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山田医院だより

第18巻第11号(第214号)

身近なペットからうつる感染症について

2003年以降はペットブームの到来ならびに少子化の影響もあり子供の総数は犬猫の総数よりも少なくなりその差は年々広がり続けています。

犬猫の飼育頭数についてみると犬は近年漸減傾向であり、逆に猫は漸増傾向であり現在はほぼ同数でほぼ1000万頭となっています。なお、ペットの飼育環境も大きく変わり今では同じベッドで寝起きしたり、同じ食卓で食事をしたりするようになりました。このようにペットは家族の一員として伴侶動物(コンパニオンアニマル)と言われるようになっています。

なお、犬猫の寿命は人間と同様で伸びており現在の犬の寿命は13歳、猫は12歳となっており、死因として感染症は減少しており腫瘍、心不全、腎不全などの非感染症の割合が多くなっています。これはワクチン接種率の上昇、飼育場所が屋内に移行、栄養状態の改善、獣医療の充実によると言われています。なお、近年はペットとの緊密さを増すことからペットからうつる感染症が話題になってきました。

今回はチャイルドヘルス2017年11月号から身近なペットからうつる感染症についての一部を抜粋をしています。

犬からうつる感染症としてはまず噛まれたり舐められることによりうつるパスツレラ症、カプノサイトファーガ感染症がありますが国内の犬に噛まれても狂犬病の危険はありません。

接触による感染としては皮膚糸状菌症、疥癬があり、排泄物からの感染としてはキャンピロバクター、エルシニア、犬鉤虫、犬回虫などがあります。猫からうつる感染症としては噛まれたり引っ掻かれたりすることによる猫ひっかき病(バルトネラ感染症)、パスツレラ症、カプノサイトファーガ感染症などがあります。接触による感染としては皮膚糸状菌症、排泄物からの感染としてはトキソプラズマ、Q熱、猫回虫などがあります。これらの注意点としてはペットの健康管理を行う、ワクチン並びに予防薬をきっちりと使う、衛生的な餌は水を与える。(生肉は絶対に与えない。)躾をしっかりとして噛み癖等をつけないなどが大切でありまた一般には過剰なスキンシップは避ける。(口の周りを舐めさせる、口移しの餌、箸や食器の供用、一緒に寝る、一緒に入浴するなど)、トイレのしつけをキッチリとする、他の動物やベクターが外部から侵入するのを防ぐ、乳幼児だけをペットと一緒にしない。(5-6歳までは必ず大人がそばにつきそう)これらの注意事項に気をつけることが大切です。

頻度が多い疾患としては前述したパスツレラ症があります。このパスツレラ属菌の保有率は犬の口腔内では約75%で猫では約100%と高率です。この菌により噛まれた部位が数時間から数日で腫れて、発赤して、疼痛を伴い膿をもつ膿瘍形成あるいは蜂窩織炎を併発する場合から菌が更に侵入して髄膜炎、敗血症になるケースまであります。特に糖尿病、免疫疾患、悪性腫瘍などの持病がある方や高齢者において感染すると重症化して死亡することもあります。

治療には合剤のペニシリン製剤が必要になります。なお名前が有名な病気としては猫ひっかき病があります。これは猫だけではなく犬においても起こりうる病気ですが引っ掻かれたり、あるいは舐められたりすると感染する可能性があるものでバルトネラ菌が原因の疾患です。引っ掻かれたりして出来た創部に水泡、紅斑、丘疹ができますがこれは1-3週間ほど持続、その後に引っ掻かれた部位の根元のリンパ節が1-5cmほどに腫れて痛みを伴います。薬を使わなくても1-4ヶ月ほどで治りますがこの疾患は不明熱の原因ともなります。

治療しなくても治りますが罹病期間を短くするために通常は抗菌剤を服用します。この病気はネコノミを介して猫同士で感染するのでネコノミの対策が重要です。特に新たに子猫を買い始める時期には注意が必要です。

なお、TORCH(トーチ)症候群といい妊娠中に感染することで胎児に奇形や重い後遺症を起こす感染症の総称がありますが、この中で有名なのがトキソプラズマ症です。女性が妊娠中に初めてトキソプラズマに感染すると赤ちゃんに網脈絡膜炎、脳内石灰化、水頭症、脳炎、精神発達遅滞などの症状を引き起こす先天性トキソプラズマ症を引き起こす可能性があります。トキソプラズマは加熱不十分な肉や猫の糞便の摂食で感染する可能性があります。

妊娠初期に感染すると胎児の感染率は20%未満ですが重症であり、逆に妊娠末期では感染率は80%ですが多くは無症状となります。猫からの感染を防ぐためには猫の糞便の処置は妊婦にはさせないようにして、また猫の糞便はすぐに処分してトイレの砂も毎日新しいものに取り替えて、妊娠中に新しい猫を飼う事は避けることが必要です。なお、ガーデニングや土いじり、砂場遊びをする時には手袋を着用して終われば石鹸でしっかりと手を洗うことが大切です。なお妊娠中にはレアなステーキやローストビーフ、馬刺、鳥刺し、生ハムなど加熱不十分な肉は食べないことです。動物からの感染症以外にも最近ではアレルギーなども問題となっています。動物を飼う前には現在の状況をよく考えて必要に応じては相談をすることが大切です。

山田医院山田良宏

BMIと体脂肪率の比較

皆さん、一度はこの言葉を耳にした事ありますよね?

