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山田医院だより

第14巻第8号(第163号)

糖尿病治療の最近の話題について

熊本宣言2013が日本糖尿病学会から今年の5月に発表され新聞等で見かけた方も多いと思います。血糖コントロールの指標が今までは「不可、可(不十分、不良)、良、優」という5段階だったのを下記のように3段階に集約したうえで糖尿病合併症予防の観点
から「HbA1c 7%未満」を基本的な目標値としました。

この改定はHbA1cの国際標準化が1つの理由でこれまではJDS値で表記されていたHbA1cは2014年からJDS+0.4 で表示されるNGSP値への完全移行になっています。この以降にて以前の「良」は6.9ときりのいい値ではなくなってしまいました。なお、HbA1c 7.0%は多くの大規模臨床試験から細小血管症予防のボーダーラインでもある値から目標がHbA1c7.0%未満となりました。なお、近年では「不可」といった否定的な表現は患者中心の医療という観点からはそぐわないこと、またより低い目標を「優」とすることで低血糖のリスクを伴うことから新しい評価分類が検討されました。基本的には糖尿病合併症抑制のために推奨される治療目標として「HbA1c 7.0%未満」を第1段階として副作用なく到達可能な場合の理想的な治療目標値として「HbA1c 6.0%未満」としました。なお、高齢者などであまり厳格でない基準として「HbA1c 8.0%未満」も加わったと理解すればよいと思います。数年前にセンセーショナルにデビューした糖尿病の新薬であるDPP4阻害剤は7剤となりまたGLP1受容体作動薬は4種類の薬剤が出現しており最近では週に1回投与の注射薬もできました。なお、来年早々にもナトリウム・グルコース共輸送体2阻害剤が発売予定でまたGPR40作動薬が現在日米同時に開発が進んでいるようです。糖尿病治療については今後さらに個別化が進む可能性が高いと思います。糖尿病合併症として最近位置づけられてきた疾患としては癌、認知症、歯周病、骨粗鬆症があります。癌については糖尿病であればリスクとしては1.19倍といわれており特に大腸癌、肝臓癌、膵臓癌のリスクが高くなっています。健診等でチェックをする必要があります。認知症については認知機能についてはリスクは高くないようですがいわゆる周辺症状については糖尿病でリスクが高くなっており昼寝、過食などの症状が特に高くなっています。歯周病については血糖コントロールが不良な場合には歯周病は悪化しやすくまた歯周病があると血糖コントロールが悪くなることが分かっています。骨粗鬆症については糖尿病においては骨密度は維持できているものの椎体骨折が優位に多くなっており骨質の変化が原因であると言われています。糖尿病の治療に際しては食餌療法ならびに運動療法が基本となりそれに薬物治療が加わることになります。血糖高値は一概に症状はありませんが動脈硬化の進行から心筋梗塞、脳梗塞あるいは網膜症、腎症のみならず今回示した癌、歯周症、認知症、骨粗鬆症など多くの疾患と関連していることが分かりました。健診で異常を指摘された場合にはかかりつけ医師に相談しましょう。

 

山田医院 医師 山田良宏

ラジオ体操について

暑い日々が続いていますが、、みなさん夏バテなど大丈夫ですか??
夏といえばラジオ体操ですね!!朝蝉の鳴き声を聞くとなぜだか小学生の頃のラジオ体操を思い出してしまいます。みなさんに馴染みのあるラジオ体操は身偏りなくどの部分の筋肉にもアプローチすることができる素晴らしい体操なんです。
消費カロリーは普通のスピードで行うサイクリングや平均的な歩行よりも高く、速いペースのウォーキングとほぼ同じみたいですよ!!
ただしこれはダラダラとするのではなく、かかとを上げるやどこの筋肉を使っている、伸ばしているかなどポイントを押さえきちんとしたやり方でやった場合のことで、わたしも専門学生時代に体操の先生からきちんとしたラジオ体操を教わりましたが、体全身を使って行うので今まで自分がやっていたラジオ体操とは運動量が全く違い、これが本当のラジオ体操なんだと驚いたことを覚えています。ねじる動作は内臓を刺激し、排泄を促したり、体を後ろにそらすと間脳を刺激し、記憶力が活発化し痔にも効果ありなどなど様々な効果があるそうです。改めてラジオ体操のひとつひとつの動作をみてみると、たしかに体に良さそうな動きばかりですよね!!大人になった今こそラジオ体操をはじめてみましょう。

