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山田医院だより

第17巻第3号(第194号)

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)について

20数年前までは非アルコール性の脂肪肝は単に肝臓に脂肪が溜まっているだけという感じで良性の経過をたどると考えられており重要視されていませんでした。

近年、食習慣の変化、特に中高年の肥満人口の増加とともに非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が増加してきました。今回はこのNAFLDについて日本内科学会雑誌2016年1月号から抜粋しました。

NAFLDは肝硬変、幹細胞癌へと発展するリスクの高い非アルコール性脂肪肝炎(NASH)とそのリスクが低いいわゆる肝臓に脂肪が沈着した状態である非アルコール性脂肪肝(NAFL)までを包括した疾患概念となっています。

NAFLDは肥満と関連することから日本においては30%程度の有病率が指摘されており他のアジア諸国と同程度となっていますが肥満の多い欧米と比較すると少なく性別では男性に多くなっています。なおNASHについての有病率はNAFLDの10分の1の3%程度です。

NAFLDはメタボリック症候群の肝臓における表現型であり、他の生活習慣病と同様に遺伝的素因に加えて生活習慣などの環境因子による要因が組み合わさって発症すると言われています。NAFLDの中から治療が必要なNASHあるいは肝臓の線維化が進んだ症例をピックアップすることが治療のポイントになります。

現時点ではNASHとNAFLの鑑別は肝生検(肝臓に太めの針を刺して組織をとってくる方法)が唯一となっていますが多数のNAFLDの患者さんに対して肝生検を行うことは実際的ではなく、血液検査、CT/MRI、超音波検査等の種々の検査の組み合わせで肝臓の線維化、脂肪化などを推定してNASHの診断を行う方法が考えられています。

なお、バイオマーカーなどの研究も行われており将来的には肝生検に変わる方法ができると思われます。NAFLDはNASHから肝硬変、肝細胞癌の問題がありますがそれ以外にもNAFLDはメタボリック症候群の合併も多く高血圧、糖尿病、脂質異常症の合併がありますが、その他の合併症としては心筋梗塞や脳梗塞などの心血管イベント、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、胃食道逆流症、睡眠障害、悪性腫瘍、精神疾患、歯周病など一見すると全く関係がないような種々の疾患との関連も指摘されています。

治療の方針としては生活習慣の是正であり、肥満者はまず7%の体重減少が勧められています。なお肥満でなくても成人後の10kg以上の体重増加はNAFLDのリスクになるので非肥満者においても体重減少が重要です。運動療法については有酸素療法とレジスタンス運動の両者が有用であり、運動によって体重が減らなくてもその有用性は確立されています。なお、合併する脂質異常症、糖尿病、高血圧症の治療はNASHに対して有用性が示唆されており動脈硬化性疾患の治療目的からも大切です。

ウルソについては一定の効果は確立していないもののビタミンEについては糖尿病でないNASHについては有用であり第1選択となります。なお、究極的には減量手術、肝不全に対しての肝移植手術などがあります。

NAFLDの予後には肝線維化が関連していることから線維化をすすめる因子である加齢、糖尿病、高度肥満は特に注意です。NAFLDの肝臓以外の合併症(特にメタボリック症候群、悪性腫瘍、動脈硬化性疾患など)については一般医師による食事、運動療法と中心としたフォローアップでの対応が必要ですがNASHならびに治療抵抗性のNAFLDについては肝臓専門医師によるフォローアップが必要になります。

一般には治療によってもALT値が低下しない例、肝線維化の進行が疑われる例(血小板数が14万以下、AST/ALTが0.8以上など、、)、非肥満例などがこれにあたります。NAFLDの患者さんの超寄与後改善のための現時点での方法としては1次予防の観点からは若年患者さんの発見と生活習慣の改善が第1であり、2次予防の観点からは中高年患者さんを対象として肝臓の線維化進展を早期に発見することになります。

人間ドックあるいは健康診断等で脂肪肝を指摘された方は一度担当医師に相談をすることをお勧めします。

山田医院医師 山田良宏

免疫力をアップする!!

