第20巻第9号(第236号)|大阪市阿倍野区で内科・外科・小児外科なら山田医院にお任せください。

  • お問合せはこちらから

    0666223166

  • 診療時間

    ※括弧内は受付時間 休診日 木曜午後、土曜午後、日曜、祝日

お問い合わせはこちらから

0666223166
診療時間

※括弧内は受付時間 休診日 木曜午後、土曜午後、日曜、祝日

山田医院だより

第20巻第9号(第236号)

胆道癌について

胆道癌について

肝臓で産生される胆汁の通路である胆道は肝臓内から集まり肝臓外の胆道(胆管)になり胆汁の貯留場所である胆嚢を経て肝外胆道(胆管)となり最後に膵管とともに十二指腸につながっています。胆道癌はこの胆管系の悪性腫瘍で比較的希な疾患と考えられていますが実は悪性新生物の死亡原因の第6位に位置しています。(肺癌、大腸癌、胃癌、膵臓癌、肝臓癌の順番です)この疾患は世界的に見ても高率であり高齢化とともに絶対数は増加傾向です。

胆道癌は外科切除が唯一の根治療法ですが初期には自覚症状は乏しく、画像診断の進歩した現在でも早期診断はこんなんであるために発見された時点では切除不能であることも少なくなく、また根治切除後の再発率も高く予後は不良の疾患です。胆道癌の死亡者の3分の2は75歳以上の高齢者であり高齢者の重要な疾患となっています。以前は新潟県に多い疾患でし
たが現在では地域性は薄れる傾向のようですがなお東北地方を中心とした東日本に多いようです。これは米作、農薬(ジフェニールエーテル系)との関連も指摘されています。世界的
にも地域特性は有りインド北部、南米のチリ、ペルーに多くなっています。

胆道癌の危険因子としては体脂肪の増加、食生活ではチーズ、マーガリン、フライの摂取が挙げられていますが一方では鮮魚、煮豆などは予防因子となっています。その他として唐辛子、チリペッパー(カプサイシン)、脂肪、牛乳、お茶、アルコール、砂糖などの過剰摂取が危険因子となります。基礎疾患としてはよく言われるのが胆石との関係ですが、胆嚢癌と胆石には直接の因果関係は認められていませんが肝内結石と肝内胆管癌の発症には因果関係があるとされています。

その他、先行疾患として重要なのが膵管と胆管の合流異常です。正常では膵管と胆管は十二指腸の出口で合流してその部位には括約筋があるために膵液あるいは胆汁が逆流をすることはありませんがこの合流部位が括約筋の手前にあると膵液あるいは胆汁の逆流があるために胆道癌の発生に関与すると考えられています。

その他原発性硬化性胆管炎、寄生虫の肝吸虫、B,C型のウイルス性肝炎、脂肪肝炎なども危険因子とされています。なお最近話題となったこととして大阪の特定の印刷工場の従業員に高率に胆管癌が発生していましたがこれについては有機溶剤である1.2-ジクロロプロパン、ジクロロメタンが原因とされましたが、その後の調査では通常の労働安全衛生対策が実施されていれば胆管癌発生のリスクはないと報告されています。なお、最近の研究では胆管癌の11%には様々なタイプの遺伝性主要が含まれていることが分かってきており将来的には遺伝子スクリーニングで胆管癌の発症を予測できる可能性も出来ました。

治療が特に難しいと言われいている肝門部領域胆管癌の治療ですが外科治療が唯一根治を望める治療となっています。ガイドラインにおいては肝臓、肺、骨、腹膜、遠隔のリンパ節など明らかな遠隔転移を伴う肝門部胆管癌の外科切除の適応は現時点ではありませんが局所進展に伴う胆管癌においての切除不能はガイドラインにはなくその切除適応に関しては施設によって異なっているのが現状です。

