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山田医院だより

第15巻第12号(第179号)

前頭側頭葉変性症について

万引き、無銭飲食などで逮捕された人、毎日同じ時間に同じことを繰り返す人、人のものを勝手に食べる人、話の途中で勝手に立ち去る人、、、

このような話を聞いたことはないでしょうか。

認知症として症例数も多くまた研究も進み有名な病気としてはアルツハイマー型認知症があります。健忘とくに近似記憶を中心に物忘れをすることが主症状であるアルツハイマー病に対して今回の前頭側頭葉変性症は行動障害や人格変化が前面に出てく
る認知症です。いわゆる「我が道を行く」が特徴的です。歴史的にはアルツハイマー病よりも古くPickがはじめて報告をしています。ただし病気の概念としては比較的新しく1996年に臨床類型概念が作られました。前頭側頭葉変性症は前頭側頭型認知症、進行性非流暢性失語症、意味性認知症に大きく分けることができさらに分類があります。

今回は症例の多い前頭側頭型認知症と意味性認知症について病状と介護について説明をします。

前頭側頭型認知症を疑う症状としては

①同じことを繰り返す

②時刻表的な生活(毎日同じ時間に同じ行動)

③食べ物のこだわり(同じ食べ物ばかり食べる)

④立ち去り行動(突然立ち去る)

⑤状況に合わない行動(無遠慮で身勝手な行動)

⑥無関心(衛生、容姿などに)

⑦逸脱行為(万引きなど)

⑧意欲低下

⑨言語障害

⑩記憶障害は軽いがあります。

これらの症状は前頭葉、側頭葉の機能低下による症状と前頭葉からの大脳への抑制の開放から来る症状です。

アルツハイマー病のように幻覚、妄想は少なくまた記憶障害は目立ちません。また道具を使用することも可能です。薬物療法は激しい精神症状に対して使用することがありますが基本的にはありません。非薬物療法ですがアルツハイマー病に効果があるグループ療法は有効ではありません。グループになじまず、人のお菓子を食べたり、勝手に立ち去ってしまいます。病状の性格を利用した対応が大切です。

立ち去りにくい刺激の少ない環境を設定して他者とのトラブルがないように個別対応が望ましくまた記憶力が保持されているために担当者あるいはプログラムを記憶することは可能であり、また道具を使用することも可能であるために同じ時間に同じスタッフが本人の生活歴から聴取した興味ある作業をルーティン化して作業することが効果的です。意味性認知症はペラペラと流暢には話をするものの話す内容が分からないことが病初期から出現するのが特徴です。物の名前がわからなくなることで例えばエプロンをしているのにエプロンってなんですか?と質問したり、話す内容が「あそこのあれじゃないですか」といった単語が出なくなります。この病気も進行すると前頭側頭型認知症と同じ常同行動を含む行動障害が出現します。この疾患については残っている言葉をチェックして繰り返しこの残っている言葉を使って失わないようにすることが大切です。

前頭側頭型認知症ならびに意味性認知症の対応としてのケア10か条があります。

①自然体で接しよう。介護者が過度に緊張したり怖がったり特別な人とは思わず気負うことなく自然体で接しましょう。

②病気を理解して症状の特徴をケアに活かそう。常同行動、脱抑制、被影響性の亢進、無関心、食行動の異常などの症状の理解が大切です。

③周徊を放置しない。

④しっかりと行動観察をしよう。

⑤本人の生活歴を振り返りましょう。

⑥コミュニケーションの方法を工夫しよう。視覚に訴える非言語メッセージも活用しよう。

⑦環境を整えよう。

⑧無理強いや強引な制止はやめよう。

⑨持っている力を活用しよう。道具を使うことは可能なことが多くなっています。

⑩食の要
求、食行動の変化も見落とさずに対応をしよう。アルツハイマー病から前頭側頭型認知症まで全ての疾患をまとめて認知症として対応をするのではなく疾患それぞれの病状を把握した上で介護をすることは大切なことです。

認知症については1つの決まりきった対応ではなく特にこの疾患別の対応が大切になります。

山田医院 医師 山田良宏

糖尿病

今年の冬は、大変な寒さになりましたね。

寒さに関係ないのですが、糖尿病のひとの話をよく耳にし、わかりやすい冊子が手元に届いたので、皆さん、よくご存じかとおもいましたが、糖尿病とは、健康な人の場合、食後に上昇した血糖値は、インスリンの働きにより徐々に下がっていきます。

しかし、インスリンが十分に分泌されなかったり働きが悪くなったりすると、血液中のブドウ糖を肝臓や筋肉などの細胞に送り出せなくなるため、血液中にはブドウ糖が増え続け、高血糖状態に。

