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山田医院だより

第15巻第4号(第171号)

味覚と嗅覚について

視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の5覚が人の五感と言われるもので現代医学においては視覚、聴覚の研究の進展は目覚ましいものがありますが味覚、嗅覚については検査法、治療法ともに大きな後れを取っているのが現状です。
味を受容する器官は味蕾(みらい)でこの味蕾は舌では舌の先端にある茸状乳頭、舌の横にある葉状乳頭、奥にある有郭乳頭にありこれらの部位を中心に味を感じています。
なお味蕾は舌だけではなく軟口蓋と言われる上口の奥にもあります。

一昔前の教科書には舌の先端では甘味、奥では苦味、、、というような味覚地図がありましたが現在ではこの味覚地図は完全に否定されています。

ただし、舌のどの部分でも同じように味を感じるのではなく舌の部位によって味覚の感じる質が違うことは経験からもわかります。

舌のどの部分でも一通りの味を感じることはできるものの味の感じ方などは舌の部位で異なることがわかっています。なお、味蕾で感じる味は基本5味と言われる甘味、苦み、酸、塩味、うま味の5種類です。

たとえば辛みなどは基本味ではないために味蕾で感じるのではなく味蕾の近傍にある自由神経終末で受容され感知しています。味覚は遺伝的にあるいは体調によって変化することがわかっています。

なお嗅覚と違い味覚は簡単には順応しないことがわかっていてまた同時に味覚は加齢に伴って減退は少ないと言われています。

味覚障害の原因としては亜鉛欠乏や食事性の味覚障害が多い中で65歳以上では薬剤性が一番の原因となっています。日本人の食事において亜鉛の摂取量が減少、高齢化に伴う服薬薬剤の増加、加工食品の増加等により亜鉛等の摂取が少なくなり味覚障害が増えている可能性があります。

治療としては亜鉛の投与あるいは亜鉛キレート剤となりうるあるいは長期服薬している疑わしい服薬薬剤の中止などとなります。

特殊な病態として異味症があります。これは食べ物や飲み物が本来の味とは異なった味に感じられる状態で原因が不明なことも多くなっていますが味覚にかかわる神経の損傷、口腔内の状態の以上等から出現することも多くなっています。嗅覚についてもまだ分からないことが多いのですがにおいのもとは数10万ともいわれている化学物質でこの構造物がひとに400種類以上ある嗅覚受容体にくっつくことにより大脳で感知していると考えられています。

嗅覚の障害はにおいを全く感じないあるいは感じ方が弱くなる量的嗅覚障害とにおいの感じ方の変化が生じる質的嗅覚障害があります。

これは物のにおいを嗅いだ時に従来のにおいと異なって感じる、何のにおいを嗅いでも同じに感じるなどの刺激性異臭症と常ににおいを感じるなどの自発性異臭症に分けることができます。

なお嗅覚障害の原因としては半数近くが慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎に伴う嗅覚障害でその他として感冒罹患後、頭部顔面外傷などがあります。味覚障害では心因性の障害が少なからずあるようですが嗅覚低下あるいは脱失では心因性は少ないようです。

治療法としては原因となる疾患の治療が第1となります。副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎等の治療から始まり、必要に応じてステロイド点鼻療法等が施行されます。

なお、嗅覚障害はパーキンソン病あるいはアルツハイマー病の発症前に発現することがあり高齢者の嗅覚障害ではこれらの疾患が発現しないか経過を見ることも大切です。なお、嗅覚と味覚は深く関連しており味覚障害に嗅覚障害が合併することも多く見受けます。嗅覚障害が原因で味覚障害があり、かつ味覚検査で異常がないものを風味障害と言います。この風味障害は突然発症する嗅覚障害に生じやすく、特に感冒後嗅覚障害では風味障害が30%近くあると言われています。この場合には嗅覚障害が改善すると味覚障害も改善します。

そのた食事をおいしく感じるのは食べているときに口の奥で食べた際に出るにおいを感じることが大切でこれがないとおいしく感じられないこともわかっています。嗅覚並びに味覚についてはあまり日常生活においては問題とならないことも多く訴えが多くないようですが質の高い潤いのある生活を送る上では大切なことです。

 

山田医院 医師 山田良宏

肩甲骨

肩甲骨は、肩や腕を上げ下げするときなどに動く骨。胸郭(肋骨)を土台に、滑るように動くのが特徴です。

本来は、呼吸によって胸郭が縮小、拡張するときにも動きますが、呼吸が浅い現代人の多くは、その動きが悪く、肩甲骨周辺の僧帽筋(そうぼうきん)や肩甲挙筋(けんこうきょきん)、菱形筋(りょうけいきん)といった筋肉の動きも悪くなり、肩こりの原因になるようで、胸郭の動きを良くすることで、肩甲骨とその周辺の筋肉の動きが良くなり、肩こりによいようです。

