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山田医院だより

第17巻第10号(第201号)

むずむず脚症候群について

むずむず脚症候群は睡眠関連運動障害のカテゴリーに含まれる睡眠関連疾患の1つです。
レストレスレッグス症候群、下肢静止不能症候群、Wills-Ekborn病とも呼ばれていて高率に周期性四肢運動(眠っている時に主として下肢が周期的にピクッと動くこと)を併存します。静止時あるいは夕方から夜間にかけて脚の不快感が生じ、これに伴い下肢を動かしたくなる衝動感に駆られ、その運動によって不眠をきたすもので不安、うつ病の発症、生活の質の低下、夜間高血圧や心疾患イベントのリスクとも関連が指摘されています。

文献的には1672年にありますが1960年代から知られてきました。欧米、北米などでは約5-10%の有病率が指摘されていますが日本を含むアジアでは約1-2%程度と言われています。女性に多く加齢と共に増加します。

発生機序としての三大要因は遺伝的要因、ドパミン神経などの神経伝達機構の異常、鉄欠乏あるいは利用、輸送の異常です。原因が明らかなではない特発性と原因が併存する2次性に分類されます。2次性でも生理的には妊娠後期に見られることがあり、また疾患としては鉄欠乏性貧血あるいは貧血を伴わない鉄欠乏症、末期腎不全、糖尿病、リウマチ性疾患、パーキンソン病、慢性閉塞性肺疾患などがあります。その他カフェイン、ニコチン、アルコール、薬物では抗うつ薬、抗ヒスタミン剤などが原因となることがあります。脚の異常の具体的な症状としてはじっとしていられない、膝から下がカーと熱くなる、ふくらはぎの中が気持ち悪い感じがする、ジンジンするなどで夜間、寝ようと床に入ると脚が気持ち悪くなり動かさずに入れらず、膝を振ったり脚どうしをこすり合わせたりするなどで昼間は症状が軽いあるいは出ないために昼寝は出来ることも多くなっています。

なお、昼間に出る場合には散髪中や飛行機、バスに乗っているときなど安静を強いられる状況で起こります。なお、入眠は可能も中途覚醒時に脚の不快感を自覚する例もあります。問診でむずむず脚症候群を疑った場合は発症機序として脳内の鉄欠乏が関与するために、血液検査で血清鉄、フェリチン値などの鉄代謝を調べます。

症状の把握がむつかしい場合には終夜睡眠ポリグラフ検査を行います。なおその他の検査として併発症の有無の確認のために腎、肝機能、血糖検査など内科的疾患の有無を調べ、また腰椎疾患の有無など整形外科的な疾患についても調べることがあります。治療の実際としてはまず嗜好品、服薬中の薬物を確認して必要に応じてそれらの改善を行いまず鉄欠乏がある場合には鉄剤の投与で経過を見ます。なお、治療薬の中核はドパミン製剤で内服薬、貼り薬があります。

なお、むずむず脚症候群は小児においても決して希ではなく特に思春期児童に生じやすくなっています。小児では男女差はありません。ただし小児においては訴えがないことも多いために寝つきが悪い、足趾に力を入れて広げる、足を布団や壁に押し付ける、脚のマッサージをせがむなどの症状を呈することもあります。なお、注意欠陥多動障害(ADHD)児では約1/4に脚むずむず症候群の合併があると言われています。

小児では鉄需要が多いために成人に比べると鉄欠乏が要因となることが多く、通常は鉄剤の服用のみで改善することが80%ほどあります。なお、脚のマッサージやストレッチが症状の改善には有効であり脚を冷やすなどの対応も場合によっては有効となります。小児は改善しやすく通常は数ヶ月程度の治療で治癒することが多くなっています。足むずむず症候群があっても不眠や昼間の眠気といった生活上の支障がなければ治療の必要はありませんが、集中力の低下等の原因になることもあるので睡眠障害特に脚に違和感を感じる場合には主治医に相談をしてみましょう。

山田医院 医師 山田良宏

読書がもたらす健康

10月27日~11月9日まで読書週間が定められ、本屋さんには週間おススメの本が平積みされています。皆さんは読書されていますか??