この事態に対応しようと膵臓は、インスリンを多く出そうとして、次第に疲弊していきます。

そしてインスリンを分泌する機能が衰えるという、悪循環を引き起こします。

血液中に糖が増えすぎると、全身の血管に負担がかかり、目、腎臓、末梢神経などの病気や、動脈硬化による心臓や脳の病気を併発します。糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法です。

しかし、それだけでは血糖値がコントロールできない場合は内服薬やインスリン注射の薬物療法がおこなわれます。

運動がすすめられるのは、エネルギーが消費され、血糖が低下するからです。その作用は通常、運動後もしばらく続きます。血糖値は食事をしてから1~2時間後にピークを迎えるので、食後1時間の時点で運動をすれば、食後血糖値を抑えることができます。

運動は、ウオーキングなどの有酸素運動がおすすめです。1回30分以上、1週間のうち3回以上行うことを目標にしましょう。

また、筋肉つけば基礎代謝が高まり、日常生活で自然とカロリーが消費されます。ウオーキングにプラスして、タンベルや腹筋・背筋運動などで筋肉を鍛えると、常に筋肉で糖が代謝されやすい体質をつくることができるようです。

こんなに寒い毎日、外での運動は、むずかしいですが、室内でスクワットなど動いてみてください。

今年も、あと10日ほどですね。よいお年をお迎えください。

山田医院 事務 中西 美鶴

高齢者の肺炎球菌ワクチンが補助の対象に!

今年はテレビで高齢者への肺炎球菌ワクチンの接種を促すコマーシャルが盛んに流されたので、当院にもワクチン接種に来られる患者様、相談をされる患者様が、例年よりかなり多く感じます。肺炎は細菌などが肺に入り込んで起こる肺の炎症です。原因菌は色々ありますが、重症化しやすいのが、肺炎球菌です。健康な人でも主に鼻や喉の奥にいて、唾液などを通じて飛沫感染し、特に免疫力の低い子供や高齢者に感染しやすく、重症化すると、肺血症や、臓器不 全 な ど を 引 き 起 こ し 命 に 関 わ る 事 も あ り ま す。肺 炎 は 風 邪 の 症 状 と 間 違 え や す い の で す が、1、呼吸数が30回/1分以上2、呼吸が苦しそうな表情3、元気がないなどあれば、受診お願いしいます。肺炎球菌は約90種類あり、定期接種で使われるワクチン『ニューモバックスNP』はその内23種類を予防してくれます(*´ω`*)

ワクチンを、打つと2週間~1ヶ月で抗体が出来、五年以上効果が続くが年々下がっていきます。

高齢者の方の予防接種には、皆様不安を感じていらっしゃる方が多いようですが、肺炎にかかると命に関わることもあるので、医師に気兼ねなく相談して、是非受けて下さいね。

今年はインフルエンザが、もう大流行。毎日当院でも、多数の罹患者の方が来られます。

受験生のいる我が家ももちろん、家族全員が、予防接種を受けました。

なお、妊婦の方も受けれますので、まだの方は少しでも早く受けて下さいね。

まだまだ、これから、寒い日が続きます。冷たくて辛いですが、手洗い、うがい、換気をしっかりして、自分の身体をお守り下さい(≧∇≦)b

そして、元気に新年を迎えましょう(´▽`)ノ

山田医院 看護師 冨嶋友子

冷え対策を知る

毎日「寒い」と言う言葉から始まるような今年の寒さ。私は寒いのが大嫌いです。

足の先はいつも氷のようです。寒くていつも上半身に力が入っているので肩こりも凄いし、時折頭痛も起こします。

これは全て低体温のこの体質のせいと思っていました。

そこで、「冷え対策を知る」と言う講座があるのを知り、中島さんを誘い行ってきました。

そうです、「お茶の効用」の講座も一緒に行きました(笑)

冷え対策、と言って思い浮かぶのは、厚着、マッサージ、入浴、カイロ、生姜やキムチなどを食べる、などが考えつきますが、東洋医学を勉強されている、鍼灸院の先生の冷え対策はそれらのことは全て汗をかかせて、体温を下げる行為だそうです。

誰にでも出来る簡単な「冷え対策」はお風呂につかった後は、お風呂を出る前に片足に冷たい水を掛ける白湯を飲む。一日の内一杯は白湯に梅干しを入れて飲む。ただし、梅干しも摂り過ぎると、梅干しの酸味によりこむら返りの原因となることがある。

衣類としては空気の層をたくさん含むダウンジャケット。ズボンよりロングスカート。冷たい空気は下に行くのでスカートに入ってこない。暖かい空気は上に行くので下半身が暖かい。以上が先日の講座で教えて頂いた冷え対策です。

この日もとても寒く、講座を聞く前に4人で体を温めようとハヒハヒする韓国料理を食べて行ったので笑えましたが(笑)

さぁ、皆様冷え対策間違えないように、簡単に出来ることからしてみて下さい!