お花見の時期になりましたネ。

まだ外国では、お花見は貴族や富豪だけの楽しみであった、今から250年前の江戸の中期のお話です。

その頃の江戸は100万都市で、7割が武家屋敷、3割が寺社と庶民が住んでいました。八代将軍徳川吉宗公は、なんと、長屋暮らしでストレスが溜まっていると思われる庶民も誘って、皆でお花見に出掛けていたのです。身分や男女区別があった中、吉宗公は、庶民の不満解消も忘れなかった、その気配りには脱帽ですネ。(参考資料:ルピシアだより)

さて、ストレスと関係のある免疫についてです。

免疫とは?疾病(病気)を免れる事・・・自己の細胞等と、外部から入ってきた細胞・ウィルスを区別して、外部から侵入したものを攻撃・排除する事です。この排除する働きを免疫力と言います。ときには命にかかわる癌細胞などを排除する事もあります。免疫力が強いと、生活習慣病・癌・インフルエンザ等を予防します。免疫力をアップするにはどうしたら良いのでしょうか?

NK細胞の活性が高まるように、

①質の高い睡眠を取る

②無理のない適度な運動

③適度な飲酒

④喫煙を控える

⑤NK細胞の活性化を高めるため笑う

⑥「体が冷たいと、免疫をつかさどる細胞や酵素は全然うまく機能しない」(米国カリフォルニア大学の麻酔専門医ダニエル・セスラー)が言われているように、体温を下げない様にする

⑦血行が良くなるので、薬指を除いた4本の手の指の爪の生え際をもむ(痛い位10~20秒)

⑧十分な休養をとりストレスを貯めこまない

⑨バランスの良い食事・・等が挙げられます。

ここで、先日テレビでやっていた免疫力をアップする習慣を紹介します。

昼食後2時間後、お昼寝をして腹式呼吸を20分続ける。それともう一つ、入浴は湯船にしっかりとつかって体を芯から温める事だそうです。

是非、皆さんも参考にして下さいネ(^^♪

山田医院医療事務 堂東眞弓

どこもかしこも脂肪だらけ???

3月も半ばになり、かなり温かい日と、寒い日があり、体調管理が大変な時期ですね。そこまで春も来ているので、皆様もう少し寒暖の差に気をつけて、来院時はうつさない、もらわない為にマスクを忘れずにお願いします。

3月は我家始まって初のビッグイベント、長男の結婚式があった為、インフルエンザ、風邪、胃腸炎、お持ち帰りしないようびくびくしながら仕事していました(笑)

その結婚式までに痩せたい~~

でも、去年の健診で脂質異常指摘されとうとう薬も服用する数字となり、山田先生にお薬も出してもらっている現実(トホホホ)久しぶりの患者さんには「あんた太ったなぁ~~」としみじみ言われ、これではいかん!!と結婚式まで3キロ痩せる地味な目標も達せず((+_+))

そこで私にぴったりな脂質異常について。皆様、「コレステロール」「中性脂肪」って聞いたことがありますよね?

私はそのどちらもが高いんです(自慢ではない)血管の壁にコレステロールがたまると血液の通り道が狭くなったり、硬化する「動脈硬化」が起こります。これを、そのまま放置すると「心筋梗塞」や「脳梗塞」につながることもあるのです。この動脈硬化の重要な危険因子の一つが脂質異常です。

脂質異常には

①悪玉コレステロールが高い

②中性脂肪が高い

③両方とも高いの3つがあります(冨嶋は③です((+_+))

自覚症状がないことが多いので、血液検査でしかわかりません。定期的に健康診断を受けて下さいね。

特に身内に高コレステロール血症の方がいたら遺伝の可能性もあるので比較的若いうちから動脈硬化が進行するので早期発見、早期治療が必要です。

この病気の主な原因は「脂質、糖質」の摂り過ぎです(思い当たります)体質的に血清脂質が高い人もいるので痩せていても大丈夫とは言えません。

予防が一番ですので、食事療法で太っている人はまず減量、そのためには糖質と脂肪の摂取を出来るだけ減らす、そしてウォーキング等の有酸素運動、スクワットなどでまず体重を落としましょう。

