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山田医院だより

第14巻第7号(第162号)

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)について

いわゆる飽食の時代になり肥満の方が増加しており、高血圧、糖尿病、脂質異常症にくわえて脂肪肝を指摘される方が多くなっています。地域によって頻度は異なりますが国民の3-4割が脂肪肝になっていると言われています。肝臓への脂肪の沈着は肝臓に一様に沈着するのではなくまだらに沈着することも多く一般には右側に多く、遍在することも多くなっています。顕微鏡を使用する病理検査においても、単に脂肪のみが溜まっている場合、脂肪がたまっているところに炎症がある場合、特殊な肝細胞障害を認める場合、線維化と言って固くなっている場合の4パターンがあります。一般に脂肪肝の原因は肥満やアルコールですが特にアルコールを飲まない人に脂肪肝を認める場合は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)といいます。アルコール量としては1日当たりのアルコール摂取量が20-30g以下(日本酒なら1合/日以下、ビールなら大びん1本/日以下)となっています。なお、このNAFLDは単純性脂肪肝と肝硬変に移行しやすい非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に分けることができます。(NAFLD=単純性脂肪肝+NASH)先ほどの病理検査のパターンではNASHは後者2つとなっています。NASHは肝硬変になりやすく将来的には肝臓癌の発生につながるために注意が必要で、NAFLDの重症型と考えられます。NASHの診断には肝生検が必要となります。この検査は肝臓に太い針を刺す検査でありかなり侵襲的な検査であることから気軽にできる検査ではありません。一般的には超音波検査でのフォローアップあるいは血液検査で肝硬変を示唆する値(血小板15万以下、線維化マーカーの上昇など)で予測する方法がとられます。一般にメタボリックシンドロームは動脈硬化や心臓/脳血管性病変の危険因子として把握されていますが肝臓について見てみるとメタボリックシンドロームはNAFLDの発症ならびに進展に重要な役割をはたいしています。そのために現時点においてはNAFLDの中心的な治療は生活習慣病改善のための食事ならびに運動療法となります。一昔前までは脂肪肝は肝臓に脂肪が沈着しているだけで特に大きな問題はないと考えられていたため特に加療等せずに経過観察も多かったのですが一部にNASHから肝硬変、肝細胞癌になる症例もあり積極的に対応をすることが多くなりました。

なお、NASH/NAFLDの危険因子は

①肥満

②糖尿病特にインスリン抵抗性。血糖を下げるインスリンは膵臓から分泌されているものの肥満等により十分に作用しない状態。

③肝臓の線維化であり特に肝臓癌を発症しやすい高危険群としては60歳以上の高齢であり、肝線維化が進行(血小板が15万以下)、肥満、糖尿病などの複数の生活習慣病が合併していて少しでもアルコールを飲む場合には特に危険な状態です。

健診等で脂肪肝を指摘されておりしかもメタボリック症候群の指摘をされた方、あるいは糖尿病、脂質異常症などの病気がある方は注意が必要になります。運動ならびに食事による減量が大切で合併症があればその治療を行うことです。その他鉄毒性を考慮して体から鉄を除去する瀉血治療も補助的に行われます。脂肪肝は一般に自覚症状がないので健診でないと分かりません。もし健診等で脂肪肝、メタボリック症候群を指摘された方は一度担当医にNAFLD/NASHについて相談をしてみるといいでしょう。

山田医院 医師 山田良宏

冷房病について

7月に入り、暑さも本格的になってきましたが、オフィス内や自宅の冷房もそれにつれて効かせ過ぎていませんか?冷房の効かせ過ぎによる弊害、冷房病についてお話したいと思います。

●冷房病とは
人にはもともと体温を一定に保つことができる適応能力があります。この体温調節を行っている能力が、自律神経です。自律神経は5℃以上の急激な気温変化に対処することができません。そのためそれが繰り返されると、体温を下げる交感神経と体温を上げる副交感神経のバランスに異常をきたし、自律神経失調症を起こしやすくなります。これらの症状を「冷房病」といいます。

