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山田医院だより

第20巻第10号(第237号)

頭頸部がんについて

頭頸部がんは顔面及び頭蓋底部(大脳がある部位の下)から頸部にかけての頭頸部領域にある悪性腫瘍の総称です。

具体的には口腔がん、咽頭がん(上、中、下)、喉頭がん(声門上、声門、声門下)、鼻、副鼻腔などで癌腫としては扁平上皮癌が90%以上ですが頭頸部がんは全がんに占める割合は約5%でありここの癌腫で見ると希少がんに値します。

頭頸部には摂食、呼吸、会話などの日常生活に欠かすことができない機能保持が望まれる一方で露出部位であるために形成的な面も必要となります。治療においては根治性と同時に機能、美容保持が必要であり治療に際しては患者さんの価値観も強く関わってきます。又この頭頸部がんは高齢者に多く、多重がんの発生が多いことも特徴であり治療を難しくしています。

診断については画像診断の発達、NBIをはじめとした内視鏡検査の発展で早期発見も多くなっており治療についても従来からの外科治療、放射線治療、薬物治療に加えて免疫療法も位置づけられてきています。またリハビリなどを含めて多職種でのチーム医療も進んでいます。

今回は日本医師会雑誌2019年9月号から抜粋しています。

頭頸部がんを詳しく見ると口腔がん、喉頭がん、下咽頭がんが多く年代的には60歳代をピークに60-70歳代で約2/3を占めています。喫煙、飲酒との関連は特に喉頭、中・下咽頭、口腔のがんで深くなっています。なお頭頸部がん全体では男性が女性の約4倍ですが口腔内では性差が少なくなっています。

頭頸部がんのリスクファクターとしては先ほど示した飲酒、喫煙ですがアルコール(ビールをコップ1杯)飲むと赤くなる(以前赤くなっていた)人がタバコを吸うとリスクは高くなり注意が必要です。がんの発見についてですが現在でも中・下咽頭は進行がんでの発見が多くなっていますが最近は内視鏡においてNBI、拡大内視鏡を使用することで早期発見も増えています。

なお、一般の画像診断はCT,MRIが中心で部位によってCTあるいはMRIを使い分けてあるいは併用して診断をしています。なおリンパ節の転移あるいは骨、肺等の遠隔の転移についてはPET検査を使用しています。治療の中心は放射線、手術、薬物治療となります。進行しすぎた場合には手術療法はできませんが放射線・化学療法を使用しており、またごく早期には放射線療法を使用、その間においては手術療法と考えて良いと思います。なお、状態、病期により治療の併用などを行います。

手術については摂食、構語、嚥下機能がある場所なので根治を考慮した上での機能温存手術も行われます。喉頭については部分切除、亜全摘手術を行い、浸潤した喉頭がんにおいては喉頭全摘術を行いますがこのままでは発声ができなくなるために食道発声、電気式人工喉頭(エレクトロラリンクス)を使用した発声がありますが、最近では気管食道シャントチューブによる発声法などもあります。なお、手術においては頚部のリンパ節の切除も行います。

以前は胸鎖入突筋、内頚静脈、副神経などすべてを切除していましたが最近の検討においてすべてを切除しなくても部分的な切除で良いことがわかり選択的頚部郭清術が行われるようになりました。なお、ロボット支援手術として体を切らずに口の中からのアプローチで手術をしたりまた腋窩など傷が目立たない部位を切開して行う手術方法も広がってきました。

放射線治療については以前の放射線治療(3D-CRT)とは異なり強度変調放射線治療が行われるようになりました。これは腫瘍の形に適してかつ周囲の臓器の被爆を抑えるように放射線治療ができるようになった方法です。

その他、他部位のがん治療と同様で薬物療法も免疫チェックポイント阻害剤あるいはがんゲノム医療などの発展が有り応用がされつつあります。なお頭頚部がんにおいては多職種連携の治療が特に大切です。頭頸部がんの手術は口腔という不衛生な部位が術野に含まれていることあるいは放射線治療の部位に含まれることから感染、誤嚥性肺炎のリスクが高く術前からの歯科による治療が必要になっています。また治療後における放射線顎骨壊死への対応なども含めて大切になります。また治療中においては口内炎、放射線皮膚炎などの発症もあり平素より患者さんのケアに長けている看護師を中心としたケアが必要になりまた手術等により発語、嚥下機能が低下するためにOT/STによるリハビリテーションも大切になっています。

