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山田医院だより

第20巻第3号(第230号)

ステロイドについて

1948年にHenchはステロイドを関節リウマチ患者さんに注射して劇的な効果を得たと発表し2年後にノーベル賞を受賞、その後もステロイドは多くの疾患に使用されることになり近代医学に最も貢献した薬剤の1つになりました。一方では重篤な副作用も引き起こすことが明らかになりました。ステロイドが十分な薬効を示すためには健康人が平素にコーチゾル換算で生理的分泌する約10mg/日以上の用量が必要になりますがこのためにはどうしても様々な副作用が出現します。今回は日本医事新報平成31年3月号よりステロイドの副作用について抜粋しましたので報告をします。まずステロイドの作用機序ですがゲノム作用と非ゲノム作用があり、ゲノム作用には3ルートが知られています。ゲノム作用についてはこの3ルートにより標的となる遺伝子や転写因子が無数にあるために様々な副作用が出現すると考えられています。一般にステロイドは副腎不全の補充療法を除けば臨床的には免疫抑制あるいは抗炎症作用を目的として投与されますが、この際には感染症、骨粗鬆症、代謝関係の副作用が生じる可能性があります。なお、ステロイドはいろいろな合成もされており、種類としては膨大になっていますが構造等から分類すると4群に分けることができます。力価の違いはステロイドとその受容体の結合親和性の違いによるもので種類により疾患別の治療が変わっています。一般的にはステロイドはできれば使わない、使うときにはしっかりと使うが常に減量や中止を考慮される必要があります。次にここの副作用についてですが、骨粗鬆症についてはステロイド骨粗鬆症はステロイド投与後早期に骨密度減少と骨折リスクが増加することで一般の骨粗鬆症に比べると高い骨密度でも骨折を引き起こすことがあるのが特徴です。そのためにステロイド投与開始から3ヶ月以内の治療が大切です。長期ステロイド治療を受けている患者さんの30-50%に骨折が起こるとされており、特に投与後3-6ヶ月で骨折のリスクはピークになります。治療薬としてはガイドラインにおいてもビスフォスフォネート剤を第1選択としてビタミンD剤などの治療薬の選択が記載されています。感染症についてはステロイドは免疫の防御機構のいずれにも抑制的に作用するために感染症誘発の危険性は高くなっています。最も影響を受ける細胞性免疫のために結核、ニューモシスチス、真菌、ヘルペスウイルスなどの日和見感染症が問題となっています。これらは比較的低用量のステロイド治療においてもリスクになりますが高容量のステロイド剤においては治療開始後比較的早期に発現しやすくなっています。一般にはステロイドの用量や投与期間が増えるほどリスクが上昇します。なおステロイド服用中に減量あるいは中止をすると免疫再構築症候群(IRIS)といい沈静化していた日和見感染症や治療中の感染症が再発することもあり注意が必要です。日和見感染症で最も問題となるのは日本においては結核とニューモシスチスでこれらに対してはステロイド服薬中に予防的に抗菌剤を使用することもあります。最後にステロイドと動脈硬化についてですが、動脈硬化のリスクとしては糖尿病、高血圧、脂質異常などが有名ですが動脈硬化は血管の慢性炎症であることが認識されるようになり、膠原病の炎症病態が実は動脈硬化を加速させることが分かってきました。この膠原病の慢性炎症は動脈硬化のリスクに関与しますがステロイドがこの炎症を抑えることにより動脈硬化に対する予防的な効果があることが分かってきました。ただし、ステロイドの副作用である糖尿病、高血圧、肥満は動脈硬化のリスクになることからステロイド自体は膠原病などに伴う動脈硬化には効果があるもののステロイドの副作用による糖尿病、高血圧、肥満により動脈硬化が進行する可能性があるという競合的な作用があるためにステロイドの使用に際しては使用量、試用期間など常に考える必要があります。ステロイドの外用剤、局所剤については内服薬あるいは注射剤と比べると吸収量が低いために副作用は出にくいのですが長期に渡りあるいは大量に使用すると副作用が出現する危険もあるために注意が必要です。

