊娠、出産、女性ホルモンの影響で血管が広がりやすくなるほか、妊娠後期は胎児に酸素や栄養を送るために子宮周辺の血液が増えます。腹が大きくなることも、足のつけ根の静脈への圧力を強め、血流を悪化させる原因です。
③脂質異常 血液中の脂質、コレステロール、中性脂肪が多くなる状態で、動脈硬化や心筋梗塞などを引き起こす原因とされます。静脈に対しても影響すると考えられ、実際に下肢動脈瘤の人に脂質異常が多く見られます。
④遺伝的要因など 血縁関係者に下肢静脈瘤の傾向があると、発症が多いというデータがあります。また、体質的に逆流防止弁や血管壁が多く、血管がふくらみやすく、血液がよどみやすい場合もあります。

下肢静脈は、さまざまな不快な症状をひきおこすことがあります。なにか症状があって困っているときや、血管の状態の変化に不安を覚えたときは、我慢せずに血管外科を受診しましょう。原因を確かめるだけで、悩みが解消されることもあるので、悩んでいるなら受診してみるのもひとつの方法です。

山田医院 医療事務 阿知波真弓

楽しみながらできる健康さんぽ

新型コロナウイルスが騒がれるようになって早一年になります。二度目の緊急事態宣言が出されるなど、まだまだ収束する気配は見えません。活動や行動の制限が長引く中でコロナ肥り、運動不足、体力の低下、ストレスなどの問題が出ております。
健康づくりに欠かせられないのが “運動”ですが多忙な現代人にとって、運動に時間を割りくるのは容易ではありません。かと、言ってたまに行う運動では高い効果は得られません。歩くがもたらす効果
1.歩いて体を動かすと運動をつかさどる交感神経が働き、休息をつかさどる副交感神経もバランスを保とうと活発に働きます。それにより自律神経が整いストレスが解消されて気分がスッキリします。
2.歩くと足や腰などの筋肉は血液中の酸素を利用して活動に必要なエネルギーを作るので、血液の流れが増えます。心肺機能が高まり血圧の安定にもつながります。また、糖尿病の予防、肩こり・腰痛予防にもなります。
3.歩いて骨に負荷をかけると、骨を作る骨芽細胞が活性化して骨密度の低下を防ぎます。太陽の光を浴びればカルシウムの吸収を高めるビタミンDの合成が促進します。
4.歩くことで筋肉、腱、関節などにある感覚器を刺激して脳を活性化させます。戸外を歩けば景色、音などの新しい情報が目や耳に入って脳を刺激します。

楽しみながら続けられるさんぽや運動
(1)健康さんぽは普段から歩く習慣をつけることが第一歩です。例えば、スーパーへの買い物は歩数を増やす絶好の機会です。近くで有れば歩いて行ったりしましょう。一日30分から一時間歩いたり運動することは理想ですが、忙しい方にとってはハードルが高いです。今日より10分多く毎日身体を動かすことから始めましょう。
(2)一日8000歩が目標と言っても実際に自分がなん歩、歩いているのかが把握できないと、目標に達成しているのかどうかが分かりません。歩数計で歩数が分かれば「明日は今日より1000歩多く歩こう」と具体的な目安を立てられそれがやる気につながります。日常生活の中に運動を盛り込む。例えばテレビを見ながら体を大きく動かす「ながら運動」も良いのではないでしょうか
(3)健康の為だけではなくて「健康さんほ」をすること自体を「楽しい」と思うようになるのが長続きさせるコツです。カメラを片手に景色や咲いた花を撮ったり、前日とは異なるコースを開拓したり自分なりの楽しみを見つけましょう

運動のポイントは頻繁にかつ継続して行うことです。日常生活の中での健康さんぽは「忙しい方」「運動が苦手な方」でも気軽に取り入れられるのではないでしょうか
現状では、外出や仲間達との楽しいおしゃべりも容易ではありませんが、制限ある中で楽しく運動する歩く方法を考えることも楽しみにつながります。

山田医院 看護師 畑中幸子

目の疲れ

新型コロナウイルスの影響により、家で過ごす時間が増えました。また緊急事態宣言が出されましたが、みなさんはどのようにお過ごしでしょうか。私は家でテレビを見たり、スマホをいじったりすることが多かったのですが、先日、久しぶりに裁縫やアクセサリー作りなどをやってみました。老眼もあるだろうと思いつつ、一発で針の穴に糸を通すことができてほっとしました。でも、やっぱり目は疲れましたね・・・。細かいことをするのが好きなので今後のためにも目を酷使しないようにしていきたいと思います。
今、リモートワークやオンライン授業、スマホからの情報収集など、ディスプレイを通してみることが増えていますね。目(毛様体といって水晶体の厚みを変えてピントを合わせる機能を担う部分)が疲れると、目の焦点が合わずにしょぼしょぼする、目がかすむ、ゴロゴロする、目が重い、目の周りが痛い、などの症状が起こります。集中して見ていると、まばたきの回数が減るので目が乾きます。ドライアイがひどくなると目の表面だけでなく、角膜や結膜の健康が損なわれる恐れもあります。目を酷使することで白内障や緑内障の進行が早まる危険性もあるそうです。目の疲れは脳の疲れにもつながり頭痛や首、肩のこり、イライラ、などの症状がでることもあります。また、ディスプレイ類から発生されるブルーライトも身体に様々な影響を及ぼすと言われています。では改めてどのような対策をすればいいでしょう?
・画面が明るくなり過ぎないように輝度を下げる、文字や画面を大きくする、ブルーライトカットのメガネを使用する、画面の高さは視線がやや下向きになるようにする、意識的にまばたきを増やす。
・部屋が乾燥していたら加湿器を使う、エアコンの風が直接、目に当たらないようにする。
・60分1回、10分は休憩をとる、目の周りを温めて血流を促す(自分の手で目を温めるだけでも気持ちいいですよ)遠くを見る。
・ビタミンA、ℂ、E.B群(トマト、カボチャ、ニンジン、キウイ、イチゴ、アーモンド,牛レバー、豚肉、銀たら、マグロの刺身など)を多く含む食品をとる。
・目薬を使用する、など。
今の生活には必要なスマホやパソコン、対策をとりながら上手に使っていきましょう。

