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山田医院だより

第15巻第5号(第172号)

肥満症について

見た目で肥満かどうかある程度わかりますが医学的な基準としては体格指数BMI(体重kg÷身長m÷身長m)を使用します。

世界的な基準(WHO)ではBMI30以上が肥満となりますが日本においてはBMI25以上が肥満となります。(WHOでは日本の肥満に当たるBMI25は過体重overweightとしています。

世界的にみると肥満が最も蔓延している地域は南北アメリカ大陸で成人の60%以上がBMI25以上、25%がBMI30以上です。

一方最も肥満が少ない地域は東南アジアでBMI25以上が15%、BMI30以上が3%です。国民総生産で見ると上位の国々で肥満の増加を認めています。

運動不足あるいはアルコール摂取量並びに脂肪摂取比率の増加が原因であると推測されています。

なお、日本においてはBMI25以上の肥満者は男性の30%、女性の20%に認めておりBMI30以上の肥満者は男女とも4%未満となっています。

肥満者の割合は男性は40歳代をピークに年齢と共に減少、女性では40歳から肥満者が急に増加し、年齢と共に増加します。女性においての肥満は美容的な問題だけではなくすべてのライフステージにおいて問題が出てきています。

やせが月経不順の原因になることは知られていますが肥満でも月経異常は高頻度であり特に内臓脂肪型肥満でその頻度が高くなります。

月経異常は不妊症の原因ともなりまた妊娠中の肥満は妊娠合併症の増加につながり、閉経後は肥満によりホットフラッシュが多くなり、肥満に伴い足首あるいは大腿部の骨折のリスクも高くなります。なお、肥満は脂肪組織が過剰に蓄積した状態を示しますが、「肥満症」となると肥満に関連した健康障害(糖尿病、高血圧、脂質異常、脂肪肝など11種類)を合併するかあるいは内臓脂肪が100㎠以上であるいわゆるハイリスク肥満を肥満症としています。

この内臓脂肪100㎠に相当するウエスト周囲長としては男性で85cm,女性で90cmとなります。

この数字はよく見かける数字でご存知の方も多いと思いますがメタボリック症候群の診断基準になります。

メタボリック症候群はこのウエスト周囲長に血糖値、血圧値、脂質値の異常で判断を行います。

メタボリック症候群は心血管疾患のリスクとして特定保健指導が行われます。一方肥満症については心血管疾患のリスクとしてはもちろん糖尿病、高血圧、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、胆石症、気管支喘息発作、血栓症のリスク、その他に大腸がん、子宮内膜癌、乳癌などの悪性疾患、変形性膝関節症、腰椎症などのリスクとしてもあげられており肥満の予防、治療がこれらの面からも重要となっています。

肥満症の治療については3%程度の体重減量でも血圧、血糖、脂質、肝機能等の検査値は改善することがわかっていますが減量の効果を持続するためには継続的な他者の介入が必要でそれがない場合にはリバウンドの率が高くなっています。

食事については基本的にはカロリー制限食となっています。最近注目の糖質制限食は極端な糖質制限は現時点ではまだ避けるべきです。運動療法については体重減少の効果は食事療法よりも少なく減量後の体重維持には週に200-300分程度の運動が必要となります。一般には有酸素運動が効果的ですが高齢者では骨格筋量の減少を認めるために有酸素運動に加えてレジスタンス運動(筋トレ)も重要となります。薬

物療法としては現在日本においては2種類の薬剤がありますが保険適応の縛りもあり肥満症であれば服薬が可能という状態ではありません。

なお諸外国で比較的広く行われている肥満の治療としては外科手術があります。胃を細く切り小さくする手術(スリーブ状胃切除術)が最も行われている方法で4月から保険適応にもなりました。外科手術はいわゆるリバウンドもなく体重減少も30-40kg程見込まれておりBMI35以上の行動肥満に対しては最も有効な治療の1つとなっています。肥満に対しては体重を標準体重まで下げる必要はなくとりあえずは3-5%程度の体重の減少(肥満学会が推奨する3kgの減量、3cmのウエスト周囲長の短縮)を目指せれば糖尿病、脂質異常、高血圧等については効果も見られます。一般には食事と運動療法を中心として必要に応じて服薬を使用することになります。少し体重、ウエスト周囲長が気になりだしたら注意をしましょう。

山田医院 医師 山田良宏

体に必要な水を正しく飲んでゲンキに!

