第20巻第4号(第231号)|大阪市阿倍野区で内科・外科・小児外科なら山田医院にお任せください。

  • お問合せはこちらから

    0666223166

  • 診療時間

    ※括弧内は受付時間 休診日 木曜午後、土曜午後、日曜、祝日

山田医院だより

第20巻第4号(第231号)

中高年の帯状疱 疹について

経年的に帯状疱疹については患者数ならびに発症率ともに年々増加傾向が有り特に平成26年の水痘ワクチンの定期接種化を境に急増しています。水痘ワクチンの定期接種により水痘患児が激減しており水痘の流行がなくなった結果,水痘患者さんからの免疫ブースター効果による帯状疱疹発症抑制がなくなったためと考えられています。

帯状疱疹患者さんの増加だけではなく帯状疱疹患者さんの低年齢化、帯状疱疹の複数回罹患も見られるようになりました。帯状疱疹はヒトヘルペスウイルス科の水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化で生じる疾患です。このVZVの初感染は水痘ですが、帯状疱疹ではこの水痘の罹患時に皮膚の水泡病変から感覚神経の軸索流と逆流して感覚神経節に入って神経細胞の核内に潜伏感染します。

加齢によるVZVの免疫記憶細胞(T細胞)の減少あるいは過労、手術、放射線療法などの刺激によるウイルスの再活性化により感覚神経の分布領域に沿って片側性、帯状に皮疹を生じて痛みを生じるのが特徴です。通常は感覚神経の分布領域に一致して神経痛様の痛み、知覚異常あるいは掻痒感が数日から1週間程度持続(前躯期)、やがて浮腫状の紅斑が出現、順次水泡、膿疱、痂皮を形成します。この時には炎症性の痛みで侵害受容性疼痛と言われる痛みを生じます。(帯状疱疹痛)時に壊死性の変化を生じ潰瘍となり大きな瘢痕を残すことがあります。

また神経の分布領域から離れた所に水痘と似た散布疹をつくることが有り汎発性帯状疱疹とも言われますがこれについては免疫能が低下した人(悪性リンパ腫、白血病など)に多く認められます。皮疹の治癒とともに疼痛が消失することが大部分ですが皮疹が治癒後も痛みが残り年余にわたり痛みが続く場合もあります。(帯状疱疹後神経痛)この帯状疱疹後神経痛は20%程度の発生率でこの発症の危険因子としては高齢である、疾患あるいは薬剤による免疫抑制状態である(悪性腫瘍、リンパ腫などの疾患治療中、糖尿病、ステロイド治療中、抗癌剤治療中など)、前躯期の痛みがあること、急性期の痛み(帯状疱疹痛)が強いこと、皮疹がひどいことと言われています。

帯状疱疹後神経痛の移行を予防するために発症早期に抗ヘルペス薬を投与して皮疹の早期治癒と急性期の帯状疱疹痛を抑えることが大切です。なお、帯状疱疹は一般に感覚神経領域に起こる疾患であるために疼痛や知覚異常を生じることはありますが運動麻痺を起こすことは希です。しかし時々眼瞼下垂、四肢筋、腹筋の麻痺、萎縮を認めることがあります。(1%未満)この運動麻痺については改善まで数ヶ月から半年程度かかることがあります。その他にRamsay-Hunt症候群といい顔面神経節の帯状疱疹では顔面神経麻痺、味覚障害、耳鳴りなどの内耳障害を生じる事が有り、仙骨部の帯状疱疹では膀胱直腸障害を生じることもあります。その他頚部や上胸部の帯状疱疹では希に脳炎、髄膜炎を起こすこともあります。

なお、帯状疱疹の治療については抗ウイルス薬については帯状疱疹後神経痛を考慮すると高リスク者にはアメナメビルあるいはファムシクロビルの投与が効果があると言われています。なお前駆痛や急性期の帯状疱疹痛については主に侵害受容体痛であることからいわゆる痛み止め(NSAIDS)あるいはアセトアミノフェンの使用が望まれ、またこの時点においても神経痛がある場合には後ほど説明する帯状疱疹後神経痛の治療が必要になります。なお帯状疱疹語神経痛のリスクが高い場合には早期から神経ブロック療法などを行うこともあります。

帯状疱疹後神経痛については第1選択薬としてはプレガバリン(リリカ)、デュロキセチン(サインバルタ)、アミトリプチリン(トリプタノール)などを第2選択薬としてはノイロトロピン、トラマドール製剤(トラムセット、トラマール、ワントラム)、第3選択としてオピオイド(麻薬製剤)あるいは抗痙攣剤、SNRIなどを使用、状態に応じて漢方薬を使用しています。なお神経ブロックについては早期から行うことで有効率が高くなりますがペインクリニック等での対応が必要となりやや敷居が高い治療となっています。

その他、寒冷により痛みが増強するので温庵法が有効でありまた気象によって痛みが変化するために雨天時、寒冷時には注意が必要です。なお痛みが長期にわたると2次的にうつ状態になることもありケアマインドも必要になります。今後プレガバリン類似薬剤としてミロガバリン(タリージェ)という薬剤が発売予定であり、また予防としては現在使用されいてる水痘帯状疱疹ワクチンに加えて、免疫能の低下により生ワクチンが使用できない人を対象に組み換え帯状疱疹ワクチンが発売予定です。今回は日本医事新報平成31年4月号から抜粋をしています。

