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山田医院だより

第20巻第5号(第232号)

終末期患者さん の医療について

何を持って終末期と言うのか?
今では広く捉えられており「死に至るまでの時期が限られている状況を示しており以前はガン、エイズが中心でしたが現在は心不全、呼吸器疾患などの慢性疾患、神経難病、小児難病、認知症なども含まれてきました。人生の最後に至る形跡としては4つのパターンがありガンでは比較的横ばいの状態が続き末期になり急激に状態が悪くなるパターン、心不全、呼吸不全では増悪と寛解の繰り返しのうちに次第に悪くなるパターン、老衰、認知症では徐々に悪くなるパターンとなります。(突然死はあるとき突然悪化してなくなるパターン)終末期を正確に診断するのは難しく余命の診断は極めて困難になっています。

終末期医療においては本人の意思が最も尊重されるべきものですが、状態の悪化あるいは認知症などで本人の意思が確認できないこともあり、本人の意向位に沿わない形での治療が継続されることもあります。終末期医療といえばいわゆる安楽死と考えることがありますが、安楽死には現在は大きく分けて消極的安楽死と積極的安楽死があります。

消極的安楽死は不作為による安楽死のことである措置により死期の延長がさほど期待できずしかも苦痛をもたらす措置を行わないこと。これについては現在も末期医療においては同意と説明の上でよく行われています。積極的安楽死は致死性の薬物の服用あるいは投与により死に至らせる行為です。

積極的安楽死については

①患者さんが耐え難い激しい肉体的苦痛が存在すること
②患者さんの死が避けられず死期が迫っている
③安楽死を選択する患者さんの意思が存在する
④苦痛の除去、

緩和のため他の医療上の処置がないの4要件があれば問題はないとされていますが実際問題としては肉体的苦痛のみで精神的な苦痛が入っていないことはほとんどなく現在においては治療も進み、痛みに対して他の医療上の処置がないことは極めて少なく、治療中に患者さんは意識を失い苦痛を感じなくなるだろうと考えられています。

なお、日本医師会では積極的安楽死は禁じておりまた実際問題として医師の抵抗感は強く法整備もない現時点において積極的安楽死が起こる可能性は少ないと思われます。ただし世界的にはオランダ、ベルギー、スイス、アメリカの一部の州では法律によってこの積極的安楽死を容認しており、他の国にも波及しそうな状況のようです。実際には安楽死の運用については厳しい条件がありますが、オランダでの安楽死者は全死亡の4%、カナダでは1%となっています。とくにスイスの自殺支援団体DIGNITASでは海外からの希望者あるいは健常人の自殺支援まで容認しています。

脚本家の橋田寿賀子さんが2016年に安楽死で逝きたいと発表した際には大きな反響が有り日本尊厳死協会にも多数の問い合わせがあったようです。なお日本尊厳死協会は安楽死には反対しており終末期医療において事前指示書(リビングウィル)の発行、登録、普及啓発をおこなっている団体です。終末期医療においては患者さんの自己決定権を尊重し、その手段としてはリビングウィルなどの事前指示書でまた患者さん自身での判断が困難なときには患者さんが信頼できる代理人(家族など)が代わりとして判断を委ねることができる、医療のケアチームが総合的に判断をして対応するが緩和ケアについては十分に行うとされています。現在ではアドバンスケアプランニング(平成30年11月30日に人生会議の愛称となりました。)といい意思決定能力の低下に備えて医療・介護(療養)についての考えを家族あるいは親族と医療やケアチームと話し合いをして共有する取り組みが推奨されています。事前に人生会議をしておくことでいざ自分自身が週末期医療を迎えた時にどのように対応をしてもらうのか意識が混濁しても可能です。無理な延命治療を受けることなく自分自身らしい最後を迎えることができます。