ヒトの体は約60%は水分でできています。汗などで少し失われただけでも体には大打撃です。

熱中症予防や健康維持のために、水分補給が重要な要素になってきます。ヒトが飲む必要のある水の量は、1日約1.2Lです。

体にとって大切な水を正しく補給し、蒸し暑い初夏や猛暑を乗り切りましょう。

◆熱中症予防のための水分:

水分補給は熱中症予防の重要ポイントです。のどが渇いていなくてもこまめに水を飲みましょう。枕元にも水を置いて、就寝前と目覚めた時にまず一杯の水を摂取しましょう。

 

◆効果的な飲み方:

水分不足は血液の流れを妨げ、熱中症以外にも健康障害の要因になります。

一度にたくさん飲むのではなく、少量を常に補給するのが効果的。

入浴の前後や飲酒後の水分補給もお忘れなく。

 

◆スポーツ時の水分補給:運動時は
汗で塩分も失われ、熱疲労からの回復が遅れます。1000mlの水に1~2gの塩を入れたものか、市販品なら100ml中ナトリウムが40~80mg含まれた飲料水でこまめに水分と塩分補給をしましょう。

◆かしこい浄水器
の使い方:には蛇口直結型や据え置き型、ポット型など様々な機種があります。おいしい水作りに役立つ一方、使い方を誤ると水質を悪化させてしまうことがありますので、生管理に注意し上手に使いようにしま
しょう。浄水器を通した水は消毒のための塩素(カルキ)の臭みが除かれ、鉄サビなどの濁りがろ過材で除去されます。

このためおいしく感じられる一方、塩素がなくなるため細菌が繁殖しやすくなります。浄水後の水は出来るだけ早く使うことが大切です。

山田医院 医療事務  杉山恭子

母子健康手帳から親子健康手帳へ

ゴールデンウィークが明け、梅雨入りを間もなく迎えるこの時期。何だか気分がすっきりしないと感じる人も多いかと思います。ちょっとおかしいなと普段と違う変化を感じた時は、ゆっくりと休息をとったり、栄養バランスに気を付けたり、気分転換を図るなど生活のリズムを整えてみるといいかもしれませんね。

さて、今回は最近私が気になった記事から少しお話させて頂こうと思います。5月14日のニュースにて、海外に住む日本人の妊婦に対し、各国の日本大使館等を通じて母子健康手帳が無償配布されることが報じられていました。

国内では妊娠すると、妊娠から出産、乳幼児期の子供の発育状況などを記録する「母子健康手帳」が自治体から交付されます。ところが、海外で生まれる日本人の子どもは年間1万人を超えているにもかかわらず、海外では手帳は配られていないため、これまでは入手が困難とされており、改善を求める声が数多く出ていたそうです。妊娠期から就学前まで一貫して記録できるスタイルは日本にしかないもので、国ごとに胎児の推定体重、乳幼児の標準体重、成長曲線が違うため、海外在住の日本人は発育不良ではないかと不安を抱きがちだったことを考えると、手軽に日本の母子健康手帳が手に入るというのは心強いですね。

この取り組みは、博報堂のソーシャルデザイン専門組織hakuhodo i+dおよび一般社団法人親子健康手帳普及協会が運営する「日本の母子手帳を変えよう」プロジェクトによるもので、配布されるのは、独自に開発された「新・母子健康手帳(通称;親子健康手帳)」というものだそうです。

2011年度から日本国内で提供が開始されていたというこの「親子健康手帳」。

お父さんの育児参加を応援する「お父さんも一緒」機能や、子どもの医療歴を成人まで残す「健康カルテ」機能、育児の不安を減らす「癒し励まし」機能などが特徴となっています。

そして、なにより大きな変化は「母子」から「親子」へと名称が変わることでしょうか。山田医院でも、お父さんが子どもさんを連れて来院してくださる機会が多々ありますが、受付などで「母子健康手帳をお持ちですか?」と尋ねること対し、なんだか悲しく残念な気持ちを常々抱いていました。

