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山田医院だより

第21巻第1号(第240号)

サルコペニア・フレイルとロコモについて

超高齢社会を迎えた日本で問題となるのが平均寿命と健康寿命のギャップでいわゆる介護を要する期間が男女とも10年間ほどあることです。要介護状態の原因としては第1が認知症、第2が脳卒中で第3が高齢による衰弱などとなっています。この高齢による衰弱(転倒、骨折、関節疾患など)を捉える手段として日本整形外科学会からはロコモ(ロコモティブシンドローム)が日本老年医学会からはフレイルという概念が出てきました。これらをつなぐものとしてサルコペニアという概念も注目されています。

サルコペニア・フレイル・ロコモは似たような状態で一部重なり一部原因となり視点の違いからの定義でもあり理解がやや困難となっています。今回は日本医師会雑誌令和1年11月号から抜粋します。

まずロコモは運動器症候群とも呼ばれることからわかるように運動器(筋肉、骨を含む腰部痛あるいは膝関節痛など)に着目した概念です。進行すると要介護のリスクが高くなる点ではフレイルと同様の概念ですが「移動能力の低下」に特化しているものです。フレイルは加齢に伴う予備能力が低下しており回復力が低下した状態です。これは要介護となる1つ手前の状態で健康と要介護状態の中間として位置づけられています。フレイルの原因としては身体的要素(歩行能力の低下(=ロコモ)、筋肉量の低下(=サルコペニア)、骨粗鬆症など)、精神的要素(認知機能低下(=認知症)、うつ病)、社会的要素(閉じこもり、孤独など)があります。

サルコペニアは筋肉量の減少と筋力低下あるいは身体機能の低下した状態です。サルコペニアはロコモの原因疾患でもあり、またフレイルの身体的要素になります。それぞれにおいては問診、身体測定などの診断方法がありますが年々、微妙に変化しています。

サルコペニア・フレイルなどが重要になってきた理由としてこれらと多くの疾患がいろいろな形で関連しており、疾患を治すとサルコペニア・フレイルが改善、逆にサルコペニア・フレイルを治すと疾患が改善することが分かってきたからです。例えば糖尿病、冠動脈疾患あるいは心不全などの心血管疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎などの呼吸器疾患、骨粗鬆症、肝硬変、消化器がんアルツハイマー病などの認知症においてはすべて疾患とサルコペニア・フレイルとお互いに相互作用する関係であることが分かってきました。

まず、これらの疾患があるとサルコペニア・フレイルになりやすい、第2にサルコペニア・フレイルがあるとこれらの疾患になりやす、第3にサルコペニア・フレイルがあると疾患の予後が悪くなりやすいということです。高齢者の治療においては疾患に対しての治療ではなくサルコペニア・フレイルを改善する方向に持っていくことが大切な治療方法となります。これはこれからの医学の方向ではないかと思われます。

最後にサルコペニ・フレイルの治療(予防)についてですが基本的には食事/運動療法が中心となります。食事療法では過栄養も問題となりますが低栄養の回避が重要な課題となります。壮年期のメタボリックシンドローム健診(メタボ)では体重を落とすためにいかに食事制限をするかでしたが逆にサルコペニア・フレイルにおいては体重の維持が大切なテーマになります。なお、特にタンパク質は重要で1.0g/体重kg/日以上(総エネルギー量の15-20%)が必要となります。

具体的には乳製品、肉、大豆製品、魚などを積極的に摂ることが大切です。骨格筋は大きく分けて2種類があります。白色で大きな筋力を出せるけど持久力の低い速筋と赤色で持久力は高いけれども大きな筋力は出せない遅筋で。加齢に伴う筋繊維の減少は速筋で顕著となっているために運動療法ではレジスタンス運動(いわゆる筋トレ)を中心にバランス運動(片足立ち運動など)、軽症の方は有酸素運動(ウオーキングなど)を週に2-3回、強度としては最大筋力の70%程度が勧められています。