なお、この人生会議は1度決めたらそのまま変わらないのではなく、状態に応じて変更は可能で多様性を持っています。在宅医療ならびに悪性腫瘍等の末期医療において痛みのコントロールがきっちりと出来きると多くの方が安楽な最後を迎えることができます。痛みには身体的、精神的、社会的、スピリチュアルの4つの痛みがありますが4番目のスピリチュアルの痛みは「私の人生はなんだったんだろう?」「死んだらどうなるのだろうか?」「あの時、ああしておけばよかった、、」などで対応は難しくなっています。孤独さを理解してくれる人が必要、穏やかな日常生活の存続、患者さんの願いや愛情を看取る人に受け止められる、愛する人との再会の希望などが大切となっていますが最近ではこのスピリチュアルペインを含めた対応については臨床宗教師といいキリスト教のホスピスに対して仏教のビハーラの存在もあります。終末期医療については安楽死を含めてどのようにするのが最もよいのか手探りの状態ではありますが、今後団塊の世代が後期高齢者となり最後を迎えるようになるまで混乱等なく対応ができるようにしていくことが大切と思います。

山田医院医師山田良宏

心のスランプ・6月病をご存じですか?

毎年、5月のゴールデンウィークが終わったころによく話題に上るのが「5月病」。
5月病とは、新入生や新社会人が、新しい環境で緊張が張りつめた4月の1か月を過ぎ、連休明けころに無気力状態に陥ってしまうこと。でも、最近は5月よりも6月に症状を訴える人が増えていて「新5月病」とか「6月病」と呼ばれています。

4月は新しい環境に慣れることに一生懸命で、知らず知らずのうちに疲れやストレスをためています。5月の連休でいったんは英気を養うことができる人も多いのですが、6月に入って「こんなはずじゃなかった」と失望したり、勉強や仕事、人間関係にうまく対応できなくなったりして大きなストレスを抱え込んでしまう人が少なくありません。また、心がどんよりしてしまうのは、ジメジメとした6月のお天気も無関係ではありません。「5月病」「6月病」は医学的には「適応障害」に分類されます。適応障害とは、急激な環境の変化についていけずに、心や体が悲鳴をあげている状態。入学・入社時に限らず、配置転換や転職、退職、結婚、引越しなど環境が大きく変化する時期に起こりがちです。

症状としては便秘、下痢、腹痛、めまい、ひどい肩こりや頭痛、疲れやすい、だるい、寝つきが悪い、朝起きられない・食欲がわかないなどの体の不調。気持ちが落ち込む、イライラする・やる気が出ない、何をするのもおっくう、判断力や思考力が低下する、今まで興味があったことが楽しいと思えなくなるなどの心の不調。疲れやストレスから一時に心身に不調を感じることは誰にでもありますが、こうした不調が2週間以上続くようなときには、6月病かもしれません。長引くと、うつ病に移行してしまう可能性もあるので要注意。症状が重くなる前に、早めに病院で相談しましょう。

5月病や6月病は、はりきりすぎて精神的にも身体的にもバテてしまった状態です、がんばり屋さんで几帳面、まじめな人が多く、日曜日に休んでも月曜のことが気になってゆっくり休養できないといったケースが目立ちます。ストレスに押しつぶされないためには、以下にあげるようなストレスマネジメントをすることが大切です。

OFFタイムを充実させよう
意識的にON/OFFの切り替えを。帰宅後や休日は、学校や仕事のことを考えないですむように、趣味など自分の好きなことに集中しましょう。

体を動かそう!
元気脳に欠かせないのが「セロトニン」という脳の中にある神経伝達物質。セロトニンが不足するとうつ病になりやすいといわれています。適度な運動は、セロトニンをふやすといわれています。ジョギングやウォーキングなどでリズミカルに体を動かしてください。きちんと食事。良質のたんぱく質を積極的に。

セロトニンを不足させないようにするには、3食きちんと食べて、バランスのよい食事をすることも大切です。また、セロトニンを作り出す材料となるのが必須アミノ酸の一種である「トリプトファン」という物質です。トリプトファンは、肉、魚、大豆類などたんぱくが豊富な食品に含まれていますから、こうした食品を積極的に料理に取り入れましょう。

睡眠をしっかりと!
セロトニンを増やすには、不規則な生活や睡眠不足を解消することも大事です。5~8時間程度の睡眠時間をしっかり確保して、朝起きたら窓をあけて太陽の光を浴びましょう。そのほか、たばこを吸っている人は禁煙を。お酒は飲まないか、控えめに。

