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山田医院だより

第16巻第1号(第180号)

脳卒中診療について

脳卒中は1970年代以降は低下傾向にあり死亡順位の第4位ですがひとたび発症すると死を免れても後遺症により日常生活動作を障害する疾患です。

寝たきりあるいは介護を必要とする患者さんのうちで脳卒中が原因である割合は第1位となっています。

脳卒中の内訳をみると脳梗塞が約7割でラクナ高速、アテローム血栓性梗塞、心原性塞栓症がほぼ同程度になっています。

以前は軽症で治療を急ぐ必要がないとされていた一過性脳虚血発作(TIA):一過性の(多くは数10分程度)の片側の麻痺、ろれつが回らない、片目が見えないなどの症状が出るものの完治してしまう発作:は現在では緊急としてとらえる必要があり急性脳血管症候群という概念になっています。脳梗塞の前兆としてTIAが現れることがあります。特に60歳以上、高血圧、糖尿病、症状が強く持続する場合などは注意が必要です。

以前の脳梗塞の治療はいわゆる安静だけでしたが2005年に超急性期の治療として血栓溶解療法としてt-PAが認可されました。この治療は脳梗塞発症から4時間40分以内の場合に可能な治療法です。脳梗塞患者さんの5%程度にしか使用されていない現状ですが自立して生活ができるくらいまで回復する人が5割くらいになります。このt-PAを使用するには時間との闘いがあります。いかに4時間30分以内(早ければ早いほど良い)に病院に運ばれて検査を受けて治療を開始するかということですがまずプレホスピタル体制として市民への脳卒中啓発活動、救急司令部から救急隊、病院までの搬送体制、脳卒中センターの受け入れ態勢が大切になっています。診断としては症状としての顔面麻痺、片側の麻痺、言語障害を中心とした臨床症状に加えて画像診断が大切になります。CTならびにMRI検査は極めて重要になります。

MRIにおいてはMRI拡散強調像、MR血管造影などによりさらに情報が多くなり治療方針の決定にも有用となります。発症早期(4.5時間以内)に行われるt―PA療法は脳梗塞全体の5%程度にしか行われておらず、また脳主幹動脈(太い動脈)の閉塞例ではt-PAを投与しても血管再開通率が低く無効例が多いことも分かってきました。このためにt-PA療法が適応ではない場合においては脳血管内治療が適応となります。この治療は発症から8時間以内が可能となっており詰まった血管をカテーテルなどを通して血栓を取り出す方法でステント型や吸引型があります。

脳卒中時には血圧が一般的には上昇します。急性期、亜急性気においては以前は血圧を下げないということが一般的でしたが最近は高値である場合には前値の85-90%を目標に降圧することが一般的となっています。なお、慢性期においては一般には140/90mmHg 未満、抗血栓療法をしている場合には130/80mmHg未満に下げることが望ましいとされています。なお、慢性期においての再発予防としてはアスピリン等の抗血小板薬を中心に服用することが一般的です。なお、アテローム血栓性脳梗塞においては糖尿病あるいは脂質異常症などの代謝性危険因子が重要となります。

高コレステロール血症については心筋梗塞ほど相関はないものの脳梗塞の危険因子となり、逆に低コレステロール血症については脳出血の危険因子となります。血糖高値特にメタボリック症候群が重なっている場合には脳梗塞のリスクが高くなるために血糖コントロールも大切になります。なお、検診等で頭部MRIを受けた際に指摘される無症候性脳梗塞については脳血管障害の予備軍として着目されていますが最大の危険因子は高血圧で収縮期血圧を130mmHg以下を目標等することが大切です。それに加えて喫煙、コレステロール、メタボリック症候群なども危険因子となることからこれらの管理も大切になります。

無症候性脳梗塞の所見のみで抗血小板薬の服用は必要ありませんが、頸動脈強雨作病変を持つ場合などは抗血小板薬の使用も考慮する必要があります。脳卒中は減少傾向ですが一度罹患すると麻痺などによりADLが低下する危険もありまず血圧、血糖、コレステロール、血縁などに注意をする生活療法に留意して万が一罹患した場合には早急に脳卒中センターへの搬送が大切です。今回は医師会雑誌12月から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏

産科医療補償制度についてパート2

1月も下旬にもなると、お正月気分も落ち着き、いつもの日常生活に戻られている頃だと思います。

お正月恒例の年賀状は2003年の44億5000枚の最高枚数から徐々に減り、ネット社会の影響か?2014年は33億枚と、今年度はもう少し減少したのではないでしょうか?