「肩甲骨ほぐしストレッチ」として、肩を上下、前後に動かしながら、胸郭が大きく動くように深呼吸をします。胸郭の動きが良くなると、肩を回すだけではほぐれない肩甲骨まわりの筋肉もストレッチされるようです。

呼吸と動きの組み合わせで、肩甲骨の奥まで効くようです。 また、肩甲骨5分間ダイエットがあります。朝晩2回。

1)脚を肩幅くらいに開き、息を吸いながら頭の上で、手のひらをあわせます。

2)手のひらを外側に向け、ひじをゆっくりうしろにひく。

3)肩甲骨を中央によせ、息をゆっくり吐きながら、ひじを胸の位置までゆっくりおろします。肩甲骨を真ん中によせるイメージで動作をゆっくり行うことがポイントのようです。背中のお肉に隠れてしまっている肩甲骨を、しっかり動かしてみます。

山田医院 事務 中西美鶴

脱炭水化物について

4月に入り、ようやく暖かくなってきましたが、朝晩は冷えますので体調管理気をつけてくださいね。

先日、ダイエットのTV番組を見ていると「糖質依存性」という言葉が出てきました。甘いものが好き、甘いものは別腹…とのんきに考えている場合ではありません。「依存性」となるとちょっと厄介だなと思って調べてみることにしました。

「糖質依存」=炭水化物依存「炭水化物」は糖類で合成される化合物であり、砂糖と同じ、糖質であることに変わりはありません。炭水化物をたくさん食べると、小腸でブドウ糖などの単糖類に分解され、膵臓から膵臓から大量のインスリンが分泌されます。インスリンは血液中のブドウ糖を除去しようとするので、今度は血糖値が下がり過ぎ、正常値よりも低い状態になります。すると、脳のエネルギー源となるブドウ糖が足りなくなり、脳がガス欠を起こし脳はエネルギー不足に陥ったと判断して、また何か食べろと言う指示を出してしまいます。これを「炭水化物依存」といいます。砂糖や炭水化物を日常的に摂取していると、より多くの量を食べないと我慢できなくなり、その欲求が満たされないと、イライラしたり、怒りっぽくなったりします。

そのほかにも以下の項目に当てはまる人は要注意です。

☆甘いものを毎日何度も食べる、食べると止まらなくなることがある。

☆甘いモノを食べるとホッとする。甘いモノを食べると幸せを感じる。

☆パンやうどん、パスタだけのような炭水化物オンリーの食事をとることが頻繁にある。

☆毎回の食事で主食がないと落ち着かない、丼ものが大好き。

☆食後に眠くなりやすい。

このようなことが当てはまると、無意識のうちに糖分を摂り過ぎてしまっているので要注意です。放っておくと肥満、動脈硬化、糖尿病など、様々な生活習慣病を引き起こす恐れがありますので、食生活を見直してみましょう。糖質オフの食事を始めるには、食べ物に含まれている栄養素を知ることが大切です。

糖質を多く含むものは、ごはんやパン、麺類などの主食、甘いお菓子など…。甘いもののかわりに、ナッツやチーズなどの「高たんぱく」のものを食べたり、主食は抜けるときは抜くか、なるべくGI値の低い玄米や全粒粉のものを選ぶなどの工夫をして、糖の全体量を抑えるのが大切です。「たんぱく質」はインスリンを分泌させません。

魚、肉、卵、チーズ、等をメインメニューにし、お腹一杯食べるようにしましょう。カロリーが気になって、肉などをお腹いっぱい食べるのに抵抗がある方も多いかもしれませんが、たんぱく質をお腹いっぱい食べないと、糖質中毒を克服できないと言います。ご飯ではな
く、おかずをたくさん食べるようにするといいそうです。

私も甘いもの、炭水化物大好きです(^_^;)

上記項目に当てはまることが多いので、「脱炭水化物」挑戦してみようと思います。

山田医院 看護師 三栖佳子

腹七分が長寿の秘訣

みなさんは一日三食きちんと食べてますか?

最近巷では、空腹の状態がアンチエイジングに繋がるとか一日一食で十分足りる!とか・・・食べ過ぎない、空腹状態を保つことが体に良いとよく言われています。
(やはりこれは某医師の活躍のおかげ??)一日三食はもはや古いのでしょうか?!

