第21巻第7号(第246号)|大阪市阿倍野区で内科・外科・小児外科なら山田医院にお任せください。

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山田医院だより

第21巻第7号(第246号)

高年齢労働者の健康と安全について

昭和時代において高年齢労働者は55歳以上と定められていましたが少子高齢化の進展により高年齢労働者の雇用は増え続けています。法律的に定年は60歳以上となり65歳までの継続雇用制度の措置が定められています。65歳まで雇用確保措置を有する企業はほぼ100%ですが実際に適用されるのは約半数程度にすぎません。60歳以上の雇用数はこの10年間で1.5倍に増加していて2018年では全体の雇用数の20%程度を高年齢者が占めています。産業別にみると「卸売り・小売業」「農業・林業」「製造業」「サービス業」「医療・福祉」が高くなっています。職種別では管理・専門・技術的や事務的な職種が多く続いて生産的工程、運転、包装、清掃などが高くなっています。なお、雇用形態としては非正規率が70%以上となっています。労働災害は高年齢になるほど多くなり災害数は約半数が50歳以上となっています。特に「転倒災害」「墜落・転落災害」が約半数を占めています。特に転倒災害の1/4は60歳以上の女性が占めています加齢と身体機能の変化をみると筋肉については男性は50歳代から大腿部が60歳代から上腕部が顕著に低下、女性については男性よりも変化が早く現れるようです。視力については40歳代後半から静止視力の低下、45歳以上で動体視力の低下があり、聴力については40歳代から高音域の聴力低下を認めます。認知機能については言語理解は80歳まで、推論・空間認知・知覚速度・数的処理などは60歳までは高く維持されるようで加齢により処理スピードは落ちるものの長年の経験で得た知能は高年齢になっても保たれることがわかります。なお、入院受診率を見ると50歳代後半から急増してきます。疾病で見ると生活習慣病である高血圧、脂質異常症、糖尿病なども加齢と共に増加します。またこの生活習慣病は脳心血管疾患の危険因子となりますが就業者の脳血管疾患、心疾患による死亡は60歳以上が全体の7割を占めています。今後さらに増加することは予測されるために中高年からの生活習慣病対策は必要になります。またつまずき、転倒防止の観点からはサルコペニア・フレイルの予防も注目され低体重高齢者の筋肉量維持のための保険指導も重要視されています。労働災害が発生しやすい介護施設・製造業・サービス業については優先的職場改善対策としては下記の項目に取り組むことが大切と言われています。

職場での腰痛予防
腰痛を引き起こすと言われている5つの不良作業姿勢(腰が高い、腕を長く伸ばす、体の傾きが深い、背が丸い、急に体をねじる)があります。これらの5つを改善するキーワードとしては肘の曲げ角度が90度になるように作業面を設計することが大切です。これはアームの法則ともいわれています。なお、重いものを取り扱う場合には最大20㎏を目途として、また重いものを運ぶ際には身長が同じ程度の人の組み合わせを作ることです。身長差があると背が低いほうに7割の負担がかかり、また階段なのでも下のほうにいる人に7割の負担がかかることになります。そして荷物はつかみやすくして、荷物はできるだけ体に近づけて持ち上げたり保持することが大切です。なお、軽度の腰高姿勢、不快感を伴わない程度のねじり姿勢であっても保持時間はできるだけ短くするすることも大切です。今後さらに高年齢の労働者が増えてきます。高齢になると内科的疾患も多くなるために就業の継続のためには健康管理が大切になります。ま
た加齢に伴い生理的に肉体の衰え、特に骨筋、感覚器においてはっきりとするようになりこのために労働災害も多くなります。この対応のために職場環境の整備に加えて各自の運動能力維持のための運動を中心としたトレーニングも大切になります。健康管理、運動、食事などの食生活を整えて元気に仕事を頑張ってください。

