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山田医院だより

第21巻第3号(第242号)

ウイルス肝炎について

ウイルス肝炎は現在A型からE型までの5種類があります。経口感染による肝炎にA型とE型の2種類です。

A型肝炎は日本においても戦中・戦後の混乱期には蔓延しており周期的な流行がありましたがその後は上下水道の整備等で著減しており60歳未満ではほとんどの人が抗体を保有していない状態であり時々流行を認めます。直近では2018年に東京を中心に流行がありました。ただ、この場合には今までとは様相が違い男性同性愛者による感染が中心でした。A型肝炎ウイルスの感染様式は多様化しており従来の生牡蠣などの魚介類の摂食や海外渡航による輸入感染のほか性行為による感染、さらには輸入食品による感染もあるようです。A型肝炎は通常は急性肝炎で経過しますが高齢者においては重症化しやすくなっており注意が必要です。A型肝炎ウイルスに対してはワクチンがあるので東南アジア、中南米などに行く人、男性同性愛者などに対してはワクチン接種が望まれます。

E型肝炎は以前はまれであると考えられていましたが2011年に保険で検査ができるようになってからは届け出患者さんの数は増加していて最近ではA型肝炎よりも多くなっています。E型肝炎ウイルスはゲノタイプが4つあり日本においてはゲノタイプ3と4が主体となっています。E型肝炎ウイルスは人獣共通感染症でありブタ、イノシシ、シカなども感染していてその動物の肉や内臓を生あるいは加熱不十分で喫食すると感染します。ごくまれに輸血にて感染することもあります。なおE型肝炎で問題となるのは妊婦に罹患すると20%に劇症肝炎を発症すること、免疫能の低下した人では慢性化する可能性があることです。E型肝炎ウイルスについてはワクチンがないために予防としてはブタ、シカなどの肉を食べるときには65度以上で10分間加熱することが大切です。

C型肝炎ウイルスについてはインターフェロンを使用しないで直接作用型抗ウイルス薬(DAA)を服用することで100%近い治癒率を得ることができます。インターフェロンのような発熱、倦怠感もほぼなく2-3か月の服用を行うだけの治療です。現在は最後のDAAといわれる非代償性の肝硬変に対しても治療を行うことができる薬剤もできました。基本的にこの治療はC型肝炎ウイルスに感染しているすべての方が対象となります。薬剤費が極めて高額となっていますが2009年に制定された肝炎対策基本法」に基づいて治療費は月額1-2万円までで受けることができます。

現在問題となっているのはウイルス排除後の発癌対策です。発癌リスクとしては肝臓の線維化、高齢、男性、腫瘍マーカーのAFPが高値であれば発癌リスクは高く注意が必要です。なお10年間は発癌リスクが低下しないので障害サーベイランスを行うことは必要です。なお、アルコール飲用、肥満、糖尿病は肝炎進行のリスクが高くなるために注意が必要です。

B型肝炎はいわゆる輸血後肝炎として有名ですが、感染者の、汗、唾液などの体液からも感染することが知られています。日本においては妊婦がB型肝炎に罹患している状態であれば出産後に新生児にワクチンを接種する対応をとっていましたが2016年からは定期予防接種として生後2か月から無料でワクチン接種を行っています。B型肝炎ウイルスに罹患すると治癒した(治癒したと思った)後もウイルスが幹細胞内のゲノムに組み込まれており存在し続けることがわかりました。そのためにB型肝炎の既往がある方が免疫抑制剤あるいは抗がん剤を使用して免疫力が低下するとB型肝炎ウイルスが再増殖して肝炎を発症します。この再活性化による肝炎は重症化しやすく急性肝不全から死に至ることも多く問題となりました。現在では抗がん剤、免疫抑制剤などの薬剤を使用する場合には肝炎ウイルスチェックを行い再活性化に対する対策を行うようになっています。

なお、B型肝炎の方の治療ですがC型肝炎の方のように全例がDAAの治療対象とはなりません。B型肝炎ウイルスは現在は体内から完全に排除することは不可能であり治療の目標は長期的には肝炎の鎮静化と発癌率の低下であり現在は主として核酸アナログ製剤が使用されています。治療期間もC型肝炎ウイルスでは2-3か月と期間が決まっていましたがB型肝炎ウイルスに対しては期間が決まっておらず長期にわたります。なおB型肝炎の治療においても前述の「肝炎対策基本法」に基づいて治療費の上限が決められています。B型肝炎においては肝炎発症していないキャリアの方あるいは慢性肝炎の状態の方でも肝臓癌を発症するリスクがあり定期的なフォローが大切になります。肝臓癌の治療については今までは手術あるいは局所療法といいラジオ波による治療、血管閉塞による治療が中心でしたが最近では分子標的療法の開発も進み腫瘍数の多いもの等については分子標的療法が第1選択となりました。今回は日本医師会雑誌令和2年3月号から抜粋しました。

山田医院 医師 山田良宏

尿酸値気にしていますか?

