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山田医院だより

第21巻第8号(第247号)

高齢ドライバーについて

70歳を超えて運転をする人は1980年代まではごく一部の男性でしたが90年代後半には大半の男性に変わりました。高齢者の交通事故が問題となりそれまでは任意であった高齢者講習が1997年から義務化にそして2009年からは75歳以上の方には認知機能検査が義務付けられ2017年からは規制が強くなりました。
今回は月刊保団連令和2年6月後から高齢ドライバーについての特集を抜粋しました。75歳以上の方は免許更新時にまず認知機能検査を受けて記憶・判断力の低下を指摘された方は医療機関を受診、認知症の診断がつくと免許は取り消しになります。なお点数が低くても認知症ではないと判断された方は3時間の高齢者講習を、75歳未満、75歳以上でも認知機能に異常のない方は2時間の高齢者講習を受けて免許の更新となります。この制度の問題としてまず認知機能検査では主にアルツハイマー型認知症を想定しており事故に直結する前頭側頭葉型認知症を捉えきれないこと、講習者が激増しており講習の順番待ちが出ていること、警察行政主導で取り仕切られているために免許自主返納者は増えているもののその後の生活支援が警察行政では対応できないことなどがあります。次に高齢者事故の特徴についてみると高齢者事故の多くは距離間隔と自車の走行速度の関係を瞬時に判断できないために生じる事故、あるいは事故相手に早く気がついてもアクセル、ブレーキ操作等による減速行動がスムーズに取れなかったことによる事故とされています。自車のスピードは安全速度範囲内であり、道路状況としては交差点が多く、事故種類としては出合い頭事故と右折事故が多くなっています。
この特性としては①視力の低下(視野の低下を含む)、②反応の遅れ・エラー反応・反応時間の変動幅の大きさ、③運転能力の過信の3つがあります。一般に自動車の運転が可能な心身機能レベルは活発な野外生活を楽しむことができることですが、近年では基本的生活は自立しているものの屋内生活が主体の人レベルの人も運転免許更新を希望しているようです。加齢がすべてマイナスに働くのではなく「補償」といわれる知恵と熟達によるマイナス面のカバーを行う能力が高齢者にはあります。例えば高齢者の多くは昼間に運転をして、運転エリアは居住市町村内、走行距離は短いなどです。ただしこの補償は交差点のような複雑な交通状況では補うことができないことも分かっています。なお、交通事故は高齢者が問題となりますが高速道路の逆走は3-4割は非高齢者で、また交通事故の1割以上がドライバーの体調変化特に意識喪失に起因した事故であることも判明しています。交通事故には運転能力(技能)が大切となります。この運動技能は40-50歳代では優れていて事故のリスクが少なかったのが加齢に伴い低下するために危険な高齢ドライバーとなるわけです。①加齢と主に認知・判断の段階で複雑な情報を同時に処理することは困難となります。そのために左折よりも多くの情報を処理する必要のある右折で、また複雑な交差点での事故が増えます。②身体能力の低下としては目の能力低下が最も運転には影響します。特に動体視力の低下、暗順応の低下(トンネルに入った際の暗闇に対する反応)、幻惑の増大(対向車のヘッドライトの光に対する)がありまた緑内障による視野の欠損も問題となります。③過去の経験にとらわれるという「だろう運転」があります。逆に自分の能力低下を素直に受けられる高齢者は柔軟性が高く安全に自動車の運転をできる可能性が高いと言えます。なお、免許の自主返納の対極にあるのが安全運転をサポートする技術と自動運転の技術の開発です。自動運転の技術開発は進んでいますが自家用車においてはドライバーが安全運転に注意を払う必要がない場面は現時点では高速道路走行時、渋滞時、駐車等に限定されており一般道走行時はドライバーが安全運転に注意を払うことが求められる状態が続くと思われます公共の交通機関における自動運転は無人運転が可能なレベルに実現しようとしている状態のようです。
最後にかたくなに運転を断念しない高齢者に対しての対応ですが、認知症の診断を受けている場合には法律的に免許は返納であり運転は強制的に辞めさせる必要があります。なお認知症と診断を受けていない高齢ドライバーに対しては加齢に伴う運転能力の低下を説明して自主返納を勧める、交通事故の重大さを強調して運転をやめさせる。交通事故による賠償金や罪の重さを強調して運転をやめてもらう等の方法が勧められているようです。自主返納した際の交通手段などインフラの整備が特に地方では不十分でありその点についても検討することが大切です。大阪市内においては交通機関が発達していることもあり免許の自主返納の敷居は低いかもしれません。高齢になった際の対応について皆さんも考えておくほうがいいかもしれません。

