第27巻 第2号(第313号)
胆道系疾患の最近の話題について
今回は日常診療において頻繁に遭遇する胆管炎、胆嚢炎、胆管結石等についての話題を日本内科学会雑誌令和8年1月号から抜粋をしました。
ところで胆道癌は依然として予後不良で高齢化に伴い罹患率、死亡率は増加します。 膵・胆管合流異状、原発性硬化性胆管炎、肝吸虫感染、慢性肝障害などが危険因子となります。 治療についても複合免疫療法が中心的になっておりゲノム検査はほぼ必須となっており、胆道癌は一律に化学療法を行う疾患から分子異状に基づき治療選択を行う疾患へと変貌しつつあります。
急性胆嚢炎、胆管炎は一般外来でしばしば遭遇する一般的な疾患です。 原因の多くは胆嚢結石、総胆管結石によるものですが、胆管炎については癌による胆管閉塞の伴うものも増えてきています。
急性胆嚢炎の治療については重症度によって対応が異なります。 基本的には初期治療として体調のモニタリングをしながら点滴、抗生物質の投与を行います。
軽症であれば早期の胆嚢摘出術(基本的には腹腔鏡視下胆嚢摘出術を行います。) 中等症であれば早期の胆嚢摘出術を行いますが、手術不可能であれば炎症反応が沈静化してから胆嚢に貯留した胆汁を排泄する胆嚢ドレナージを行います。 重症の場合には手術熟練者のもとでは全身管理を行い腹腔鏡視下胆嚢摘出術を行います。
胆嚢ドレナージは胆嚢から貯留した胆汁を排泄させる方法ですが、皮膚から針を刺して行う方法、内視鏡を使用して体の中から行う方法があります。
胆嚢炎の症状がある場合には基本的に胆のう摘出術を行う事になりますが、現在では基本的に腹腔鏡視下胆嚢摘出術になります。 胆嚢炎は一度炎症を起こすと再発率は2-5割と高率であり、手術についてはほぼ必須となります。
胆管炎も胆嚢炎と同様で初期治療を行い胆管のドレナージ手術が必要になります。 最終的には胆管内の結石を排泄することが治癒になります。
次いで胆石症についてですが、胆石症は胆道の中で澱んだ胆汁が結石を形成して、時に痛みや発熱などの症状を起こす病態の総称となります。
治療についてですが、まず胆嚢結石は無症候性胆嚢結石では経過観察が基本となります。 痛み、発熱などの症状がある場合には胆嚢摘出術が第1選択になります。 一般に胆嚢結石の60-80%は無症状と言われています。 無症状の胆石において15年で約3分の1で症状が出現します。 症状としては急性胆嚢炎、膵炎、黄疸となります。
基本的に無症候性胆石症について予防的に胆嚢摘出術を行う意義は乏しくなっています。 多変量解析では女性、若年、肥満、脂質異常症、喫煙などが独立した危険因子となり、複数の結石がある、9mm以上の大結石がある、胆のうポリープがあるなどについては、胆嚢癌の高リスク群であり胆嚢摘出術が必要になります。
なお、症状がある症候性胆嚢結石では右季肋部痛、違和感として発症することが多くなっています。 通常は右季肋部部の疼痛、違和感で発症することが多く疼痛は15-30分以上持続することになります・。 痛みは15-30分以上持続して右肩の放散痛を伴うこともあります。 通常発作は食後数時間後で生じることが多く、特に高脂肪食によって誘発されます。
発作時の服用については消炎鎮痛剤が有効であり、また発作予防としてはウルソデオキシコール酸を服用することで効果があります。
なお胆管内の結石については無症候性の場合には、予防的結石除去については治療の副作用の割には長期的な有効性は認められていないために経過観察となります。
なお、総胆管結石の症状としては発熱、腹部痛、横断からなるCharcot3徴が有名で、それに意識障害、ショックが加わるとRaynolds五徴があります。症候性胆管結石の治療については内視鏡を使用しての治療が中心となっています。
その他の結石としては肝内結石があります。 胆汁の鬱滞、感染症を背景として発生することが多くなっています。 胆管炎を繰り返すことも多く、また胆管癌のリスクが高くなっています。 肝内結石の根本的な治療法については肝切除が基本です。