今回は改めて空腹の状態にすることで体にどのような効果をもたらすのかについていくつか利点を挙げて簡単に紹介したいと思います。
第一に空腹になるとサーチュイン遺伝子が働きます。長寿遺伝子、若返り遺伝子とよばれ、この遺伝子が働くと体中の細胞にある遺伝子をすべてスキャンし、壊れて傷ついた遺伝子を修復してくれます。

第二に細胞中のミトコンドリアが活性化し、エネルギーを作る能力が高まるので年をとっても若々しく健康な体を維持することが可能になります。

これらのことから空腹状態を維持することが長寿へのカギになるといえます。空腹状態を維持するには、食事の量を腹七分から八分くらいに抑える、また空腹を感じたら30分から1時間あけて食事をするのが効果的です。・・

といっても飽食の時代、なかなか食欲を我慢するのは難しいものです。歯を磨く、よく噛む、炭酸水を飲む等自分に合った方法で空腹を紛らわせて、健康な体を目指してみては如何でしょうか。ちなみに空腹状態になると記憶力が向上する可能性があるそうで
す。仕事をするときは助かるかも(笑)偶には朝食を抜いてみるのもいいかもしれません・・・。

山田医院 医療事務 川村 理恵

花粉症について

まだ少し寒い日もありますが、だんだんと暖かい日も増え本格的な春が近づいてきましたね!★

しかし、今の時期花粉に悩まされてる方も多いのではないでしょうか?私も去年から少し鼻がむずむずして、くしゃみがでて花粉症なのかな、、と感じています。

花粉症は約40年前に発見されたかなり最近の病気ですが、以来花粉症患者は増え続け、今では日本人の4人に1人が花粉症だといわれています。

花粉症は意外なことに健康な体を保つ為の「免疫」と体内でのしくみは同じで、人体には体の外から侵入してくる異物に対し、その物質を排除する働きがあります。外部から侵入してきた物質(抗原)に対抗する物質(抗体)を作り体を守ろうとするのですが、抗体が一定量になった時同じ抗原が進入してくると、その抗原が抗体と結びつき、それまでと違った反応を示すのです。この反応が体に都合よく働く場合を「免疫」といい、例えばはしかやおたふく風邪に2度かからないのはこの免疫の働きによるものです。

しかし、免疫は時と場合によっては人体に不快な症状を招きます。花粉症の場合はくしゃみで吹き飛ばす、鼻水・涙で洗い流す、鼻づまりで中に入れないよう防御するなどの症状が出てくるのです。

では花粉症にならない人はいるのでしょうか、、?

体質による個人差はありますが、今は平気な人でもこの先かからないとはいえず、花粉症の最大の要因はアレルギー体質の遺伝ですが、生活習慣や住環境など色々な要素があり、家族に花粉症の人がいても発症しないケースは珍しくなく、発症する確率はそれまでに花粉を吸ってきた量が関係します。

数年しか花粉を吸っていない子どもと、20年間吸ってきた大人では、大人の方が発症しやすいといえるでしょう。

しかし、今では食生活や環境の変化でとくに14歳以下の子供が花粉症にかかる率が高いのが特徴で、10年前に比べて4倍にも増えたと言う報告もあるそうです。

山田医院 医療事務 平賀怜奈

乳幼児期の喘鳴について

乳幼児期に喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼーなどといった呼吸の音)をきたすことは多く、3人に1人は喘鳴の経験があるようです。

ただしこの喘鳴も成長とともに低下して思春期には10%足らずになります。この喘鳴は気管支喘息が原因としては有名ですが気管支喘息以外にもウイルス感染、気管支炎/肺炎、心臓病などの内臓疾患以外にも異物の誤嚥などによることもあります。

日本の小児喘息のガイドラインにおいては「気道感染の有無にかかわらず明らかな呼気喘鳴を3エピソード以上繰り返した場合には乳児喘息と診断をしますが国際的なガイドラインであるGINAでは厳密に鑑別疾患をするべきとしています。

原因が不明で喘鳴を認める乳幼児に早期に吸入ステロイドの投与を行うほうがいいのかという面については長期予後については早期の吸入ステロイドの投与が良いとはまだ分かっていません。乳幼児の喘鳴については肥満、アトピー素因がリスクとしては考えられており、環境的には喫煙、母親のストレス、不安とも関連があります。繰り返しになりますが2歳未満の乳幼児では気道感染の有無にかかわらず明らかな呼気性喘鳴を3エピソード以上繰り返した場合には乳児喘息と診断、状態に応じての治療が必要になります。特に日常生活ができなくなる中発作(横になれない、食事がとれず、話しかけられても答えることができない状態)では病院の受診の考慮が必要になります。

子どもの喘息発作の約半数はウイルス感染によって発症しています。これは低年齢でまた冬季にその頻度が高くなっています。この気道感染がきっかけの場合には吸入ステロイドは必ずしも有効ではなくむしろロイコトリエン受容体拮抗薬(オノン、シングレア、キプレスなど)の方が有効であることも多くまた、運動によって誘発される運動誘発喘息においてもこの薬剤が有効です。一方、中等症より重症の喘息については吸入ステロイドが必要となります。吸入ステロイドの大量投与は成長障害等の問題がありますが中等量においては問題ないと考えられています。急性期においては喘息発作の対応が原因にかかわらず必要ですが長期にわたる管理においては鑑別等を行い症状に応じてステロイドあるいはロイコトリエン受容体拮抗薬、その他気管支拡張剤を使用して発作予防が大切となります。

山田医院 医師 山田良宏