切除術式は基本的には4つありますが、通常の外科治療方針の決定にはMDCTといういわゆる高性能のCT検査の画像診断を行いガンの進展度の診断、肝門部の立体構造の把握などを行い4つの術式から術式を選択して手術を行うことになります。一般にいままでは肝門部に集まる門脈の切除を行う手術については有用であるとされてきましたが肝動脈の切除についての有効性は不明であるために、最近では切除不能とされる局所の進展している局所進行性肝門部領域胆管癌に対して化学療法を施行して癌を小さくしておきその上で手術を行う試みが行われています。

肝門部領域胆管癌は外科切除が唯一の根治療養であるために局所進行癌といえども外科切除の可能性を追求する姿勢で診療に望むことが重要でありそのためには内科医と外科医が共通の認識を持って密に連携をして行くことが大切です。なお局所進行肝門部胆管癌は施設間での切除の適応が異なるためにまずはhighvolumecenter(日本肝胆膵外科学会の認知する高度技術専門医の修練施設など)で治療を受けることが望ましいと思われます。この疾患で悩むことがあれば一度かかりつけ医に相談をして見ることも大切かと思います。今回は日本医事新報令和1年8月号から抜粋しました。

山田医院 医師 山田良宏

ジャガイモ

兵庫県宝塚市の小学校でジャガイモを食べて食中毒になったとのこと。

こんなに身近にある食材で食中毒になるなんて疑問に思い調べてみました。
小学校では、校庭で栽培しているジャガイモを今朝収穫しそれを調理実習でこふきイモにして食べたところ下痢や嘔吐などを訴えたという。なぜ加熱した調理済みのジャガイモが食中毒を引き起こしたのか?ジャガイモには、日光が当たることで緑色に変色する。緑色になった皮の部分や芽の部分に、天然毒素のソラニンやチャコニンが多く含まれこうした部分を食べると下痢や嘔吐それにめまいなどの症状を起こす。このため栽培時には、光があたらないように土をしっかりかけることが重要です。

収穫時期
収穫時期が早すぎて未熟な小さいジャガイモには、天然毒素が多く含まれている。市販のジャガイモは緑色のもの未熟で小さいものは流通しないため食中毒にはならないが、家庭や学校で自家栽培した場合3cm以下の未成熟なジャガイモに特に注意が必要です。

保存方法
ジャガイモは10~15℃くらいでシンク下などの冷暗所に置くのがいいです。ジャガイモを冷蔵庫で保存すると糖の濃度が高くなり揚げたり炒めたりした時にアクリルアリルという別の有害物質ができリスクが高まります。そのため、シンク下の暗く涼しい場所で保存するのが望ましい。

調理の注意点
芽は1cm以上くりむくことや変色部分は1cm以上切ることで食中毒を防ぐことができる。そして収穫した後は早めに食べることをお勧めします。

山田医院  医療事務  阿知波真弓

糖尿病の食事について

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(平成28年)では、糖尿病有病者と糖尿病予備群は、いずれも1000万人と推計されています。クリニックでも糖尿病患者さんは多く、「何を食べたらいいの?何に気をつけたらいいの?」という質問をよく受けます。そこで今回、糖尿病の食事について調べ、食事で気をつけてほしいポイントをあげてみました。

①食べ過ぎない
基本的に、糖尿病の食事療法では食べてはいけない食品はありません。1日に食べてもよい食事量(適正なエネルギー摂取量)を守る、腹七分目を守ることが大切です。早食いは、食べすぎの原因です。意識的にゆっくり、よく噛んで食べるようにしましょう。テレビを見ながら、新聞を読みながらの食事も、食べ過ぎの原因となります。

②栄養バランスのとれた食事
たんぱく質(肉、魚、卵、牛乳、大豆など)、カルシウム、ビタミン、食物繊維など、各栄養素をバランスよく、さまざまな食品からとるようにしましょう。お菓子の食べ過ぎや、清涼飲料水などの飲み過ぎには十分注意が必要です。