胆道系結石症については症状がなければ治療については経過観察となりますが、発熱、黄疸等の自覚症状があれば初期治療の上で抗生物質の投与での経過観察となります。
今回は日常的によく見かける胆道系疾患についての話題提供を行いました。 心窩部の違和感、痛みがあり受診する方は多く、診療に際しては胆道系疾患、上部消化管疾患等との鑑別もありやや大変です。 また胆道系においてのトラブル等がありましたら相談ください。
山田医院 医師 山田良宏
メニエール病について
数年前にひどいめまいに襲われ、色々な検査をした結果、自律神経の乱れとの診断を受けましたが、最近になり頻度が増えてきた為、再度耳鼻科受診をしたところ、メニエール病の初期症状との診断を受けました。
最近、周りでも、メニエール病だった…との話を聞くことが増えてきたなと感じる今日この頃。
改めて、めまいについて今回お話ししていけたらと思います。
めまいは大きく2種類に分けることができます。 1つは自分自身や周囲がグルグル回っているように感じる「回転性めまい」、もう1つは体がフラフラしたり、グラついたりする「浮動性めまい」です。
回転性めまいは耳の異常から生じやすいとされていますが、実際はめまいの症状だけで原因は特定できません。 めまいの原因は脳や耳の異常、ストレス、睡眠不足、加齢、血圧調整異常などがあります。最も多い眩暈の原因は耳の異常で起こります。この場合、耳鳴りや難聴を併発することもあります。
めまいがした時に、特に注意が必要なのは、手足のしびれ、ろれつが回らない、物が二重に見えるなどの症状を伴う場合であり、脳の異常によるめまいの可能性が高いとされます。 この場合は脳梗塞や脳出血など、一刻を争う場合があるので救急病院などを受診し、専門医の診断を早めに受ける必要があります。
めまいで最も多い疾患が「良性発作性頭位めまい症」です。 耳の奥にある内耳には「耳石器」という、体の位置や直線的な加速度を感じる感覚器があります。その耳石器の一部がはがれ、体の回転加速度を感じる感覚器である「三半規管」に入り込むことによって起こると考えられています。 朝、起き上がる時や、頭を動かすときに、回転性のめまいが起こります。めまいの持続時間は1分以内の事が多く、安静にしているとおさまります。めまいは繰り返しますが、2週間〜1ヶ月くらいで自然治癒する場合がほとんどです。
良性発作性頭位めまい症の次に多いのが「メニエール病」によるめまいです。 メニエール病は、耳の内耳というところにあるリンパ液が増えて、浮腫(むくみ)を起こした状態をいいます。ただ、むくみの原因はわかっておらず、めまいや吐き気のほか耳鳴りや難聴・耳の閉塞感といった症状が現れることがあります。
めまいの持続時間は数十分から数時間と比較的長いのが特徴です。また、再発や聴力の悪化などもあり、なかなか治りづらい場合もあります。
メニエール病は、内耳にあるリンパ液が増えるということ以外、病因が明らかになっていません。
メニエール病と診断されたら、薬物療法による対症療法が中心となり、症状の種類や重さに合わせて、血流改善剤・利尿薬・精神安定剤・自律神経調整剤などを使用します。ひどい発作が起きた時は、点滴や注射を行います。 利尿効果を目的として、水分を普段より多めにとるという飲水療法をすすめている病院もあります。
メニエール病の発作は、ストレスや心身の疲労が蓄積するほど起こりやすくなります。特にストレスは大敵となる様なので、日常生活では無理せずリラックスする事、また、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事をとり、規則正しい生活を送ることが大事だそうです。
とは言え、なかなかその様な生活をするのは簡単ではなく…ですが、少しでもそのような生活に近づけるよう心掛けたいです。
