第26巻 第11号(第310号)
COVID-19に話題について
コロナ診療について2019年末に中国・武漢で報告された原因不明の肺炎に端を発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは瞬く間に世界を席巻してあらゆる分野に未曾有の影響を及ぼしましたがそれから6年も経過しました。
当院も2021年からはワクチンの接種、その後は発熱外来を開設しましたが阿倍野区内では公表した医療機関が3か所のみであり数か月ほどパニック状態となったことを思い出しました。
COVID-19はかつての脅威は薄れて「ただの風邪」とみなす風潮も存在しますが臨床現場においてはオミクロン株流行期以降においてもインフルエンザを大幅に上回る医療負荷が継続しており、一度重症化すれば予後は依然として厳しいものがあります。
今回は大阪保険医雑誌令和7年11月号から北野病院の丸毛聡先生が記載したアップデートについて抜粋をします。
コロナウイルスは免疫応答から逃れ、より効率的に伝播するために変異を重ね、その特性を劇的に変化させてきました。
パンデミック初期の2019-2020年は野生株の出現と世界的拡大があり、2020-2021年とアルファ株、デルタ株が出現して感染性と重症度の段階的増強が起こり、2021-2023年にはオミクロン株が出現しましたが、これ以降は高い免疫回避能力を持ち感染性が強くなりまし
た。
2023-2025年においてニンバス株が出現して風土病化となってきました。
ニンバス株の特徴としては従来株特にデルタ株以前では特徴的であった味覚・嗅覚障害の頻度は1%程度までに激減した代わりにカミソリを飲み込んだようなと形容される極めて重篤な咽頭痛を認めることもあり、またウイルスの潜伏期間も当初の5-6日から約3日へと短縮傾向にあります。
ウイルスの進化は感染経路にも影響を与えています。パンデミック初期には飛沫・接触感染が主要な感染経路と考えられていましたがオミクロン株以降は空気感染が主要な経路として認識されるようになりました。
この変化は特に院内感染対策に大きなパラダイムシフトをもたらしました。
従来は入院前スクリーニングや面会制限によってウイルスを院内に持ち込まない事を主眼とした対応が中心でしたが市中感染が蔓延して無症候感染者も多い状況では持ち込まれることを前提としてその拡散をいかに防ぐかというモデルへの変換が求められるようになりました。
その中核が換気の重要性で高性能の空気清浄機の導入を行う施設も多くなりました。
パンデミックが残した最も深刻な課題の1つはCOVID-19後遺症、通称LongCOVIDです。
これはSARS-COV2感染後に多彩な症状が3か月以上持続する場合の病状で急性期の重症度とは必ずしも相関せず無症候性感染後にも生じます。
このLongCOVIDは変異株の出現あるいはワクチンの接種により低下傾向にあります。
リスク因子としては女性、既存の併存疾患、肥満、貧困、急性期の症状が多かったあるいは重症であった、ワクチン未接種、急性期に十分は休養が取れなかった、反復感染などが挙げられています。
症状は全身の多臓器にわたり極めて多彩ですが特に頻度が高くQOLを著しく障害するのは倦怠感、ブレインフォグ(思考力、集中力の低下)、運動後倦怠感です。
この運動後倦怠感は身体的、精神的、感情的なわずかな負荷の数時間後から数日後に消耗性の激しい倦怠感が生じる症状です。
LongCOVIDの病態生理としては①ウイルス、ウイルス性分の残存②自己免疫③微小血栓と血管内皮障害④神経機能の不全などが考えられています。
このLongCOVIDの診断は血液検査等では分からず臨牀症状に基づいて行われます。
なお治療法も未確定であり対症療法が中心となります。
パンデミックにおいて科学がもたらした最大の功績はワクチンと抗ウイルス薬です。
COVID-19ワクチン、特にmRNAワクチンは遺伝子配列が公開されてから1年未満で実用化されました。
当初の野生株に対してはやく95%という驚異的な発症予防効果を認めていましたがウイルスの変異特にオミクロン株の出現により予防効果は減弱しました。
ただし重症化予防効果は比較的良好でありワクチン戦略の主眼は感染予防から重症化予防へとシフトしました。
現在はインフルエンザワクチン同様に年に1回の接種体制が確立しています。
現在は従来のmRNAワクチン(ファイザー、モデルナ)に加えてRBDを標的としたmRNAワクチン(第一三共)、自己増幅型mRNAワクチン(Meiji)、組み替え蛋白ワクチン(武田)など4種類のワクチンがあります。
ワクチンは高齢者や基礎疾患を有する方、免疫不全者などのハイリスク群の方には重症化を防ぐ意味で重要です。
なお治療についても当初は入院患者さんのサイトカインストームを抑制するために抗炎症剤の投与や呼吸管理が中心でしたが経口抗ウイルス薬が出現してからは外来での早期対応へと移行しています。
経口の抗ウイルス薬は現在3種類発売されており高額ですが保険適応で使用されています。
現在、政府は将来のパンデミックに備えるために抜本 的な制度改革に着手しています。
山田医院 医師 山田良宏
鼻血が出た時の対処方法
落ち着いてできる止め方と、病院に行くタイミングを知っておきましょう。
鼻血は子供から大人まで、誰にでも起こる身近な症状です。
多くの場合は心配のいらないものですが、まれに病気のサインであることもあります。
例えば、高血圧や動脈硬化があると、血管がもろくなり、鼻の奥にある太い血管から出血することがあります。
このような鼻血は量が多く、なかなか止まりにくいことが特徴です。
また、肝臓や腎臓、血液の病気がある場合も血を止める成分を上手く作れなくなり、鼻血が出やすくなったり、止まりにくくなったりします。
では、心配のいらない鼻血はどのようなものでしょうか。
鼻の奥から1cmほど入ったところには、細かな血管が沢山集まっています。
ここはとても傷つきやすく、鼻を強くかんだり、指でさわったりするだけで出血することがあります。
「鼻をさわったら血が出た」「鼻水に血が混じっていた」という程度なら、たいていは心配ありません。
ただし、何度も繰り返すようなら耳鼻科で診てもらいましょう。
「チョコレートやナッツを食べると鼻血が出る」と聞いたことはありませんか?