山田医院医療事務東川敏美

痔について

日本人の3人に1人は痔で悩んだことがあるといわれるほど身近な病気ですが痔ぐらいだから、恥ずかしいなどの理由で肛門科などの受診は50%ともいわれています。
今回は痔について調べてみました。痔とは肛門の周囲におきる疾患の総称ですが、その代表的なものが痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)痔ろうで80%を占めます。痔の原因となるのが、悪い排便習慣です。

具体的には、便が硬い、便が出ない、出にくいといった便通の異常を指します。排便は、腹圧をかけて直腸にたまった便を押し出します。肛門を形成する肛門括約筋は、最大で直径約4-5cmまで開くことができます。硬い便=太い便が通るには便が肛門を押し広げることになります。このような排便で肛門周囲の皮膚が切れて裂肛になったり、過度にいきむことで肛門周囲の血管に負担をかけ、うっ血を繰り返すことで痔核ができたりします。痔核の治療は、小さな内痔核の場合硬化療法(ALTA療法)があります。1つの内痔核に対して4か所に薬剤を注射する治療です。多くの医療機関では日帰り治療をしています。ただし、肛門内に戻りにくくなった内痔核や慢性的な裂肛、痔ろうは入院で治療になることが多いです。原因で一番多いのは排便習慣によるものです。便秘や下痢は腸や肛門に物理的な刺激を与えるため、痔になることが多くあります。年齢とともに増えてくるのは、長年にわたる刺激の蓄積が原因です。食べ物では、アルコールや辛い物をよく食べる人がなりやすいです。朝食後だからととりあえずトイレに行くのではなく便意があってから行くことです。トイレの時間は約5分ていど、いきんだりしないことが大切です。肛門の症状が日常生活に影響をきたすこともあるので注意しましょう。

山田医院 医療事務 阿知波真弓

ダイエットは栄養バランスが重要

薄着となり体形が目立つ夏を控え、ダイエットを試みる人も多いと思います。私もその中の一人です。でも、間違った方法で進めると夏バテや体調をくずす元になりかねません。
りんごなど同じ食品ばかりを食べる単品ダイエットは、栄養バランスが極端に崩れ、体調を悪くしかねません。また、極端な食事制限は、内臓にも負担がかかり、また断食で餓死状態になった体は脂肪をため込もうとす
るため、リバウンドしやすくなります。

正しいダイエットとは、エネルギー源となる三大栄養素の糖質・たんぱく質・脂質を含む食材を必要量摂取すること、栄養バランスよくたべることです。
体の中で筋肉が、最も糖や脂肪などをエネルギー源として消費します。筋肉が落ちると、痩せにくい体になってしまい、また疲れやすくなり夏バテしやすくなります。筋肉がつくと基礎代謝が上がり、代謝が上がるとエネ
ルギー消費が増えます。なので、筋肉をつくるたんぱく質は減らさないことが重要です。また、脂質は取り扱いに注意が必要であり、摂取しすぎると中性脂肪となるが、完全に抜いてしまうとエネルギー不足となってしまいます。脂質には様々な種類があり、青魚に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)などの脂質は、肝臓での中性脂肪の燃焼を高める働きがあるので、減量中に摂取すべき脂質として取り入れたいものです。どうすればバランスよく栄養をとることができるでしょうか。

「四群点数法」と呼ばれる食事法を紹介します。まず、食材の栄養素別に四群にわけます。そして、1日に必要なカロリー摂取量(成人女性は1600㎉程度)を算出します。食材80㎉ごとに1点として点数化し、各群ごとに目安点数を設定します。(1600㎉だと合計点数は20点となります。)健康維持に欠かせない第1から3群は3点を保つようにし、エネルギー源となる第4群で調整(10点を下回らない)していくのがよいでしょう

目安点数(1点=80㎉)
第1群 卵・乳製品など(栄養バランスを整える) 3点
第2群 肉、魚、豆製品など(筋肉や血液など体をつくる) 3点
第3群 野菜、果物など(体の調子を整える) 3点
第4群 穀物、油脂、砂糖など(エネルギー源となる) 11点
合計 20点(1600㎉)