当院でも測定された事がある方もたくさんいると思います。

BMI(ボディマス指数)とは、1994年にWHOで定められた肥満判定の国際基準で、体重と身長の関係から算出される、人の肥満度を表す体格指数です。数字が高いほど肥満度が高いわけですが、大まかな指標の目安は次の通りです。

・BMI18.5未満:痩せ型

・BMI18.5~25:普通体重

・BMI25以上:肥満

・BMI22:最も健康的で、病気になりにくい

 

・BMI計算方法=体重(Kg)÷身長(m)÷身長(÷)

肥満は、糖尿病・高血圧・脳血管障害・虚血性心疾患などの重要な危険因子です。また、痩せは、栄養不良や慢性進行性疾患などで生じることがあります。どの程度の肥満や痩せがあるかを正確に評価して把握することは、それらの疾患の予防や治療のために役立ちます。

BMIは肥満度に関する指標ですが、必ずしも数値が高い人ほど肥満であるとは言えません。例えば、脂肪が少なくても筋肉が多ければ体重も重くなり、その分BMIの数値も大きくなります。

また、高齢者の人より若い人、男性より女性の方が水分量が多くBMIが高くなりやすいのです。

肥満度の指標として、BMIのほかに有名なものとして体脂肪率があります。

この指標は、名前の通り体重に対する体脂肪の重量の割合です。

・男性15~20%「普通」  25%以上「肥満」

・女性20~25%「普通」30%以上「肥満」

※厚生労働省よりこの体脂肪率は筋肉や水分などを脂肪と区別して計算される指標なので、身長に対して体重が普通より重くても、脂肪ではなく筋肉や水分が多い場合は肥満になりません。つまり、前述したBMIの欠点を補う事ができるのです。しかし、体脂肪率においても、器具やその時の状態、測り方によって誤差がでます。

BMI、体脂肪率ともに、メリット、デメリットがありますが、あくまで、これらは目安です。今後、健診や体重測定の際など目にすることも増えると思いますので、これらを照らし合わせて、自分がどの程度なのか状態を把握し健康管理にお役立てください。

山田医院看護師川上啓

ジム代も医療費控除に?!

健康診断やかかりつけの医師から高血圧と診断されて運動するよう勧められたものの、ジムに通うのは高 いし入会することを躊躇してしまう人も多いかと思います。そんな方に朗報です。ある条件を満たせばジ ムの利用料が医療費控除の対象になる場合があります。あまり知られていないようなので簡単に紹介した いと思います。(医療費控除とは本人または生計を共にしている家族の一年間に払った医療費が一定金額を 越えた場合、確定申告することで納めた税金の一部が還付される制度)

その条件とは以下の通り。

①高血圧、高脂血症、虚血性心疾患、糖尿病などの疾病があり運動療法を行うことが適当であると医師が 判断している上で行われているものであること

②主に週一回以上の頻度で8週間以上の期間にわたって運動療法を行っていること

③運動療法を行うのに適した施設として厚生労働省の指定を受けた施設(指定運動療法施設)で行われるも のであること

スポーツジムならどこでもいいというわけではなく、厚生労働省が指定した施設でなければ控除の対象に ならないので要注意。医療費控除を受けるためには上記の疾病があるのが前提で、尚且つかかりつけの医 師から“運動療法処方箋”を交付してもらわなければなりません。交付してもらったら、それを基に指定 運動療法施設で運動を行い、領収書と実施証明書を発行してもらいます。施設で継続的に運動をした後、 処方箋を発行した病院で実施証明書の内容を確認の上、署名・捺印をもらいます。そして確定申告時に領 収書と実施証明書を提出してようやく控除が受けれます。手続きはやや面倒で、ジムも場所を選びます が、これから治療の一環として運動しようか、と考えておられる方はこの制度を利用できるか試してみる のもいいと思います。少しでもお得に運動できたらいいですね。

山田医院 医療事務 川村 理恵

検診で見逃されやすい「高濃度乳房」

乳がんは日本女性の11人に1人が発生すると言われている身近にあるがんです。

その早期発見のため検診でマンモグラフィー(乳房エックス線撮影検査)を受けたことがある人もいると思いますが、このマンモグラフィーでは乳房の質によっては発見されにくい場合があるので注意が必要です。乳房は乳腺や脂肪などで構成されます。

