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山田医院だより

山田医院だより 第16巻第9号(第188号)

大気汚染による疾患のリスクについて

大気汚染の悪化は大量の化石燃料の消費により元来自然界には微量にしか存在しな かった微小粒子や化学物質が大気中に放出されるようになり悪影響を及ぼすようにな りました。昭和40年代の高度経済成長に伴い大気環境の悪化を招き、その後の公害対 策、環境保全対策で改善していましたが近年大気が再び悪化する傾向にあります。こ の再興大気汚染は急速な経済成長を続けている中国の深刻な環境汚染が大きく関与し ており、また火山活動が目立ってきた最近では火山灰による問題も生じてきました。

今回は日本医事新報2015,8,29号から抜粋してきました。

通常の粉塵は生理的な防御機 能(大きな粉塵は鼻咽頭、中枢気道に付着、そこを通過しても細気管支に付着して喀 痰と共に排泄されます。

また肺胞まで達した粒子は肺胞マクロファージにより貪食さ れます。)により排除されます。

ただし、化石燃料の燃焼などで発生する化学物質や 浮遊流状物質に対しては防御機能が整っていないために気道上皮や肺胞が障害されま す。

粒径2.5μm以下の微小粒子状物質(PM2.5)は黄砂と共に中国から飛来します。 PM2.5は吸入されると多くが末梢の肺胞に到達して含有する化学物質により影響を与 えます。

PM2.5は火力発電や工場などでの化学燃料やバイオマス燃料(多くの発展途 上国で使用されている燃料で木材、麦わら、牛糞などの農業廃棄物)の燃焼、自動車 排気ガスなどに含まれる硫化酸化物、窒素酸化物、揮発性有機化合物などが大気中で 化学反応を起こして2次的に生成されたもので、現在では国際がん研究機関でグループ 1(ヒトに対する発がん性が認められる)とされています。このPM2.5は肺癌のみではな く、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸器感染症などに対しての短期 間の吸入でも増悪原因となり、長期間の吸入では小児における肺機能の阻害、気管支 喘息発生のリスクまた妊娠中あるいは生後早期の暴露による健康障害も検討されてい ます。その他に心筋梗塞/狭心症などの虚血性心疾患についても短期間の暴露において も長期間の暴露においても増加することが分かってきました。

その他のアレルギー疾 患としてアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎との関連も明らかになりつつありま す。一方3-5月が飛来のピークとなる黄砂は粒径がおおむね1-10μm、ピークは4μm 程度でありPM2.5よりも粒径が大きいものが多いので健康影響は軽微であると考えら れてきましたが黄砂は砂漠の砂塵などの土壌由来粒子だけではなく砂漠地域周辺の生 物由来の粒子(かび、胞子類)や飛散途中に通過する工業都市の燃料由来大気汚染物 質が混合しており気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患の悪化による入院の増加、循環器疾 患による救急搬送の増加などの報告もあります。

なお、活火山の多い日本では周辺住 民が火山灰を吸入する機会があります。比較的大きな粒子の火山灰はすぐに落下しま すが小さな粒子の火山灰は大気中の無機浮遊粉塵となります。地表の造岩鉱石で最も 多いケイ酸塩のうちアスベストとエリオナイト以外のケイ酸塩は肺障害は少ないもの の結晶性シリカ(石英)は癌性物質となっています。

セント・ヘレンズの噴火後の火 山灰には遊離ケイ酸の含有率は少なく肺への影響は少なかったものの鹿児島県桜島の 火山灰には結晶性シリカ(石英)が7%含まれており各々の火山により火山灰の組成 は異なるために注意が必要となります。ただし、火山灰と発がんについての研究はま だ少ないようです。PM2.5を含む大気汚染物質は炎症、自律神経、直接の移行により さまざまな疾患を起こす可能性もあります。日本においての規制は進んでおりますが 隣国の中国においてはまだまだ排泄も多く今後も継続することが予測され呼吸器、循 環器のみならずさまざまな疾患に対しての悪影響について注意が必要です。

山田医院 医師 山田良宏

爪もみ

暑かった夏も朝晩はずいぶんと涼しくなりましたね!

まだまだ暑い日もありますが、いよいよ夏も終わりで すね、、、。

この夏の間に蓄積された身体への負担は、自律神経系を乱し、内臓の不調や肩こり、風邪をひ きやすくなる、などへ繋がります。そこで今回は、このような症状に効果のある健康法で、誰にでも簡単に できる「爪もみ」を紹介したいと思います。

爪の生え際は神経線維が密集しており、ここを押したり、もん だりして刺激することによって、過度なストレスなどで乱れた自律神経を、バランスのとれた状態に戻しま す。すると、免疫力も正常化するため、さまざまな病気や、つらい症状に対して効果を発揮してくれるそう です。