尿酸値が高いといわれて思いつくのが痛風です。痛風はかつて「ぜいたく病」と言われていましたがこの飽食の時代ではありふれた疾患になりました。血液中の尿酸の濃度が高い状態(高尿酸血症)が続くと体内に尿酸の結晶が蓄積して痛風発作(関節炎)腎障害(痛風腎と言われ進行すると腎不全を起こし透析が必要になることもある)痛風結節(尿酸の結晶が皮膚の下に沈着し肘や手の甲、耳介などに塊ができる)尿路結石(尿が酸性になり尿中の尿酸が溶けにくくなり結石ができる)などの症状を引き起こします。また高尿酸血症は高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病や慢性腎臓病を合併しやすく動脈硬化を進行させ心筋梗塞や脳卒中などを起こすリスクを高めていると言われています。尿酸は20%が食品のプリン体からつくられ残りの80%は体内で作られるエネルギーの燃えかすと遺伝子が分解されることによって生じる老廃物です。できた尿酸は尿中に排泄されますが体内で尿酸がつくられ過ぎたり不要となった尿酸がうまく体の外に排泄されなくなることで血液中の尿酸の濃度が高くなり尿酸値が7.0㎎/㎗を超えたら「高尿酸血症」と呼びます。尿酸値が7.0㎎/㎗を超えたらまず生活習慣を見直しましょう。

食事の量を抑えて体重を落としましょう。
①適正カロリーを守る(適正カロリーの目安は標準体重×25~30kcal)。
②魚卵や内臓などのプリン体の多い食品は食べる量と頻度に気をつける。
③野菜や海藻、牛乳などのアルカリ性食品を積極的にとる。

アルコールを減らしましょう。ビールにプリン体が多いのは有名な話ですがビールに限らずアルコールそのものが尿酸値を上げる原因になります。尿酸値を上げない1日の飲酒量の目安はビール500ml、焼酎25度90ml、ウイスキーまたはブランデー40度60ml、日本酒180ml、ワイン180mlです。水分を十分にとりましょう。

心不全や腎不全で水分制限の指示を受けている場合を除いて1日2Ⅼを目安に積極的に水やお茶を摂りましょう。

適度な有酸素運動をしましょう。ただし激しい運動はかえってエネルギーの燃えかすである尿酸が増え尿酸値を上げる原因になるので注意しましょう。ウォーキングや水泳、ジョギングのような軽い有酸素運動を継続して行うのが効果的です。

ストレスを上手に発散しましょう。痛風になる人はせっかちで行動的な人が多いといわれ食事をすれば早食い大食いで仕事はバリバリこなし、プライベートもじっとしていられないタイプの人はストレスにさらされやすくストレスは尿酸値を上げるといわれています。十分な睡眠、適度な運動などのんびりリラックスをこころがけ体に優しい自分なりのストレス解消法を見つけてください。

痛風発作を起こしたことがある、または痛風結節がある方、尿酸値が8.0㎎/㎗以上で腎臓病、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病などの合併症のある方、尿酸値が9.0㎎/㎗以上の方は薬を飲むことが勧められますので主治医に相談しましょう。

山田医院 看護師 中島早苗

季節の変わり目は体調不良になりやすい??

体調を崩しやすい季節の変わり目では、昼と夜の気温差や月平均の気温の寒暖差が大きくなります。
具体的には9月~11月、3月~4月、6月~7月頃には注意が必要です。
これらの時期によく見られる症状の一つとして頭痛があげられます。キリキリする、頭が重く感じるなど痛みの種類は人それぞれです。その他に肩こり、不眠、倦怠感や肌荒れなどがみられることがあります。また体だけでなく心にも不調が現れることもあります。原因は自律神経の乱れかもしれません。寒暖差やストレスなどによって自律神経のバランスが崩れることで生じる自律神経の乱れが挙げられます。昼間や活動時に作用する「交感神経」と夜間やリラックスしているときに働く「副交感神経」の2種類がありこれらがうまくバランスを取って作用することで、体温や発汗の調整、代謝などがスムーズに行われています。