山田医院 医師 山田良宏

グリーフケア

親族や家族、友人など最愛の人との死別を経験してしまい、悲嘆の日々を過ごしている人に対してサポートする取り組みをグリーフケアと呼びます。1960年代に米国で始まったとされ、日本では2005年に起こった福知山線脱線事故を機に一般に知られるようになりました。グリーフgriefとは深い悲しみや悲嘆を意味する英語で、グリーフケアは悲嘆ケア、遺族ケアとも呼ばれます。人は大切な人を亡くしたり、亡くなることが分かると、亡くなった人を思い慕う気持ちが心を占拠されそうな自分に気付きます。また一方で死別という現実に対して何とかしようと努力を試みています。この共存する二つの間で揺れ動き不安定な状態となります。このとき身体的な症状を含め、あらゆる苦痛が発生します。心理的には罪悪感を持ったり、怒りの感情が湧きあがってきたりすることもあります。集中力が低下し、うつの様な状態になることもあります。人によっては反応は大きく異なりますし、順番が前後したり、後戻りする事もありますが、以下の悲嘆のプロセスをたどると言われています。ショック期 あまりにも大きなショックで現実感を消失しぼんやりし、無感覚になる。混乱期 死を受け入れようとしますが、十分に受け止められず、怒りや落ち込みなど感情の入れ替わりが激しい状態になる。閉じこもり期 ようやく死を受け入れますが自分の人生に価値観や意味を見出すことができずに無気力になる。再生期 死を乗り越えて新たな社会関係を少しづつ構築していけるようになる。このプロセスは、これらの行動や症状を通して少しづつ立ち直っていくものです。グリーフケアでは、この悲嘆の感情を周りと自分自身が認めてあげることが第一歩となります。悲嘆の停滞に陥らないように、正直な感情を抑制しないように心がけ、今自分は悲嘆のプロセスを通っているのだと自覚し、悲しむことを肯定することが必要になります。葬儀において悲しみをこらえるのではなく、しっかりと悲しむ事が大切なグリーフケアのひとつと言われています。グリーフケアと英語だと専門職が行う事のように感じますが、葬儀、その後の法事を行う事なども、まずは自分自身、家族、友人などが行っているケアでもあるのです。自分自身や家族だけできちんとグリーフケアができない場合は専門家、福祉団体、遺族会などに相談する事も出来ます。相談員がカウンセリングをしたり、死別経験者が互いに寄り添う団体などもあります。最後に余談ですが、いま若い人に人気の米津玄師さんが年末の紅白歌合戦で「Lemon」という歌を披露して話題になっていました。私の息子がミュージックビデオをよく家で見ているのですが、この歌のテーマはグリーフケアなのではないか?と個人的に解釈しています。もし機会があったらこのような観点で聴いてみてください。

山田医院 看護師 盛田里穂

加湿器の保湿効果とは?

乾燥しやすい季節になると乾燥を予防する目的として『加湿器』で保湿される方も多いのではないでしょうか?
冷暖房を使用している室内だと季節を問わず乾燥することもあり、1年を通して加湿器が手放せないという方も多いと思います。加湿器を使うことで保湿が出来るという事については、みなさん認識されていると思います。しかし一般的な加湿器を使用することによる肌への保湿効果については、ご存知ない方も多いのではないでしょうか?
今回は室内で加湿器で保湿を行うことによって、どのような効果があるのか調べてみました。空気が乾燥しやすい季節になると、加湿器を毎日使用される方は多いはずです。
お部屋の空気が乾いている時は加湿器で湿度を上げて、部屋の空気に加湿をすることが出来ます。加湿器を使用される方の中には、加湿器を使用することが直接的に肌に良いと思われている方もおられますが、実際のところ直接お肌に保湿効果が見込めるという訳ではありません。一般的な加湿器で例えると、加湿器の中身は水です。この水の蒸気をお肌に直接当てたとしても、水分は肌に浸透せず、肌の水分を奪い蒸発するため、逆に乾燥を起こす原因になることもあります。そのため、加湿器を使用することが必ずしも保湿に繋がるとは限らないのです。