この「爪もみ」の方法は、両手の爪の生え際の角を、反対側の手の親指と人差し指で両側から挟み、 押したり揉んだりするだけです。その中でも、人差し指は胃の症状、小指は肩こり、不眠、腰痛などに効果 があるそうです。少し痛いくらいの強さで、10秒ずつ押して刺激していきます。とくに痛みを感じるとこ ろは、20秒くらいに伸ばしてみてください。そして、呼吸とのタイミングも重要で、息をゆっくりと吐き ながら押したり、揉んだりして刺激をあたえます。逆に息を吸うときに、刺激する力を抜くことがポイント です。これを1日2~3回を目安に繰り返してください。

また、この「爪もみ」を足の爪で行えば、下半身の症状を改善し、血流のバランスを整える効果がありま す。手と同様に、足の爪の生え際を、少し痛く感じるくらいに刺激していってください。足の「爪もみ」 は、入浴時に行なうとより効果的だそうです。 この「爪もみ」は、継続して続けることが必要なので、多少の根気は必要かもしれませんが、誰でも簡単 に、お手軽に行なうことができるので、ぜひ試してみてください!!!!

山田医院 医療事務 平賀 怜奈

“秋バテ”になっていませんか?

今年の夏も暑かったですね。

熱中症を防ぐために様々な方法で体の内外から体を冷やすことをしてきましたね。

9月に入りようやく暑さが一段落してきました。新聞の健康欄にこの季節の体調について載っていました ので、まとめてみました。

暑さで体力が落ちたり、食欲がなくなったりするのが夏バテ。夏の疲れを引きずったまま 秋に突入すると、気候の変化に体が追い付かず、今度は“秋バテ”という状態になることもあるようで す。

“秋バテ”はどうしておきるのでしょうか。夏に冷たいものの摂りすぎや、冷房にあたりすぎること で、体内の調節機能が低下した状態のまま秋になり、そこに朝昼夕の寒暖差と夏の疲れが加わって、自律神 経が乱れてしまう状態になることです。

冷房の効いた部屋で1日中仕事をしていたり、日頃運動をしていな かったり、そういう人に症状が出やすく、“秋バテ”は、まさに現代病だ、とも言われています。“秋バ テ”の症状は体のだるさや胃腸の不調などです。

“秋バテ”防止のコツは 軽い運動で体をほぐす。 ゆっくりお風呂に入り体を温める。(ぬるめの長風呂) 食事は冷たいものより温かいもの(ざるそば→かけそば) 旬の野菜を積極的に摂る。 服装は体を冷やさない温度調整出来るもの。 などです。

初秋はもともと寒暖の差や天気の変化が大きくなる時期で、体調を崩しやすい季節です。 行楽の秋を楽しむためにも“秋バテ”を防止し、風邪やインフルエンザの冬に向けて体力をアップしてお きましょう。季節を問わず健康維持には体の冷えを防ぐ生活習慣を続けることが大事と“夏バテ”研究の先 生が言っておられます。

山田医院 助産師 清水 ユタカ

鉄欠乏性貧血について

9月入って、朝晩涼しくなりずいぶん過ごしやすくなりました。

でも、昼間との温度差も大きく体調を 崩した方も多かったのではないでしょうか?

学校では2学期、いろいろな行事がありますね。運動会や文 化祭など忙しいと思いますが体調整えて楽しく過ごしてもらいたいですね…。

今回は鉄欠乏性貧血(鉄の 不足が原因で起こる貧血)についてまとめてみました。

当院でも「フラフラして貧血みたいなんです」と 来院される方もいらっしゃいます。貧血とは血液中の赤血球やヘモグロビンの量が減少した状態をいいま す。赤血球は酸素を全身に運ぶ役割を担っていますので、減少すると活動に必要なエネルギーを十分提供 できなくなります。各臓器は酸素不足になり様々な症状が現れます。

貧血には鉄欠乏性貧血の他にいろい ろなタ貧血がありますが、共通する症状は頭痛やめまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、疲れやすい、顔色 が悪い、瞼の裏が白くなる、寒気や手足の冷えなどの症状が現れます。(これらの症状全部が現れるわけ ではなく、重症にならないと現れないこともあります)貧血の中で一番多いのが鉄欠乏性貧血で女性に多 い貧血です。

原因は偏食や吸収機能の低下による鉄の摂取不足や女性であれば月経や妊娠・出産などによ る鉄需要や鉄排泄の増加も挙げられます。男性であっても、潰瘍や悪性腫瘍・痔など病的出血による赤血 球の喪失も原因となります。上記の症状以外に舌炎や口角炎、爪の変化(爪が平らになったり、スプーン 状に反りかえったりする)などの症状が現れます。鉄剤の服用や鉄の多い食品を効率よくとることで予防 や改善をすることができます。

食物の中に含まれる鉄には2種類あり、肉や魚などの動物性食品に含まれ ている「ヘム鉄」と野菜や海藻などに含まれている「非ヘム鉄」があります。吸収率はかなりの差でヘム 鉄のほうが多いですが、非ヘム鉄でも食べ合わせ次第で吸収率をアップさせることができます。食品の中 で多いのはやはり豚レバー。次にひじきの煮物、ついで鶏レバー、がんもどき、菜の花にも多く含まれま す。他には赤身肉、アサリ、カツオ、小松菜、ほうれん草、納豆など…。