ただし最近の研究では低強度の運動であっても段階的に回数を増加させることにより高齢者の筋肥大あるいは筋萎縮の抑制効果があることが分かってきているために無理は禁物です。なお、薬物との関連ですがポリファーマシー(日本では6種類以上のお薬を服用)はフレイルの危険因子となっています。薬物別では特に抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系薬剤(いわゆる安定剤、睡眠剤)、抗コリン剤(抗アレルギー剤など)はリスクとしての報告があります。若年期から成人期において食事、運動をきっちりと行い骨量と骨格筋量を最大限にして壮年期にはそれらを維持して高齢期においては減少を最小限に抑えることがサルコペニア・フレイル・しいてはロコモ、その背景にある多くの疾患に対する予防、治療にも重なります。若い時には食べ過ぎてメタボになることに注意して年をとったらしっかりと食べて痩せてサルコペニア・フレイルになることに注意をして、、、と大変な時代となりました。

山田医院 医師 山田良宏

健康診断の必要性

健康診断は、身長・体重・問診といった基本項目に加え、会社や地域によってさまざまな検査があります。こうした健康診断は、毎年する必要は本当にあるのか? 検査結果をどのように捉えたらいいのか?など、そもそも健康診断がよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「健診」では、健康かどうかを調べるために行うもので、40歳以下の定期検診、40~74歳の特定健康診査のことをさし、一方「検診」は特定の病気を早期に発見し、早期治療につなげることが目的の検査で、生活習慣病の検査や人間ドックが検診と表記されます。

健康診断には、健診結果から生活習慣の改善を行い、病気を予防する(一次予防)と、病気を早期に発見し、早期治療につなげる(二次予防)という2つの目的があります。一次予防とは、病気になる前の健康状態の異常が起こる前に予防することで、二次予防は自覚症状が現れる前に病気を早期発見・治療することです。

健診の直前だけお酒を控えたり、ダイエットをしたりする、なんて方もなかにはいるかとおもいますが、その場だけ取り繕うことは正しい診断結果に結びつきません。例えば、普段の血糖値は危険な範囲にあるのに、たまたま正常な範囲内に血糖値がおさまったという結果がした場合、糖尿病を発症するリスクに気がつかないまま、いつも通りの生活を続けてしまうことになるので危険です。健診は現状の健康状態から日常生活の様子を知るためのものなので、検査前も普段と同じ生活を過ごすことが望ましいです。

要検査や精密検査という指示があった時は、「すでに病気を発症しているわけではないが病気を発症するリスクが高い状態」ということです。放置すると、状態がどんどん悪化して「病気を発症した」状態まで進んでしまう恐れがあります。健診の結果が出たら、すぐに目を通し、要検査や精密検査などの指示があった時には、必ず医療機関を受診してください。

また、要検査になるほどでなくとも、「軽度の異常」や「経過観察」などの表記があるときは、異常なしに近づくように日常生活を見直す必要があります。食
生活や運動習慣を改善したり、禁煙や飲酒の制限をする、休養をとるなど、生活習慣の改善目標をたてて、実践していきましょう。

健康診断は病気の有無を調べるだけでなく、普段の生活習慣が問題ないかを調べる検査でもあります。
自らの健康を守るためにも、まずは皆さん一人一人が自分自身の体に向き合うことが予防の第一歩!

1年に1回、定期的に健康診断を受診して、日頃の健康管理に役立てていきましょう。

山田医院 医療事務 中町麻里

みかんの皮に癌効果あり

先日、テレビで「みかんの皮が癌に効果ある」といった内容を放映していました。
我が家は家族でミカン大好きですので、この内容を詳しく調べてみることにしました。

かんきつ類の中に含まれる二種類の成分に、強い発がん抑制効果があることがわかったそうです。一つの成分は、温州ミカンに非常に多く含まれる栄養素で「β―クリプトキサンチン」。ミカンを食べると、よく手が黄色になる事がありますよね。この黄色になる原因がβ―クリプトキサンチンです。グレープフルーツやオレンジ、甘夏、伊予かんには含まれていません。ガン抑制物質として知られているベータ・カロチンより5倍も強いそうです。もうひとつの発がん抑制物質は、夏みかん、八朔、ユズ(カボス、スダチ)、などの果皮に多く含まれる「オーラプチン」という香りの成分です。果肉にはほとんどなく、がんの一因となる活性酵素が体内で作られるのを防ぐ働きがあるそうです。その他にも、ミカンにはいろんな効能があります。骨そしょう症の予防、糖尿病の進行の抑制、美肌効果、便秘解消などです。そして、これらの栄養素は、ミカンの実よりも、皮の部分に最も多く含まれています。