頭頸部がんは一般的には耳鼻科領域であるために耳鼻科医師が中心となって治療を行いますが放射線治療科、腫瘍内科、形成外科、歯科、ST,OT、看護師などの他職種による連携治療が大切になります。頭頸部癌の治療については今後の医療の方針の方向性が見える分野となっています。

山田医院医師山田良宏

睡眠負債

睡眠負債とは、睡眠不足が借金のように積み重なり心身に悪影響を及ぼすおそれのある状態のことを指します。

2017年にはユーキャン新語、流行語大賞トップ10にも選ばれた言葉で近年注目を集めています。ある調査結果によると日本人の4割が睡眠負債を抱えており、睡眠不足による生産性の低下で経済損失は約15兆円にもなるそうです、、中々深刻ですね。もう少し詳しくみていきましょう。

年齢にもよりますが、成人であれば1日6時間半~7時間半の睡眠が必要といわれています。睡眠時間が7時間を切ると睡眠の負債が発生し始めるそうです。早めに負債を返済できれば大した問題ではないのですが、負債が積み重なっていくと癌や認知症などの疾病につながる悪影響を心身に及ぼす可能性があるといわれています。

睡眠負債を返済するためには具体的にどうすればいいのでしょうか?平日充分睡眠時間を確保できないなら、休日に寝貯めすれば大丈夫?と思うかもしれませんが実際はあまり効果はありません。休日に長時間寝てしまうと生活のリズムに乱れが生じかえって次の日寝つけなくなる等睡眠に悪影響を及ぼすことになります。なので第一は毎日安定した睡眠時間を確保すること(例えば毎日30分だけいつもより早く寝るようにする等)それが難しい場合は20分程度の昼寝も良いそうです。そして同時に質のよい睡眠をとることも大事なので、朝太陽の光を浴びて体内時をリセットする、食事の時間は一定にする、軽めの運動・散歩をする、カフェインは寝る3時間前までにする等、、といったポイントも押さえていくと良いと思います。

ちなみに睡眠負債を抱えている人は自覚のない人も多いです。午前中ぼーっとして眠い、布団に入るとすぐ眠りに落ちる、という人は要注意です。平日の睡眠時間を見直したほうがよいかもしれません。睡眠負債を貯めないよう、日頃から質のよい睡眠をとれるよう心掛けていきましょう。

山田医院医療事務川村理恵

赤ちゃんの肌はデリケート ~スキンケアの大切さ~

赤ちゃんの肌は見た目がきれいでも実はとってもデリケートです。
肌の表面を覆っている皮脂には、水分の蒸発や外部からの有害物質の侵入を防ぐワックスのような働き(バリア機能)があります。新生児期に盛んだった皮脂の分泌は、3か月を過ぎると急激に減少してしまうため、肌が乾燥してトラブルを起こしやすくなります。肌のバリア機能が低下すると、外からからさまざまなアルゲンが体内に入ってしまうことがあります。正しいスキンケアによりバリア機能を保つことで、肌あれを抑制し、細菌やウイルスなどがからだに侵入するのを防ぐことができます。

<基本のスキンケア>

1.肌を清潔にする(1日1回はお風呂でやさしく洗ってあげましょう)

1)洗浄剤は低刺激のものを。
・洗浄剤は弱酸性の「低刺激」で「すすぎ落ちがいいもの」を選び、強い香料の含まれる化粧石鹸や殺菌成分の入った薬用せっけんは避けましょう。

2)よく泡立ててやさしく洗う。
・洗浄剤はよく泡立てること。泡タイプのものや、泡立てネットを使うのもおすすめです。赤ちゃんの場合は、素手や、肌にやさしいタオルで洗ってあげましょう。
泡を体にぬるだけでなく、手のひらと指の腹でやさしくていねいに洗っていきます。くびれや耳のうしろ、指の間なども忘れずに。

