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山田医院だより

第15巻第10号(第177号)

依存症について

最近話題となっている依存症について日本醫亊新報9月号から抜粋しました。
マスコミでも話題となるインターネット依存、薬物・アルコール依存、ギャンブル依存などいろいろな依存があり各々言葉の独り歩きが目立つ状態ですがあまり本質はわかっていません。
今回はインターネット、薬物・アルコール依存について記載します。

インターネット依存は米国精神医学会より発刊されたDMS-5ではインターネットゲーム障害として診断基準が示されています。
これはインターネット使用の制御が困難となり、インターネットを止めることができない状態です。
一般に依存は

①過剰使用(時間の感覚を忘れて必要な仕事(勉強)などの行為を無視してしまう)
②離脱(それができないと怒り、緊張状態、抑欝が生じる)
③耐性(より良い設備、製品、より多くの時間を必要とする)
④悪影響(けんか、業績悪化、社会的孤立、疲労など)

の4つの構成要素を持つこととされています。

日本においては一般人の2%(中高生の7%程度)がこのインターネット依存に該当、おおむね未成年から若年成人の世代に多くなっています。夜間を中心に過剰使用して朝の起床が困難となり日常生活は昼夜逆転して学校の遅刻や欠席が多くなり留年、退学を余儀なくされ、そうするとますますインターネット過剰使用となり家に引きこもるようになり、周りが注意すると暴言、暴力につながり、またゲームのアイテム購入のために家族に金銭を無心するなどのことも出てきます。
このインターネット依存については寝つきの悪さ、睡眠の質の悪さなどから抑うつ状態、不安、恐怖、妄想などの様々な精神症状の合併が知られています。薬物・アルコールなどの物質依存では断薬・断酒を目標としますがインターネット依存では使用を禁止するのではなく節度を持ったインターネット使用を目標とします。(インターネットが生活必需品となっている、インターネットの場合には節度を持って使用する場合には社会生活が可能であるため、離脱症状抑制のために)ただし、受験等の重要なイベントがあるあるいは節度あるネットの使用ができない場合にはインターネットを禁止することになります。治療としては認知行動療法やグループ療法などの精神療法やいわゆる生活療法が中心となります。薬の使用は一般的にはうつ状態、妄想などに対しての精神症状に行うこととなります。

次の薬物・アルコール依存の現状として、アルコールの依存はかつては働き盛りの中年男性が大半でしたが現在は高齢化が目立っています。これは以前アルコール依存であった人が高齢化した場合、退職などをきっかけに初老期になり発症した場合、薬物依存が高齢になりアルコール依存になる場合がありますが認知機能の低下、身体合併症もありADLの低下が目立つ場合も多くなっています。薬物依存はかつては覚せい剤と有機溶剤(シンナー)の2つが乱用物質の双璧でしたが平成になってから有機溶剤は減少の一途で今は覚せい剤に次いで多い乱用薬物は危険ドラッグと向精神薬となっています。

危険ドラッグは平成26年7月に脱法ドラッグから名称がかわり法律にて製造販売のみならず所持、使用についても禁止されました。含有成分によって大麻と同様の多幸感や緊張緩和作用を示す一方で覚せい剤に似た一過性の興奮、精神病惹起作用を持つものもあります。一般に危険ドラッグの依存は男性に多くまたハーブ乱用者の7割程度に大麻の乱用歴があります。一般に覚せい剤、ヘロイン、コカインなどは使用すれば100%依存症になるというイメージがありますが覚せい剤、大麻、鎮静剤等については使用経験者のうちで依存症になるのは25%以下であり大半の人はコントロール喪失なく経過しています。(依存率が最も高いのはタバコで31%の報告があります。)依存症の発症リスクとしては幼少期から切れやすく攻撃的な性格、養育者との愛着関係の欠如、虐待、養育放棄、貧困などがあり思春期以降に同様の境遇の仲間との出会いを通して周囲から勧められるがままに薬物乱用を開始するパターンが典型的なパターンとなります。治療としては依存を形成しにくい抗うつ薬や気分安定剤、向精神薬などを使用、患者さんの焦燥感や不安、不眠などの症状を緩和、医療者に頼り、また最終的には自分が抱えてきた生きづらさとそれに付随した隠れた心の痛みに気がつき自助グループ或いは医療者に対して安心して自らの本音の環状を言葉で表出できるようになることが依存症の回復になるようです。依存症の治療については特効薬はなく基本的には精神療法が中心となります。