それとは反対に【不景気の時こそ神頼み】なのか?

お正月3が日の初詣は、2009年から少しずつ増加し始め、9939万人・・

国民の4分の3近くが、出掛けている事となります。私も、住吉区では住吉大社、堺にお引越しをしてからは方違い神社・近くの華表神社へと毎年初詣に出掛けています。お仕事が始まったら、阿倍野清明神社・阿倍野王子神社へもお参りに行きます。

いつも、お賽銭はいくらにしようとつまらない事で悩むのですが、皆さんはどうされていますか?

これからの為に調べてみました。

【五円玉】は、ご縁があると重宝されていますが、枚数毎に意味があるのです。1枚・・ご縁がありますように、2枚・・重ね重ねご縁がありますように、3枚・・十分にご縁がありますように、4枚・・良いご縁がありますように、5枚・・二重にご縁がありますようにと・・・・・・415円・・良いご縁となりますように、485円・・八方四方からご縁がありますように・・となると、さすがに【五円玉】だけでは無理だと思うので、縁が遠ざかると言われる【十円玉】を除き、【五十円玉】や【百円玉】も使って良いそうです。

他にも、【1万円】・・円満に通ず、悪い所では、13枚・・ろくな縁がない、15枚・・なんの縁もない、【500円玉】・・これ以上効果がない・・・・というのもあります。でも、お願いばかりではなく感謝の気持ちを忘れない事が一番だと私は思います。

さて、以前書かせて頂いた2009年1月1日から開始された、【産科医療補償制度】加入分娩医療機関(大阪府参加医療機関100%)で出産された重度脳性まひの子供と家族を支援する制度【産科医療補償制度】についてですが、2014年12月31日迄に生まれた子供と2015年1月1日以降に生まれた子供の補償対象が変わりました。

身体障害者手帳1・2級相当の脳性まひ、先天性や新生児期の要因によらない脳性まひというのは同じなのですが、在胎週数や出生体重などが大きく変わりました。

2014年度迄の子供は、在胎週数33週以上で出生体重2000g以上・又は在胎週数28週以上で所定の要件とありました。2015年以降生まれの子供は、在胎週数32週以上で出生体重1400g以上・又は在胎週数28週以上で低酸素状況を示す所定の要件となりました。保証金は、総額3000万円支払われます。申請期間は、子供の満1歳のお誕生日から満5歳のお誕生日迄です。問い合わせ先・・・電話03-5800-2231(平日午前9時から午後5時迄)

私事ですが、先日一人息子が成人式を無事迎える事が出来ました。まだまだ心配事が尽きませんが、あの2800g位の小さな赤ちゃんが、私の背を越し生きていると思うと不思議な気持ちになります。元気でいてくれたらとそれが一番と思い、赤ちゃん筆に託したように《幸多い人生であれ》と願うばかりです。

65歳以上と東振協組合のインフルエンザの接種期限は、1月31日土曜日午前中迄となります。まだの方は、体調が良い時に早めに接種して下さいネ。

山田医院 医療事務員 堂東眞弓

冬にも要注意の脱水症

冬の乾燥から脱水が起こる第一の理由として、身体の周囲の環境(外的環境)の変化があります。

そのもっとも大きな要因は、冬の気候(低湿度=乾燥)です。外気が乾燥すると不感蒸泄(皮膚、粘膜、呼吸などから意識しないうちに失っている水分)が増えるため、知らない間に身体から水分が失われやすくなります。

ちなみに、身体にとって快適な湿度ってどのくらいか知ってますか?

それは、50-60%といわれています。冬は、50%以下になる事が少なくありません。また、暖房器具の使用により室外よりも室内のほうが10-20%湿度が低下する傾向に…要注意ですね!!

更に、胃腸炎・インフルエンザ患者さんが、ピークの時期になってきましたが、下痢・嘔吐・発熱のうち、下痢・嘔吐では身体に必要な電解質が、たくさん排出されてしまいます。

ここで、少しだけ身体の仕組みを簡単に話しましょう。

身体には、体液中の電解質濃度を一定に保とうとする働きがあり、電解質の中のナトリウムは、体液の移動において重要な役割、カリウムは、神経や筋肉を動かすために必要な役割をしています。

①下痢・嘔吐・発熱→②水分・ナトリウム・カリウムなどの電解質の喪失→③水だけ摂取→④体内の電解質濃度が下がるため、元の状態に戻そうと利尿が起こる→⑤当然、電解質も排出され体内の電解質量がますます減少→②といった悪循環の繰り返しになります。また、乳幼児・高齢者に対しては、更に要注意です!!