*日本経済新聞カラダつくり紙面参照

山田医院 看護師 橘智子

舌の違和感

こんにちは!若いスタッフが入り、若返りをした山田医院です。

私は平均年齢あげていますが、まだもう少し働かせて下さいね(笑)
さてさて、今回は先日新聞で見かけた舌痛症という文字に興味を持ちました。

見た目はなんともないのに、舌がヒリヒリ、ぴりぴりする、と言う時、かつては心因症と言われてきましたが、近年、「舌痛症」「口腔灼熱症」と呼ばれて、50代以上の女性に多く(あ、私も女性50代以上ガッツリ当てはまる)舌の先端や縁に痛みを強く感じ、夕方から就寝前に悪化することが多いそうです。

原因は、脳内の神経伝達物質のセルトニンやノルアドレナリンの枯渇ではないかと考えられ、誘因としてなんらかの心理的社会的要因、精神的なストレスで発症する方もいて、
1、子供の独立(あ、また私当てはまる、、。)
2、リストラ(ドキドキ)
3、家族との死別(考えたくない)などもきっかけになることがあります。

更年期以後の女性に多いことからホルモンのアンバランスや自律神経の変調とも関係があるとされています。味覚障害が併発することも多いのが特徴です。舌痛症と診断されたら、抗うつ剤や抗不安定剤の投与、副作用が強い時は漢方薬が使用されたりします。痛みを感じているのに我慢して、治療開始までに時間がかかると、治癒に時間がかかる事があるので早期に診断治療を受けましょう。同じような症状でも「口腔カンジダ」では治療が全く違ってくるので、ちゃんと診察を受けて下さいね。

口腔カンジダは痛みに日内変動がなく、口腔粘膜に白苔が付いたり、口角部にびらんが出来、熱いものや刺激物が食べにくくなります。それ以外に金属アレルギー、ビタミンB12不足などがあります病名に合う治療を受けて下さいね。

先程言いましたように、目の中に入れて育てた我が家の末っ子が(笑)とうとう目の中から飛び出て、、東京の企業に就職してしまいました、、。目が窮屈だったのかな、、(笑)我が家は老夫婦だけとなってしまい、火が消えたように寂しい日々を送っていて、あわや、「舌痛症」一歩手前で、段々いない生活に少し慣れてきました。その時、人間ってちゃんと強い順応が、あるのだなぁーと我ながら感心しました(^^)では皆様熱〜〜い夏に向けて体力温存致しましょう。

山田医院看護師冨嶋友子

子どもとスポーツについて

走る動作は1歳半頃、ボールを蹴る動作は2歳前、投げる動作は2歳頃、ジャンプ動作は2歳半、ケンケンは3歳半くらいとされています。

競技開始年齢についてはオリンピック参加の一流競技者では男女とも60%で未就学時期あるいは小学生までに専門競技を開始している様です。例えば卓球では多くの女子が3歳頃、サッカーは6.5歳、新体操は幼稚園時期、野球は小学生入学後ですがラグビーは高校生以上などと異なっています。

なお一般には毎日運動をする女子が減少傾向になっています。小学生2,3年生までは女子の方がよく身体を動かしていますが小学生3.4年以降は男子の方がよく身体を動かすようになっています。子どもの運動遊びの重要性としては

①身体運動の発達

②認知的な発達

③情緒や社会性の発達

という3つの発達領域を促すことですがそれぞれがお互いに関係して発達していきます。

年齢に応じた対応が必要になります。なお近年では体力・運動能力の低下は「2極化」「低年齢化」が指摘されています。体力、運動能力が優れている子どもと劣っている子ども2分化されているということと、体力、運動能力の低下が幼児期という早い時期から始まっているということです。このような体力・運動能力の低下の直接的な要因としては「基本的な動きの未習得」「運動量の減少」があります。幼児期運動指針では3~6歳の子どもを対象として様々な遊びを中心とした運動を毎日合計60分以上行うことが推奨されておりまた多様な動きが経験できるような様々な遊びを取り入れる、楽しく体を動かす時間を確保する、発達段階に応じた遊びを提供するという3つのポイントが示されています。

幼児期においての指導としては他者との比較ではなくここの成長や意欲などの変化を見てポジティブな表現で見守る、具体的に褒める、子供の側に立って考える、安全を再重要視するなどがあります。専門的な種目を早めに行うよりも基礎的な運動能力の発達が大切でありまた運動を習慣付けることが肥満対策を始め大切であると考えられています。

山田医院 医師 山田良宏