山田医院 医師 山田良宏

心身を落ち着かせるホルモン「オキシトシン」

先日、新聞で「心身を落ち着かせるホルモン」としてオキシトシンが紹介されていました。
オキシトシンはホルモンの一種で、一般的には赤ちゃんの分娩時に子宮を収縮させたり、乳汁を分泌させる作用があると言われています。分娩後のお母さんに母乳がまだ出なくても、赤ちゃんを抱っこしてお乳を含ませると良いと言われているのは、抱っこしてお乳を刺激することにより、このオキシトシンが分泌され子宮収縮が促されたり母乳の出が良くなるためなのです。赤ちゃんをかわいい、愛おしいと思う気持ちが、母の体やお乳に良い影響があるなんて素敵なホルモンですよね。

そのオキシトシンは母子間だけでなく、大きくなってからの親子関係(父子でも)、夫婦、恋人関係、そしてペットにも作用するそうなのです。

分泌の効果は、

①安らぎを高め、人への親近感、信頼感が増す。

②ストレスホルモン、コルチゾールの発生を抑制し、イライラしている気持ちを落ち着かせる。

③心拍数、血圧の低下

④胃腸の消化を促す⑤痛みを抑制する。などです。

オキシトシンを分泌させるためには、

①スキンシップをとること。手をつないだり、親が子の頭をなでてあげたり、ペットをなでるだけでもオキシトシンは分泌されます。そのほかにも②人に親切にしたり、③やさしい言葉がけをすることでも分泌されます。

安心したからオキシトシンが作られるのか、オキシトシンが作られて安心感が高まるのか、原因と結果の解明はまだ十分にはされていないそうですが、オキシトシンを促す行動や活動を意識すれば、日々健やかに過ごせる可能性が高まるそうなのです。
我が家の小学3年生の男の子も、宿題がはかどらないとイライラ~としていることが多々あります。そうすると、母であるこちらも「早くしなさーい!」とつい怒ってしまいますが、そんな時こそギュッと抱きしめたり頭をなでてあげて、オキシトシンを分泌させて心を落ち着かせられるように実践してみたいと思います。

山田医院 看護師 盛田里穂

書写山圓教寺

朝晩 寒くなってきましたが、体調くずされていませんか? 日中は、本当に気持ちの良い季節です。
前回、富士登山のことを載せたところ、複数の方々から、話しかけていただきました。ありがとうございました。気を良くして、今回も、山に行ってきました。姫路に行ってきました。来年の春まで修繕工事の為、城内に入れないので、外堀沿いの車中から、きれいにお化粧された真っ白な姫路城を拝み、書写山に向かいました。ロープウェイに 4分ゆられ入山口に、いくつもの観音像に見守られた参道を森林浴しながら登ります。途中、天気が良ければ、淡路島まで見れる姫路を一望できる休息場でお茶を飲み、先に進
みます。”西の比叡山”とも称される西国三十三観音霊場の第二十七番札所の圓教寺に着きました。映画”ラストサムライ” ”天地明祭” ”源氏物語” そして 今年の大河ドラマ”黒田官兵衛”のロケ地でもあります。“ラストサムライ”のロケ地でもあったからか、欧米の観光客を、多くみかけました。平安時代 966年に開かれ、戦国時代、窮地に立たされた豊臣秀吉が黒田官兵衛の進言で本陣を、書写山圓教寺に移し苦境を乗り切った黒田官兵衛ゆかりの地として有名で、たくさんの団体さんも、訪れていました。約1時間半の散策。私にとっては、ちょっときついちょうど良い大切な時間でした。そういえば、1週間前にも、信貴山を登ったなぁ。って、考えながら、ちらほら始まった紅葉を楽しんできました。次は、どこを、散策しましょうか?