山田医院医師山田良宏

子宮がんについて

子宮がんは子宮頸部(子宮の入り口)にできる子宮頸がんと子宮体部(子宮の奥の方)にできる子宮体がんに大きく分類され、その頻度は子宮頸がんが70~80%、子宮体がんが20~30%です。子宮頸がんの罹患者数は減少傾向にありますが20~30歳代では増加しています。また、子宮体がんの罹患者数は食生活の欧米化や肥満の増加など生活スタイルの変化に伴い増えています。

子宮頸がんは活発な性活動や性交渉の相手が多いほどなりやすい傾向があり、これは性交によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)と発がんに強い関係があります。また、妊娠、出産回数が多いほどなりやすく、喫煙もがんの確率を高めます。子宮体がんは月経が不規則な人、無月経や排卵異常のある人、妊娠や出産の経験がない人がなりやすいといわれており、これは女性ホルモンのアンバランスが体がんの発生に深く関わっているからです。また、肥満、高血圧、糖尿病のある人は体がんになりやすい傾向があります。

子宮頸がんの好発年齢は20歳代後半から40歳前後で、子宮体がんでは40歳代後半から増加し50歳代から60歳代にピークを迎えその後減少します。子宮頸がんの初期では無症状のことが多く、進行するにつれて不正出血(月経時以外の出血)性交後出血、おりものの異常(茶褐色、黒褐色のおりものが増えるなど)、下腹部痛や腰の痛みなどがあらわれます。

それに対して子宮体がんでは比較的初期から不正出血を見ることが多く、進行するにつれて出血やおりものの増加、下腹部痛、腰痛などの症状が出ます。特に閉経後の出血は要注意です。しかし子宮頸がん、子宮体がんは早期発見、早期治療により治すことのできるがんと言われています。そのためには子宮がん検診を受けることが最も重要です。20歳になったら検診を受けてもし異常が出た場合は早期に産婦人科医の指導を受けるべきです。大阪市では20歳以上で2年に1回自己負担額400円で子宮頸がん検診を受けることが出来ます(検診費以外にも諸費用が発生する場合がありますので受診前に受診機関に必ずご確認ください)。

また問診などにより子宮体がんのリスクがあれば産婦人科を受診するように促されます。子宮頸がんについては予防できるワクチンもあります。大阪市では小学6年生から高校1年生の女子は取扱医療機関で無料接種できます。接種を希望される場合は100%予防できるわけではないので必ずワクチン接種の有効性と接種による副反応を十分に理解したうえで接種して下さい。大阪市ではその他にも胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん検診を行っています。検診には一定の要件があります。また検診によって検診場所の指定や料金が違ってきます。詳細については大阪市健康局健康推進部健康づくり課へお問い合わせください。

山田医院看護師中島早苗

閉経を迎える女性の健康管理

女性の身体は、閉経が近づくと卵巣の働きが低下して女性ホルモンの量が急激に減少し、それにより守られていた女性の身体は、多くの健康リスクにさらされることになります。

<女性ホルモン減少による身体への影響>
女性の閉経期にあたる50~60歳代になると高血圧が急激に増加するといわれています。閉経よって女性ホルモンの効果が期待できなくなると、急激に生活習慣の影響を受けて血管が固くなったり、骨密度が低下したり、脂質異常になったりするリスクが高まります。女性ホルモンの影響で血管が安定している人が多いため、それまで血圧を意識してこなかった人も少なくありません。中高年になって急に高血圧と診断されて戸惑う人も多いのではないでしょうか。閉経を機に発症する高血圧は、女性ホルモンによる刺激で活性化されていた血管内皮細胞の働きが低下することが影響しています。内皮細胞は全身の内皮に存在し、血管をしなやかに保つうえで重要な役割を担っています。また、腎臓の血管の内皮細胞の働きも低下するため、腎臓でのナトリウムの排泄が悪くなり、血管の中の塩分濃度が上昇します。内皮細胞には、一酸化窒素の生産を促す働きもあり、内皮細胞の働きが弱くなることで脳内の一酸化窒素が減少して交感神経系が刺激され、血管の収縮が強くなります。こうした複数の要因によって血圧が上昇するといわれています。

<閉経期の女性が受けやすいストレスやリスク>
女性ホルモンにはLDLコレステロールの代謝を促進する働きがありますが、閉経によってその効果が期待できなくなると、動脈硬化が進み、LDLコレステロールは溜まりやすくなります。閉経期を迎えて血圧が高くなってきた、健康診断でLDLコレステロールが増えたという人は、食生活の改善や運動など、これまでの生活を変える必要がある年代になったのだと、一念発起する必要があると言えそうです。また、更年期から閉経期にかけては、女性が家庭や社会でいくつもの役割を持つ大事な時期でもあります。子供の受験や親の介護、さらに仕事では管理職に就くなど、過度なストレスにさらされやすい時期にあたります。外的なストレス要因に加えてホルモンバランスの乱れで自律神経の不調をきたしやすくなっています。閉経期の女性は様々な危険にさらされているのだと考えるべきでしょう。

