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山田医院だより

第14巻第6号(第161号)

B型肝炎の問題点と課題について

6月8日、9日に日本小児科医会総会が大阪市中央公会堂で行われました。その中のセミナーの1つで済生会横浜市東部病院の藤沢知雄先生のB型肝炎についての講演が大変インパクトの強い内容でしたので報告をします。B型肝炎の感染は垂直感染(母子感染)、水平感染(輸血)の2つがあり水平感染については一過性感染が中心であるが母子感染において子どもはキャリア化を起こして持続感染するので母子感染を予防したらB型肝炎は撲滅するだろうという考えが主流であり1985年から日本においては母子感染のみに限局した母子感染防止対策が始まりました。当時の報道では今後40年で日本においてはB型肝炎は撲滅できるであろうと宣言されていました。当時学生であったわたくしもB型肝炎は将来的にはなくなり今後はC型肝炎のみが問題になると教えられていました。現状は全くの逆で現在古くて新しい病気としてB型肝炎は注目を浴びています。B型肝炎には8つの遺伝子型があり従来日本には少なかった遺伝子型AのB型肝炎が欧米から性感染症として持ち込まれて短期間に日本国内においても拡散しています。この遺伝子型AのB型肝炎は成人においても慢性化が20%程度と高頻度に認められます。慢性化ということはB型肝炎の感染性があるということです。なお、現在においては感染経路としては垂直(母子)感染、水平感染の比率は1:3ともいわれており母親からの感染よりも水平感染の割合が増えてきていることが分かっています。母親以外からの感染としては父親からの感染が多く、また同胞からの感染、その他保育所内等での感染も認められています。父親がB型肝炎キャリアである場合には子どもには約25%の感染があると言われています。以前はB型肝炎は血液を介しての感染であるために通常の生活をしていればうつることはないと考えられていましたが種々の実験で感染力が極めて強く血液以外からの感染も証明されるようになりました。例えば血液を1億倍に薄めても感染したり(これは5mlの血液を25mプールで薄める具合)、佐賀県での保育園での大量感染の報告などから唾液、涙、汗からの感染も考慮されています。なお、B型肝炎に罹患しても症状がある人は2-3割程度で残りの人は症状もなく抗体ができていわゆる治癒することからいつ罹患したのか自覚症状もなく他人にうつす危険性が高いことも問題となっています。このことからWHOは全出生児を対象に予防接種を行う方法を推奨しています。日本のように一部の子どもにワクチンを接種する方法を採用している国(例えば英国、スウェーデン、ノルウェーなど)においては父親あるいは祖父母等の同居人がB型肝炎である場合、保育園園児などに対しては公費での予防接種の対象となっています。水平感染予防のためには同居人がB型肝炎、保育園児等に対してはできるだけ日本も早急にワクチン接種が公費でできるようにする必要があります。なお、最近大きな問題となっている事として過去にB型肝炎に罹患して治癒したと考えられていた人が免疫抑制剤の使用あるいは癌等に罹患した際にB型肝炎の再活性化が大きな問題となっています。すなわちB型肝炎に一度罹患すると治癒したと思われても実は肝臓の中にB型肝炎ウイルスが潜んでいて免疫力が低下した際に再度発症することが分かりました。これらすべてのB型肝炎の問題についてはワクチン接種が解決します。日本においては現在2種類のワクチンがあります。両者とも効果については実証されており基本的に小児に3回接種をすれば20年近くは抗体価を維持できると言われています。B型肝炎は感染力の強さから罹患する危険性は極めて高く、①現在多くなってきた性行為感染症としての主として欧米からの慢性化しやすい遺伝子型AのB型肝炎に対して、②母子感染だけではなく父親からあるいは祖父母、集団生活からの感染予防のために、③治癒すると考えられていたが一度感染すると治らないことが分かったこと、つまり免疫力低下時にの再発をすることの予防のために。この3点から日本においても全世界と同様に出生すべての子どもにB型ワクチンが接種できるようにしたいものです。なお、当院においては生後2か月からB型肝炎ワクチンを積極的に施行しております。現時点では公費での接種ができないために1回の接種料金は3500円となっています。B型肝炎ワクチン等についてまた質問等がありましたらいつでも医師に相談ください。