山田医院 医師 山田良宏

チック(チック症)について

新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令されるなど、今までの生活が一変しました。それにより、今まで当たり前のように過ごしていた生活ができなくなり、極度のストレスを感じた方もたくさんおられたと思います。状況が少し落ち着き、近所の人たちの会話の中で、「子供の目のピクピク感が酷くなってきた…」「眼科に行っても異常はないと言われ…」また、反対に「幼稚園や学校に行かなくなったことで症状が落ち着いてきた」などの話を耳にすることがありました。そこで、今回は、チック(チック症)についてお話ししていこうと思います。チック(チック症)という言葉を耳にしたことありますか?チックとは、不規則で突発的な動きや発声が、本人の意志とは関係なく繰り返し起きてしまう疾患。根本的な原因は解明されていませんが、4~11歳ころの児童期~青年期の男児に発症することが多く、その時期を過ぎれば自然と症状がでなくなることもあります。自分自身で症状をコントロールすることは難しいが、症状を緩和することは可能だと言われています。症状が継続する期間によって、一過性チック症(1年以内に症状が消失する)慢性チック症(1年以上症状が持続する)に分類されます。先程も言ったように、現状、根本的な原因はまだ解明されていませんが、不安や緊張、興奮、疲労などが誘因となりやすい。不安などのストレスや強度の疲労によって悪化しやすく、心身ともに落ち着いている状態の時は改善する傾向にあります。また、チック症は、環境的な要因で起こる可能性もあり、テレビの見過ぎで目が疲れてしまったことをきっかけに、チック症が発症したという例もあります。ほかにも、瞬きのチック症の場合、元々結膜炎などで目が痒くてパチパチしていたのが癖になって、それが発症を引き起こしたなど原因は様々です。不安や緊張などの精神的ストレスが原因となる事が多い病気のため、傷つきやすかったり、敏感に感じやすかったりするタイプの性格が、チック症の原因となるかもしれません。症状としては…まばたき、顔をしかめる、口をゆがめる、とがらせる、舌を突き出す、鼻をピクピクさせる、首を左右に振るといった動作性症状(運動チック)、咳払い、鼻や舌をならす、叫びや単語を連発するなどの音声性の症状(音声チック)に大別されます。また、運動チックは、肩をびくっとさせる、地団駄を踏む、飛び上がるなど顔や首以外の部位にも起こる場合があります。他にも、相手の身振りや言葉を意図せずに真似してしまうこともあります。複雑性運動チックの場合は、普通なら人前で発言するのははばかれるような汚い言葉を発してしまうという症状もあります。

チック症は、ストレスを減らす環境作りを心がけることが大切で、本人に症状を指摘しすぎたり、叱責したりすることで症状を悪化させてしまうこともあるため、ストレスを感じさせず本人を安心させてあげることがとても大切になります。
通天閣が黄色信号になるなど、第2波が来るのも時間の問題のような気がします。一人一人が、これからの心構えをし、少しでもストレスを軽減しながら、この生活を乗りきっていけたらと思います。

山田医院 看護師 川上 啓

へそのごまは取ってもいい?

普段は特に気にしないけれど、入浴の時ふと見るとそこに溜まっているへそのごま・・・。そういえば子どもの頃、へそをいじるとお腹痛くなるよ!と注意されて、なんとなくその言葉通りへそは触らないようにしてた時期もありました。皆さんも似たような経験あると思いますが、そもそもなぜへそを触るとお腹が痛くなるのでしょう??それはへその廻りには神経が集中しており、へその下には脂肪や筋肉が少なく内蔵と皮膚の距離が非常に近いため強くこすったりするとお腹が痛くなることがあるのだそう。。だからへそはむやみに触らないほうがいいのですね。しかしどんどん溜まっていくへそのごまをそのまま放置して問題ないのでしょうか?

へそのごまは汗や皮脂が埃や垢と混ざり固まって出来たものです。そこは細菌が生息するには絶好の環境で、ある研究機関でへそのごまを培養したところ計2368種もの細菌が見つかったとか。またへそのごまの細菌の数は120万個/gで便器の水の約4100倍の数あるといわれています。(←ただしへそのごまに含まれる菌は無害な菌のほうが多いそう)数字だけみるととんでもない話ですね(汗)へそのごまは基本無害なので無理に掃除する必要はない、という意見もあります。ただへそのごまを溜めたまま放置すると細菌が繁殖をし悪臭を発したり痒みを起こす可能性があります。また見た目もよろしくないので定期的に掃除をして清潔に保つほうがよさそうです。掃除方法は、普段は入浴時、石鹸のついたタオルで軽く洗う程度で大丈夫です。少し頑固なごまであれば、へその窪みにオリーブオイル(またはベビーオイル)を数滴たらし少しふやかした後、綿棒で優しくこすりましょう。この時綿棒をオリーブオイルで浸して使うとより取れやすくなります。掃除する際はくれぐれも強くこすらないよう気をつけて。過度に掃除するのも禁物です。キレイなへそになって気分もスッキリしましょう。

山田医院 医療事務 川村 理恵

今に注意を向けて、脳を休ませよう

新型コロナウイルスの感染状況は日々変化し、テレビやネットから多くの情報が入ってきます。いろいろな情報から様々な結果を推測するのはヒトの特殊能力ですが、今の状況では情報が多すぎ、考えれば考えるほど不安になってしまいます。未来のことは誰にとっても不明であるので答えは「今」にはなく、答えが出ず不安だけが残り考え続けてしまうからです。考え続けて脳が休まらず疲れ切ってしまう人も少なくないと思います。

そんなときにマインドフルネスという概念で脳を休ませることができるそうです。日本では昔から瞑想という形で伝えられてきましたが、21世紀になりアメリカの医学博士が体系化し、マインドフルネスストレス軽減法として、医療福祉分野や、アップルなどの大きな企業でも社員研修として取り入れているそうです。

