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山田医院だより

第21巻第12号(第251号)

アルコールとこころの健康について

酒に含まれているアルコールの主成分はエタノールです。エタノールは人の脳に様々な薬理作用をもたらすがその主体は神経細胞の機能抑制です。ただしエタノールは同時A10神経と呼ばれる報酬系も刺激するために脳内麻薬と言われるオピオイドと同じような働きをします。これが飲酒時の多幸感となり酒は人間の最も好む嗜好品の1つとして古代から継続して用いられています。アルコールの脳への毒性としては急性アルコール中毒やブラックアウトなどの急性毒性とアルコール依存や認知症などの慢性毒性の2つがあります。泥酔したときに記憶がなくなることをブラックアウトと言いますがこれはエタノールが強く脳に作用した結果ですが、会話や帰宅ができるのは記憶をつかさどる海馬に対して選択的に機能抑制が起こったために起こると言われています。これは海馬の一過性の虚血などで起こる一過性全健忘という病気とよく似ています。この一過性全健忘とは1日程度全く記憶がないもののその後完全に回復するものですが記憶がないときも他人から見ると全く普通の生活をしている状況です。会話の言語中枢あるいは帰宅する際の空間認知を支配する頭頂葉は海馬に比べるとエタノールの影響が少ないと考えられています。慢性のアルコール飲用においてはアルコールの分解の過程で生じるアセトアルデヒドが神経細胞に害を起こすことが知られておりこれが末梢に作用すると手足のしびれを感じるアルコール性末梢神経障害を起こし、中枢に作用するとアルコール性認知症を起こすと考えられています。アルコールの毒性を考えるとアセトアルデヒドが少しだけしかできないほろ酔い程度で飲酒をやめるのが一番良いということになります。アルコールの問題の1つとして依存があります。依存あるいはそこまでではないもののアルコールに関連した害を生じている状態を「アルコール使用障害(アルコール依存)」というようになりました。アルコール使用障害は自殺の危険因子となっています。特にうつ病併存時にはそのリスクは一層高くなります。自殺者の多くが自殺直前にアルコール使用障害に罹患、使用障害でなくても飲酒行動自体が自殺のリスクを高める可能性があります。アルコールが自殺のリスクを高める要因としては①失職、離婚などの心理社会的状況の悪化②元来の精神障害の悪化あるいは新たな精神障害の誘発など精神医学的状態の悪化③アルコール自体の直接的な薬理作用となっています。すべての依存性物質について害を及ぼすスコアリングをした研究ではアルコールが覚醒剤、ヘロインなどに比べて突出して高得点でした。アルコールの有害性については過小評価されているのが現状ですが注意は必要です。アルコール依存の治療としては断酒が唯一の治療方法とされてきましたが最近では減酒という方法もとられるようになりました。アルコールのコントロールができないのがアルコール使用障害であり減酒は根本的な治療にはならないものの重要視するアウトカムを患者さんのQOLの上昇に対して寄与することで持続して通院をしてもらい治療からドロップアウトしないようにすることが必要ではないかという考えからできてきた治療法です。最後にコロナ下におけるアルコール問題についてですが、外出自制などでスリップ(断酒に挫折して再飲酒)するパターンも現場ではあるようでコロナ・スリップと言われて恐れられています。またオンライン飲み会なるものが開催されるようになりましたが画面ではつながっているものの実態は「ひとり酒」でありひとり酒はアルコール依存症のリスクになるので注意が必要です。適正な飲酒量を保つためには第1に飲酒時は飲酒開始時間と飲酒量を決めておくこと、第2にカレンダーを使い自分の飲酒パターンを把握すること。飲酒量の色分けして(多量は赤、少しは黄色、飲まなければ青など)おくことが大切です。アルコール使用障害で悩む場合にはかかりつけ医師あるいは区役所内の保健福祉センターでの相談をお勧めします。
今回は月刊保団連雑誌令和2年12月号から抜粋しました。