今回、ミカンの皮の調理法を1例あげます。
まず、みかんの皮を殺菌するために、80℃のお湯に3分間漬けます。その後、ミカンの皮を洗ってキッチンペーパーで水気をとり、風通しのよい場所でカリッカリになるまで数日間、天日干しをします。そして、細かく砕いて出来上がりです。これを、1日スプーン1杯ほど食べるとよいでしょうとのことでした。実は、乾燥させたミカンの皮は漢方では、陳皮と言われ、乾燥させることで成分が凝縮するのです。実際に、乾かしたミカンの皮を食べてみると、漢方のような香りにみかんの味があいまった感じです。私の感想は、おいしくもなく、まずくもなく、食べれるかなーってとこでした。良かったら、試してみてください。

山田医院 看護師 橘智子

2020年のご挨拶

昨年令和となり、昭和、平成、令和と時をかける少女?も今年とうとう還暦を迎える少女ですが温かく見守ってください。

昨年は平成最後の年に母の鼠径ヘルニアの手術を皮切りに主人の悪性リンパ腫手術、咽頭癌、抗がん剤、放射線治療が無事済みホッとする間もなく母の大腸穿孔。全て山田先生のお世話になりました。今回は母の大腸穿孔について。母は10/20日曜日に腹痛を訴え同居する姉から電話がありましたが、日曜日だし休日診療行かな仕方ないん違う?と言ったのですが、姉が休日診療に電話したら、エコーもないらしいと再度電話が、、。山田先生に連絡して急性期医療センターに行くよう助言してもらい受診しました。母は自力で歩くのもしんどそうで、すぐ車いすを借りて救急外来に。待合で嘔吐しだし、看護師さんが問診してくださり、エコー、CT後、緊急OPとなり一命を取り止めました。救命外来から救命病棟に移動になったその日に咳とともに傷口が開いてしまい腸が飛び出し再度緊急OP、救命外来へ、、。89歳の母なのでこのまま寝たきりになるのでは?と心配しましたが、今は元気に私以上に食べて、笑っています。生命力の強さを本当に感じました。

腸穿孔の症状は激しい腹痛と圧痛。胃腸穿孔によって肺血症、心拍数の増加、呼吸数の増加、発熱、錯乱状態が生じることがあります。原因は、胃潰瘍や癌などによる胃穿孔、十二指腸潰瘍穿孔、虫垂炎穿孔、憩室炎や便秘、癌などによる大腸穿孔といった消化管穿孔によるものが最も多く急性胆嚢炎穿孔や急性膵炎といった肝臓、胆嚢、すい臓の疾患、卵巣嚢腫穿孔、異所性妊娠破裂などの婦人科疾患、外傷、腹腔内腫瘍なども原因となります。母の場合は憩室があったのでそこに固い便が引っ掛かり穴が開いたのではとの事でした。たかが腹痛されど腹痛でした。これからまだまだインフルエンザも続くでしょうが、手洗い、うがい、病院に来るときはマスクでご自愛下さい。

山田医院 看護師 冨嶋友子

温泉の効能

2020年も明けました。今年は例年に比べて暖冬傾向であるとはいえ、寒い日にはやはりお風呂に浸かってリラックスしたいものですよね。時には少し足を伸ばして温泉でゆったり、、というのもいいと思います。