山田医院 医師 山田良宏

尿でがんを早期発見?

先日主人が「最近、尿でがんがわかる検査ができたらしい!」というので気になり調べてみました。その検査は「N-NOSE」といい尿1滴でがんがわかるという検査で2020年1月に実用化されました。「N-NOSE」はわずか1㎜の「線虫」が犬の1.5倍といわれる優れた嗅覚でがん患者の尿には集まりがんでない人の尿からは逃げる走行行動を利用した検査です。ステージ0~1の早期がんも検知しその感度は86.3%と言われており、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、膵臓がん、肝臓がん、前立腺がん、子宮がん、食道がん、胆のうがん、腎臓がん、膀胱がん、卵巣がん、口腔・咽頭がんの15種類のがんに反応するためがんの1次スクリーニング検査に適しています。しかしまだ広く一般病院でできる検査ではなく、費用も保険診療適応外で税別で9800円になるそうです。
また検査を行っている(株)HIROTSUバイオサイエンスではN-NOSEはこれまでの臨床研究をもとに、検査時のがんのリスクを評価するものでがんを診断する検査ではありません。そのため検査でがんのリスクが検出されなかった方でもがんに罹患していないとは言い切れませんし検査でがんのリスクが高いと判定されたかたでも必ずしもがんに罹患していることを示すものではありません。N-NOSE の検査結果だけに基づき自ら判断することはお控えいただき検査結果の解釈やその他必要な検査にかんしてはご自身の健康状態を踏まえ医師にご相談されることをお勧めいたします。と説明されています。

「N-NOSE」は簡単で痛みを伴わない画期的な検査ではありますが一般診療の場で多くの人に保険診療の適応で提供できるようになるにはもう少し時間がかかりそうですね。「N-NOSE」に興味のある方はN-NOSE .comで検索してみてください。

山田医院 看護師 中島早苗

食後の眠気のついて

食事の後に、眠くなることはありませんか。お腹いっぱい食べたときなどに、多少の眠気を感じることは誰にでもあることのようです。でも、ひどく眠い、眠気が強すぎて仕事に集中できない……となると、困ってしまいますよね。そんな食事後の眠気について調べてみました。
食事をとると、消化吸収を助けるために、全身の血液が胃腸に集まります。すると脳への血流量が一時的に不足して眠気が起こる。これが食後の眠気の原因です。少しぐらいの眠気は、自然な現象なので心配ないのだそうです。ただし、注意点が1つあります。食後に眠い、かつ最近、体重が増えてきたという人は要注意。食後の血糖値が高い「食後高血糖」という状態に体重増加、運動不足、家族・親族に糖尿病患者がいるなどの条件が重なると将来、糖尿病などの合併症に発展する可能性があるからです。
では「食後高血糖」とはどのようにして起こるのでしょうか?通常、食事をすると、一時的に糖の血中濃度(血糖値)は上昇します。健康な人であればその変化は穏やかでインスリンというホルモンの働きにより食後に適正な状態に保たれます。しかし、糖尿病や糖尿病予備軍の人などインスリンの分泌に異常がある人では血糖値が急上昇しその状態が長く続いてしまう「食後高血糖」がみられることがわかっています。また、食後高血糖を放置していると糖尿病になりやすいと言われています。この食後高血糖と関連して最近は〝血糖値スパイク〟が問題になっています。食後に血糖値が正常範囲を超えると、体はそれを下げようとしてインスリンというホルモンを出します。すると、今度はインスリンの過剰分泌により血糖値が急降下してしまいます。これが、血糖値スパイクです。こうした血糖値の乱高下を繰り返すと食後にだるさ、眠さを感じることがあり、糖尿病や動脈硬化などのリスクが高まるともいわれています。
食後高血糖にならないようにするには、食事などの生活習慣を見直すと良いそうです。眠気防止にもなるのでぜひ取り入れてみてください。

