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山田医院だより

第18巻第2号(第205号)

三叉神経痛について

世間でよく言う顔面神経痛は通常は医学的には三叉神経痛のことを言います。
三叉神経痛は比較的稀な疾患ですが、患者さんの受診科としては歯科、耳鼻科、内科などに分かれ、適切な診断までには時間を要することもあります。

今回はこの三叉神経痛について日本医事新報2016年12月10日号から抜粋します。三叉神経は脳幹部にある橋から出た後にガッセル神経節を作りその後は眼神経、上顎神経、下顎神経の3本に分かれてそれぞれ眼の上側、眼の下から口の上、口の下を支配します。三叉神経痛は主として後者2つの上顎神経、下顎神経の領域に多く認められます。強い間欠痛(痛むときは痛むが痛みがないときには全く痛まない)を繰り返します。中年以降特に60歳以上に多くなっています。この疾患の発生機序としては神経が橋から出た後で近傍の血管(多くは上小脳動脈)に圧迫されることによる神経障害によるとされています。

大多数が先ほど述べた典型的な症状を示しますが一部においては間欠期がなく痛みが持続するものもあります。その他、脳腫瘍や動静脈奇形などに伴う三叉神経痛も15%程度あります。典型的な症状としては洗顔、化粧、髭剃り、咀嚼、歯磨き、会話などの刺激で「刺すような」「ズキーンとする」痛みが誘発されるのが特徴です。痛みは数秒からせいぜい数10秒程度と短いもののきわめて強い痛みであり顔をしかめて動きが止まります。洗顔などの刺激を繰り返すと痛みが軽減するようになります。(不応期)

また数か月から数年にわたり寛解期(治ったのではなく発作が起こらなくなる)に入ることも特徴的です。なお、しびれや知覚鈍麻などの痛み以外の症状がないのも特徴です。一般に診断は医療面接のみで行われ鑑別診断を含めて画像検査が行われます。この三叉神経痛の治療法ですが、根治的な治療としては三叉神経を圧迫している血管の減圧術になりますが一般にはまず薬物療法を行うことになります。

標準的な薬物療法はカルバマゼピン(テグレトール)という抗てんかん薬を中心とした薬剤あるいは神経障害性疼痛に使用するプレガバリン(リリカ)を使用します。一般の痛みどめ(NSAIDS)あるいはオピオイド(モルヒネ等)は奏功せず、また抗うつ薬も効果は不十分です。ただし薬物でコントロールが不良な三叉神経痛に対しては三叉神経ブロックあるいは手術が行われます。まず、三叉神経ブロックですが、神経破壊薬を使用して行う方法に変わり最近では高周波熱凝固法を使用することが多くなっています。まだエビデンスは多くはありませんがパルス高周波を使用する方法も検討されています。

神経破壊薬あるいは高周波熱凝固法においては知覚低下あるいはしびれ感の副作用がありますがパルス高周波においては効果は弱いもののその副作用が大変少なくなっています。ブロックはブロックを行う場所により末梢枝ブロック、さらに中枢側の上顎、下顎神経ブロックから中枢部のガッセル神経節ブロックまであります。現在の主流は上記のうちで高周波熱凝固ブロックが中心で、効果は高いもののブロック後のしびれ感をいかに軽減させるかが課題で今後はパルス高周波によるブロックの発展に注目されています。

なお、ブロック注射は有効期間が限定的であり繰り返して行う必要があります。手術療法は三叉神経を圧迫している血管を移動させて圧迫を除去する方法(トランスポジション法)で頭蓋内微小血管減圧術(あるいはジャネッタ手術)といわれています。 この手術は耳の後ろを1-2cm切開して手術顕微鏡を使用して行う手術で脳神経外科手術の中では比較的難易度の高い手術として位置づけられています。

成功率は90%を超えますが完全消失を求めると80%程度になります。数%程度に顔面の知覚麻痺等の合併症もありますが、成功率が高く再発しても痛みは手術前ほどではないことが多くなっています。手術効果が高い症例は典型的な三叉神経痛の方で特にカルバマゼピンの効果が高かった人といわれています。なお、その他最近ではガンマナイフを使用して三叉神経を麻痺させて痛みをとる治療法もあります。治療についてはどの治療についてもメリット、デメリットがあり治療については患者さんの希望に合わせて行われるべきものとなっています。顔面の突然の強い痛みで悩んでいる方はまた主治医の相談をするようにしましょう。

山田医院 医師 山田良宏

ストレートネックとは…

この言葉、テレビなどでもとりあげられていますが、今回は、ストレートネックとはどういったものなのか、 お話ししていきましょう…
人間の身体は、頚椎・胸椎・腰椎・仙椎・尾椎という脊椎がS字状のカーブを描くようになっており、これ は、直立二足歩行に必要なバランスをとるための重要な役割を果たしています、その中の、頚椎(首)の部分 が、何らかの原因で真っすぐになってしまう状態の事を、ストレートネックといいます。最近は、このような症 状の人が増えているそうです。