山田医院 看護師 三栖佳子

冬の乾燥予防と水分補給

空気が乾燥するこの時期、風邪をひいている方も多いのではないでしょうか?今回は冬の風邪予防について書いていきたいと思います。皆さんは冬も意識的に水分補給していますか?夏は熱中症予防のために積極的に水分補給をする方も多いですが、冬は空気が乾燥しているため風邪予防の面からもこまめな水分補給が必要になります。水分は体の中で様々な役割を果たしています。体温調節、体液の濃度や浸透圧の調整など生きる上で重要な働きを担っています。
人間の体のおよそ60%は水分です。そして1日に呼吸や汗、尿や便などで体外に出ていく水分量はおよそ2.5ℓです。一方、食事や体内で作られる水分量は1.3ℓ程度なので、飲み水として1.2ℓ程度が必要となります。夏は発汗や喉の渇きで水分不足を自覚しやすいですが、冬は空気の乾燥によって呼気や皮膚から水分が蒸発する「不感蒸泄」が増えるため、気づかないうちに水分が失われてしまいます。特に外気にさらされている皮膚や喉、鼻などの粘膜は乾燥しやすく水分を失いがちです。そのために、こまめな水分補給により潤いを保つ必要があります。冬に風邪をひく主な原因は、体温が下がることで免疫力が落ちるからです。体温が1度下がると約30%も免疫力が低下するといわれています。加えて風邪やインフルエンザの原因となる細菌やウイルスは、感想した状態で活発になります。免疫力が落ちていたり、水分不足や低体温により血流が悪くなっていると、白血球の働きが悪くなってしまい細菌やウイルスの侵入が防げずに感染してしまいます。通常、常に外気と触れ合っている喉や鼻は空気中の細菌やウイルスが侵入してこないように、粘膜でおおわれています。しかし乾燥していると細菌やウイルスが付着しやすくなります。そして炎症をおこし、喉が痛い、鼻水が出る等の症状を引き起こします。
上記のことから、風邪予防としてこまめな水分補給が大切です。冬でも1日に1.2ℓ程度の水分補給をしましょう。コップ1杯程度の水を6~8回が目安です。寝ている間は水分補給ができないため、朝起きたら水分をとる習慣をつけましょう。また、寝る前にも水分補給をしておきましょう。風邪予防として手洗いうがいは定番ですが、こまめな水分補給も忘れずに体を内側から潤すことで、冬の風邪予防をしていきましょう!!

山田医院 医療事務 宮脇若菜

うちわ歩行と内反足について

うちわ歩行とは歩くときにつま先が内側に入ってしまう歩き方(いわゆる内股あるき)で内股歩行や内旋歩行とも言われます。幼児の約3分の1にみられるともいわれる小児整形外科を受診する原因の1-2位を争うほど頻度の高い訴えのようです。内反足とはつま先が内側を向いているだけではなく後ろから見ると踵が内側に曲がっていて歩くときには足の外側が地面に着くような変形です。尖足と言って踵を浮かせて歩くようになります。内反足は早い時期に積極的に治療を行う必要がある疾患です。うちわ歩行の原因としては大腿骨のねじれ、下腿骨のねじれ、足のねじれの3つがありますが多くの場合には大腿骨のねじれが原因であってこれは病的なものではなく多くは生理的なものであって10歳くらいまでには自然に自家矯正されてきます。そのためにうちわ歩行の多くは自然によくなってきます。なお、下腿骨のねじれあるいは足のねじれが原因の場合には自家矯正はほとんど期待ができないために治療が必要となります。内股はとっさに横方向へ移動するときにはつま先の向きを変える必要がないためにスポーツをする上では有利な場合が多くまた日本においては女性が和服を着たときに内股で歩くことは美しいという文化があるために女児においては内股はほとんど問題はないようですが男児においては整容的に問題となることがあります。装具治療は無効であり手術療法以外に有効な治療法はありません。手術自体は侵襲が大きいために十分に話し合ったうえでの加療が必要になります。なお、うちわ歩行の原因として多い大腿骨のねじれについてはトンビすわり(女の子すわり)が自家矯正を妨げると言われています。逆にあぐらをかくことが良いと言われておりクラッシクバレーは特に有効です。テレビを見るときには特に注意をしてどうしてもトンビすわりになる場合には椅子に座らせることが大切です。内反足とうちわ歩行は一見すると間違えやすいのですが治療方針が全く異なるために良くわからないときにはかかりつけ医師に相談をしましょう。
なお、今回はチャイルドヘルス令和3年1月号から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