最近はスマホでも様々なゲームが楽しめ、また最新のゲーム機はリアルな映像が映画の様で、全くゲームをしない私でも関心を持ってしまいます。ゲーム依存症も程度の差はあれ、深刻な社会問題となっている現代、読書がより一層見直されています。

子供の頃から私は読書が大好きでした。父親からのお小遣いはいつも図書カードで、おもちゃよりも本屋さんで本を抱えて駄々をこねる様な子供でした。今でも読書は好きですが、最近は健康に関する本を読む機会も増え、健康と読書の関係性について知る機会があったので、今回は読書がもたらす健康についてお話したいと思います。

読書は、脳を活性化しうつ病やアルツハイマー型認知症のリスクを減らすという研究や、ストレス解消に効果があることが認められているそうです。この効果を利用した、読書療法というセラピーが老人保健施設や小児科病棟、また少年院など様々な場所で取り入れられ成果をあげているようです。

読書により、脳が活性化し、ストレスが軽減される。また本に出てくる登場人物の気持ちを推し量ることから自然と何をすれば他人がどう感じるのかを身に着けるようになることもあり、小さなお子さんに両親や保育士さんが読み聞かせをする理由も納得できます。実際、地域活動の一環として教師をしている友人が定期的に読書療法、絵本の読み聞かせ会を行っていますが年々参加人数が増えている様です。

その一番の理由が、「また行きたい!」と参加者自身、子供たちが希望する事にあるそうです。語彙力、想像力、感受性、コミュニケーション力、様々な効果をもたらすと言われていてもピンと来ないかもしれませんが、「本を読むのが楽しい!」と感じる、「楽しむ」という感情が一番大切なことのようです。私の母も、認知症予防にと毎日せっせと空き時間には読書をしています。毎日の運動習慣は皆さん積極的に取り入れていますが、脳神経外科の先生は同じように、毎日の脳の運動に読書習慣を取り入れて欲しいと言われています。本でなくても、新聞などの活字を読むことでも良いそうです。海外では広く導入されている読書療法。今後日本での導入施設も増えるのかもしれません。しばらく読書から遠ざかっている方も是非、秋の夜長、読書を楽しんでみてくださいね。

山田医院 看護師 岩崎恵美子

入浴中の危険!ヒートショックにご注意

朝晩の気温もだいぶ冷え込むようになり、秋らしい季節になってきました。こんな時期は、浴槽にゆったりとつかり、身も心も温まり癒されたくなりますが、秋から冬にかけて、「ヒートショック」と呼ばれる入浴中の事故が増えるそうです。寒い脱衣所で服を脱ぎ体が冷えると、すぐに熱い湯につかりたくなりますが、この急激な温度変化で血圧が急変することにより、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞を引き起こす状態をヒートショックといいます。
予防には、脱衣所に暖房器具を置く、入浴前にシャワーを流したり、浴槽のふたを開けて良く室内を暖めておくこと。冬は、冷え込む夜になる前の夕方6時頃までに入浴する事も良いようです。日本人は熱い湯を好む人が多いですが、熱すぎるは血圧、心拍数など体に影響が及びやすく、また発汗で血液の粘性が高まり血栓ができやすいので、湯温は39~40℃が適温です。特に入り始めの3分間はヒートショックを起こしやすいので、かけ湯をしてから入ったり、始めはぬるま湯につかり、その後に追いだきをすることも有効です。上がる時にも、急に立ち上がると血圧が低下する事があるので、ゆっくりと立ち上がります。入浴事故は、その9割が65歳以上に起きています。急激な血圧の変化に対応する機能の低下や、のどの渇きに対する知覚も低下し、軽い脱水状態のまま入浴してしまう事も原因と考えられます。65歳以上の方は、入浴前にのどが渇いていなくてもコップ一杯の水分補給(ビールではだめです)をしたり、入浴中は家族が気にかけるように心がけたほうがよいでしょう。

山田医院 看護師 盛田里穂

新規スタッフの紹介!