しかし、寒暖差が大きくなると、体温や発汗をひんぱんに調整しなければならなくなるため、2つの神経のバランスが崩れてしまいます。また環境が大きく変わることによるストレスや生活のリズムの変化も、自律神経の乱れや体調を崩すことの要因になっていると考えられています。季節の変わり目を健康で過ごすには、自律神経のバランスを崩さないように心掛けることが大切です。そのための対策のカギは食事・睡眠・リラックスです。できるだけ決まった時間に寝起きして食事もきちんと取るなど、規則正しい生活を送るようにしましょう。

自律神経のバランスを整える食べ物を積極的に食べるのも効果的です。ビタミンB群には神経の働きを正常に保つ役割があります。例えば、カツオやウナギなどにも含まれるので日頃から取り入れるようにしましょう。睡眠をたっぷりとることも重要です。寝ている間は副交感神経が優位に働き、体や心を休ませてくれます。40℃前後の湯をバスタブにはり、10分以上ゆったりとつかると寝付きが良くなり、ぐっすり眠ることができるようです。ストレスを多く感じているときは、心身をリラックスさせる副交感神経が優位に働くように対策を取りましょう。何となく体調が優れないと感じている方は、ここでご紹介した対策を取り入れて、毎日の生活を少し見直してみるといいかもしれません。

山田医院 医療事務 宮脇若菜

新型コロナウイルスにより日々変化する現状

WHOがパンデミック(病気が世界の複数の地域で同時に大流行すること)を表明するなど、世界的な問題になっている新型コロナウイルス。感染症拡大の予防的措置を目的としたイベントの中止や幼稚園、学校の一斉休校、マスク不足など今も深刻な問題がたくさんあります。

その中でも、私たちの身近に直撃しているのが一斉休校…小さい子供を抱えながら仕事をされてる方からは、仕事も休めず、子供を見てもらう人もいない…高齢の方からは、こんな状況で外の出るのは怖いし、ずっと家にいてると気がめいってしまう…との声をたくさん聞きました。私自身もまだ手がかかる遊び盛りの子供が3人おり、仕事の時は母や主人にお願いしたりと、周りの協力を得ながら日々を過ごすことができています。外にも出れず、毎日家で引きこもっている生活…遊んでいてもどこかで喧嘩が勃発…おさまったかと思えばまた喧嘩…体力が有り余ってるため家の中を走り回ったり、おもちゃを散らかしまくったり、もうジャングル状態…親も子供も限界寸前!と思っていたら、長女の全身に蕁麻疹が出現。心配しましたが、身体を休ませ睡眠を十分とらせることで翌日にはきれいに治っていました。

疲れがたまったりするとたまに出たりはしていたのですが、基本、女子らしかぬ活発な子で、家でおとなしくしているタイプの子ではないので、お友達とも遊べない・公園にも行けない・外にも出れないといった家での引きこもりの状況が娘にとって相当のストレスがかかっていたんだと思いました。最初に発表された一斉休校期間中も感染者数はどんどん増加し、臨時休業の期間も延期となりました。それと同時に、新型コロナウイルスの事も少しずつ解ってきました。季節性インフルエンザに比べ肺炎を発症する割合が高いこと、若年者を中心に8割の患者は軽症に終わること、5%の患者が重症・重篤化すとこと、重症化因子として高齢と基礎疾患があること、多くの感染者は他人にうつすことがないこと、環境要因がそろうと集団感染を起こすこと。このような現状から、一定の条件を満たしたうえで、文科省も子供が公園などで運動することを認めたり、大阪市でも3/21~イベントの再開や、小学校では3/23.24を短時間登校・できるだけマスク着用の条件で分散登校日にするとしています。

今後、まだまだどのような状況になっていくかわかりませんが、まずは、日々の健康状態の把握。新型コロナウイルス感染症は、発熱(37.5℃前後の発熱が4日程続いている)やのどの痛み咳が長引くこと(1週間前後)が多く、強いダルさを訴える方が多いことが特徴です。(高齢者や基礎疾患等のある方はこれらの症状が2日以上続く場合)このような症状があれば「新型コロナ受診相談センター」06-6647-0641(24時間対応)にご相談ください。そして、感染予防対策として、咳症状がある方は咳エチケット・外出前後、調理前後、食事前後のこまめな手洗いの実施・バランスのとれた食事摂取・適度な運動・十分な睡眠・持病のある方は、できるだけ人込みの多い場所への外出をひかえる・風邪症状がある場合には自宅で療養するなど、1人1人が日々変化していく正確な状況を把握し対応していくことが現状の早期回復につながっていくのだと考えています。