3)湯温はややぬるめに
・熱いお湯で体が温まり血行が良くなると、湿疹がある場合かゆみを感じやすくなります。大人には少しぬるく感じる38~39度くらいが目安です。

4)こすらず押しぶきする。
・ゴシゴシ強くふかず、バスタオルで包みそっと押すように水分を残さずにふき取ってあげましょう。

2.肌を保湿する(1日に何度でもこまめな保湿を)

1)お風呂の後は保湿効果が最も高まるタイミング。肌から水分が蒸発しないうち(体を拭いてから10分以内)にすばやく保湿しましょう。
その他「肌がカサついている」と思ったらそのつど保湿を。

2)保湿剤はしっとりする量を目安に、うるおいを保ちましょう。
・顔やおなか、背中、手足など、部位ごとに全身にぬっていきます。赤ちゃんの体に保湿剤を何ヶ所かチョンチョンと置いて、優しくマッサージするように塗りましょう。
首や耳、わき、手首、ひざの裏、足首などのくびれた部分にもぬり忘れがないように気をつけましょう。

・市販の保湿剤はローション→クリーム→オイルの順に保湿効果が高まります。
もし、肌の赤みや湿疹など気になる症状があるときには、保湿剤を使うことで症状が悪化することもあるので小児科、皮膚科を受診し医師の指示を受けてください

 

スキンケアは絶好のスキンシップタイム!赤ちゃんの目を見て、声をかけて楽しんでくださいね♪

山田医院看護師 三栖佳子

季節の変わり目にぎっぐり腰に注意!

重い物を持ち上げた時や椅子から立ち上がった時にぎっくり腰になる場合がありますが寒暖差の激しい季節の変わり目にもぎっくり腰になることがあります。そこで今回は、季節の変わり目にぎっくり腰になる原因と、ぎっくり腰になったときの対処法についてまとめました。

季節の変わり目にぎっくり腰になりやすい理由は簡単で、気温の急激な変化に、身体が追いつかないからです。最近の日本の季節は昔と違いいつまでも夏のように暑いかと思いきや突然肌寒くなったりします。7,8月や12月から3月にかけては季節にあった気温で毎日薄着をしたり、上着を着たり同じような温度を保ちます。身体にあまり負担はかからず腰に負荷がかかることはほとんどありません。

一方春から夏、夏から秋というような季節の変わり目は、急激な気温の変化があるため腰に負担がかかりぎっくり腰となるのです。では季節の変わり目にぎっくり腰になりやすいといってもどの季節が1番の負担になるのでしょうか。秋の始め、つまり秋口こそぎっくり腰になりやすいのです。暑い夏から寒い秋へ移り変わるため血の流れが不安定になること、それにより腰回りの筋肉が凝りやすくなりぎっくり腰となります。気をつけていたはずなのにぎっくり腰になってしまったという際どのようにして腰を労わればいいのかをご紹介します。

ぎっくり腰で大切なポイントは、痛めた腰に負担をかけず楽な体勢になることです。寝っ転がる仰向けの体勢は腰が痛く苦しい場合があるので、自分なりに楽な姿勢を探しましょう。無理をして動き回り更にぎっくり腰を悪化させることがないようにして下さい。

ぎっくり腰が原因で炎症を起こし熱を持っている時はとにかく冷やします。氷や濡れタオルを当てて冷やす、または湿布を貼り痛みを和らげてもいいでしょう。あまりにも痛い場合は痛み止めの薬をおすすめします。痛み止め成分が含まれている湿布や塗り薬、痛み止めの飲み薬といった手段もあるので活用して下さい。大切な仕事があり休めない人は、まず冷やしてからコルセットやバンド、テーピングで固定します。

ぎっくり腰になった際に注意してほしい点は、炎症があり痛みがある内は湯船はNGということです。シャワーでさっと身体と頭を洗うくらいはOKですが、湯船に浸かり腰を暖めることは絶対にやめて下さい。寒い季節や気温が急激に変化しやすい季節の変わり目だけに関わらず、日頃からぎっくり腰対策をするためにも湯船で温まる習慣をつけましょう。

普段から腰回りの血流が良く腰の筋肉が柔らかいとぎっくり腰になる確率はそこまで高くはありません。湯船は熱々でもぬるま湯でも自分の好みの温かさに調整し、腰を温めることを意識して下さい。