山田医院 医師 山田良宏

認めたくない老化現象

こう見えて(どう見えてますか?)もう還暦の私。
かれこれ10年ほど前、ある患者様に点滴をするとき、「爪に縦線入って、冨嶋さんも歳やなあ」と言われて自分の爪をハッとみて笑い飛ばしたけど、それなりにショックで(笑)それからは時折自分で爪も磨き、爪にも良いハンドクリームを塗るようにしました。でもまたまた自分の年を思い知らされる身体の変化が(笑)・・。
1~2年ほど前自分の右手の小指の第一関節の変形に気付き、先生に「これ折れてません?」(一応ナースです)と訴え、少し笑い顔(そう見えただけかも)の先生に「老化現象です」と一言で済まされてしまいました(´;ω;`)ウゥゥへバーデン結節は知ってましたが、まさか自分が・・・
更年期以降に現れる女性特有の手指の関節の不調のひとつで、あとは「ばね指」(曲がった指がカクンとはじけるように伸びる)や「手根管症候群」(手首の正中を通る正中神経が圧迫され指に痺れや痛みがある。)など、認めたくないけど還暦だぞ~とのシグナルが・・・トホホホ
このような治療は固定することが良いけど、まさかいつも使う指を固定するのも難しいですよね。ステロイドや、ヒアルロン酸の注射と言う治療法もありますが、再発を繰り返すときは手術する事もあるそうです。女性ホルモンの減少が関節に影響すると指摘され、やはりエストロゲン不足・・。食べ物で摂るなら大豆製品!豆腐、納豆、みそ、おから、油揚げ・・・。それらの食物がどうしても苦手な人は健康食品で補うのも一つの手かも知れませんね。若い方、今のうちにこれらの食物しっかり摂るようにしたら私のように指を見て老化現象と言われないかもです・・。これから風邪症状の人も来院、コロナとの判別も難しく、来院される方は熱発してるなら、お電話してからの来院をお願いします。そして、診察時間終わりかけの時間帯がとても混むので少し早めにお願いします。来院時マスクは必須ですね。スタッフも全員マスクをしているので声が聞き取りにくいこともあるかと思いますが宜しくお願いします。去年までいつも鼻汁、咳、熱発して保育園休んでいた孫が今年は全く風邪を引きません。これもコロナ怖さのこまめな手洗い、うがいのおかげかも知れません。

山田医院 看護師 冨嶋友子

足先の冷えについて

寒さの季節になってきました。私は、足の冷え性でこの季節はつらいです。冷え性や低体温は万病の元ともいわれ、肩こり・頭痛・腰痛・腹痛・不眠などの不快症状が現れてきます。冷え性のタイプは、①手足の先が冷える「四肢末端型」 ②座りっぱなしの姿勢などが血流を悪くする「下半身型」 ③手足が温かいため。気づきにくい「内臓型」 ④体の中で温度差がなく実感できない「全身型」 ⑤神経系や循環器の障害による「局所型」に分類できます。 冷えを1年中感じてる人は、25.9%、そのうち51%の人が足先の冷えが気になっているそうです。私もその一人です。そこで、足先の冷えについて調べてみました。なぜ、足先は冷えるのでしょうか?人間の身体は寒くなると、手足の表面の血管を細めます。それは、血液の流れを減らし、温かい血液をできるだけ内臓に集めようとするためです。そのため、手足が冷たくなってしまうのです。原因としては、●生活習慣(食生活の乱れ)●自律神経の乱れ ●冷たい食べ物・飲み物や、甘い食べ物の食べ過ぎ。 ●季節はずれの野菜や果物の摂取。 ●その他⇒運動不足、薄着、喫煙、過度のストレス、便秘など。対策としては、●バランスのとれた食事で、ミネラルやビタミン補給⇒低体温改善に必要不可欠な栄養素は、亜鉛・鉄・セレンなどのミネラルと、ビタミンB1・B2などのビタミンです。ミネラル補給は、女性ホルモンのバランスを保ち、冷え・生理不順・低体温を改善します。●冷たい食べ物や甘い食べ物をあまりたべないようにする。⇒糖分には、身体を冷やす作用があります。温かい飲み物、食べ物を選びましょう。 ●ココア⇒ココアに含まれる「ポリフェノール」や「テオブロミン」は血管拡張作用がある事が判明、特に手足の先の血液循環を改善することで、ゆっくりと長く冷えを抑制できるといわれています。 ●乾燥しょうが⇒乾燥しょうがは、ジンゲロールとショウガオールの2つの働きによって、全身を温めてくれるそうです。 ●ふくらはぎのマッサージ⇒血液を送るポンプの役割を果たすふくらはぎをマッサージするのが効果的です。心臓から送られた温かい血液が足先へ運ばれると自然と足先は温まりますが、足への通り道である「ふくらはぎ」が冷えていると、筋肉が収縮して血液が流れにくくなってしまい、足先へ温かい血液が届かず、足先が冷えてしまいます。つまり、足先を温めるには、ふくらはぎの冷え対策をする必要があるのです。●足の冷え改善のツボ⇒八風(はちふう)のツボを押すと、足先の末梢血管の血流が回復。築賓(ちくひん)のツボを押すと、下半身全体の血行を促し、ふくらはぎの血流がよくなり、むくみも取れる。胞盲(ほうこう)のツボを押すと、足と腰の血行を促し、足の冷えや腰痛に効果あり。(各ツボの箇所については記載省略します) ●貧乏ゆすり⇒貧乏ゆすりは、3分間続けてると、ふくらはぎの温度が1度近くあがり、約20分のウオーキングに相当するとのデータあり、冷えの解消につながります。 手足の冷えは、寒さや血行障害が大いに関係するのですが、様々な対策を講じても治りにくい場合には、他の病気が隠れているケースもあります。手足の動脈がつまって血行障害を起こすASO(閉塞性動脈硬化症)や膠原病や甲状腺機能低下症なども考えられます。不安な場合は、医師に相談する事をお勧めします。