 

山田医院 看護師  川上 啓

パニック症について

今回はパニック症について調べてみました。

突然襲ってくるパニック発作で最も怖いのは、呼吸困難や心臓発作のような症状による死の恐怖です。一度体験すると、再びおそわれたらどうしようという恐怖や不安との闘いになります。呼吸困難型急に呼吸が速くなったり、息ができなくなったりするのは過呼吸になっているため。息切れ・息苦しさや窒息感で不安が高まります。多くの人にみられる典型的な症状のひとつです。ドキドキ型急に心臓がドキドキしたり、脈拍数が多くなったりといった心臓の異常を感じます。心筋梗塞などの死に直結する病気を連想し、救急車を呼ぶ人もいます。胸の痛みや息苦しさを伴うこともあります。

パニック発作で体に異常を感じるだけではありません。突然の激しい恐怖や不安から、精神的にどうにかなってしまいそうな不安に駆られたり、その不安が自分では制御不能となり、錯乱状態に陥るのではないかという恐怖に襲われたりします。自分で自分をコントロールできないと、他人を傷つけたりするような、とんでもないことを起こしそうだとさえ感じます。また、自分の周囲の状況を現実のものとして、いきいきと感じることができず、景色を遠くかんじたり、自分が世界から隔絶されたように感じたりします。こうした感覚は発作的に起こりますが、数日続く人もいます。パニック発作では、多くの人が冷や汗、めまい、ふるえなど、体の症状もあるといいます。めまいは発作がおさまってからもあるといいます。疲労感も多くの人が訴え、動くと疲れるからといって横になって過ごしたりします。

パニック症の患者さんは疲労感を感じる人が多く、気持ちが落ち込んで抑うつになっていると、なおさら疲労感が強くなります。疲労物質である乳酸の代謝が健常な人よりも弱くそれだけ疲れやすいと推測されています。一度パニック発作を経験すると、次の発作がいつ起きるか、起きたらどうしようと心配になります。これを予期不安といいます。予期不安の特徴は、不安が不安を呼び、結果的に発作を繰り返してしまうことです。そのため不安感はさらに強まり、原因ではないかと思われる状況を回避しようとあれも無理、これもできないという状況を自ら招いてしまいます。パニック症は薬物でコントロールできる病気です。心配な方は、専門医に相談することをおすすめします。

山田医院 医療事務 阿知波真弓

不機嫌な子どもたちについて

不機嫌な子どもたちとは、、、、。
絵を描いていて突然泣き出したり、ほかの子どもと遊んでいて突然感情を爆発させる、不活発で誘われても気乗りが悪い子ども、、いろいろとありますが今回はこの様な子どもたちの背景にあるものについてチャイルドヘルス令和2年3月号を参考にまとめてみました。

まず病気としてよく見受けるものとしては特発性発疹で解熱後の発疹が出る時期の不機嫌は原因不明ですが有名です。ヘルパンギーナ、手足口病、溶連菌感染症の口の中の痛み、中耳炎の耳の奥の痛み、腸重積症の間欠的な腹部痛、便秘の腹部不快感、アトピー性皮膚炎などの皮膚のかゆみ、むずむず脚症候群の下肢の不快感など不機嫌な原因となります。病気以外にはまず多いのが寝不足に伴う不機嫌があります。正常な睡眠覚醒リズムなくして正常な心身の発達は望めないので大切な事です。まず大人たちがきっちりとしたリズムを作り、朝太陽の光とともに起こしてあげて夜は早めに寝かせることが大切です。また昼寝は15時までにしましょう。

感情は脳の中心部から発生しますがそれを制御する大脳の前頭前野の成熟が大切ですがこの部位は発達が最も遅い部分であるために意図的にコントロールすることは難しいことです。大人たちが状況の調整や意図的コントロールの補助が必要になります。その他、不機嫌な理由として愛着の未成立があります。子どもの精神的安定には愛着関係を持つ人の存在が必要で、特に幼児期までに愛着形成ができていないと学童期以降から成人期に至り生涯にわたり対人関係の構築が困難になり不機嫌な原因となります。その他コミュニケーションが苦手で理解力の問題があることが原因である不機嫌、自己形成や社会化などの社会性が未発達であるために他人との関係がうまくできないことによる不機嫌、レジリエンス(ストレスや逆境に対する回復力)の問題が隠れていることもあります。なかなかできないことですが、子どもに接していて不機嫌であるときには叱るだけではなく不機嫌である原因を考えることも大切かもしれません。

 

山田医院 医師 山田良宏