山田医院 医療事務 平賀怜奈

温泉天国

お盆の間、大阪市生まれ、育ちの私は大阪を出る事もありませんでした。大好きな上方温泉“一休”で、極楽!極楽!と、癒されてきました。日本は温泉天国。暑い夏の汗を温泉のお湯で流すのも格別です。 ヨーロッパなどでは、温泉がすでに医療的な目的として活用されています。一方日本では、古くから自然のなかにある温泉地で健康を回復・増進させる「湯治」という習慣がありました。これは、温泉、豊かな自然そしてゆっくりと流れる時間に身をゆだね、体が本来持っている自然治癒力を引き出そうとする療法です。
火山列島である日本はこの温泉の宝庫。日本は世界でも有数の自然の恵み、天然回復剤である温泉の産地なのです。日本には温泉法という法律で定められた法律があります。これによると、規定量以上の化学成分を含むものと、成分が規定に満たなくとも湧出口の泉温が25℃以上のものが温泉と呼ばれます。温泉は、大別すると「火山性の温泉」と「非火山性の温泉(深層地下水型、化石海水型、その他の温泉)」に分類することができ、色、温度、臭気、成分等、様々な特徴を持っています。温泉は、温泉水に含まれている成分と含有量等よってグループに分けられます。そして、様々な作用、効果があります。温泉に含まれている化学成分が入浴や飲泉によって体内に吸収されることで、身体に様々な薬理的効果を生み、総合的に健康のために良い結果をもたらします。温熱作用として、新陳代謝の促進や自立神経を整え、水圧作用は、圧力により運動効果やマッサージ効果が期待できます。浮力作用は、体への負担が少なくなることで、リラックスでき、リハビリなどにも効果があります。温泉の効能は湯に浸かるだけでなく、空や海を眺めたり、水のせせらぎに耳をかたむけたり、日頃の生活環境から離れることによって、ストレス解消と精神疲労に効果を発揮し、良好な気候情報が健康の回復に役立ちます。温泉療法をおこなってよい病気や症状とおこなってはいけない病気や症状があります。温泉を病気治療のため利用する場合は、独自の判断は避けてくださいね。(日本秘湯の会参考) また、水分、ちゃんと取って暑い夏のりきりましょうね。

山田医院 事務 中西美鶴

よく噛んで健康になりましょう

猛暑が続くこの季節は食欲が落ちます。喉ごしの良いもの、流し込む食事になりがちです。時には歯ごたえのある食事についても考えてみましょう。近年は、柔らかく食べやすい食品が増えています。さらに、時間に追われている毎日食事にかける時間も短くなっています。食生活の変化が噛むことをおろそかになっているように思われます。肥満や生活習慣病が増えている一因に噛む回数の減少や早食いがあるとも言われています。よく噛むためには歯を丈夫でなくてはなりません、歯の健康を守るためには虫歯や、歯肉炎などで歯がぐらぐらしていないか歯の健康状態をチェックしましょう。

(1)よく噛むことでの健康への効果は唾液が多く出ることで、食物の消化をよくし、虫歯や歯周病の予防効果があります。また、顔の筋肉を鍛えることで老け顔防止もあると言われています。脳を刺激して認知症や記憶障害を予防し集中力を高めます。満腹中枢を刺激して食べ過ぎを予防します。また、代謝を活発にして消費カロリーを増加させて、肥満予防にもつながります。時間をかけて食べることで血糖値の上昇を緩やかにします。
(2)上手な噛み方について一口30回噛むのが目標として厚生労働省でも一口30回噛む「噛ミング30」という取り組みをしています。たべたものの形がなくなるまで噛む、噛んだ回数が分からなくなった場合は、形に意識を変える。噛んでいる途中で飲み物などで流し込まない。一度に沢山の量を口に入れないことです。沢山入れると噛みにくい上に、すぐに喉へと食べ物を送ってしまいます。以上の他に食材の調理方法を工夫することで、噛み応えのあるものを食べて自然によく噛むようになります。普段、何気なく行っている「噛む」と言う行為について一度数えてみませんか?ほんの数回しか噛まずに飲み込んでいないでしょうか?