●予防
実際に、高温多湿の日本ではエアコンを欠かすことはできないです。なので、正しい使い方で上手に利用しましょう。

・冷房の設定温度は外気温マイナス3~4℃にします。
・どんなに低くても設定温度は27~28℃以上にします。
・冷気が直接体に当たらないようにします。
・エアコンをつけっぱなしにせずに、定期的に窓を開けて外気をとりいれましょう。
・冷房だけでなく、除湿機能も利用しましょう。

他にも、冷房の効いた部屋を入るときは、一枚羽織れる服やひざかけを 持ち歩いたり、暑いからと言って冷たいものばかり摂りすぎないように、自分に合った予防方法を見つけることが大切です。

山田医院 医療事務 杉山恭子

7月に届く書類について

今年の4月に発売されて20万部のベストセラーとなっている林真理子さん著の【野心のすすめ】という本。今の低め安定時代の中、健全な野心も生きていく上で必要なのだと思わせる本です。「人は自覚的に‘上’を目指していないと、‘たまたま’とか‘のんびり’では、より充実感のある人生を生きていく事はできないのです。」「高望みで人生は変わります。」「自転車の前輪は野心、後輪は努力。自分でちゃんと努力をして、野心と努力がうまく回ってくると、運という大きな輪がガラガラと動き始めるのです。」最後の〆の言葉は、作者の読者へのエールだと思いました。「平地で遊んでいる人間には一生見えない美しい景色、野心を持って努力した人間だけが知る幸福がそこにはあります。もちろん辛い試練だって待っているかもしれないけれど、野心という山を登ろうとする心の持ちようで、人生は必ず大きく変わってくる。チャレンジしたからこそ初めて手に入れることのできる、でっかい幸福が待っている!人の人生は短いのです。挑戦し続ける人生の第一歩を踏み出して下さる方が、一人でも増え続ける事を祈ります。さあ、山に登ろう!」人それぞれの生き方があると思いますが、私も山に登ってみたいです。そして、生き方が顔に出て来る年代になりつつ今、美人顔では決してない私ですが、山田医院に来院される皆さんのように・・・

いつか笑顔の素敵なおばあちゃんに・・・なりたいです。元気をいつもありがとうございます☆

さて、本題です。もう7月の下旬なので、自宅に届いておられる方も多いかと思います。70歳以上の方には前期高齢者の白色の保険証、75歳以上の方には後期高齢者の桃色の保険証。原則として、今年の8月1日から来年の7月31日迄使用できますから、捨てないで下さいネ。もし届いてなかったり、失くされてしまわれた方は、最寄りの区役所で再発行して貰えますから問い合わせてみて下さい。古い保険証は8月1日からは使えませんから破棄するか最寄りの区役所保険年金課に返却して下さい。

問い合わせ先:阿倍野区役所保険年金課06-6622-9956

もう1種類届くのが、65歳以上で、重度障害や特定疾患の治療を受けている方などに交付されている「老人医療(一部負担金相当額等一部助成)医療証」。8月には切り替わりますから、対象者には7月中に届きます。所得制限などの基準により対象でなくなる方にも7月中旬には通知されます。又、保健福祉課から届く「介護保険料決定通知書」「介護保険料変更決定通知書」は、65歳以上の方(介護保険の第1号被保険者)の対象者に届きます。口座振替や納付書等により保険料を納めて頂く方・・普通徴収の方・・平成23年度の市町村民税等を用いて保険料を仮計算し今年の4月下旬に「介護保険料決定通知書」が送付されています。平成24年度の市町村民税を用いて計算し、保険料額などに変更がある方には、7月中旬に「介護保険料変更決定通知書」が届きます。尚、変更がない方には届きません。年金から保険料を納めて頂く方・・特別徴収の方・・平成24年度の市町村民税を用いて計算し、7月中旬に「介護保険料決定通知書」が届きます。但し、4月及び6月に特別徴収が開始となる方、上期と下期の保険料が変更になる方は4月中旬に「介護保険料決定通知書」が届いています。問い合わせ先:阿倍野区役所介護保険課06-6622-9859 もし今年度も高齢者インフルエンザワクチン接種公費助成があるとすると、この「介護保険料決定通知書」の右下の所に「世帯非課税・本人非課税」とあれば、1000円のワクチン代が無料となります。先の長い今年度もあるか判らない話で申し訳ないのですが、対象者はこの「介護保険決定通知書」を判る場所に取って置いて下さいネ。ワクチン接種が始まるとしたら10月です。話が変わりますが、平成25年4月2日生まれ以後の赤ちゃんには予防接種の10桁の番号が交付されます。予防接種の際、10桁の番号が必要になりますので、予防接種手帳の右上に記入願います。出産後色々と大変な時期にお手数お掛けします。