実は、今のところ食べ物と鼻血の関係を示す確かな根拠はありません。
それでは、鼻血が出たときの正しい対処法を紹介します。
まず、ティッシュを詰めたり、あお向けになるのはよくありません。
ティッシュを詰めると粘膜を傷つけて、かえって出血が長引くことがあります。
あお向けに寝ると、血がのどに流れて気分が悪くなったり吐いてしまうこともあります。
鼻血が出たときは次の手順を行ってみましょう。
- 椅子にすわり、少しうつむく。
- 出血している側の小鼻を、人差し指でしっかりと5分ほど押さえる。
- 5分後に指をはなし、出血が止まっているかを確認する。
- まだ出ているようなら、もう一度同じように5分押さえる。
多くの場合は、この方法で止まります。では、どんなときに病院を受診すればよいのでしょうか。
10分以上押さえても止まらない、出血の勢いが強い、血がのどの奥に流れてくる。
または出血の量が多いときは、すぐに耳鼻科や救急外来を受診してください。
鼻血はほとんどが一時的なものですが、正しい対処法を知っていれば、落ち着いて対応できます。
慌てずに、まずは深呼吸をして、落ち着いて鼻を押さえましょう。
山田医院 看護師 石田知子
我慢しすぎずに
先日、私、50歳の誕生日を迎えました。
この数年少しずつ体調にも変化があり、年付き合ってきた月に一度の生理も不規則だったり、量が少なくなったり、と終わりを迎える準備に入っているようです。
私は生理痛が本当にひどくて、高校生のときには意識を失った記憶が。
当時から病院にも通いましたが特にこれといった改善方法もなく、鎮痛剤を服用して何とか数十年耐えてきました。
先日、同じく生理時に体調を崩す娘のことで山田先生にお話しを聞いていただいた時に、生理をコントロールして体調を整えることはそんなにハードルが高いことではないと教えていただきました。
そういった方法があることは知ってはいましたが、改めて調べてみました。
日本で生理のコントロールのために主に使用されているのは(超)低用量ピル。
ピルは黄体ホルモンと卵胞ホルモンの2種類のホルモンを含み、自然な形で脳に「妊娠中」と錯覚させることで排卵を抑制します。
脳に妊娠したと錯覚させることで生理の諸症状を緩和し、生理周期を安定させる働きがあるのです。
○ピルが生理に与える影響
- 規則的に服薬するので生理周期を安定させることができる。
- 子宮内膜の増殖が抑えられるため、通常よりも内膜が薄くなり、月経血の量を抑えられる。
- 生理痛の主な原因となる子宮内膜から分泌される「プロスタグランジン」という物質の分泌量を減らす。この物質が子宮を強く収縮させることで痛みを引き起こす原因になっている。
- PMS(月経前症候群)の原因となる黄体ホルモンの急激な変動を抑えることで、頭痛、イライラ、胸の張りなどの不快な症状も軽減される。
- 服用スケジュールを調整することで生理の時期をコントロールできる
現在、日本では最長120日の連続投与が認められているようです。
これによって4ヶ月生理を遅らせることができます。
もし、4ヶ月に1度しか生理がこなかったら、私の生活もずいぶん違っただろうなぁと想像すると生理をコントロールするという選択肢もあればよかったと今更ながら思いました。
本当に生理が辛くて、という方は我慢しすぎずに婦人科に相談するのもいいかもしれませんね。
ただし、この薬を使うのに注意がいる人もいます。
35歳以上の喫煙者、血栓症の既往歴や家族歴がある、偏頭痛(特に前兆を伴うもの)があるなど。
薬を服用するので不正出血などの副作用がある場合があります。
痛みも苦痛も心配もしっかりと医師と話して少しでも快適な生活を送りたいですね。
山田医院 医療事務 東川敏美
脳梗塞はどんな病気?