<乳幼児>※1月~2月がもっとも多く、原因1位は、風邪を引いた時。

①水分量の70-80%

②新陳代謝が活発

③身体の水分量調節機能

④抵抗力、胃腸の働きが弱い→下痢・嘔吐を起こすと、水分喪失しやすい

<高齢者>

①体内の水分が少ない

②腎機能が低下→水分・塩分の調整機能が低下

③喉の渇きを感じにくく、食欲が減退し水分摂取が減少

④持病によっては、脱水状態との区別がつきにくく、水分補給を怠ってしまう脱水症状を進行させないためには、乾燥を防ぐこと、そして、喉が渇いていなくてもこまめな水分補給をすることが大切になります。

食事でも、ホウレン草や小松菜といった水分とミネラルが豊富な緑黄色野菜、季節の果物を積極的に食べましょう。

食事から摂るべき水分・ミネラルが減りがちな人には、電化質を含む市販の経口補水液をご家庭に常備しておくのもお勧めです。

あと少し!頑張ってこの冬を乗り切りましょう!(^^)!

山田医院 看護師 川上啓

足の冷えについて

みんなさんあけましておめでとうございます。

今年はとても寒いお正月でしたね。この時期冷えで悩んでいる人は多いと思います。冷えや低体温は万病の元ともいわれ肩こり、頭痛、腰痛、腹痛、生理痛、不眠などの不快症状が現れてきます。下半身には、体全体のおよそ7割もの血液が集中しています。冷え性などで足が冷えていると血流が悪くなり、全身にさまざまな影響をおよぼします。なんとなく調子が悪かったり、お肌のくすみが気になる場合、足の冷えを改善することがカギとなるかもしれません。

女性の7割近くもの人がこの冷え症に悩んでいるといわれています。しかし、女性特有の悩みと思われがちな冷え症ですが、決して女性だけの問題ではなく、男性にも同じような症状を訴える人が増えてきており、生活環境の変化から子供、お年寄りにまで広がっている傾向にあります。そんな足の冷えを解消する3つの方法をご紹介します。

その① 足を温める足が冷えてから温めるのではなく、足が冷えるより前に、靴下やレッグウォーマー、足裏用カイロなどで保温し、冷やさないようにしましょう。靴下やレッグウォーマーの場合、締め付けの強いものでは血流が悪くなり逆効果です。靴下を重ね履きする時には、締め付けがきつくならないよう気をつけてください。足先の冷えは筋肉量の少なくなるふくらはぎ辺りから始まり、そこから足先に向かって血液が徐々に冷え血管も収縮しているため、カイロは足先を直接温めるよりも足首かふくらはぎを温めた方が効果的です。もし足が冷えてしまった場合には、足湯や湯たんぽ、カイロが効果的です。足湯では、42℃くらいのお湯に15分くらいが目安です。途中で熱いお湯を足すなど冷めないように気を付けて下さい。すでに冷えてしまった足に靴下を重ね履きしてもなかなか温まらないものですが、外から熱を与えると収縮していた血管が徐々に拡張してじわじわと温まります。冷えが強い場合知覚も鈍化していることが多いのでくれぐれも低温火傷には注意してください。

その② マッサージで血行促進足先の冷えは、血流を改善すれば自然と解消されます。5分~10分くらいかけて足指から足部へ、足部から足関節、足首からふくらはぎ、膝裏…下から上へと、丁寧に揉みほぐす感じでマッサージします。徐々に血流が改善されて温まってくるのを実感できると思います。また、ヨガやウォーキング、ストレッチなどの運動でも血行が促進され足先の冷えを改善できます。階段の上り下りや、その場でのステップ運動でも効果が見込めます。他には、下半身に溜まった血液を重力を利用して心臓に送り返す壁倒立や足上げも効果的です。毎日少しずつでもマッサージや運動をする習慣をつければ、代謝も上がり抜本的な体質改善にもつながります。