山田医院 山田良宏

医療産業の活性化に向けて

アベノミクスという言葉がすっかり世間で浸透していますね。最近、ある民間調査会社が「アベノミクスで景気は押し上げられていると感じるかどうか」国内の企業にアンケートしたところ、約4割超の企業が「感じる」と回答したそうです。私個人は全く感じませんが実際のところどうなんでしょうか??さて、首相が表明している経済政策のうち、成長戦略の分野において「医療産業の活性化」の実現に向けた政策がいくつかあるので簡単に紹介したいと思います。例として、医療機器の開発に向けた規制緩和や新薬の開発、再生医療への支援・・などが挙げられます。ちなみに、新薬には「抗体医薬品」と呼ばれるものがあります。がん細胞などの特定の細胞だけをねらい撃ちする抗体を利用した次世代の薬で、副作用が少ないのが特徴だそうです。(中外製薬より)これらの開発には莫大な費用がかかりますが、より良い未来のためにも研究を進めてほしいですね。先に挙げた政策はまだまだ私たちから遠い話ですが、身近なところでいえば、一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売の原則解禁を先日首相が発表したそうです。消費者の安全性を確保しつつ、しっかりしたルールの下にすべての一般用医薬品の販売を解禁する・・とのことですが批判が続出(汗)早くも雲行きが怪しいですね・・ともあれアベノミクスが私たちにどんな結果をもたらしてくれるのか、しばし静観したいと思います。

山田医院 医療事務 川村理恵

熱中症に注意

先週の金曜日(6月14日)に環状線に乗っていたら、隣にいた高校生くらいの二人の女性の会話が耳に入りました。「きのう新今宮駅のホームからおじいさんが転落したんだけど、自殺じゃなくて熱中症でふらついて落ちたんだって。電車が来なかったから無事だったけど、熱中症は怖いね。」と話していました。ニュースで報道されたかは知りませんが、本当に熱中症はこわいですね。熱中症とは体の外から入ってくる「熱」や、体の中で発生する熱の影響により引き起こされるいろいろな体の不調のことを言います。症状はめまい、失神、頭痛、吐き気、気分が悪くなる、体温が高くなる、異常なあせなどです。特に子供は熱中症にかかりやすく体温調節機能も発達していません。体の大きさに比べて、体表面積が大きく、環境の影響を受けやすく熱中症にかかりやすいためです。高齢者では室内にいても、熱中症にかかる人が多くみられます。体温調節機能は若い頃よりも落ち、汗をかきにくくなっており体温をうまく下げられません、若い人よりも体内水分量が少ないのに、口渇感低下という状態を自覚できず、水分をとるのが遅れていつの間にか脱水状態になってしまいます。その結果、熱中症にかかってしまいます。

こどもの熱中症を予防するため

①こどもの様子をよく観察する。(汗、おしっこの量など)

②水分、食事が摂れているか。

③日頃から暑さに慣れさせる。(適度に汗をかく環境作り)

④服装選び(メッシュ素材、吸湿性、通気性、帽子など)に気をつけましょう。

 

高齢者では

①定時の水分補給を習慣にする。喉の渇きを感じる前にこまめに水分を補給する。起床時、朝食時、10時、昼食時、15時、夕食時、特に入浴前後、寝る前、外出前には必ず大きなコップ1~2杯の水分を補給する。

②室温湿度を知る。温度計を見る習慣をつける。エアコン、扇風機、除湿機を用いる。その際風を人に向けない。

③ゆったりとした服装。(吸湿性、通気性の良いもの)

④周囲のサポートで早く異常に気づく。子供、高齢者のほか、下痢や発熱のある人、持病のある人(腎臓疾患のある人)も熱中症の注意は必要です。医師や専門家に相談することも必要でしょう。

 

応急処置は

①涼しい環境で休ませる。

②衣服をゆるめ、ぬれタオルなどで体を冷やす、太い血管のある首すじや脇の下、脚の付け根などを冷やす。

③冷たい水や塩分を補給する。応急処置でも改善がないときは速やかに医療機関を受診しましょう。今年はいつまでも、肌寒い気温の日々が続きましたね。そして梅雨入り宣言のあとは、雨が降らず急に先週の半ばはまるで真夏の暑さでした。真夏かと思ったら土曜日は激しい雨と涼しい日でした。体調を崩された方もおられるのではと心配になりました。熱中症をよく知ってこれからの暑い季節を上手に乗り切りましょう。

山田医院 助産師 清水ユタカ

老眼

最近、高校時代の同級生が、老眼鏡をかけだしたり、遠近両用のコンタクトレンズを、使いだしたので、調べてみました。近場のものが見えにくいという症状が現れる老眼の現象は、誰でも起こりうる老化現象の一種です。老 化 を 予 防 し、老 眼 を 防 ぐ た め に は、活 性 酸 素 を 排 除 す る こ と が 大 切 な よ う で す。そ の た め に は、必 要 な 栄 養 素 で あ る ビ タ ミ ン 類 を 摂 り 入 れ る 事 は 効 果 的 な よ う で す。過 剰 に 作 り 出 さ れ る と 老 化 現 象 を 起 こ す 活 性 酸 素 を 消 去 す る ビ タ ミ ン が あ り ま す。その一つには、ビタミンEがあります。ビタミンEは、血液が順調に流れるような働きをします。不純物を排除して、代謝を促したり栄養を運ぶ役割を担っています。脂には解けやすく、細胞膜の中に入り込む性質もあり、酸化防止に役立つと言われています。また、美化効果もあり、老化を防ぐと知られているビタミンCには水溶性の性質があり、細胞のなかで、活性酸素を排除する働きを持ちます。また、紫外線防止の様々な場面で活躍するビタミンCは、紫外線の影響を受け易い目にとっても重要な役割を果たします。水晶体の機能の衰えは老眼の症状を誘発します。しかし、ビタミンCなら、水晶体の機能をを脅かすことを防いでくれるので、目の為にも是非摂り入れていきたい栄養素です。