10月から週に3日、午前診にて勤務させて頂いております医療事務の東川敏美(とうかわとしみ)と申します。よろしくお願いいたします。約10年の間、専業主婦として過ごしておりましたので久々の仕事に身の引き締まる思いで勤務しております。下の子どもがまだ低学年ですのでなかなか自分のために使える時間は少ないのですが、越してきて9年、阿倍野区の子育て中のママたちが制作する情報紙のスタッフは自分の楽しみとして続けています。休みの日は子どもが所属している学校のミニバスケットチームに付き添ってお手伝いをしていることがほとんどです。休みのたびに朝早くから一日中付き添って…親バカだなぁと自分でも思いますが、子どもたちが一生懸命打ち込んでいることにこんなに密接に係れるのも子どもが小さい時だけ、と今を楽しむことにしております。

まだまだ業務内容を勉強中の段階ですが、皆さまに早く顔を覚えていただけるよう、また気持ちよく山田医院に来院していただけるよう、ニコニコ笑顔で頑張りたいと思っております。どうぞ、よろしくお願いいたします。

医療事務の東川敏美(とうかわとしみ)

ブルーライトってなあに?

現代社会では、スマホや液晶テレビなどの電子機器をはじめLEDを採用した照明器具の普及に伴い身近な場所でブルーライトを沢山浴びるようになりました。この様な中で、健康に良くないとされる「ブルーライト」と言う言葉をよく耳にします。ブルーライトが身体に悪いとわかっていても、日常生活にはLEDの光が溢れていますので、これらを避けて生活することは不可能な状態です。スマホやパソコンを長時間使用していると「なんとなく目が疲れそう」「目が悪くなりそう」位の認識の方が多いのではないでしょうか。ブルーライトは自然界にある光の一部です。波長が380~500nm(ナノメートル)の領域にある青色の可視光線の事です。太陽光や蛍光灯、白熱灯などにもブルーライトは含まれています。近年普及している白色LEDは、青色の光源と黄色の蛍光体を組み合わせているもので同じ強さの光でもブルーライトの含まれている量が多いとされています。
ブルーライトの影響について
ブルーライトを長時間浴びることによってメラトニンの生成が抑制されるそうです。メラトニンとは脳内で分泌されるホルモンの一種で眠気を誘う物質です。メラトニンが抑制されると体内時計がくるってしまうことになります。
夕方や夜の時間帯にもブルーライトを浴びることで、脳内が休養モードにならず体内時計が乱れ、寝つきが悪い、夜に目が覚める、寝不足などの睡眠障害を起こっています。「眠くなるまで」のつもりでスマホやタブレットをしているとかえって目が覚めてしまいます。また、体内時計がスムーズに機能しないと自律神経や副交感神経、ホルモンのリズムも乱れてしまいます。それによって高血圧や心臓病、糖尿病なども発症しやすいとも言われています。
ブルーライトは、紫外線の次にエネルギーが強いため、眼の疲れや痛みと言った眼球に直接的ダメージも与えることが分かっています。紫外線やブルーライトのような強い光は、角膜や水晶体で吸収されずストレートに網膜に達しています。紫外線やブルーライトを浴び続けると網膜の中心部にある「黄斑」がダメージを受けます。加齢とともに増えている「加齢黄斑変性」の原因になるとも言われています。
ブルーライトを浴びない様にするには
間接照明の利用や電子器具を使うときにはブルーライトをカットするフイルムやソフトウェア、眼鏡を使うなどの方法があります。少なくてもブルーライトを浴びる時間帯はある程度コントロールすることができます。

例えば

①寝る前の2~3時間はパソコンやスマホ、テレビなどの画面を見ない様にする。

②ブルーライトを抑制する機能付きのLED照明を使う。

③パソコンやスマホを使う場合ブルーライト対策用の眼鏡を利用するなどがあります。スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」や歩きスマホが問題になっておりますが、健康面のことを考えて使用方法や時間についても考えてみましょう