〈予防のコツ1〉
・ゆっくり時間をかけて食べること
・野菜や肉・魚(タンパク質)から先に食べ、米などの主食を最後に食べること
・朝ごはんを抜かないこと
「過食」「早食い」「欠食」「空腹時の間食」は、血糖値の急上昇を招き、血糖値スパイクが起きる原因にもなるので、気をつけて。おやつの食べ方にも工夫を。空腹時に甘いものをいきなり食べるのではなく、豆乳、ヨーグルト、チーズなどでお腹を満たすと血糖値の急上昇を防ぐことができます。

〈予防のコツ2〉
食後の眠気を吹き飛ばすには、運動を取り入れるのも良いそうです。かかとの上げ下げ運動や、散歩などの軽い運動でも充分。体を動かすと、血液が手足の筋肉に集まるので、胃腸の働きが鈍くなり、糖の吸収が遅くなります。眠気防止にもなります。確かに、食べた後にじっとしていると眠気が強くなるような気がしますよね。軽く動くと、胃腸に血液が集中するのを抑えることができるので、脳への血流不足にならずに済むというわけです。食後の眠気に悩んでいる方は、試してみてくださいね。

山田医院 医療事務 東川敏美

本人も家族も辛い認知症

山田医院の患者さんたちも知ってる方も多いと思いますが、私の母は背格好が私と似ていて、良く山田医院にも連れてきていました。
耳が遠く、補聴器を何個も買いなおしたけど本人気に入らず結局付けずにいましたが、大好きだった家族(姉家族と暮らしています)との話にも入れず、自室にいることが多くなり、大好きな氷川きよし君のDVDを観て過ごしたりしていましたが、年々痴呆症が出てきて、昔々の事や百人一首、祝詞などはサラサラと言えますが、今言ったこともさっきしたことも定かではなくなっていて、仲良しだった親戚が亡くなったことも忘れるようになりました。そして昨年大病、大手術をしたことで人工肛門になり、家族の負担も大きくなりました。すっかりわからなくなるのも辛いけど母のような認知症もとても辛く、今言ったことを何度も繰り返して聞くので、わかってはいてもつい大きな声で答えたり、、、。いま介護されてる方は重々知っている事とは思いますが、認知症の人に接するときの注意事項として
1)穏やかに答える
2)役割をもってもらう
3)不自由なところを見極めてサポートする
4)本人の話を受け止める
簡単に感じますが時折母を預かると、同じことを何度も言うのでつい大きな声になっていることがあります。娘が最近授業で、早めに補聴器を付けなければ認知症が進む、との事を聞き「お母さんは少しでも耳遠くなったらすぐ補聴器つけてや!」「同じことを何回も聞くようになったら、首からホワイトボードぶら下げてそこに書くから読んでや!」と厳しい宣言を受けております、、トホホホホ。でもどおやら年をとっても面倒見てくれるのかと思いきや、お母さんが生き残って(笑)一人になった時のために施設に入るお金残しといてや!と釘を刺されました。まだまだ山田医院で働いて老後の為に蓄えとかなくては、、、。
話は変わりますが、私は夜間のクーラーが苦手で、主人と別室で寝ているので扇風機で寝ていて、朝までぐっすり寝れるのですが、起きたら軽い熱中症症状が、、。暑さに鈍感になっていたようです。
先日からエアコンかけて寝ています。皆様もお気をつけください。