山田医院 事務 中西美鶴

貧乏ゆすりは健康に良い?

椅子に座っているときにふと膝を上下に動かしてしまった経験みなさんありますよね。

これが貧乏ゆすりで行儀がよくないと昔からいわれています。貧乏ゆすりの語源については諸説あり・貧乏人が寒さに震える様子からきている・貧乏人がせかせか動いているようにみえる・江戸時代に足をゆすると貧乏神に取り付かれるといわれていた…などがあります。貧乏ゆすりはあまり良い印象を受けませんが、心理的にみるとストレス発散につながっており、足を細かく動かすことで心の安定を図ろうと無意識にしているそうです。

た し か に つ い 足 を 動 か し た く な る の は、何 か し ら イ ラ イ ラ し て る 時 が 多 い 気 が し ま す…

また心理的な面だけでなく、健康面においても貧乏ゆすりは意外にも良い点がいくつもあるそうです。例を挙げると・血行が良くなる(貧乏ゆすりをするとふくらはぎの筋肉が伸縮するので脚や腰のたまっていた血液を心臓へ送り返すので下半身だけでなく全身の血流が上がり、血行が促進される)・ウォーキングと同じ効果が得られる・むくみの解消につながる(足のむくみは体内の水分や血液がふくらはぎ周辺にたまってしまうことで起こるので、それらを心臓に押し戻すことでむくみが解消される)・手足の冷えの解消・エコノミー症候群の予防・大脳のストレス解消など…。貧乏ゆすりを3分するとウォーキングを20分したことに値するとか…

これは本当でしょうか(汗)??貧乏ゆすりには良い面もありますが、やはり行儀が良くないし、周りにも不審がられるので堂々と人前でするのは如何なものかと思います。実践するなら人目のつかないところでこっそりと…。

山田医院 医療事務 川村 理恵

『世界手洗いの日』

みなさん10月15日が何の日か知っていますか??

〝世界手洗いの日〟です!!世界で5歳の誕生日を迎えずに、命 を 終 え る 子 ど も た ち は 年 間660万 人 と 言 わ れ、そ の 原 因 の 多 く は 予 防 可 能 な 病 気 で す。
私たちの生活には、当たり前にある水やトイレ、そして食事、、 これらが不足しているために、不衛生な環境や生活習慣を強いられ、下痢や肺炎にかかって命を失う子どもたちが約170万人もいます。

もし、せっけんを使って、正しく手を洗うことができれば、年間100万人もの子どもの命が守られ、また、下痢によって学校を休まなければいけない子どもたちも大幅に減ります。自分の体を病気から守る最もシンプルな方法のひとつが、せっけんを使った手洗いなのです。正しい手洗いを広めるため、国際衛生年であった2008年に、毎年10月15日が〝世界手洗いの日〟と定められました。

正しい手洗いは、開発途上国の子どもたちだけでなく、日本の子どもたちや私たち大人にとっても、かぜやインフルエンザ、感染症の予防に有効です。ちょっと手を濡らしただけでも一応手洗いだと思われてる方もいるかもしれませんが、それでは意味がありません。実際にインフルエンザウイルスを用いて、手洗い・手指消毒の有効性を検証した結果、どちらも15秒以上の作用時間で有効であることが示されました。正しい手洗いの方法はもう常識になっているかも知れませんがここで紹介したいと思います。

①手指を流水でぬらし、石けん液を適量手のひらに取り出す。
②手のひらをよくこする。
③手の甲を伸ばすようにこする。
④指先.爪の間をもう片方の手のひらで念入りにこする。
⑤指を組んで指の間もよく洗う。
⑥親指をもう片方の手でにぎり洗いする。
⑦手首も忘れずに洗う。
⑧流水でよくすすぐ。
⑨ペーパータオルや清潔なタオルでよく拭き取り、十分に乾燥させる。

です!!