そして、薬物療法です。もう一つ太っていたら睡眠時無呼吸症候群にも注意がいります。

自覚症状としては、夜何度も目が覚める、昼間の耐えがたい睡魔、大きないびき、夜中の呼吸停止、結果として高血圧、虚血性心疾患、脳血管障害、糖尿病などの合併症を招きやすくなります。

ダイエットして、お腹周り、腰回り、気道周囲の脂肪を減らして健康になりたいものです。よ

し!今夜から歩くぞ~明日からにしようかな~~。

山田医院看護師 冨嶋友子

歩く速度と寿命の関係

3月も後半に入りまだまだ寒暖差はありますが、みなさま元気にお過ごしでしょうか。

4月から新生活を始める前に、健康診断等を受けられる方もおられるかと思いますが、この先もっと身近な場所で気軽に健診が受けれる世の中になるかもしれません。

2013年からある地域でコンビニで健康診断等を実施してきましたが、この度京都府でも来年度からローソンと提携して店舗駐車場等でがん検診を受けられる体制づくりに乗り出したそうです。(読売新聞より)

コンビニなら気楽に立ち寄りやすいので、この先こういった事業が全国的に広がれば、がん検診の受診率ももっと上昇するかもしれないですね。

さて、定期的にがん検診等を受診して自己管理するのも大事なことですが、健康寿命を考えると、やはり日頃からの生活習慣を整えることが肝要だと思います。

以前にも歩くことがロコモ(運動器症候群=筋肉、関節等の運動器が衰えたり機能が低下することで要支援、要介護のリスクが高まる状態)予防につながると紹介しましたが、やはり歩く行為は寿命にも大きな影響を与えるという研究結果が発表されています。

さらには歩く速度が速い人ほど健康寿命が長い、という調査結果もでています。

歩くという行為は単純そうに見えますが、筋肉や骨だけでなく心臓や血管、神経等ありとあらゆる身体の機能を使わなければ出来ない行為であり、身体自身がその人にとって最適な速度を選んで歩いています。その歩く速度がその人の健康指標の目安になるというわけですね。

だからといって、急に早歩きに変えれば寿命が延びるというわけではありませんが、普段から少し意識して、積極的に歩くことを習慣づけてみてはいかがでしょうか。

山田医院医療事務員 川村理恵

認知症について

以前患者さんに認知症の初期症状はどんなこと?と聞かれました。

テレビなどいろいろな情報が出ているのでみなさんもご存じかと思いますが…。

認知症とは脳の機能の中で最も高度である、記憶や判断力、思考力、知能、注意力、空間認識など物事を認知する機能に障害が起こっている状態を総称して認知症といいます。

疑わしい症状は、「なにかいつもと違う」「同じことを何度も言ったり聞いたりする」「置き忘れやしまい忘れが目立つ」「物の名前が出てこなくなった」「以前あった興味や関心が失われた」「怒りっぽくなった」など。加齢に伴って誰にでも現れるこのような症状は、認知症かどうか区別がつきにくいものですが、症状が頻繁に現れるようになった場合、認知症が疑われます。

物忘れと認知症はどう違うのでしょうか?

物忘れは加齢によって脳の神経細胞が減少するために起こる老化現象であり、病気ではありません。単なる物忘れでは例えば、朝食に何を食べたか思い出せないことはあっても朝食を食べたことは覚えています。これに対して認知症による記憶障害では朝食を食べたこと自体を忘れてしまいます。

認知症の他に意識障害をきたす原因には、感染症・糖尿病・アルコール中毒・脱水・甲状腺機能低下症・慢性低肺機能による低酸素血症・慢性心不全・肝硬変・薬の副作用などもあります。意識障害=認知症と判断せず、病院で診断を受けましょう。認知症の原因となる病気の代表的なものとして「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」は老年期認知症の70〜90%を占めています。