山田医院 看護師 畑中幸子

ロコモティブシンドロームとは

日本は世界でも有数の長寿大国。厚労省の発表によると、日本人の平均寿命は男性79.59歳、女性86.35歳だそうです。(ちなみに2013年都道府県別平均寿命ランキングの第1位は男女とも長野県で男性80.88歳、女性87.18歳)では健康寿命(=健康で活動的に過ごせる期間のこと。平均寿命から介護期間を差し引いたもの)と平均寿命の差はどうかというと、2010年の統計ではその差は男性約9年、女性約13年とあり、その間に何らかの身体の不調で介護保険を利用する人が多くなっているようです。平均寿命は延びているものの、高度な医療技術によって生かされている状態では、真の幸福とは呼べません。今後はこの健康寿命をいかに延ばしていくかが重要になってきますね。そこで、今回は表題の「ロコモ(略称)」について紹介したいと思います。「ロコモティブシンドローム=運動器症候群」とは筋肉、関節などの運動器が衰えたり、機能が低下することで要支援、要介護のリスクが高まる状態を指します。寝たきりの原因には生活習慣病(脳卒中など)のほかに、骨粗鬆症や変形性関節症など運動器の疾患が挙げられます。ロコモは筋力、柔軟性、平衡性などの体力が極端に落ちた状態なので、それを改善するためには日ごろからトレーニングすることが肝心です。ロコモ予防に効果的かつ身近にできる運動といえばやはりウォーキングです。自分は若いからまだ大丈夫、と過信するのではなく、危機感をもって若いうちから適度に運動することがロコモ予防になり、ひいては健康的な未来へ繋がります。介護に頼らず自立した生活を送れるよう、まずは歩くことからはじめてみませんか?

山田医院 医療事務 川村理恵

子供の病気についてのコーナー

染色体トリソミーによる精神運動発達遅滞・多発奇形を呈する症候群です。遺伝性は一般になく突然変異により発症します。最近では691出生当たり1となっています。臨床像としては精神運動発達遅延(いわゆる知恵おくれ)、筋緊張低下、特異な顔貌、先天性心疾患などがあります。以前は小児期に亡くなる方も多かったのですが最近では平均寿命は50歳近くになっています。これは感染性治療の進歩と先天性心疾患に対する治療法の進歩によるところが大きくなっています。これに伴い年齢に応じた日常の健康管理に留意をすることならびに生存年齢の延長による社会との接触面の広がりや親たちが負わなければならない課題も拡大しました。

成人期ダウン症の抱える3つの課題とは

1)健康管理:心疾患、甲状腺疾患、白内障、蒿尿酸血症、糖尿病、肥満などを含めたトータルの健康管理が成人期からは必要です。

2)特別支援学校後頭部卒業後:就業に際しては就労支援コースあるいは生活介護コースの選択が必要ですが背伸びをせずに子供に合わせた選択が必要になります。

3)余暇について:運動不足に注意が必要でありまた気分転換を図ることができる趣味のサークルへの参加が大切です。温和で人懐っこく、他人からも愛されることが多いダウン症児が少なからず罹患する障害として「退行現症」があります。これはあらゆる面で活動性の著しい低下をみとめます。高等学校卒業後或いは30歳前後に多くなります。友人、ペット、家族との別離、トラブルなどがきっかけになり発症します。基本的には予防が大切で規則正しい生活の維持が大切です。

なお、ダウン症の治療においての注意点としては

①成人になったならばたとえ体調がどんなに好調であっても年に1回は健康診断を受けること、

②受診の最後にダウン症患者さんには何でもよいので発言を促すこと、

③成人期の受診時にはできるだけ
父親にも同席をしてもらうこと です。今回はチャイルドヘルス2013年8月号日暮眞先生の論文から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