山田医院 看護師 橘 智子

寒い夜の過ごし方について

ここ数日、突然寒くなりましたね。動くのも億劫になってしまって、気づいたらこたつで何時間も過ごしてしまっています、、今回は、そんな寒い夜の過ごし方をご紹介します。
☆入浴
寒い時期は、寝る直前にお風呂に入る方がいらっしゃいますが、これはおすすめできません。睡眠のリズムには体温も影響しています。体温のリズムは1日で一定になっていて、私たちの身体の芯の体温(深部体温)は夜19〜20時に最高値を示し、それ以降徐々に低下していくとともに眠くなるようにできています。手や足から熱を発散させて体温を調節しているんですね。だから、寝る直前にお風呂に入ってしまうと、体温が下がるのと逆行して身体を温めてしまい、入眠を妨げてしまう可能性があります。
寝る1〜2時間前に38〜40度のぬるめのお風呂で身体を温めておくと、寝るときに体温が下がって入眠には効果的。
熱いお湯に浸かりたい場合は、眠る3時間前までに済ませましょう。
☆寝る前に
寝酒をするとよく眠れると言われていますが、それは間違い。アルコールを飲むと一時的に眠くなりますが、利尿作用があるためトイレに起きやすくなったり、夜間後半の睡眠を妨げてしまいます。晩酌は就寝の2時間前を目安に終えましょう。寝る前のお酒はNGですが、温かい飲み物は大丈夫です。人によってはトイレが近くなることもあるので、摂り過ぎには気をつけましょう。
また、緑茶やコーヒーなどカフェインの摂取には注意してくださいね。
☆睡眠時
夜の21時以降は、ゆっくりと体温は低下するもの。手足が冷たいからと、靴下を履いたり、手袋をして寝ると、末端から熱が出にくくなるために、体温がうまく下がらずに寝つきづらくなってしまいます。とは言っても、冷え性の女性など手足が冷たくて眠れない方は、寝床に入る前に暖めておきましょう。靴下を履きたいという方には、汗の吸放湿性がよく、足首の締め付けが強くない睡眠専用の羽毛ソックスが睡眠のサポートアイテムとして販売されているようです。寒い時期でも、適切な寝具を使っていれば、外気の気温が3度でも睡眠の質に影響がないとは言われていますが、外気温が低すぎると、心臓の自律神経活動に悪影響(心筋梗塞など)があります。寝室の温度は、無理せずに暖房を使って10度以上に保つのが望ましいですよ。ですが、電気毛布や湯たんぽなどは一晩中付けっ放し(入れっぱなし)にはせず、寝床を暖める役割として使いましょう。これから寒い冬に入り、ウイルスとの戦いもあります。良質な睡眠で免疫を高めましょう!