なぜなら、その原因は、日常生活に潜んでいたからです。デスクワーク・PCでの 事務作業・スマホの操作など、首を前に倒して、うつむくような姿勢を長く続けていると、ストレートネックに なりやすいのです。そして、これが現代病とも言われています。

ストレートネックが原因で、様々な症状が出て きます。 肩こり・首こり・手のしびれ・頭痛・眩暈・自律神経失調症・椎間板ヘルニア・吐気・首が動かない・肩が上 がらない…など。

そして、頭を支える頚椎に大きな負担がかかります。骨と骨の間でクッションの役割をする椎 間板の弾力が失われ、首周りの血流も悪くなります。また、ストレートネックの怖いところは、無症状の人が多 いということです。自分がストレートネックかどうかを、診断できる方法もあります。

一番良い方法は、レント ゲンを撮ること。あと、簡単な自己診断方法もあります。 壁にくっつくようにまっすぐ立つ。その際、後頭部のでっぱり部分、肩甲骨、仙骨(骨盤の中心にある骨)、 かかとの4」箇所が壁にくっついているか確認する。 正常な場合、自然に4個所がくっつきます。無理をすればくっつく状態だったり、1個所でもくっつかないとス トレートネックの可能性があります。自己診断でストレートネックの可能性があって、頭痛や肩こりなどの症状 もでているようなら、ひどくなる前に病院へ受診することをお勧めします。

山田医院 看護師 川上 啓

低温やけどについて

毎日寒い日が続いていますが、外出時に使い捨てカイロ、就寝時に湯たんぽや電気あんかを使用されている方も多くいらっしゃると思います。
実は、心地よいと感じる程度の温度でも、同じ場所を温めると低温やけどを起こすことがあります。44℃なら3~4時間、46℃では30分~1時間、50℃では2~3分、接触していると受傷する危険性があります。

症状は、高温でのやけどと同じですが、低温やけどは高温のやけどと比較して皮膚の深くまで損傷を受けることが多いので注意が必要です。

火、熱湯、油など高温のやけどは、熱さを強く感じるため、すぐに患部を冷やすなど処置をするため、皮膚の浅い部分にとどまる事が多いのですが、一方、低温やけどは、痛みがないまま熱が加わり続けるため、皮膚の深い部分まで損傷する事が多いのです。

やけどは以下に分類されます。

Ⅰ度:表皮熱傷(皮膚が赤くなる)

Ⅱ度:真皮熱傷(水ぶくれができる)

Ⅲ度:皮下熱傷(皮膚が白っぽくなり、水ぶくれはできない)

さらにその下の筋層熱傷は潰瘍になることもあります。低温やけどは、このⅡからⅢ度が多く、Ⅲ度以上になると、傷が治るまで3~4週間かかったり、それでも治りが悪い時は植皮などの手術が必要になることもあります。

予防方法は、寝ているときに受傷する事が多い為、湯たんぽ、電気あんか、電気毛布などの暖房器具はあらかじめ布団に入れておき、眠る前に外に出したり電源を切ると良いでしょう。スマートフォンを顔の下に置いて眠ったなどの事例もあるそうでびっくりです。また、ハイキングやゴルフなどの際に使い捨てカイロを使い、熱くても周囲を気遣い外せなかった場合も、重い低温やけどになりがちだそうです。我慢せずに早めにずらすなど対処しましょう。

高齢者、子供、糖尿病などで神経障害がある場合は注意が必要です。高齢者が、温水便座に長時間座っていて受傷した例もあるそうです。低温やけどが出来てしまい、皮膚が赤くなったり、違和感が出た時は流水や濡れタオルで、出来るだけ早く冷やします。水泡やキズができている場合は、他のキズの対処と同様に良く洗い流し、消毒薬は使用せずに治療します。

山田医院 看護師 盛田里穂

カゼが長引く理由とは

厳しい寒さの中、急激な気温の変化は体調管理に苦慮している方が多いのではないでしょうか?

この様な時は特に体調を崩しやすくなります。

「一か月に二度もカゼをひいた、一度カゼをひくと中々治らない、すぐに人のカゼがうつってしまう」と感じている方も多いようです。

カゼを引く原因の約90%はウイルス感染です。カゼのウイルスは100種類以上あるともいわれおり、ウイルスの多くは冬場に活発になり体内に侵入します。はしかやおたふくかぜもウイルス感染です。

でも、はしかやおたふくかぜに一度かかると二度とかからないのは、免疫作用である白血球の抗原抗体反応が関係しています。体内で作られた抗体は抗原(ウイルス)と闘う身体の防衛システムが抗原抗体反応です。

カゼのウイルスでも一応はこの反応が起こります。ところがカゼのウイルスには膨大な種類とウイルスは遺伝子が小さいために変異が起こりやすい性質があります。これを「抗原変異」といいます。ウイルスが抗原変異を起こして型が異なったウイルスに変身します。また、抗原変異により感染力まで強くなるために、私たちは何度もカゼをひき人からカゼをうつされるわけです。