山田医院 医療事務 杉山恭子

シニアの歯みがき

先日、友人夫妻と食事をしながら、会話を楽しみました。特に、加齢と健康について話は尽きませんでした。
高齢になるとどうしても、身体に不具合が生じて来ることは避けられない、少しでも快適生活を過ごしたいもの。食事の時の会話なので、食べることについての話になり、噛むことが出来て、美味しく味わえる食生活を続けていきたいねと話し終わりました。

2016年に厚生労働省が行った調査によると、80歳になっても自分の歯が20本以上ある人の割合が5割を超え、それは“8020運動”の成果とのことです。歯を失う原因は虫歯と歯周病が2大原因でいずれも口の中が清潔に保たれていないことが原因。虫歯ができやすいのは、歯のかむ面の溝、歯と歯の間、歯ぐきの境目、歯の根の部分(歯根面)です。高齢者では歯根面の虫歯で、歯を失うリスクがあることを理解して、日頃から歯周病と虫歯の予防を意識して口の中の清潔を保ちましょう。

歯周病を防ぐためには、歯ブラシの持ち方、ブラシの先、両側面、など歯の場所に応じて歯ブラシの持ち方や使う部分を変えて磨き残しの無いようにしましょう。歯ブラシの選び方ですが、軟らかい歯ブラシは汚れを取り除く清掃効率が低いので、時間をかけて歯みがきする必要があり、硬い歯ブラシは清掃効率は高いけれど、歯ぐきを傷つける心配がある。ヘッドが小さい歯ブラシは口の中で操作しやすいが、高齢になり手の指の機能が低下した場合はヘッドが大きい方が汚れを落としやすい。各個人の用途に応じていくつか持っているのもいいかもしれません。

虫歯予防効果を上げるためには、フッ素を超時間口の中に留める必要がある。

①歯ブラシのヘッドに多めにハミガキをつける。
➁ハミガキが歯全体にいきわたるように2分間以上ブラッシングする。
③すすぎは1~2回
④歯みがきは1日3回以上、毎食後と就寝前。

 

これに加えて、最初はハミガキを少しだけつけて時間をかけて磨き、最後の2分間にハミガキをたくさんつけ、最後は軽く1回すすぎ、フッ素を残すという歯みがきを勧める歯科衛生士さんもいます。一度、歯科で相談してはいかがでしょうか。自分に合った歯ブラシと歯みがきで口の中の清潔保持し口腔の健康を保ちましょう。そして美味しく食べて、秋の味覚を楽しみましょう。

山田医院 助産師 清水ユタカ

小児の痙攣と抗ヒスタミン薬

小児は成人と比較すると神経系が未発達であるために痙攣を発症しやすく、特にこの傾向は乳幼児において顕著となっています。痙攣の原因としては熱性けいれん、てんかんが最も頻度が高くなっていますがその他に低血糖、電解質異常などの代謝障害、ノロウイルス、ロタウイルスなどの感染性胃腸炎、インフルエンザなどの呼吸器疾患、特発性発疹症などもあります。近年では脳内ヒスタミン神経系と抗ヒスタミン薬の関係についてよく見聞きすることもあると思います。脳内ヒスタミン神経は覚醒と睡眠、認知機能、運動、運動、摂食など多彩な脳機能が有ります。脳内ヒスタミン神経は痙攣に対しては抑制する働きがありますが、これを抑制すると痙攣の誘発になるということが抗ヒスタミン薬とけいれんの関係が指摘される所以となっています。抗ヒスタミン薬が眠気を起こすことはよく知られていますが、痙攣との関係はあまり知られていないようです。アレルギー性疾患が増えており抗ヒスタミン薬を使用することが多くなりましたが、今後は注意が必要な点です。なお、抗ヒスタミン薬自体が痙攣を誘発するのではなく、抗ヒスタミン薬が痙攣に対する閾値を下げる可能性があるということで実際の医療における注意点としては家族に熱性けいれんあるいは本人に熱性けいれんがある場合には特に発熱時には抗ヒスタミン薬の使用については注意が必要ということで、また脳内移行の少ない抗ヒスタミン薬(第1世代ではなく脳への移行率が30%未満の第2世代)を使用することが大切になっています。この内容については日本医事新報令和1年9月21日号から抜粋しました

山田医院 医師 山田良宏