山田医院 看護師 川上啓
花粉症緩和について
2月も半ばを過ぎインフルエンザも少し落ち着きだした今日この頃ですが、既に花粉症に悩まされてる方も少なくはないですね。
毎年春になると、多くの方が悩まされる「花粉症(アレルギー性鼻炎)」。
花粉が飛び始めると、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどの症状が出現し、日常生活や仕事に支障をきたすことがあります。
花粉症は体の免疫システムが無害な花粉を「異物」として認識してしまうことが原因で起きるアレルギー反応です。 鼻の粘膜でヒスタミンなどの化学物質が放出され、症状が現れます。
日常生活でできる「飲み物によるケア」
花粉症の症状を完全に治す食べ物や飲み物はありませんが、日々の食生活に取り入れることで症状の緩和が期待できる飲み物があります。 以下のような飲み物は、抗酸化作用や抗炎症作用のある成分を含んでおり、花粉症の季節に取り入れられています。
症状の緩和が期待できる飲み物
緑茶
カテキンなどポリフェノールを含み、アレルギー反応に関わる物質の生成を抑える可能性があるとされています。
紅茶・ウーロン茶
緑茶と同様、ポリフェノールを含むため、症状緩和効果が期待されます。
ルイボスティー・ハーブティー
抗酸化成分(フラボノイド等)が多く含まれており、夜でも飲みやすいノンカフェイン飲料です。
乳酸菌飲料
腸内環境を整えることで免疫機能と関連し、症状改善に役立つ可能性があります。
※これらの飲み物は即効性のある治療ではなく、継続的な日常の習慣として取り入れることが推奨されます。また、飲み物の効果には個人差があります。
飲み方に注意したいもの
アルコール類
血管を拡張させ、鼻づまりや目の充血を悪化させる可能性があるため、花粉シーズンは控えめにすることが望まれます。
過剰な乳製品
科学的根拠は十分ではありませんが、一部で「過剰摂取が症状を強める」と感じる方もいます。ただし通常の摂取量では問題ありません。
日常対策の基本
飲み物によるケアだけではなく、基本的な対策も合わせて行うことが大切です。
- 花粉飛散の多い日は外出を控える
- 帰宅時に衣類や髪についた花粉を払う
- 室内の花粉を減らすため、換気や掃除を工夫する
花粉症は生活の質に影響する身近な健康問題です。 飲み物によるケアは「少しでも楽に過ごす」ためのひとつの方法ですが、日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
山田医院 医療事務 増田教恵
小児の難聴、聴覚障害
難聴とは音声が聞こえないまたは聞き取りにくいといった症状で、小児難聴は1000人に1〜2人の割合で先天的にみられ、早期発見、早期対策が言語、社会性の発達に重要になってきます。
耳は外から外耳、中耳、内耳の3つの器官に大きく分かれており、外耳と中耳は音を伝える役割、内耳は音を電気信号に変えて脳に伝える役割をしています。
難聴の種類は、音が耳に入ってから脳に伝わる経路のどこに障害が起こっているかによって、伝音難聴、感音難聴、伝音難聴と感音難聴が合併した混合性難聴に大別されます。
伝音難聴は外耳や中耳に原因があり音が伝わりにくい難聴です。先天的な外耳道閉鎖症や耳小骨奇形、乳幼児期に多く見られる滲出性中耳炎などで起こります。また耳垢が多くたまりすぎても起こる場合があります。
感音難聴は音を感じ取るのが難しい難聴で、振動としての音の伝わりには問題がないけれど、伝わってきたゴールである内耳、神経、脳に何らかの原因があり、音を聞く、言葉を聞き取ることが難しいタイプです。
混合性難聴は中耳奇形と内耳奇形の合併などで見られます。
小児難聴の主な原因には遺伝、妊娠中の感染、早産、耳の感染症などがあります。