山田医院 医療事務 高橋日和

コロナウイルス感染症の検査について

コロナ感染症の検査は11月までは基本的には保健所の指示に従い指定された時間に指定された場所に行きPCR検査を受けていました。その結果についても保健所から直接検査を受けた人に電話で知らせてその際に入院等の指示もありました。11月からはインフルエンザの流行も視野に各医療機関においてもコロナウイルスの検査はできるようになっています。(すべての医療機関ではありませんが)では、検査とはどのようなものがあるのでしょうか。マスコミで有名になったPCR法は核酸検出検査といってコロナウイルスの遺伝子を得意的に増幅する方法で少量のウイルスでも検出できますがウイルスが死んでいてもあるだけで陽性となる問題もあります。抗原検査はインフルエンザで行われる検査キットと同じようなもので迅速に検査はできますが感度がやや低いために(コロナ感染者が陽性と出る率)有症状者で発症から2-9日のみに使用できます。抗体検査はウイルスに対する抗体を血液検査で調べるもので過去の感染を見るものとなります。検査の方法としてはインフルエンザ検査のように鼻の奥に綿棒を入れる鼻咽頭検査、鼻から2cmほど綿棒を入れる鼻腔検査、唾液を使用する唾液検査があります。唾液はPCR検査は可能ですが抗原検査ではできません。実際に医療機関においてはどのようにするのでしょうか。コロナウイルス感染症を疑う症状がある方については発症1日目はPCR検査、2日目から9日目は抗原検査あるいはPCR検査、10日目以降はPCR検査となります。PCR検査は外注となる医療機関が多く結果は1-2日後となります。抗原検査は20分程度で結果がわかります。なお、検査結果は医療機関から患者さんに告知することになりますがその後については保健所の指示が直接患者さんにあります。基礎疾患を持つ方あるいは65歳以上の方は基本的には入院となりそれ以外の方については自宅隔離あるいはホテル隔離となります。この判断はすべて保健所からの指示となり感染者については発症後10日間、濃厚接触者と判定された方については14日間の隔離となります。コロナ感染症は指定感染症であり陽性者については保健所の指示に従うことが必要となっています。流行期になっていますのでまだまだ気を引き締めていきましょう。

山田医院 医師 山田良宏

タバコについて

今年4月1日に健康増進法が改正されて受動喫煙対策などが努力義務でしたが、これが義務化となり違反者への罰則も設けられました。あまり知られていないことですがタバコのパッケージの表示についても注意文言が表裏両面にそれぞれ30%であったのが40%に拡大され、またタバコの価格も4年連続で値上げしています。喫煙率は年々減少しており現在は男性30%足らず、女性10%足らずとなっています。ただし新型タバコの出現もあり最近は成人の10%が加熱式タバコを使用するようになっています。新型タバコは副流煙は少なくなるもののニコチン摂取量は以前のタバコと比べてやや少ないかほぼ同等、発癌物質のニトロソアミンは10分の1程度になるもののホルムアルデヒド、アセトアルデヒトなどの検出があります。また急性肺障害という新しい病気の発症もありえます。妊娠中の喫煙については減少傾向も若年妊婦では喫煙率は高くなっています。なお出産前に禁煙した母親のうち約3分の1が出産後に再喫煙をすることがわかっています。なお妊婦の喫煙は早産、胎児の発育、乳幼児突然死症候群との関連があり、また妊娠中の喫煙が出生後の子どもの肥満などの発育に影響することも指摘されています。なお、タバコと子どもの病気で明らかなものはぜんそくです。有病率だけではなく症状の増悪などについても関連があります。その他アトピー性皮膚炎についても増加する傾向があるとされています。タバコと事故と言えばタバコ誤飲ですが、タバコそのものを食べることよりもタバコの火を消すための水を飲用して重篤な症状が出現することが多くあるようです。タバコの誤飲による症状はニコチン中毒で嘔気、嘔吐、幻暈、頭痛、頻脈、血圧変動などがあります。喫煙率は減少しつつあり社会全体がタバコを吸うことが普通ではなくなってきていますがタバコについては確実に喫煙者本人だけではなく周囲の人に対しても健康被害をもたらすためにすべての人が禁煙するようになることが理想です。
この月はチャイルドヘルス令和2年12月号から抜粋しました。

山田医院 医師 山田良宏