アルツハイマー型認知症は徐々に進行し、脳萎縮を起こす病気で、脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血の後遺症のひとつと考えられます。認知症を確実に予防する有効な方法や予防薬はまだありません。

中年期に生活習慣病となっていた人は認知症になる可能性が高いといわれているので、高血圧や高脂血症、肥満にならないよう食事に注意し適切な運動(有酸素運動は前頭葉の血流を良くする働きがある)をするように心がけましょう。

また、退職、隠居、親しい家族との死別、骨折、寝たきり、入院など生活環境や人間環境が大きく変化することは認知症発症の一因となるので家族や周囲の人との関わりをもち、生きがいを持って過ごしていくことも大切です。

家族が認知症かもしれないということを受け入れるのは精神的にも大変で時間がかかるかもしれません。

認知症を正しく理解し病気であることを受け入れること、関わり方によって、症状が和らぐことを受け入れます。尊厳を傷つけないこと、相手の人格を尊重することが一番大切です。

子どものように扱ったり、どうせわからないだろうと人格を無視した言動はとらないように心がけましょう。何を望んでいるかを考え、寄り添うことが大切です。

でも、わかっていても大変な時は、家族だけで抱えずに専門機関(医療、公共機関、ケアマネージャー、介護保険サービスなど)へ相談し協力を得てくださいね。

山田医院看護師 三栖佳子

小児アトピー性皮膚炎治療について

アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能異常を主因としています。

角質のバリア機能の重要な役割をは対しているのがフィラグリンというたんぱく質ですが、このフィラグリン遺伝子の変異があると乳幼児早期にアトピー性皮膚炎を発症して、IgEが高値となり食物アレルギー並びに気管支喘息の発症リスクも高くなることが明らかになりました。食物アレルギーは乳幼児期に最も多く、その多くがアトピー性皮膚炎を合併します。

特にアトピー性皮膚炎の発症が乳児早期でかつ重症であるほど食物アレルギーを合併しやすいことが知られています。

以前、食物アレルギーは経口摂取して発症すると考えられていましたが、最近では経皮感作(皮膚を通してアレルギーの形成)が注目されています。

経口暴露は本来あるべき免疫寛容を誘導(食物は本来は体成分ではなく人体にとっては異物であるが少量ずつ食べていくと免疫反応なく体内に取り込むことができるようになる。)、

アレルギーの感作は経皮暴露による影響が強いと考えられるようになりました。これは乳幼児のアトピー性皮膚炎に限らず、主婦や調理師のように手荒れした状態で食品を素手で調理する場合や食物成分を含有した製品を使い体を洗浄あるいはマッサージすることでも生じます。

食物アレルギーあるいはアトピー性皮膚炎を考えるとこの経皮感作が大切なのでスキンケアの重要性が認識されています。以前は乳幼児期にアトピー性皮膚炎を発症してからスキンケアをすることが多かったのですが最近では生後すぐに全身に保湿を開始することも勧められています。

スキンケアとは清潔、保湿、紫外線防御が3本柱となっています。洗浄は皮膚に付着した細菌、ハウスダスト、皮脂、汗、食物などをきれいに落とすことが大切です。アトピー性皮膚炎の炎症部位はアルカリ性になっており弱酸性に保つことがえんしょうをおさえるためには大切です。

石鹸は洗浄力には優れていますがアルカリ性であり角質残留性が強いために弱アルカリ性で低刺激性、保湿成分を含んだ石鹸などが勧められます。

保湿については1日に3回は行う事が大切で特に朝の保湿が大切です。

なお、食事制限あるいは離乳食の開始については現在は症状が明らかではない場合には勧められておらず、離乳食に関しては通常通りの開始でよいとされています。

アトピー素因のある場合には生後すぐからのスキンケアを試みて経皮感作を予防、経口摂取については特にアレルギーの大きな問題がなければ4-6か月からの開始で問題はないと考えられています。

個々の問題については担当医師と相談をしましょう。

山田医院医師 山田良宏