手洗い時に洗い残しの多い部分を調査したところ、 最も洗い残した人の割合が多かったのは、右手人
差し指の先(甲側)だったそうです。指先と手の甲は、洗い残す人が多い傾向にあり、また、利き手は反利き
手に比べて洗い残す人が多い結果でした。指先や爪の間、手のしわは汚れが残りやすいところなので特に注意
して洗いましょう!!利き手は、意識して丁寧に洗いましょう!!

山田医院 医療事務 平賀怜奈

☆10-11月の診療について
カレンダー通りです。

☆順番取りシステムについて
順番取システムi-Ticketを導入しています。携帯からでも順番を取ることが出来ますので子ども連れの方等は特にご利用ください。http://paa.jp/t/116101/にアクセスして下さい。

☆乳幼児健診、予防接種について
毎週水曜日午前中は予約で行っております。希望者は事前に電話あるいは窓口で申込みをしてください。

☆インフルエンザワクチンについて
10月から開始します。

☆ヒブ、小児肺炎球菌について
できるだけ2か月からの接種を!

☆日本脳炎ワクチンについて
接種を再開しています。詳細は受付まで。

☆ロタウイルスワクチンについて
2種類のワクチンを扱っています。
14週までに接種を開始する必要がありますので希望者は早めに連絡ください。

小児慢性腎臓病(小児CKD)について

慢性腎臓病(CKD)とは

①検査において腎障害が明らか(尿検査での異常、画像診断での異常など)

②糸球体濾過量(GFR)が60未満、

③これらのどちらかが3ヶ月以上続く

この場合にCKDと診断されます。

つまりCKDは慢性に経過するすべての腎臓病を示します。成人の場合には高血圧、糖尿病などの生活習慣病ならびに糸球体腎炎などが原因となることが多いのですが小児においては先天性腎尿路異常(CAKUT)が多数占めること、罹患期間が極めて長期になることで成長障害に影響するなど成人とは異なる側面があります。この小児CKDは最終的には末期腎不全に至りうる疾患であり早期診断をすることが大切であり、早期の治療により末期腎不全への進行を抑制し成長障害、心血管系障害、骨ミネラル代謝異常などの合併症を予防、コントロールすることが可能となります。小児においては年齢、性別により血性Crがことなり、また日本人小児に適応したGFR換算式がなかった、2歳未満では正常でもGFRが低下するなどいろいろな問題点が有りCKDの診断が困難でしたがガイドライン作成により診断を正確につけることが可能となりました。ただし、小児CKDの原因として最も多い先天性腎尿路奇形(CAKUT)は尿検査での蛋白あるいは潜血検査での感度が低いために3歳児健診、学校検尿では見逃される可能性があります。CAKUTの頻度は3-6/1000出生と言われており胎児期にスクリーニング検査で見つかるのは3分の1程度、出生後では腹部腫瘤、尿路感染に伴う発熱、発育不全などの症状で見つけられます。腹部腫瘤を除けば非特異的な症状で感冒等でも認められるために診断が難しくなります。この中で尿路感染症は大切です。小児の尿路感染症は何らかの腎尿路系異常を合併することが多いからです。発熱を伴う尿路感染症を認めた場合にはCAKUTを疑い超音波検査を含む画像診断が大切になります。一般に発熱を伴う尿路感染症を繰り返す、蛋白尿が多い場合には腎不全への進行の危険性が高く早期の治療が必要になります。腎機能が正常の10%以下になると腎代替療法(透析、腎移植)が必要となります。この場合にはいわゆるインフォームドコンセントが必要になりますが一生の問題でもあり子どもへの情報の提供並びに説明が大切になります。症例数は少ないものの小児CKDについて日本医事新報
4717号を中心に説明をしました。

山田医院 医師 山田良宏