③1日3回規則正しく
食事をぬいたり、まとめ食いするのは肥満のもとです。でも、会食や結婚式などでカロリーの取りすぎが避けられない場合、食事を1食抜くなど、無理に1日の中で調整する必要はなく、前後3日間の中で少しずつ量を調整して、全体として適切なカロリーや栄養バランスになるよう調整すればよいのです。

④『急に』を予防する食べる順番
急に寒い所に出て行ったり、急に熱いお湯につかったり、何事も「急に」行うことは、からだにとってよくありません。それは、食事のときもおなじです。お腹が減っているときに、ごはんやパンなどの糖質を先に食べると、血糖値が急激に上がってしまいます。お魚やお肉(たんぱく質)、野菜を先に食べることで、「急に」を予防することができるのです。

⑤調理にお酢
お酢には、急激な血糖値の上昇をゆるやかにしたり、コレステロールやカロリー、塩分の取りすぎを防ぐなど、効果的な力があります。また、お酢のうま味増強効果を利用することで、味気ないと思われがちなメニューも、おいしくいただくことができます。また、揚げ物や炒め物より、煮物、蒸し物などの調理法の方が、ぐんとカロリーを抑えます。

適切な食事療法は、膵臓の負担を軽くして血糖値を高めないようにする効果が期待でき、食事療法だけで、軽い糖尿病は改善されるケースも少なくありません。根気よく続けることが大切です。
糖尿病は、インスリンの働きが低下する病気です。糖尿病というと、「尿に糖がでる病気」と思われがちですが、これは糖尿病のひとつの症状にすぎません。気をつけることは、血液中の糖分が異常に高い状態(高血糖)が続くことで、この高血糖状態をほっておくと、目や腎臓の障害、心筋梗塞や脳梗塞、そして神経の障害など危険な合併症を起こしやすくなるので注意が必要です。

山田医院 看護師 橘 智子

NO検査って?

私の勤務日数は月に5~7回程度なのですが、最近は主人や姉のほうが山田医院に来ている事が多いのでは?なんて冗談を言っています。
特に姉は最近他の風邪症状は何もないのに、咳だけが治まらず、レントゲンで異常なし、血液検査やNO検査にて咳喘息と言われました。

当院では数年前よりNO検査の機械にて咳喘息を数値で診断しています。NOとは一酸化窒素で好酸球による炎症があると体の中で多く作られます。その為吐く息に含まれるNOの量を測ることで気道に起きている炎症の状態が数値で分かります。この数値が高いと、気道に好酸球の炎症が生じていることを示します。

喘息、特に不安定な喘息や治療不足の喘息で上昇します。アトピー性皮膚炎や鼻アレルギー、好酸球性副鼻腔炎などでも軽度に上昇します。ただし発作時(肺機能低下時)はむしろ低値を示すため医師の解釈を聞いてください。一般的な目安は36ppbを超えると喘息が疑われます。このNO検査は2013年から保険適応となったそうです。

はっきりしたことは覚えていませんが、当院はかなり早い時期にNO検査を取り入れていました。一度、咳が続くけど、診察してもらうほどではないかな?と思われている方、咳き込む、呼吸時にのどがゼーゼー、ヒューヒュー言う、呼吸困難、発作時の激しい咳、痰、夜間や早朝に症状が出やすい、胸の痛み、動悸、息切れ、背中の張り、空咳などあれば相談してくださいね。ちなみに姉は数値が高く、薬、吸入などで治療中です。また待合や処置室で私の家族を見かけたらよろしくお願いします。あ、少し前までしょっちゅうお世話になっていた孫も3歳になり熱を出すことも減り大好きな「イルカ先生」のところに来ることが少なくなりました(^^)/