リンパ球はウイルスの活動を邪魔する抗体を作って捕まえるわけです。この捕まえている証が発熱、鼻水、喉の炎症、倦怠感、頭痛などのカゼ症状です。どれも本人にとってはつらい症状なのですが、これらは免疫としての反応なのです。頻繁にカゼをひく状態やカゼの治り方が悪い状態は、食生活が乱れていたり、睡眠不足だったり、休みが取れないなどストレスが原因で交感神経緊張状態になっている時です。

カゼの症状は10日程で収まりますが、一か月以上カゼが長引いたばあいはウイルス性ではなくて細菌性のカゼを発症している可能性があるため医師に相談することが大切です。

「カゼは万病のもと」ともいいます。合併症を引き起こして重症化してしまうこともあります。特に気管支喘息、腎炎、糖尿病や肺気腫などの持病のある方、抵抗力の弱い高齢者や乳幼児、寝たきりの方などウイルスに対する抵抗力の弱い方は一層の注意が必要です。カゼを長引かせないためにも、身体を温かくし睡眠をとって安静にすることです。そうすることで副交感神経が優位になりリンパ球が活性化すれば免疫が正しく働いて治癒方向に向かいます。最後に、普段は健康な方であってもカゼを引いたときは無理をすることで重症化して肺炎などを合併することがあります。カゼをひいたらできるだけ休養をとり適切な治療を受けましょう。

山田医院 看護師 畑中幸子

冬の乾燥対策

乾燥が気になる季節ですが、部屋が乾燥していると、お肌がカサカサしたり、ウィルスに感染しやすくなります。

また、お肌の乾燥は、シミ・シワの原因にもなる美容の大敵でもあります。快適な湿度は、50%~60%です。加湿器を使わない加湿方法をご紹介いたしましょう。

◆フローリングの水拭き濡れた雑巾でフローリングを掃除します。部屋の湿度が手っ取り早くあがり、さらに埃もとれるので、ウィルス対策にも一石二鳥です。

◆洗面器やコップに水を入れておく寝室の枕元にグラス一杯の水を置いて眠るのも睡眠時の乾燥対策に有効な方法です。グラスの水が時間と共にゆっくりと気化して、部屋を潤してくれます。

◆観葉植物を置く観葉植物は定期的に水やりをするだけで、自動的に葉っぱから水を蒸発させ続ける性質があります。

◆霧吹きやルームミストを使用する除菌スプレーやルームスプレー、精製水で薄めたアロマオイルを霧吹きでまくといった方法も簡単に出来てオススメです。

◆入浴後にお風呂の扉を開けておく。充満した湿気を乾燥した部屋に流し込むことで、部屋の乾燥を一気に解消。部屋を加湿しすぎると、カビの原因にもなります。窓が結露してきたら湿度が高い証拠ですので、加湿をやめるなどして調節してください。

山田医院 医療事務 杉山恭子

子どものサプリメントについて

サプリメントは食品です。

もともとはdietarysupplement:食事を補うというところから出てきました。経口的に摂取するものは医薬品と食品に大別されていますが、食品の中でも機能を持つものがサプリメントに当たります。なかでも日常よく耳にするのは特定保健用食品(トクホ)で、これはこの商品を継続的に摂取した時の効果が既定の臨床試験で証明され認可を受けた食品にたいして標榜できる決まっている種類のものです。

子どものサプリメントで有名なものは夜泣き対策の乳酸菌サプリメントです。夜泣きは生後3か月頃からみられる睡眠中の周期的な啼泣です。6歳ころまでみられ、入眠後2-3時間から早朝にかけて1~数回出現します。原因は不明ですがやや男子に多く夜泣きが続く期間としては6位か月以上のこともあります。

一般には対策としては抱っこ、授乳が多くなっています。なおコリックとは生後5か月までに始まる過敏、興奮、号泣の発作が1日3時間以上続き週に3日以上のときに診断されます。日本では消化管に由来する腹部痛により夕方以降の夜間に多く乳児疝痛とも呼びます。腹部は膨満して緊張,下肢を腹部に屈曲していることが多く排便、排ガス等にて改善することがあります。日本人にとってコリックはなじみの乏しい言葉で夜泣きとしてとらえられています。この原因は海外を中心に腸内細菌のアンバランスによるものであると考えられており研究も進んでいます。

腸内細菌を整える乳酸菌の中でラクトバチルス・ロイテリ菌のサプリメントの服用で症状改善の報告があがってきています。

その後、種々の臨床研究でロイテリ菌の効果は便秘の改善、口腔内細菌の改善(歯肉炎の予防)、口臭対策、ピロリ菌の除菌、制菌とその効果は広がっています。ロイテリ菌は本来は母乳に含まれている菌ですが母親のストレスで母乳内に減少している可能性もあります。もしも夜泣きを指摘された際にはロイテリ菌の補助は選択肢の1つになります。夜泣き等で悩むことがありましたらまたかかりつけ医師に相談をしましょう。

山田医院 医師 山田良宏