先天性の原因は、 1.遺伝によるもので小児難聴の約半数以上がこれに当たります。両親に難聴がない場合でも遺伝子の組み合わせによって発症することがあります。これらは難聴の遺伝子検査で調べることが出来ます。遺伝子検査は血液検査で保険適応です(3割負担で1.2〜2.4万円程度、子供は大阪市の医療費助成により500円で受けれます)。難聴の進行度やタイプ(高音/低音)、人工内耳などの治療法選択、将来の合併症リスク予測に役立ちます。 2.妊娠中に母親が風疹やサイトメガロウイルス、トキソプラズマなどに感染すると、胎児に影響を及ぼし難聴を引き起こすことがあります。 3.早産や外耳道の奇形、中耳の構造異常なども先天性難聴の原因となります。
後天性の原因は、 1.小児期によくみられる中耳炎で、急性中耳炎や滲出性中耳炎などで一時的または持続的な難聴を引き起こすことがあります。 2.アデノイド増殖症や副鼻腔炎などの耳の感染症で起こることがあります。 3.大きな音や頭部の外傷、聴器毒性のある薬剤など外的要因が原因になることがあります。
小児難聴は早期に発見し適切な支援を行うことで、言語や発達への影響を最小限に抑えることが出来ます。
日本では「1-3-6ルール」が推奨され、生後1か月以内に新生児聴覚スクリーニング検査を受け、生後3か月以内に精密検査で難聴の確定診断をし、生後6か月以内に補聴器の装着、専門的な療育の開始をすることを目標にしています。
大阪市では乳幼児の聴覚障害に対し、新生児聴覚スクリーニング検査の費用助成(一部)、専門的な相談支援、手話を用いた早期支援、児童発達支援センターでの療育など、早期発見から言語獲得、発達支援まで包括的なサポートを実施しています。詳しくは各区保健福祉センターへお問い合わせください。
子供が大きな音でテレビを見る、名前を呼んでも反応がないなど「あれ!」と思ったら耳鼻科受診をお勧めします。大阪市の小学校では1.2.3.5年生では全員、4.6年生では必要に応じて聴力検査が実施されています。難聴の疑いがある場合は耳鼻科での精密検査を受けてくださいね。
山田医院 看護師 中島早苗
ひどい夜泣きについて
夜泣きは保護者にとって深刻な悩みの1つですが、「夜泣き」は医学的には明確な定義はなく「乳児が夜間に理由なく目覚めて泣き出し、安静に戻すことが困難な状態」を一般的に示します。
特に生後6〜18か月頃に多くみられます。これは発達過程の一部でもあり必ず終わりがきます。
新生児期には昼夜の区別はなく短い睡眠と覚醒を繰り返しています。眠りもレム睡眠と言い浅い眠りの割合が多いのですが、生後3-4か月頃になるとメラトニンという睡眠ホルモンが分泌されはじめて少しずつ睡眠時間が夜間にまとまります。
生後6か月から1歳半頃にかけては夜泣きが頻発する時期ですが、この頃には睡眠サイクルが深い睡眠であるノンレム睡眠とレム睡眠が交互に現れるようになります。しかし、まだ未熟であるためにサイクルの入れ替わりで覚醒しやすく、その際に泣いてしまうことが多くなります。
1歳半過ぎから夜間の睡眠が安定して、5-6歳ころでほぼ大人の睡眠サイクルになります。夜泣きは特別な病気ではなく発達の一部であることの認識が大切です。
一般的な対応としてはリズムを作るために昼夜の区別をつける必要があります。 朝はカーテンを開けて日光を浴びて、夜は部屋を暗く静かにして、寝室は冬は18-20℃、夏は25-27℃にします。
また入眠前の過ごし方も大切でお休み前のルーティンを作ることもおすすめです。 なお夜の就寝時間はできるだけ固定して20-21時までには就寝できるようにしましょう。 また泣いてもすぐに反応はせずに少し時間をおいてから対応することも大切です。
ただあまりにも泣き方がひどいときなど病気が隠れていることもあるので受診が必要です。 治療としては漢方薬(抑肝散、甘麦大棗湯など)を使用することもあります。
今回はチャイルドヘルス2026年2月号から抜粋をしました。
山田医院 医師 山田良宏