山田医院 看護師 冨嶋 友子

マスク皮膚炎

感染症対策で当たり前となったマスク着用と手洗い・消毒の習慣。一方で、かゆみやかぶれなどの肌荒れが気になり始めた人も多いのではないでしょうか?今回は新しい生活様式に合わせ、肌も身体も健康に保つための具体的な方法をご紹介します。厚生労働省が提示する「新しい生活様式」では、たとえ屋外でも、人との間隔が十分取れない場合は、症状がなくてもマスクを着用することを説いています。
これに沿ってマスクを長時間着用していると起こりがちなのが、ニキビや湿疹などの肌荒れです。この大きな原因の一つが、マスクが肌に与える刺激。普段、肌荒れとは無縁という人も、長時間着用することで顎などのマスクが当たる部分が荒れやすくなってしまうのです。さらに、マスクによるムレが肌トラブルに結びつくこともあるので、気をつけたいところです。予防策として、まずはマスクの材質や形状を見直してみましょう。着用するたびに毎回かゆくなるなら、そのマスクを使うのは控えて下さい。化学繊維だとかぶれやすい人もいるので、綿などの自然素材のものを試してみるのも良いでしょう。マスクと肌の間にガーゼなどを挟むのも、ひとつの方法です。ムレを防止するために、通気性の良い素材を選んだりするのも良いでしょう。また、肌に触れる箇所を減らすため、「サイズが合わなくてキツイ」といった場合も、別のものへ変更するのがおすすめです。感染症対策のために、まめな手洗い・手指消毒も推奨されていますが、回数が増えれば皮膚表面をカバーしている皮脂が落ちて乾燥した状態が続きます。そのままでは皮膚のバリア機能が低下し、肌荒れを引き起こすこともあります。この状況を防ぐには、やはりまめな保湿ケアが必要です。携帯しやすいチューブタイプの保湿剤を用意し、手洗い・消毒のたびに塗るようにしましょう。ただし、湿疹の場合は保湿剤ではケアできません。特にアルコール消毒薬を使うと、刺激によってかぶれや赤み、かゆみが出やすくなるので、こうした症状が見られたときは皮膚科を受診するなど、適切に対処しましょう。
生活様式はガラリと変わりましたが、保湿などのケアや予防対策をしておくだけで、トラブルのリスクを軽減できるものです。普段、保湿はしていないという方も、できるだけ習慣化することをおすすめします。

山田医院 医療事務 杉山恭子

発育性股関節形成不全について

従来は先天性股関節脱臼という言葉が使用されていましたが、先天的に脱臼していることは少なく後天的な環境要因により臼蓋形成不全から亜脱臼、脱臼へと進展していくことが多いために発育性股関節形成不全という用語に変わりました。この状態は変形性股関節症につながり将来的に股関節の痛み等に伴う人工股関節手術が必要となることもありますが、 症状が強い場合には1歳の歩行開始時に歩行が困難となることもあります。1970年代の予防活動で頻度は1/10まで減りましたが最近また増加傾向でもあり健診において注意が向けられています。健診においては股関節の開排制限/大腿、鼠径のしわが非対称/家族歴特に姉、母親/女児であること/骨盤位分娩であった/これらがあるとリスクファクターとなります。早期のスクリーニングのポイントとしては仰臥位での向き癖があります。向き癖は右が多いのですが(60%)その場合には左側の股関節に脱臼が起こることが多くなります。通常は3か月を過ぎると向き癖も減り問題はなくなりますが、予防としては生後3-4か月が大切なので向き癖があるときには気を付ける必要があります。また両下肢は開脚の状態で動きを妨げないことが大切でいわゆるコアラ抱っこなどはお勧めとなります。欧米等においては早期発見のために超音波検査が導入されているでスクリーニング回数も日本よりも多くなっています。日本においてもスクリーニング健診においての超音波検査が望まれますが現時点においては問診と診察での対応となっています。赤ちゃんの下肢の開脚がよくない場合には特に女児で骨盤位であり身内に同じ症状の方があれば要注意なのでかかりつけ医師に相談をしましょう。

山田医院 医師 山田良宏