日本人の温泉好きは今にはじまったことではなく、1300年以上も前の書物(出雲国風土記)にはこのような記述があります。川辺に湯が湧き老若男女で賑わった、一度この温泉(玉造)に入ると容姿端麗になり、もう一度入るとどんな病気も治癒してしまうと。。温泉は古くから人々に親しまれてきましたが、その魅力のひとつは温泉の持つ効能にあると思います。温泉には様々な種類があり、その効能にも違いがあるので簡単に紹介したいと思います。

温泉は10種類の泉質に分けられています。

①単純温泉/特徴:無色透明無味無臭/効能:疲労回復、神経痛、不眠症等

②二酸化炭素泉/しゅわしゅわの気泡/高血圧、動脈硬化、きりきず

③炭酸水素塩泉/美肌、とろとろ/やけど、慢性皮膚病等

④塩化物泉/塩分が多い/冷え症、関節痛

⑤硫酸塩泉/無色透明、味は苦い/動脈硬化、きりきず等

⑥含鉄泉/茶褐色/神経痛、リウマチ、婦人病等

⑦硫黄泉/硫化水素ガスの匂い/リウマチ、しもやけ等

⑧酸性泉/酸性が強い、肌がぴりぴりする/神経痛、慢性皮膚病等

⑨放射能泉(ラジウム泉)/とろとろ、刺激あり/痛風、高血圧等

⑩含よう素泉/よう素を含む/疲労回復等

※各温泉には温泉分析書が掲示されているので、それを見れば泉質と効能を知ることができます。

湯治といって昔は病気治癒、療養を目的に長期間温泉地に滞在する文化がありましたが、現代では週末など2、3日という短期間で温泉に入り心身をリラックスさせるプチ湯治が注目されています。温泉といっても多種多様なので効能や泉質も参考にしつつ湯巡りを楽しんでみてくださいね♪

山田医院 医療事務 川村 理恵

ふたご・みつごの赤ちゃんについて

ふたご、みつごなど同じ母親から一度に生まれた複数の子どものことを多胎児といいます。多胎は現在の分娩件数の割合としては1%程度で年間に出生する子どもの50人に1人は多胎児となります。

母親の年齢が30歳以上になると2%を超え年齢とともに増加します。多胎妊娠は母親、子どもの両方にとって医学的なリスクとなります。つわり、早産、妊娠糖尿病、、妊娠高血圧症、胎児発育不全、子宮内胎児死亡などの頻度が高くなります。

早産児は多胎の場合には半数を占め、また2500mg未満の低出生体重児においても多胎の場合には半数以上を占めます。発育については単胎児に比べると小さい傾向が有ります。そのために母子保健手帳に記載されている成長曲線はしばらくの間は参考になりません。通常は3歳頃には単胎児に追いつく傾向があります。発達については1才頃まではやや遅れる傾向ですが単胎児の赤ちゃんとは変わりません。

一般に多胎妊娠においては母親が高齢出産であることが多く、母親にとっては出産による身体的・精神的な負担が大きくなります。多胎児家族への支援としては妊娠中からの継続的な関与が大切です。妊娠の段階から出産や育児に伴う困難を予測することはある程度可能なので妊娠中からパートナーや実父母の理解も大切になります。なお、就業については多胎妊娠では予定出産日の14週前から(単胎の場合には6週間前から)産後は単胎でも多胎でも出産後8週まで(希望により赤ちゃんが1歳の誕生日の前日まで可能)となっています。

多胎育児支援としては1990年代ころより地域密着型の多胎サークルが増加、2000年前半に多胎サークル同士の連携に、また支援対象としては乳幼児を育児中の母親から妊娠期、そして父親を含めた家族の支援に広がり、また支援そのものも物理的援助だけではなく精神的援助に重点が移行しつつあります。

地域格差が大きくなっていますが大阪市においてはおひさまの会、おおさか多胎ネットなどがあります。行政においては多胎に特化した事業がまだまだ取り上げられていませんが厚生労働省がこの度支援についてを発表しています。今後支援の充実が期待できると思います。今回はチャイルドヘルス令和2年1月号から抜粋しました。

山田医院 医師 山田良宏