みなさんもよく知っている病気だと思いますが、脳梗塞になると、脳の血管が詰まって血流が止まり脳に酸素や栄養素が行き渡らなくなり脳細胞が死滅する病気です。
脳細胞の働きが悪くなり麻痺、しびれ、言語障害、意識障害、視野の異常などの後遺症が残る可能性があります。
症状は突然現れ、進行が速いため迅速な治療が不可欠です。
脳の損傷は元に戻らないため治療の開始が遅れるほど後遺症が重くなるリスクが高まります。
脳梗塞の前兆として①片側の手足のまひやしびれ、②言語障害(ろれつが回らない)③片方の目が見えにくい、視野がかける④めまいや平衡感覚を失うといった症状があります。
これらは「FAST」という覚えやすい言葉でチェックできますので覚えておくといいですね。
- F(Face)顔のゆがみはないか?(口角が下がっていないか?)
- A(Arm)片腕に力が入らない、しびれはないか?
- S(Speech)言葉に異常はないか?(ろれつが回らない、言葉がうまく話せない、理解できない)
- T(Time)症状が現れてから時間がたっていないか?このような症状が一つでもあったらすぐに、救急車を呼びましょう。脳梗塞は発症からできる限り早く(目安として4.5時間以内)に治療を開始することで損傷する脳の範囲を最小限に抑え、後遺症を軽くできる可能性があります。
脳梗塞の種類は、
- ラクナ梗塞:脳の深いこところの細い静脈が狭くなって詰まる、日本人に一番多いタイプ
- アテローム血栓性梗塞:脳の太い動脈にどろどろの粥状のコレステロール(アテローム)がこびりつき血流が悪くなって血の塊ができて詰まる。
- 心原性脳塞栓症:血栓ができやすい心臓病(心房細動・心筋症・弁膜症など)で心臓にできた血液の塊がはがれ、血流に乗って脳の血管に運ばれて詰まる。
脳梗塞は再発しやすく、発症後1年で10%、5年で35%、10年で50%の人が発症すると言われています。
脳梗塞を予防するには、生活習慣の改善が最も重要です。
禁煙、節酒、適度な運動、塩分控えめな健康的な食事を心がけ、高血圧や糖尿病、脂質異常などの生活習慣病を管理することが挙げられます。
またストレスを軽減し、十分な睡眠をとり、定期的な健康診断や脳ドックで早期発見・治療することも大切です。
これから本格的に寒くなっていくと、血管が収縮して高血圧になったり、乾燥による脱水になったり(知らず知らずのうちに水分が失われて血液がどろどろになったり…)
温かい部屋と寒い屋外など急激の温度変化も血圧の急上昇を引き起こしたりして脳卒中のリスクを高めますので、安定した生活習慣を心がけましょう。
山田医院看護師 三栖 佳子
アデノウイルス感染症について
アデノウイルスはもともとはいわゆる風邪のウイルスで風邪の10%程度を占めています。
咽頭炎、鼻炎をおこすことが多く肺炎、胃腸炎、稀には脳炎、肝炎なども引き起こします。
感染経路は飛沫感染とともに糞便を介した感染が中心となります。
アデノウイルスは手指を介しての感染が中心であるためにいろいろなものを口に入れがちな乳幼児期に起こりやすいと言われています。
アデノウイルスには型が100種類以上あるために何度でもかかる可能性があります。
また他のウイルスに比べると長期にわたり排泄されるために集団生活では注意が必要です。
また非常に感染力がつよいために家族内では感染が広がりやすく大人も感染することがあります。
治療については特効薬はなく対症療法となります。
感染予防には流水での手洗いとマスク、オムツ交換時の手袋の使用等が重要です。
なお家庭内でのタオルの共有も避けましょう。
なおアルコールに抵抗性が強いために消毒は次亜塩素酸ナトリウムでの消毒が必要です。
現在はまだワクチンはありません。
アデノウイルス感染症で有名なのがプール熱(咽頭結膜熱)と流行性角結膜炎です。
発熱、結膜炎、咽頭炎の3つがそろえばプール熱と診断されます。
これは症状消失した日から2日間は出席停止となります。
流行性角結膜炎ははやり目とも言われていますが2週間ほど症状は持続します。
症状消失までは出席停止です。
今回のアデノウイルスについての話題は佐久医師会の教えてドクターより抜粋しました。
この教えてドクターはいろいろな疾患について大変分かりやすく記載されていますので是非ご覧ください。
山田医院 医師 山田良宏