言い回しひとつの些細なことかもしれませんが、お父さんが自分も使うものだと感じとってもらえる工夫はジェンダーバイアスを打ち破るという意味で、とても大きな力があるように感じられます。

親子健康手帳についての詳しい内容は下記のHPにて紹介が行われています。興味のある方は是非ご覧になってみては。
2014年度現在では178の自治体に採用が拡大しているそうですが、残念ながら大阪市においてはまだ導入されていません。

みなさんのもとに新しい親子健康手帳が早く届き、親と子どもの安心と結びつきを育む支えになればと願うばかりです。

・「日本の母子手帳を変えよう」プロジェクト http://mamasnote.jp/

山田医院 医療事務 中町麻里

ビールと痛風

痛風は「尿酸」という物質が血液中に増え、それが結晶化することによって引き起こされます。

尿酸は、「プリン体」という成分が分解されてできる老廃物で、腎臓から尿とともに排泄されます。
プリン体はウイスキーや焼酎などの蒸留酒にはほとんど含まれず、最も多く含まれるビールが痛風を引き起こす犯人扱いにされてきました。

実は、尿酸の原料となるプリン体はほとんどの食品にふくまれています。肉や魚介に多く含まれ、とくに鶏レバーや鰹に含まれる量はビールの50~100倍です。酒のつまみや飲酒後のラーメン(特に豚骨と魚介がスープのラーメンには大量のプリン体がふくまれています)、悪いのはビールだけではないのです。

痛風を予防するにはプリン体をさけるのも大切ですが、尿酸をきちんと排出させることが大切です。

野菜類、海藻類はプリン体の含有量が少なく低カロリー、しかもアルカリ性なので、尿の酸化を防ぎ尿酸の増加を抑えてくれます。水分を多くとることもたいせつです。

ただし、アルコールや清涼飲料水は逆効果となるので要注意。ビールにかぎらずアルコールは尿酸の排泄を滞らせる働きがあります。

飲みすぎにはご注意を…。

ビールなら一日に中ビン1本、日本酒なら1合までが適量です。そして休肝日を忘れずに。

エネルギーやたんぱく質、脂肪の多い食べ物をひかえ、水分やお茶をたっぷりとるようにしましょう。

余談ですが、酒も飲まず、プリン体の多い食事をとらなくても、痛風になってしまう人は少なくありません。痛風の背景には「尿酸が増えやすい」体質的な要素も考えられていますから。

山田医院 看護師 八川陽子

地域包括支援センターについて

堺市の住民になって1年半になります。大阪市住吉区に住んでいた頃もそうでしたが、本当に住み易い街です。

緑が多くて街並みが綺麗だし、何より安心して住めます。毎日夜の11時迄空いているイオンモール北花田というショッピングモールが自宅から歩いて5分位の所にあって、お買い物にも便利です。

私は、そこの4階にある紀伊國屋書店がお気に入りで、よく足を運びます。

先日、「いい事ばかり起こるような人生は、実は自分で簡単に作れてしまうものなんです。」という夢のような内容の本を見つけてしまい、単純な私は即購入してしまいました。

その本には、消極的な少女時代を過ごした著者が、世界ナンバー2営業ウーマンと言われるまでになった成功の秘訣が書かれていました。簡単に要約すると・・・良い事はずっと続くと信じる事が大切だそうです。

「闇」とは「病み」心の病気・・良い事をたくさん見つけて幸せになろう。そうする事は難しいけれど、今の生活に「ありがとう」と感謝する事が出来たら、小さな波はあるけれど、泣いたり怒ったりする事もあるけれど、絶対にうまくいくとしか思えなくなるヨ・・と。以前読んだ「パワー」という引き寄せの法則の本にも、似たような事が書かれていました。要するに、毎日楽しいとニコニコ笑っているのが一番なのかも知れませんネ・・・(#^.^#)

さて本題です。2006年(平成18年)4月に、高齢者が住み慣れた地域で、保険、医療、福祉などを始めとしたサービスを継続的に受ける事が出来るよう、その役割を果たす機関として地域包括支援センターは、設置されました。