山田医院 看護師 冨嶋友子

民間の医療保険

人間五十年 下天の内をくらぶれば夢幻のごとくなり。

天下を目前にこの世を去った、かの有名武将織田信長が出陣の際、好んで舞ったという幸若舞の謡曲の一節にでてくる言葉です。

所詮人の寿命は五十年くらいしかない、命とは儚い夢のよう、、、

だからこそ思い切って生きてやるぞ!という信長の強い意志がこの台詞に込められているような気がします。

さて、時代は変わり、現代では医療の目覚ましい発展により人間五十年、ではなく人間八十年と著しく平均寿命が延びています。死ぬまでに大病を患うことなく健康に余生を過ごせたらそれに越したことはないのですが、思わぬ病気や怪我に遭遇してしまうこともあるかもしれません。そんな時経済的に保障してくれるのが医療保険です。医療保険には大きくわけて公的な保険と民間の保険があります。公的な医療保険とはいわゆる健康保険のことで、ほとんどの方が加入しています。この健康保険で保障できないもの(差額ベッド代、先進医療など)を補うために民間の医療保険が存在します。こちらは任意なので加入されてない方も多くいるかと思います。

医療保険は原則「治療を目的とした病気・怪我で入院した場合の費用を保障するもの」ですが最近では手術や通院に掛かる費用も保障範囲に入れてる保険会社もあるそうです。保険には様々なタイプがあり、例えば保険期間で分類すると、定期と終身医療保険の二種類があります。前者はある一定の期間だけ保障するタイプ、後者は保険料が変わらず一生保障が続くというのが特徴です。保険の内容も多種多様なので選ぶ際は個人のライフプランに沿って考える必要があります。

ただ考える際に、民間の医療保険は本当に必要だろうか?とふと疑問に思う方もおられるでしょう。確かに公的な健康保険に加入していれば高額療養費の制度を利用できるので、民間の医療保険は余り必要ないかもしれません。ただ民間の保険にも入っていれば色々と治療の選択の幅が増えるのは確かだと思います。今年ももうすぐ終わりです…どれが正解というものでもないので、よりよい未来のために、この先のライフプランを色々と考えてみるのもいいかもしれませんね。

山田医院 医療事務 川村 理恵

エボラ出血熱について

今まで中央アフリカで孤発例として発症していたエボラ出血熱が2014年になり西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネで大流行となり、12月の時点で1万8千人以上の患者さんが発生しています。

日本においても擬似症例があり結果として陰性でしたがパニックになりかけたこともありました。

エボラウイルスはコウモリを自然宿主としてジャングルの中に潜んでいたウイルスですが開発とともに道路ができジャングルから都市までの移動が比較的簡単になりウイルスがジャングルから出てきやすくなりました。

また流行3カ国の1つシエラレオネは平均寿命が45歳、識字率が30%という世界最貧国の1つであり医療水準の高さを見る乳幼児死亡率は日本の50倍となっており年数にすると日本より約80年ほど遅れていることになります。

また死者がでると家の中で体をきれいにする習慣が続いており、また居住においても水洗などの衛生面で問題があることなどが重なりエボラ出血熱が大流行したのではないかと言われています。

エボラ出血熱は死亡率が80%とも言われていますが先進国のデータでは20%程度に下がり、きっちりとした集中治療をすれば助かる率も高くなると考えられています。

このウイルス自体の感染性は弱く、嘔吐物や下痢便、血液との接触がなければ感染の危険性は少ないと言われています。通常は1-2週間の潜伏期間(最大3週間)の後に発熱、倦怠感、筋肉痛などで発症しますがこの期間においての感染力は弱いと言われています。実際にアメリカで医師がエボラ出血熱に罹患、この発熱の時期に地下鉄に乗りまた婚約者と過ごしていましたが周囲に感染者は出なかったようです。

発熱期の次に起こる胃腸症状での嘔吐、下痢については感染力は強力で吐瀉物の処理は決してしてはいけません。この対処は専門家が完全防御の上で行うとなっています。現在流行地域から帰国後21日間は1日2回の検温をして検疫所に報告、発熱があった場合には保健所へ連絡、保健所は指定医療機関に搬送ということになっており日本において今後大流行の危険は少ないと言われています。

エボラ出血熱については日本においては現時点においては過度に恐る心配はないようですが身近に発生した場合には特に吐瀉物には気をつけて離れることが大切です。