マンモグラフィーの画像には、乳腺が白く、脂肪が黒く写り、がんも白く写るため、乳腺の多い乳房だとがんを見つけるのが難しくなるのです。雪の中にいる白うさぎを探すようなもの、と例えられます。

乳房は乳腺濃度によってタイプに分かれ、乳腺が多いタイプを「高濃度乳腺」と呼びます。この高濃度乳房の方がマンモグラフィーではがんを発見しにくいタイプなのですが、日本女性は欧米人に比べて脂肪が少ない為、このタイプが多く約8割に当てはまると考えられています。

閉経後には乳腺は脂肪に置き換わっていくので、若い方が高濃度であり、年齢によっても差は出ますが、60~70歳代でも7割が高濃度乳房とのデータもあります。これではがんを見逃してしまうと心配になりますが、そこでお勧めなのが超音波(エコー)検査との併用です。エコーだと4~5mmの小さながんも発見できます。小さな石灰化や早期がんを発見するのはマンモグラフィーが得意ですので、マンモグラフィーとエコー検査を毎年交互に受けることがお勧めです。

40歳以上の人は国のがん検診で2年に1回マンモグラフィーを無料または少額の自己負担で(大阪市は1,500円)受けられます。エコー検査は大阪市では30歳代の方のみ年に1回1,000円で受けられ、他の世代の方は自己負担になり、医療機関によりますが5,000~1万円位が目安です。また、ご自身で乳房をよく観察する、触れて調べるといった自己検診法も有効ですので時々思い出して実施してみましょう。

山田医院看護師盛田里穂

 

ジェネリック医薬品

医師の処方箋が必要な薬には、新薬(先発医薬品)とそれより安いジェネリック医薬品があります。

ジェネリック医薬品は新薬の特許期間終了後、別の会社が同じ有効成分を使って、製造、販売するものです。新薬をつくるには、20年前後の年月と数百億円以上の研究開発費がかかります。

一方ジェネリックの場合、開発期間は3年から5年、費用は1億円程度が一般的。開発にかかる費用や時間が少ない分、薬価を抑えることができるのです。

品質や効き目、安全性は、国が定める基準により、新薬と同等と認められてから発売されます。ジェネリック医薬品の中には、新薬と色や形状が異なるものがあります。これは製造技術の進歩により、味や匂いを改良したり、大きい錠剤を小さくしたりと、より飲みやすい仕様へと工夫されています。

また、新薬と異なる添加剤を使う場合もありますが、安全性が確認されているものを使用し、添加剤が違っても、効き目や安全性に影響はありません。

ただしアレルギーがある方は、新薬、ジェネリックを問わずに、事前に医師や薬剤師に相談しましょう。

政府はジェネリック医薬品の普及割合を80%に引き上げる目標時期を、2020年9月へと早める方針を決定されています。日本の国民医療費は年間約1兆円も増加しており、国民皆保険制度維持のための負担は増える一方です。普及が進めば、自己負担額の軽減のみならず、国全体の医療費抑制につながります。使用は、医師や薬剤師に「ジェネリック医薬品を希望」と伝えるだけです。

山田医院医療事務杉山恭子

子どもの摂食障害について

食べるという最も基本的な行為が障害されるということにおいての要因は単純なものではなく身体、精 神、家族、社会、文化に広くかかわるものです。

摂食障害は青年期発症の疾患ですが近年ではその発症の 低年齢化が進んでいます。摂食障害発症のリスクとしては1つではなくいくつかのリスク要因が複雑に重 なって発症しているということです。児童期の不安障害は発症の危険因子となります。

摂食障害、うつ 病、反社会的行動、物質乱用はお互いがリスク要因となり影響し合っています。さらにメディア、社会環 境、家庭環境も大きく影響しています。

子どもの摂食障害の臨床的特徴としては

①拒食と痩せが主症状と なっています。(青年・成人では過食と嘔吐を主症状とする摂食障害(神経性過食症)が多くなっていま す。)

②腹痛、嘔気などの身体症状を伴いやすく、ダイエットの既往がないことが多い。

③不登校などの不 適応行動、抑うつ症状、神経症症状を伴いやすい。

④背景に何らかの発達障害が存在することが多い。

⑤ 摂食障害の中核的な病理(やせ願望、肥満恐怖など)が明らかではない。

⑥飢餓の影響を受けやすく急激に 重篤な状態に陥ることもある。

このような特徴があります。摂食障害に対する基本的なアプローチとして は心理教育を十分に行い、治療への動機づけをして、良好な治療者-患者関係を築き家族にも治療の参加 を促して家族と協力して治療を進めていくことが大切になります。子どもの場合には腹痛、嘔気、風邪症 状に引き続き食欲が低下して体重が減少して摂食障害に発展していくこともあります。食欲低下が持続し て体重減少等があるときにはかかりつけ医師に相談しましょう。

山田医院 医師 山田良宏