山田医院 看護師 畑中幸子

ひろのば体操

現代人にとって腰や膝の痛み、肩こりなどは悩みの種です。姿勢が悪いから、あるいは年齢のせいと決めつけている人も多いのではないでしょうか。

その痛みじつは足の指が大きく関係している可能性があります。建物の土台がゆがんでいれば上物にひずみが生じても無理はありません。

同様に人間の体も、全体重を支える足の裏が不安定では、バランスを保とうと腰やひざなどに影響が及ぶのです。なかでも重要なのが足の指で、逆立ちをする時手の指が縮こまっていたらまっすぐ倒立はできませんよね。同様に足の指が曲がっていると、全身が縮こまりちゃんと立てないのです。みなさんの足の指は縮こまってないですか?足の指を自在に広げられますか?全体重を支える時に指は非常に重要な役割を担っています。

ひろのば体操で、足の指本来の機能を回復し、外反母趾、指が下を向く屈み指、指が地面に着いていない浮き指の改善や高齢者の転倒予防につながります。そして、全身のバランスが整うことで、腰やひざの痛み、O脚やX脚、冷え性など一見足の指とは無関係に見える様々な不調の症状改善にも役立つそうです。ひろのば体操とは、その名の通り足の指を広げて伸ばす簡単に出来る体操です。

やり方は、

①イスまたは床の上に座り、片方の足を太ももの上におきます。
②手の指の根元が、足の指の先端にくるように間に入れます。この時、深くまで入れず手の指と足の指の間にすき間をつくるのがポイントです。
③足の指に入れた手を、手の指先が足の指の付け根にくるよう優しく握り、親指で足の親指を軽く押さえます。
④足の指を甲の方へやさしくそらします。足首もなるべくそらし、できるだけ親指を90度曲がるように5秒キープします。曲がらなければ、無理にしないでください。
④今度は逆に、足の指を足裏の方へやさしくそらし、手のひらの付け根が足裏にあたるくらいを意識して5秒キープします。

20回を目安に毎日5分ほど足裏の筋肉や足の指の伸びを意識しながら行ってみてください。できるだけゆっくり曲げ伸ばしすることが大切で、早く動かすと効果がないそうです。

おすすめなのが、体が温まっているお風呂上りや、湯船の中です。自分が無理なく続けられるタイミングにゆびのば体操を取り入れてみてください。

山田医院 医療事務 平賀怜奈

急増する川崎病について

乳幼児の全身性血管炎症候群である川崎病は平成26年には史上最高数を記録、0-4歳児が1000人いたら3人は川崎病という推計になります。原因は不明であるために増加の理由も不明ですが罹患率が高くなっているのは確実のようです。もともと川崎病を発症しやすい遺伝的な背景がある子どもがウイルスあるいは細菌などに感染してそれが引き金になって発症すると考えられています。

川崎病診断は

①5日以上続く発熱

②両側眼球結膜の充血

③口唇、口腔内所見

④不定形発疹

⑤四肢末端の変化

⑥急性期の非化膿性頸部リンパ節腫脹

のうち5つ以上の症状を持つものが定型例であり、4つの症状に冠動脈瘤があれば不定形例となります。

なお、冠動脈瘤がなく4つ以下の症状の不全型においても典型例と同じような治療をすべきであると言われるようになりました。不全型は軽症であると考えられがちですが実は定型例よりも冠動脈病変の合併率が高いと報告されているために不全型においても定型例と同様の治療をすべきであると考えられる様になりました。

川崎病では冠動脈に後遺症を残せば将来に急性冠症候群などの発症するリスクが高まるために急性期の強い炎症を可能な限り早く鎮静化させることが必須となります。

従来は発症から10日ほどで冠動脈病変が出現するとの考え方が中心でしたが最近では7,8病日には血管炎が完成して冠動脈瘤が形成されることが分かったために7,8病日までの解熱を目指して治療すべきであると言われています。

第1病日での診断は難しいのですが、第3,4病日になると症状が加わるためにこの時期については診察が特に大切であると言われています。インフルエンザの時期になると発熱性疾患についてはついつい感染症に目が行きますが、川崎病も1つの大きな鑑別疾患なので注意が必要です。

ガイドラインが発刊されており、今回は日本医事新報平成28年7月号から抜粋をしました。

山田医院 医師 山田良宏