山田医院 医療事務員 堂東眞弓

夏の皮膚トラブルと栄養

夏は汗をかくので、一見皮膚はしっとりしているように見えますが、実は紫外線による乾燥で、肌の水分や弾力がなくなり、傷つきやすくなっています。肌が傷つくと、そこはダニやハウスダストといったアレルゲンが侵入する入口になります。
高温多湿の気候で免疫力が落ちていることも、夏に皮膚トラブルが多い理由の一つです。皮膚の細胞は、約4週間で入れかわります。これを活発にするには全身の新陳代謝をうながし、皮膚の細胞に十分な栄養を与えることが大切です。そこで大切になってくるのがたんぱく質とビタミンです。たんぱく質は、皮膚・筋肉・内臓・髪など、体を構成するすべてのものをつくっています。また、からだのはたらきを調節する大事な役割の多くをひきうけています。エネルギーをつくるために必要な酵素となったり、脳を活性化させたり、免疫抗体として抵抗力をつけたりしています。たんぱく質が不足すると、新陳代謝がおとろえ、体の調節機能がうまくはたらかなくなります。肉や魚、大豆などいろいろな種類のものをたべるようにしましょう。
ビタミンAは人間の皮膚や髪、爪、粘膜の表面を覆う上皮細胞の材料です。不足すると皮膚のつくりかえがうまくいかず皮膚がかたくなるため肌あれやしわの原因になります。また、細菌やウイルスが入りやすくなるため免疫力が低下します。豚・鶏のレバー、うなぎのかば焼き、卵、チーズ、にんじん、カボチャ、などバランスよく摂りましょう。ビタミンCは体の細胞を傷つける活性酸素のはたらきを弱めます。体内でつくることができないうえ、夏は汗とともに体外へ排出されるため、多くの補給が必要です。トマトやほうれん草、ブロッコリー、柑橘類など、果物や野菜に多く含まれています。暑くて食欲がない、料理をするのも嫌…。そんな時こそ少しでも多く、いろいろな食べ物を体に摂りいれたいものです。

山田医院 看護師 八川陽子

夏到来!食中毒に気をつけましょう

うだるような暑さが続いていますが、皆さん体調管理は如何されているでしょうか? 体温よりも高い気温の中では日陰に居てもいやーな汗がじっとりと出てきてしまいますよね。くれぐれも熱中症にはご注意ください。さて、今回はそんな夏にピークを迎える食中毒について調べてみました。食中毒は1年中発生していますが、夏場は高温多湿によって細菌の増殖に適した条件が揃い、細菌性の食中毒が一番多くなります。厚生労働省のウェブサイトを見てみると、2012(平成24)年の日本国内での食中毒の患者数は2万6699人となっており、死者数は11人とあります。現在の食中毒は、少量の菌量を摂取しただけで食中毒を起こす菌が主流になっているそうです。そもそも食中毒とは、有毒な微生物や化学物質などの病因物質を含む飲食物を食べた結果起こる健康障害のことで、多くは、嘔吐・腹痛・下痢などを主病状とする急性の胃腸障害です。食中毒の原因物質は、微生物(細菌、ウイルス、原虫など)、化学物質、自然毒(植物性、動物性)や寄生虫に大別されます。夏場に多い細菌による食中毒は、感染型と毒素型があります。また、アレルギー様食中毒(ヒスタミン食中毒)も細菌が主原因です。感染型は、食中毒が濃厚汚染した食品を食べ、さらに腸管内でそれらの細菌が増殖して起こる食中毒で、サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌などがあります。毒素型は食中毒菌が食品中で増殖に伴って産生した毒素を食品と共に摂取して起こる食中毒で、ボツリヌス菌、セレウス菌、黄色ブドウ球菌などがあります。魚介類によるアレルギー性食中毒(ヒスタミン食中毒)は、ヒスタミン産生菌がマグロ、サバ、サンマなどの赤身で増殖蓄積し、それを食べることで起こる食中毒です(蕁麻疹など、症状がアレルギー性疾患によく似ているのでこの名がつけられているらしい…)。一度生成・蓄積されたヒスタミンは加熱によっても分解されません。