◆加湿器を使用する際の注意点◆
部屋の空気が乾燥すると、喉を痛めたり、ウイルスが広がりやすくなる場合もあります。
加湿器を使用してお部屋の乾燥を防ぐことは、健康上においてとても大切なポイントなのです。
部屋の適切な湿度は、50%-60%程度と言われています。
乾燥しているからと、過度に加湿を行いあまりに湿度が高くなると、カビの発生する原因になる
場合もありますので適切な湿度に保つことが大切です。
また、加湿器は常時水を使用することから、機器の中を清潔にしておくということも大切です。
常に湿気を帯びていることから、必然的にカビが繁殖しやすい環境となります。
加湿器内部を清潔にしておかなければ、加湿器からカビなどのアレルゲン物質が空気中に分散され、アレルギーの原因になることもあるのです。
加湿器で保湿を行う際には、お手入れやメンテナンスを忘れないようにしましょう。

山田医院 医療事務 杉山恭子

脳にとっての最高の栄養とは !

寒い時期は家の中にこもりがちになりますが、穏やかな季節にはお出かけしたくワクワクする季節ですね。花粉症の方にとっては最悪の時期かもしれませんが!
このような時期には、眠っている脳を活性化させるチャンスにもなります。脳を活性化させるための重要な要素には運動と知的好奇心があります。見たい、聞きたい、知りたい、行きたい、やりたいなど様々なことに興味関心を持ち、いつもワクワクときめいている状態は脳にとても良いそうです。知的好奇心の高い人ほど、本来は加齢とともに進む側頭頂部の萎縮が、他の人々に比べて少なく保たれているそうです。自分の興味・関心のある事はすぐに覚えられるのに、まったく関心の無いものはなかなか覚えられないということがよくあります。人は好奇心を抱いている時には「ドーパミン」という脳内物質が分泌されて記憶効果がアップすると言うことです。楽しい、嬉しいは脳を元気にします。

ワクワク、ドキドキするのがなぜ脳に良い!

ワクワク、ドキドキと深く関わっているのが脳の領域である扁桃体と神経伝達物質であるドーパミンです。扁桃体はアーモンドのような形をした直径わずか1cmほどの小さい脳の領域です。「見る」「聞く」「触る」「嗅ぐ」「味わう」など五感で得た情報が扁桃体に伝わります。そこで扁桃体は、好き・嫌い、心地よい・不快あらゆる感覚に仕分けします。その仕分けの時に、楽しい、嬉しい、おいしい、素敵と感じた時、扁桃体は神経器官に指令を出して神経伝達物質のドーパミンを放出されます。このドーパミンが記憶力を高め心地よい気持ちや達成感、そしてやる気を生み出します。プラス感情の時にさかんに放出されるドーパミンが、神経細胞から神経細胞へ情報が伝達されることによって、前頭葉はじめ認知機能を担う脳を活発化して良い刺激となるのです。

知的好奇心を刺激する趣味を持つ

知的好奇心は脳にとって最高の栄養ですから、「趣味」は脳にとって素晴らしい効果が期待できます。今、趣味を楽しんでいる方はきっと毎日がイキイキしているはずです。昔やっていた趣味やスポーツをもう一度始めるのも脳には素晴らしい御馳走になります。

新しい事をやると脳が活性化する

脳は今まで、やったことの無いことをするとさまざまな領域が活性化します。まだ使っていない脳の領域が刺激されると、脳細胞間のネットワークが育つからです。高齢になると体力・気力の衰えから、いろいろなことが億劫になるという話はよく聞きます。「面倒くさい」「今更」「何もしたくない」と、毎日が単調な繰り返しになり、脳細胞のネットワークの働きはどんどん低下してしまいます。日常生活には、脳を活性化させるチャンスがいくらでも転がっています。例えば、普段あまり本を読まない人は新聞、週刊誌の短い記事を読む、スーパーに行く時も普段通らない道を歩いてみる。この様に「これまでにやったことの無いことを」をやってみるだけでも大いに効果が期待できます。公共の場所やスポーツセンターなどの教室を、低価格で提供している所もあります。問い合わせて情報を得るだけでも一歩前進です。自分なりのドキドキ、・ワクワクを見つけましょう。それが健康で楽しい人生と健康脳を手に入れることができます。

山田医院 看護師 畑中幸子

舌下免疫療法とは?