<睡眠時のいびきなどの変化>
もうひとつ、閉経期の女性で注意が必要なのが睡眠時無呼吸症候群です。女性ホルモンには筋肉の働きを活性化する働きがあり、軌道の空間が狭くなりにくくなっています。扁桃や口蓋垂が大きい人や首の内部に脂肪が多くついている人は元々いびきをかきやすいため、閉経を機に気道が狭くなっていびきをかき始めることがあります。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の質の低下をまねき、日中の眠気や疲労の蓄積につながるだけでなく、脳卒中などを引き起こすこともあります。十分な睡眠時間を確保していても疲れが取れない、日中ボーっとしてしまうなどの症状がある場合には、できるだけ早く専門医を受診しましょう。

山田医院看護師川上啓

風疹ワクチン(第5期風疹定期予防接種)について

近年の風疹の発生状況をふまえて風疹の感染,蔓延予防及び先天性風疹症候群の予防のために風疹の抗体検査を行い,抗体が低い予防接種が必要であるものを抽出して予防接種の啓発、実施につなげるために4月から風疹抗体検査ならびに風疹ワクチンの助成が始まりました。

風疹抗体の検査については風疹5期定期接種としては昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までの男性については平成31年4月1日から令和3年3月31日までの3年間原則無料となります。また大阪在住の市民については妊娠を希望する女性、妊娠を希望する女性の配偶者(内縁関係を含む)、妊婦の配偶者(内縁関係を含む)については無料となります。(平成31年4月1日から令和2年3月31日まで)大阪市と契約している医療機関(山田医院は契約を結んでいます)において血液検査を受けて抗体価を調べます。

一般にはHI法あるいはEIA法の検査を受けます。このHI法についてですが基本的には32以上であれば抗体がしっかりと付いているために風疹に罹患しないと考えられますが、32未満の場合には風疹に罹患する可能性があるために予防接種が必要です。この検査の値により例えばHIが8以下の場合には風疹5期の対象となり無条件で無料となります。もしHIが16であった場合には風疹5期の対象とはならず定期接種としての風疹ワクチンの接種はできません。

ただし大阪市民においては上記のような対象者(妊娠希望の女性、妊娠希望の女性の配偶者、妊婦の配偶者)においては助成が下ります。(扶養人数ならびに収入により助成金額は異なります。)5期対象者に対しては後日郵送にてクーポン券が送られることになっています。クーポン券が送られてこない場合にも大阪市民の場合には上記の助成が受けることができるために心配な方は相談してください。

山田医院医師山田良宏

日本脳炎と蚊について

日本においては100種類以上の蚊が生息しておりそのホンの一部がヒトを刺す蚊ですが、主要な3種類としてはハマダラカ属、イエカ属、ヤブカ属があります。日本においては根絶したマラリア媒体のハマダラカは夜間活動なのでマラリア流行地では夜間の活動は注意です。

日本脳炎媒介のコガタアカイエカの属するイエカは名前のごとく家に入ってくる蚊で夜間寝ている時に耳元でブーンという音に悩まされたこともあると思いますがこれがイエカです。なお、3年前に東京の代々木公園で流行したデング熱の媒介はヤブカ属のヒトスジシマカですがこのヤブカ属は昼間に活動して吸血します。

夜間の蚊の対策としてはきっちりとした戸締りで蚊の侵入を防ぐこと、殺虫剤としてはピレスロイドと言われる除虫菊に含まれる天然殺虫成分のピレトリンに似た化合物を使用しています。現在では蚊取り線香以外にもマット式、リキッド式その他スプレー式など色々とあります。

昼間の蚊の対策としてはピレスロイド以外に皮膚に塗る虫除けとしてディートがあります。これは歴史が古く最も使用されていますが年齢制限あるいは回数制限があり、またプラスチックや合成繊維を溶かす性質もあるので最近ではイカリジンを使用することも多くなっています。(なおお勧めとしては子どもはイカリジン15%、成人はディート30%あるいはイカリジン15%です。)もちろん蚊を減らすために水たまりを周囲からなくすことが最も大切です。

なお、日本脳炎はワクチン導入前は年間1000人程度報告数がありましたがワクチン導入後の1972年以降は100人程度に、最近では10人以下になっています。通常は感染しても100-1000人に1人程度しか発症しませんが、一度発症すると特異的な治療法はなく致死率は30%、生存しても後遺症が高率に残る感染症です。

豚を飼っている西日本を中心に発症しており2016年までは北海道では日本脳炎は定期接種ではなかったのですが世界的には東南アジア、南アジアを含めて広く流行しておりグローバル社会の現在では感染の危険性が有り北海道においても定期接種となっています。日本脳炎は定期接種の1つで通常は3歳になったら1期として3回、9歳から10歳に2期として1回の接種となります。忘れている人も多いのでぜひ受けるようにしましょう。

山田医院医師山田良宏