食中毒を予防するには、「①つけない、②ふやさない、③やっつける」という3原則があります。
①つけない:手洗いは調理の前後だけでなく、生肉や魚介を触った後など、作業が変わるごとに実施するように気を付けるとともに、調理器具の洗浄・消毒を徹底し、衛生的な保管によって菌の付着を防げます。

②ふやさない:調理済み食品は、10℃以下または65℃以上を保持することで菌の増殖が防げます(ただし、低温管理をしても、菌が死滅するわけではないので、4℃以下でも増える食中毒菌もあります)。

③やっつける:ほとんどの食中毒菌は加熱によって死滅させることができます。細菌食品の中心温度が75℃で1分間以上の加熱、ノロウイルスであれば85℃以上で1分間以上の加熱により死滅します。ただし、セレウス菌や酵素のない環境で増殖(嫌気性)す
るボツリヌス菌などは熱に強い芽胞をつくるため、加熱に抵抗性があり、消毒液も効きません。こうした芽胞菌は、加熱後の速やかな冷却と食事前の再加熱がポイントです。食品中で食中毒菌が増殖して食中毒になるような菌量に達していても、味や外観に変化が見られないところが怖いですよね。上記のような予防法を習慣化することで、食中毒に負けない夏にしましょう。

山田医院 医療事務 中町麻里

子供の病気についてのコーナー

チック症について
まばたき、顔をくしゃとさせる、口をゆがめるなどの突発的な急速で反復させる運動或いは発声が医学的にチックといわれています。日常動作がもとになっているチックが多いのですが、体の一部が動く運動性チック、音や声を発する音声チックなどもあります。子どもにチック症状が出ることは珍しいことではなく子どもの10-25%がチックの経験をしています。この動きは意図的にしている動きではありませんがしばらくの間は我慢して止めることができますが、せずにはいられない感覚がありまたチックが出るとすっきりする感覚
もあります。このチック症状は緊張、興奮、疲労などによってつよくなります。チックの原因は以前は親のかかわり方の問題があると言われていましたが現在はこの考え方は否定されており脳内伝達物質のアンバランスによっておこることが分かりました。ドーパミンという物質の過剰状態が関与すると言われておりこれは生まれつきの脳の体質と考えられており遺伝する傾向があります。なお、脳の発達に関係して成人になると80-90%は目立たなくなります。多くの場合は数週間から数か月程度で治まる一過性チックです。特に幼児期のまばたきなどについては大部分がその後消失します。ただし、一部にチックがよくなったり悪くなったりの反復を繰り返し音声チックを含む多彩なチックが長時間続く重症タイプのチックであるトゥレット障害があります。なお強迫性障害(何度も手洗いを行う、消灯などの確認などを繰り返す)や発達障害であるADHDなどの病状にチックが重なることもありチックが長期にわたる場合もあります。チック症状については指摘或いは叱ることは本人のストレスになることから「温かい無視」が必要です。本人にもチックは脳の体質からくるものであり自分が悪いのではないこと、大人になるとよくなることを説明します。なお、本人が困る、症状が数か月以上反復する、複数のチックや音声チックが出現する、学校生活に支障がある、こだわりや多動がある場合には専門医への受診が必要になります。チック症状に対してのカウンセリングはチックを改善するのではなくチックに伴う悩みや不安を軽くする目的で行います。行動療法としてはハビットリバーサルがあります。なお、チックで悩みがある場合にはまた診察時に相談ください。

山田医院 医師 山田良宏