花粉症の季節がやってきました。みなさん花粉対策は万全ですか?
薬物療法やレーザー治療などいろいろありますがいずれも一過性の対処法にすぎません。今回は花粉症の根治を目指す舌下免疫療法について紹介したいと思います。免疫療法は減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因物質であるアレルゲンを少量投与することでからだを徐々に慣らしていきアレルギー症状を和らげる治療法です。これまでの皮下注射による免疫療法では痛みが伴いますが、舌下では痛みもなく通院しやすいため近年注目を集めています。治療の流れとしてまず血液検査をして、スギ花粉症であるか確認します。治療が可能と判断した場合、花粉を抽出した薬剤を舌の裏に滴下し、そのまま2分間飲み込まず保持します。これを1日1回毎日続けます。初回は医療機関で行いますが、それ以降は自宅で行います。これまでは液剤タイプだけでしたが去年より錠剤タイプも保険適用になりました。錠剤のメリットは年齢制限がない、(液剤は12歳以上)室温保存が可能、効果がより強いことが挙げられます。錠剤が出たことでより治療に取り組みやすくなったといえますが、安定した効果を得るためには3年以上継続することが望ましいそうです。かなり根気のいる治療法ですね。治療開始時期はスギ花粉が飛散していない6~11月くらいまで。(スギ花粉が飛散している時期に開始すると副作用が出やすくなるため)ちなみに舌下免疫療法で治療可能なのは今のところスギ花粉とダニだけです。治療を行った方の8割は症状が出なくなった等何らかの効果を実感しているそうなので(2割の人は効果なし)来シーズンに向けて舌下免疫療法にチャレンジしてみるのもいいですね。なお治療できる医療機関は限られているので興味がある方は耳鼻咽喉科で相談してみて下さい。

山田医院 医療事務 川村 理恵

虐待の世代間伝達について

子どもにうまくかかわれない、適切な世話ができない発達が遅れている気がするけどそれは私のせい?など療育者としての無力感や自己避難は実は思い通りにならない幼い子どもに対する療育者の怒りと敵意の裏返しであり、その敵意や怒りを意識化、表現できないために親は途方にくれる無力感とともに子どもへの生理的嫌悪感、攻撃的衝動に脅かされます。また乳幼児の発達的特徴である自己中心的な駄々こねなどに圧倒されて疲れ果てる母親自身が実は子どもに対して敵意的、否定的にしか見られないこともあります。これらについてはいずれも療育者自身が子ども時代からの育ちの中で愛着関連する傷つき(実親との外傷的愛着関係など)を経験していたり、あるいは現在もなお親や伴侶などの重要な他他者との関係において深い葛藤を抱えていることも推測されます。特に子どもが行う激しい自己主張(激しい泣き、療育者に甘えを求める行動、妥協のない自己主張など)は療育者に対して激しい負情動を起こしますがこれは実は目の前の子供との関係を超えて実は遠い過去の愛着の外傷的記憶に由来するものであるとも言われています。同時にこのような事態は療育者の辛さを受け止める情動的な手助け、サポートなど療育者に必要とされている支援が周囲から得られていないことを示します。以上のように療育者自身に愛着の外傷的体験や被虐待経験があり、かつ周囲からの十分なサポートが得られていないことに加えて、若年親、シングルマザー(シングルファーザー)、低所得、無職、低学歴、心身に不健康、子ども自身の心身の問題や疾患などのリスク要因が重層的に存在するとさらに虐待の連鎖への確率が高まってきます。このようなハイリスク親子を対象に児童虐待の予防的介入には妊娠期からのアウトリーチ型の支援を含めた様々なサポートが考えられています。行政においても保健婦の訪問をはじめとして支援を行っています。子供の虐待死の報道においては虐待した親に対する避難が強くなっていて虐待の早期発見などの気運が高くなっていますが虐待が起こらないような支援も必要であると認識される必要があります。

山田医院 医師 山田良宏