たんぱく質やビタミンⅭは鉄の 吸収を助けてくれます。吸収されにくい非ヘム鉄は肉や魚と調理したり、新鮮な野菜や果物を一緒にとる ように心がけましょう。反対に、コーヒーやお茶に含まれるタンニンや、玄米、ライ麦パンに含まれる フィチン酸、食物繊維は鉄の吸収を妨げますので注意が必要です。レバーは自宅ではなかなか調理しにく いですね…。

先日お店で久しぶりにニラレバー炒めを食べたらとっても美味しかったです。

まずは食事か ら鉄分を取り入れてみてはいかがでしょうか…。

山田医院 看護師 三栖佳子

こむら返りについて

夜中に急に足が攣る・・痙攣する事を・・こむら返りと言います。

中高年に多く、65歳以上の60% 以上が週に3回以上経験する事があると言われています。

ふくらはぎの痙攣が1番多いですが、 1番痛 いのは、太ももの痙攣らしいです。 これは、いつもよりたくさん歩いて運動したりした日、寒い季節になり易い事が解っています。

又、水 分不足、筋肉の収縮、何故か?妊婦さんはなり易いらしいです。他に、糖尿病・筋肉や神経の病気・甲状 腺の病気に起こり易いとあります。 今の所、ハッキリしたメカニズムについては解っていませんが、中枢神経とは関係なく末梢神経が引き 起こしているのではと言われています。突然の筋肉の収縮力や、腱にある筋肉の長さの調節に関係してい る部分に障害が起きているのでは?との事です。

なった時の対処法は、

①掴んだ足の指の先を、自分の方に引き寄せる

②思い切って立ち上がり、2~3 歩いてみる

③曲がった膝を伸ばしてみる

④ふくらはぎの中央上と足裏の真ん中のツボを押したり、マッ サージしたりする・・等あります。 予防法は、1日の終わりに①水分とミネラルを補給する②ストレッチをする③マッサージをする④ツボ 押しをする・・承山(アキレス腱を下から触っていって、ふくらはぎの内外の割れ目に入った所)足三里 (膝のお皿のくぼみから、指4本下に下がった少し下側)

⑤温める。 普段から気を付ける事は、①疲労回復の為に、ビタミン類(バナナ・小魚・豚肉・ほうれん草)をバラ ンスよく摂取する②良質な睡眠をとる③当院でも処方している漢方(ツムラの68番芍薬甘草湯)を服用 する・・等です。 ちなみに、良質な睡眠については、①寝る前にホットミルクにお好みの三温糖を入れて飲んでみる②両 耳と髪の毛の生え際の窪んでいる所を5分間押してみる・・もし良かったら試して下さいネ。

最後に、大雨の影響や地震で被害に遭われた方、又家族を色々な事で亡くされた方、謹んでお悔やみ申 し上げます。

山田医院 医療事務 堂東 眞弓

子どものアレルギー診療について

食物アレルギーの検査としては血液中の特異的IgE抗体の量を調べる検査と食物経口負荷試験といわれ る「実際に食べてみる検査」があります。

食物経口負荷試験はアレルギーが疑われる食品を分割して15-30 分おきに3-6回徐々に増量しながら摂食する方法で途中で症状が出現すると陽性と判断して検査を中止して 症状に応じた治療を行います。

特異的IgE抗体検査はたとえば小麦、牛乳などに対するIgE抗体を測 定するものですが同じ値でも食物、年齢などによってアレルギーを起こす確率は異なっておりプロバビリ ティカーブなどが使用されています。

また最近ではアレルギーコンポーネント(たとえば卵白においてはオ ボムコイド、オボアルブミンなど蛋白を構成する1つ1つのコンポーネント)に対する抗IgE抗体の測定 も可能でとなってきており食事療法の補助診断として使用することも多くなっています。

なお、食物は従 来食べるものという考えから経口感作が主体と考えられていましたが、実は食物が皮膚を通して感作され るという経皮感作が注目されるようになりました。この考えを基に以前では食物アレルギーの治療は「除 去」と「誤食時の対応」の2点でしたが最近は経口免疫療法(OIT)あるいは経皮免疫療法(EPIT) が始められつつあります。

OITは原因となる食物を少量ずつ経口摂取をして免疫寛容を作る方法で、E PITは原因となる食物を少量ずつ皮膚につけて免疫寛容を作る方法です。両者ともまだまだ症例数は少 なく投薬量、期間等の検討がされている状況ですが治療成績については比較的良好であると思われます。

また、これらの知見から食物アレルギーの予防としてはアメリカでは2000年以降はハイリスク児に対して 食物アレルギー発症の予防として妊娠、授乳および乳児期の食物制限を推奨していましたが2008年にこの 推奨は撤回されており、国際的にも乳児期早期の経口摂取に関するコンセンサスが得られてきました。な お経皮暴露からの食物アレルギーを考慮してハイリスク児を対象としては乳児期早期からのスキンケアが 経皮感作を軽減させるということが大切です。

山田医院 医師 山田良宏