包括支援センターは、地域での介護相談の最初の窓口に当たります。原則、市町村に1箇所以上設置する事になっています。

現在、阿倍野区には3箇所あります。

①阿倍野区包括支援センター・・

帝塚山1-3-8・・℡6628-1400

②阿倍野区北部包括支援センター・・天王寺町北3-18-6・・℡6719-0065
③阿倍野区中部包括支援センター・・阪南町1-57-2オルセ阿倍野1階・・℡6629-6555です。

包括支援センターには、介護のスペシャリストと呼ばれる社会福祉士・保健師と主任ケアマネジャーがいます。社会福祉士は、高齢者の介護保険や支援の相談にのってくれます。他にも、高価な物を売りつける悪質商法や、身体的や精神的虐待、経済的な虐待があった場合など、被害の早期発見のため、民生委員などと連携を取りながら行動してくれます。保健師は、介護予防や、虐待高齢者へ支援をしてくれます。又、自宅で出来る簡単な体操なども教えてくれます。主任ケアマネージャーは、介護全般の支援や、事業者のケアマネジャーの相談にのったりして関係機関の調整を行います。ケアマネジャーは、要支援1.2の認定の方の介護保険サービスを使う為の介護予防ケアプランを作成します。

このようにして、高齢者が、その人らしい生活を維持出来るよう心身の健康の保持及び生活の安定の為に必要な援助を行っています。
後10年もすると、65歳以上が3500万人に達し、高齢化がピークになるそうです。皆順番に年齢を重ねていきます。私が一番気に掛けている事は、どんな場面でも心を豊かに保つ事です。さて、高齢になっても、私はその気持ちを忘れないでいられるでしょうか?

山田医院 医療事務員 堂東眞弓

体温について

生体の持つ大部分の酵素は温度特異性(至適温度は30-50度)を持つ。生体の温度が適切に維持されないと生体活動の減弱、停止が起こりしいては死を意味するようになります。

体温調整の目的は生体活動を維持するために生体の温度をできるだけ一定に保つことです。身体の温度分布は一様ではなく体の中心部の温度は高く環境が変化しても容易には変動しないようになっています。

この部分の温度は核心温(中枢温)と言い、四肢など表面の温度は変化しやすく外殻温(末梢温)と言います。一般に体温は核心温(中枢温)を示します。体温の測定を行う温度計は日本においては水銀体温計20%、電子体温計70%、耳式体温計10%と言われています。

測定部位も腋下、口中、耳中等いろいろありますが一般には測定温度は腋下<耳式<口腔<直腸の順で核心温は本来ならば直腸での測定が望ましいのですが通常は腋下あるいは耳式で行うことが多くなっています。

腋下の場合にはくぼみの真ん中に先端を当てて両手を浅く組むようにして測定をします。発汗をしている場合には汗を拭きとり、また麻痺がある場合には麻痺がない方で、側臥位の場合には上の腋で測定を行います。

続けて測定をする場合には測定と測定の間に時間を空けるかあるいは体温計の感温部を冷やしてから測定する必要があります。

平熱とは年齢により異なり6か月まででは37.5℃まで、3歳まででは37.2℃まで、11歳まででは36.7℃までで成長に合わせて平均体温は低下します。

なお、早朝2-6時前後に最低となり昼から夕方にかけて高くなりますがその幅はせいぜい1℃までです。周囲の温度にも影響され特に幼弱なほど季節による影響が大きくなります。

その他、運動、食事、授乳後、泣いた後では高めになります。

発熱時の対応ですが体温上昇時の悪寒戦慄に対しては測定時に高熱でも毛布などによる保温が大切で熱が上昇しきった後にはクーリングが必要となります。

寒気があるときには温めて厚くなったら冷やすということですが幼児等で訴えることができない場合には手足をさわり体幹部が熱くても手足が冷たいときにはまだ熱が上がる途中であるために寒気を感じているはずで温めることが必要です。

手足が熱くなった場合には熱が上がりきった後でクーリングが必要です。解熱剤としては子どもの場合には基本的にはアセトアミノフェンを使用します。通常は体重1kg当たり、1回につき10-15mgを使用します。

通常は服用後1時間後には1度以上の解熱が始まり4時間は持続すると言われています。

小児の発熱は夜間、日曜日、祝日等に多く焦りますが状態が安定している場合にはあわてる必要がなく経過を見ることが大切です。

山田医院 医師 山田良宏