その方法はいつでもどこでもすぐに実践できます。呼吸法、ボディスキャン法など様々な方法がありますが、共通するのは簡単に表現すると「余計な憶測はやめて、いま起きている出来事に着目する事」です。今回は簡単な方法を紹介します。例えばいま目の前にある「いつもの」トマトを、まるで「初めて」見たものとして五感を研ぎ澄ませて観察してみます。見た目、触感、かおり、温度、味、のど越しなど色々と気付く事があるとおもいます。そこで大切なのは自分で判断しないこと、今までの好き嫌いのが概念も一旦置いておいてあるがままに受け入れることです。いつもと同じ通勤通学の風景、自宅から見える窓の景色も改めて観察すると、天気、気温、湿度の変化、セミの声、風のやさしさ、など色々な発見があるかもしれません。

毎日なんとなくテレビを点けてニュースに不安になる、という状況をいったん止めて、時にはテレビを消して目の前にあるものに注目してみるだけで脳が休ませられるかもしれません。

山田医院 看護師 盛田里穂

疥癬の対応について

全身に猛烈な痒み:今までに経験したことのないような激しい痒みを生じて、若い人ならばアトピー性皮膚炎にも見えるし、高齢者ならば乾燥性湿疹のようにも見える皮膚の病気が疥癬ですがこれはヒゼンダニが皮膚に寄生することで生じる病気です。まれな病気ではなく日本においても年間に10万人くらいの新規患者さんが発生しているようです。高齢者施設などでの集団発生が問題となっています。全身におびただしい数の掻破痕が生じますが特徴は手指、手指間、手首などに生じた線状の皮疹で単なるささくれや薄い皮めくれのように見えますがこれが疥癬トンネルと言われるものでこの先端に疥癬の原因となるヒゼンダニがいます。この疥癬トンネルを見つけることが診断につながります。疥癬トンネルは幅1㎜弱、長さはせいぜい5㎜程度のものです。この先端にいるヒゼンダニを見つけると診断になりますがこのダニは0.4㎜程度の大きさで直接見つけるのはやや困難です。ただ、このヒゼンダニは口と前足が黒色であるために微細な黒点として見えることがあり診断の一助になります。このヒゼンダニの数により軽症の通常疥癬と重症の角化型疥癬(ノルウェー疥癬)に分けられます。疥癬は治療をしないと治りませんが治療をするとおおむね1か月程度で治癒します。現在は内服薬あるいは外用剤ともによく効く薬剤ができました。ただ、薬剤は卵には聞かないので通常は薬剤を1週間の間隔で2回使用することが必要です。角化型疥癬は感染性が強いために隔離治療が必要ですが普通疥癬は隔離の必要はありません。なおヒゼンダニはヒトの皮膚でしか棲息しないで床に落ちると1-2日で死滅するので清掃等については通常通りで十分です。ただし、ノルウエェー疥癬はおびただしい数の虫がいるために清掃には落屑をきっちりと除去する必要があります。現在でも時々この疥癬の集団発生が問題となります。医師としても頑固な痒みを訴える方においては手のひらの診察をきっちりと行いこの疥癬を除外することが必須となっています。

山田医院 医師 山田良宏

ダウン症児の育ちと生活について

ダウン症候群は常染色体異常の中では最も多い疾患です。21番目の染色体が余分にあるために生じる疾患で700-1000出生に1例ほどですが標準型は卵子形成時に起こるために母親の妊娠年齢とダウン症発生は相関します。平面的な顔立ち、小柄で筋緊張の低下が特徴的であり先天性心疾患などの合併症を持ち精神運動発達がゆっくりで中程度の知的障害を伴うことが一般的です。現在は出世前診断で診断がつきます。ダウン症の特徴は述べましたが特性については個人差が大きいことを理解することも大切です。まず、新生児期には約半数の児で先天性心疾患が見つけられ、消化管の閉鎖や狭窄が見られることもありまた新生児一過性骨髄増殖状態を認めることもあり、また先天性難聴、白内障もあります。また先天性甲状腺機能低下症の頻度も高くなっています。運動獲得には健常児の2-3倍の時間がかかると言われています。平均的な独歩は2歳ころです。歯牙萌出は遅く一般的にはよくかまず飲み込む傾向があり、また筋緊張低下による便秘があります。喀痰排出困難もあり気道感染症の重症化もあります。中耳炎の合併、整形外科疾患としては頸椎の不安定(環軸椎不安定)などがあります。ジェスチャーなどの非言語的なコミュニケーションは良好ですが発語が不明瞭で語彙も少なく聴覚的短期記憶が弱いことが特徴です。成人期に向けて知能指数は(IQ)は20-60程度です。ダウン症では周囲に愛想がよく対人的な活動を好むものが多く社会性の発達は良好ですが周囲のペースに合わせたり、規則を守って皆と同じように遂行することは苦手です。ダウン症の方の実態ですが8割以上の方は高校を卒業、4分の3の人は就労しています。人とのかかわりが中心となる職域である飲食業、小売業、サービス業への就労が多いようです。9割以上の方は障害年金を受給しているために多くの人は自身の収入と年金で生活の自立が可能となっています。現在平均寿命が60歳に達しているために生活習慣病を含めた慢性疾患のフォローも大切になります。今回はチャイルドヘルス令和2年7月号から抜粋しました。

山田医院 医師 山田良宏