山田医院 事務 中西美鶴

ストレッチについて

こ ん に ち は!一 気 に 暑 く な り、ま だ ま だ 夏 は こ れ か ら な の に ど う な る の か 心 配 で す ね。そして、わたしにとっては二回目の山田医院だよりです。前回は自己紹介である程度書きやすく、今回は何を書こうか悩みましたがストレッチについて書きます。筋肉は普段から伸ばしておかないとカチカチに凝ってしまい、肩こりや腰痛などの原因になります。ストレッチで関節の動く範囲を広げることは健康的な生活を送る上で大切で、血行が促進され冷え性やむくみの改善、肩こりや腰痛などの軽減にも効果があるみたいです。

ストレッチをする時のポイント

①体を暖めてから

②反動をつけずゆっくりと

③数回に分けて段階的に伸ばす

④息をはきながら

⑤痛みを我慢してまで伸ばさない

⑥伸ばしている所を意識して

⑦短時間でも毎日行う中でも一番のポイントは

⑦短時間でも毎日行うことです!!

お風呂上がりや仕事の休憩時間など自分に合わせて5分程度の短時間でもいいので毎日の継続が大切です!私も学生の時は運動していたのでストレッチもしていましたが、運動する機会も減りストレッチもしなくなると体はみるみるうちにかたくなってしまい、、だから今はお風呂上がりに毎日5分程度ですがストレッチをしています。ストレッチして体を伸ばすと楽になりますよね~今ではストレッチダイエットや腰痛改善ストレッチ、高齢者向きストレッチなど色々な人にあわせたストレッチが本やネットで紹介されています。ぜひ皆さんも自分にあったストレッチをしてみてはいかがですか?その時も一番大切なことは毎日続けることですよー!!少しの時間でもいいのでぜひやってみください!!

山田医院 医療事務 平賀怜奈

風疹ワクチンの助成について

風疹感染者の激増により大阪府から5月13日に風疹流行緊急事態宣言ならびに風疹予防接種の助成制度が設立されています。5月13日にさかのぼり風疹の予防接種の助成制度が実施されました。

対象者は19歳以上の大阪市民で
①妊娠を希望する女性
②妊娠している女性の配偶者
となりました。

5月13日から9月30日までの接種が対象となります。

大阪市のホームページ内の中の予防接種のページ(http://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000219702.html)を参照してください。

 

子供の病気についてのコーナー

スリングについて
ベビースリングは1980年代にアメリカの小児科医ガーナー夫妻が発明した様で日本には2003年ころから本格的に流行し始めました。スリングは大きく分けてリングのあるものとないものの2種類があります。スリングは抱っこし続けられるという点でベビーウェアリング(赤ちゃんを抱っこやおんぶし続けるための道具)を可能にする商品として位置づけられています。日本の伝統的なおんぶひももこのベビーウェアリングの1つになります。親子ともに負担が少ないから長時間の抱っこやおんぶに向いている道具です。スリングは抱っこひものカテゴリーではないためにSGマークの取得はできないために日本ベビースリング協会加盟業者は安全性について客観的なデータを得るようにしています。kのスリングで正しく抱っこできているかの確認ポイントは3つあります。①使用者が両手を離しても
赤ちゃんが落ちるような不安定さを感じないこと、②歩行のたびに赤ちゃんが左右または上下に揺れないこと、③抱っこした時に赤ちゃんの様子が見えておでこや頭にキスができるくらいの高い位置にあること です。なお、2006年に日本小児整形外科学会からのアドバイスで3か月未満の赤ちゃんに横抱きの状態で使用すると股関節脱臼を惹き起こす恐れがあるということで 使用時期は生後1か月以降として少なくとも首が座る時期である生後3-4か月まで、できれば歩き出す前までは両足をそろえずに股を開いた状態を保ち、下肢の自由な運動を妨げないようにする必要があります。横抱きは極力避けてたて抱き(コアラ抱っこ)を心がけるように勧めています。先天性股関節脱臼は女児で同一家系に発生が多いことから先天的な(遺伝的)な要因も考えられますが、骨盤位分娩や冬生まれの児に多くかつては巻おむつや三角おむつが多用されていた時代に多発していたことから後天的な要因も強く関与していると考えられており病名も先天性股関節脱臼から発育性股関節形成不全と変更されてきました。以前は1%前後と多かったものが最近では0.1%まで減少しています。このスリングを使用するときにはこのようなことも注意して使用しましょう。(チャイルドヘルスH25.6、ベビースリング愛好会より)

山田医院 医師 山田良宏