山田医院 看護師 冨嶋友子

浮き指改善で足本来の働きを取り戻す

人間は本来5本の足指で地面をしっかりとらえて立ったり歩いたりするもの。しかし、裸足ででこぼこ道を歩くことのなくなった私たちの足らは退化して、さらに普段はいている靴の多くは、転ばないようにつま先が少し上がったつくりとなっているため、どうしても浮き指状態で歩いてしまいがちです。健康な足の場合、足の指、指の付け根、かかとの3点が地についていて、重心が土踏まずにきます。対して、浮き指の足は、指の付け根とかかとの2点で体を支えるため、重心がかかと側に片寄り、骨格が歪みます。特に筋力の弱い女性や子どもは、足から伝わる突き上げを首でも補うため、首のズレや変形が生じ、神経を圧迫しやすくなります。下記のような症状が1つでも当てはまれば、浮き指の可能性が高いです。

□足指の付け根にタコや魚の目ができやすい
□足指の表面にタコができている
□足尾親指を付け根から押したとき、90度以上反る
□首や肩が凝り、頭痛やめまいがする
□ダイエットしても下半身だけ太いまま
□巻き爪になりやすい

 

浮き指の改善には、足の指を付け根から動かして運動可動域を広げることが大切です。付け根からしっかり足裏に向かって曲げることが出来れば、踏ん張る力が増します。足指を使ってタオルなどをつかむエクササイズは、指先の運動だけになってしまうため足の付け根を曲げる訓練には不向きです。次に紹介する「浮き指改善運動」で、足指を付け根から曲げるトレーニングをしてみましょう。

【浮き指改善運動】
まず、片側の足を反対の太ももにのせます。自分の手の指をパーの形に開いて、足指の間に手の指をいれるようにします。反対側の手は、足首がしっかり伸びた状態になるように固定していきます。この時、差し込んだ手と足指の根本に少し隙間を作ることが、効果を発揮するポイントになります。そして、足指を項の方へ反らし、5秒間キープ。この時は足裏の筋肉が伸びていることを確認しながら行ってください。今度は反対側。足の指を足の裏側に曲げ、引っ張っていきます。手のひらで足の裏全体も押していきます。足の甲の筋肉が伸びていくので、この状態でも5秒間キープです。足の甲と裏とを交互に伸ばしながら、片足5分ずつすればOKです。あまり強くやり過ぎると、筋肉が固くなってしまうので、なるべく優しくゆっくりおこなってください。

山田医院 医療事務 中町麻里

増加する川崎病について

1967年に川崎富作先生が「急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」として報告してから50年以上経過した川崎病は今なお原因がはっきりとわからない疾患です。1990年以降に年間の間者さん数は増減しており現在では30名学級2クラスに1名は川崎病の既往をもつ子供がいることになります。男性が女性の1.5倍で罹患は9-11ヶ月をピークとして5歳未満が80%、月別では12-1月の冬季にピークがあります。世界的には東アジアに多くなっています。はっきりとした原因は不明も遺伝、感染免疫、環境の3つが病因として考えられています。5日以上の不機嫌を伴う高熱、両側の眼の充血、真っ赤な唇、いちご舌、不規則な湿疹、BCG接種部位の腫脹、紅斑形成、手足が腫れて後からは皮が手袋のように剥けて、また頚部リンパ節が腫脹等の症状があります。できるだけ早期に発見して治療を行うのは心臓の冠動脈病変を抑えることが大切です。(7-8病日までに治療が必要)免疫グロブリンの投与など治療法が確定していますが新しい免疫抑制剤などの薬剤の使用も試みられています。ネックとなる冠動脈病変は冠動脈瘤の形成で発症後30日の時点において大きなままであるとその後心筋梗塞などの病態に進行する危険が有ります。イベントとしては発症1ヶ月以内の冠動脈瘤破裂、発症5年以内の急性心筋梗塞、発症5年以降してからの冠動脈形成術などの冠動脈の治療に対する注意が必要になります。なお、川崎病の冠動脈流自体は加齢に伴う動脈硬化とは関係ありませんが、冠動脈に炎症を伴うことからリスクファクターになる可能性は高く、一度川崎病に罹患した方、特に一過性でも冠動脈瘤ができたからは特に生活習慣には気をつけて動脈硬化を起こさないようにすることが必要です。今回は日本医事新報 令和1年8月号から抜粋しました。

山田医院 医師 山田良宏