その③ 食事で体を内側から温める東洋医学では食品は体を温める「陽性の食品」体を冷やす「陰性の食品」どちらでもない「中庸の食品」という分類があります。ここでいう「陽性の食品」を積極的に摂取することで体を内側から温め、冷えを改善することができます。陽性の食品は、しょうが、にんにく、ネギ、ニラ、トウガラシ、かぼちゃ、人参、カブ、ゴマなどが挙げられます。ただし、陽性の食品ばかりを大量に摂取すればよいというものではありません。バランスのよい食事の中にうまく取り入れてみて下さい。

山田医院 医療事務 平賀怜奈

地域の子育て情報

今回は医療と関係のないことですが、地域の情報をお知らせさせていただきます。私は仕事の他に子育て支援のボランティアをさせていただいています。

山田医院にも子育ての情報誌などを置いているのをご存知ですか?

院長にご理解いただき、「子育てミニニュース」「子育て情報ままちっち」「子育てを応援してくださる方大募集」を置かせていただいています。(受付前のチラシなどを置いている場所)

子育て中のご家庭にはもちろん、子育てから手が離れた年代の方にも是非、見ていただきたいと思っています。

今回は子育て支援の一つとして、大阪市ファミリー・サポート・センター事業(子育てを応援してくださる方大募集のチラシ)について紹介させていただきます。

ファミリー・サポート・センター事業とは、「子育てを援助して欲しい人」と「子育てを援助したい人」が会員になり、地域で支えあいながら、子育てを応援する有償のボランティア活動です。具体的にどんなことをするかというと、

◎保育所・幼稚園などの保育開始前・終了後の預かり

◎保育所・幼稚園などの送迎

◎学校の謳歌後の預かり

◎その他、援助して欲しい人の育児負担の軽減や突発的な援助です。

「子育てを援助したい人」は24時間の講習が必要になります。それぞれの区のコーディネーターさんがなるべく、近所の人同士でペアを組んで、お互いが負担になりすぎないように配慮されていると思います。

私も何度かお子さんを預かったり、習い事の送迎をしたりしたことがあります。お子さんを預かるのは責任や緊張感もありますが、元気な可愛いお子さんたちと関われて、こちらも元気になります。お母さんたちの力になれるというのも嬉しいですし…。有償ではありますがこの活動をもっと多くの方に知ってもらい、地域で子育てを応援する方が増えたら…と思い紹介させていただきました。良かったら院内にあるチラシを見てくださいね。

山田医院 看護師 三栖佳子

成長曲線について

日本の乳幼児身体発育値は半世紀以上にわたり10年間隔でモニターされており、これをもとにしたデータを使用して成長の基準が作られて標準身長/体重曲線が作られています。

戦後の栄養不足等の影響をへて年々子どもの身長ならびに体重が増加していましたが1970年以降に3歳以下は変化なく、1990年以降は3歳以上でも変化がなくなってきました。いわゆるsecular trend(世代間の成長促進現象)が終了しており近年では肥満傾向児が増加していることから2000年に作成したデータを基にした成長曲線を標準値として用いることが妥当としています。

ただし母子健康手帳については現況に基づいて保健指導や栄養指導を行うほうが保護者の理解を得やすいとのことで2010年の調査データを基に作成された成長曲線が載せられています。(乳幼児に関してはほとんど変化がないことがわかっています。)今後は固定して2000年のデータを使用する場合と直近のデータを使用する場合の選択がされることになりました。WHOも2006年に新たな標準曲線を作成しています。適正な環境、適切な母乳栄養で育てられれば5歳までの子どもの成長に地域や人種で有意差はないということから世界標準曲線として推奨をしていますが日本人においてはWHO成長曲線よりも平均身長が低い傾向があることから自国のきっちりとした成長曲線を使用することが大切かと思われます。

成長曲線ではまず身長の確認、その後は身長の伸びの確認が大切です。曲線状のー2SD以下あるいは伸びが曲線を下回るときには注意が必要です。子どもの成長においてはICPモデルが有名でI(乳児期)は栄養、C(小児期)は成長ホルモン、P(思春期)は性ホルモンに関連して成長すると言われておりこのうちどれが欠けても順調な成長はしません。成長ホルモンに関連した治療法としては成長ホルモンの注射薬の治療がありますが治療対象となる病状は決まっておりせいぜい5-10%程度の状況です。また不安点等がありましたらかかりつけ医師に相談をしましょう。

山田医院 医師 山田良宏