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山田医院だより

第17巻第7号(第198号)

食中毒の傾向とその対策について

食中毒を診断した場合、医師は24時間以内に保健所に届け出る義務があります。食中毒は 病原微生物だけではなくそれらが産生する毒素あるいは化学物質などに汚染された食物を摂 取することで主として消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛など)が出現した状態を示します。

かつて の我が国においては細菌性赤痢、腸チフス、コレラなどが珍しくなかったのですが最近では インフラ整備などの衛生環境の改善によりこれらは稀な感染症となり、通年性の原因菌とし てはキャンピロバクター、サルモネラ、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌が多く、夏季に多い 食中毒菌としては腸炎ビブリオ、病原大腸菌があります。通年性のキャンピロバクターは細 菌性食中毒の大半を占める原因菌です。

鶏、牛などの腸管内の常在菌ですが、食肉処理過程 において汚染されて経口感染で食中毒を発症します。キャンピロバクターの特徴は病初期に は胃腸症状が乏しく38度以上の高熱で受診することも多く、その後1-3日で胃腸症状が出現す ることもよくあります。また感染1-3週間後にギランバレー症候群を発症することもありま す。サルモネラはその中にチフスも含まれますが食中毒菌としては非チフス性サルモネラに なります。キャンピロバクターに次いで多い食中毒菌です。汚染された食物、肉、卵、水か ら感染します。

最近では鶏肉あるいはレバ刺しの摂食によることが多くなっています。サル モネラの特徴としては食中毒患者さんの8%程度に菌血症、さらにこの菌血症の人に5-10%に おいて他臓器への感染症(感染性動脈瘤、心内膜炎など)を起こすことがあります。

ウェル シュ菌は汚染された肉あるいはその食材による感染症で大量に食事を扱う給食施設、飲食店 で起こることが多く一度に大量の患者さんが発生するのが特徴で給食菌、カフェテリア菌な どといったニックネームもあります。夏季に多い腸炎ビブリオは好塩性の菌で海水環境に広 く生息します。最近は生食用鮮魚介類の加工、流通における衛生管理の向上により報告数は 激減しています。

食後数時間での発症も多く激しい腹痛、下痢などがありますが翌日には すっかり良くなることも多く経過の早い疾患です。大腸菌はほとんどの菌は無害で腸管内に 存在して健常人に病気を引き起こすことは稀ですが、中には病原性を有する株が存在してこ れらを総称して下痢原性大腸菌と呼ばれます。この下痢原性大腸菌を「病原性大腸菌」とと らえた上でベロ毒素の有無で2つに分類されます。ベロ毒素産生の病原性大腸菌である腸管出 血性大腸菌はO157、O111など時々マスコミに出てくる病原性大腸菌です。

一般に大腸菌に よる食中毒においては腸管出血性大腸菌による食中毒以外の場合には経過観察あるいは補液 などの対症療法で改善することがほとんどです。食中毒は経過とともに改善することが多い のですがどのような場合に食中毒は危険を伴うのでしょうか。高齢者、乳幼児、妊婦、免疫 抑制剤、ステロイド剤などの薬剤の服用、基礎疾患による免疫能の低下者は人口の約20% になりますがこれらの人は一般の人よりも食中毒に高い感受性があります。

食中毒にかかり やすい状態)基礎疾患として特に注意が必要なのは原発性免疫不全、血液悪性腫瘍を含めた悪 性腫瘍、AIDS、糖尿病、肝疾患、腎疾患、栄養失調などが含まれます。いろいろな統計 学的調査において多くの食中毒菌はこれらの免疫能が低下している人において重症化あるい は感染率も高くなっています。発生率はサルモネラやキャンピロバクターが多くなっていま すが死因としてはサルモネラ、リステリア感染症が重要になります。

WHOから出版された 「食品をより安全にするための5つの鍵マニュアル」においては

①清潔に保つ

②調理済みと生 の食品は分離する

③徹底的に理解する

④安全な温度で食品を保管する

⑤安全な水と原材料を 使用するが5つの鍵となっています。

なお、食品については具体的にみると牛乳は低温殺菌 された牛乳を使用、卵は低温殺菌卵を使用、野菜は洗浄したきれいな野菜、チーズはハード チーズ、プロセスチーズ、低温殺菌牛乳から作られたチーズを使用することになります。

突然の高熱、突然の下痢、嘔吐は食中毒の症状である可能性もあります。通常は数日でよくな りますが何らかの病気を持つ人、高齢者、乳幼児においては悪化することもあります。これ から食中毒は多くなりますので心配な症状が出現した方は医師へ相談をするようにしましょ う。

山田医院 医師 山田良宏

覚えていますか?堺のO157の事

先日テレビを見ていたら、O157について放送されていました。 20年前堺の小学校で90校、養護学校2校で学校給食による学童の集団感染が発生しました。患者総数は95 23名、791名が入院。うち121名が溶血性尿毒症症候群を発症し、学童3名が死亡。後遺症が長く残った 方もいて当時小学生だった堺市内の女性1人が昨秋後遺症で亡くなり現在でも4人の方が治療を続けています。

当時私は枚方に住んでいましたが、7歳だった長女が高熱と下痢で通院していて、5日経ったころ医師が大き い病院に言ってくれとの事で、市民病院に入院となりました。 O157?と心配しましたが、その時まだ次男が確か3ヶ月位で私は付き添い出来ず、平日は母に、休みの日は主人 に付き添ってもらいました。今から考えたら70歳前の母O157が問題になってた時期よく付き添ってもらったな と思いましたが、検査結果は「サルモネラ食中毒」でした。

娘は卵かけご飯が大好きで良く自分でして食べていましたが、私はその頃スーパーで98円など、安いとき目指 して買っていました。それ以後、卵にはお金をかけて、まあまあ良いお値段の物を買っています、、笑

まだ梅雨も明けずジメジメしています、この時期は特に食中毒に気をつけてくださいね。

潜伏期間は菌によっても、食べた量によっても違います。腹痛、嘔吐、下痢、水様便、粘液、血液の混じった便 など、発熱も伴う場合があるので、風邪と間違えて放置しないように気をつけて下さい。

ボツリヌス菌は神経症 状が起こるのが特徴で、横隔膜を動かす神経が麻痺し呼吸困難を起こすこともあります。

その他、カンピロバク ター、腸炎ビブリオ、サルモネラ、O157、セレウス菌、ウェルシュ菌、など。 食中毒を起こしすい食品としては生鮮食品、肉類や魚介類、卵、およびその加工食品などで、特に加熱していな い料理に多く見られます。

最近はこれらの細菌以外にノロウィルス(貝類に多い)やロタウィルス(生の魚介類、肉類に多い)などのウィ ルスが原因で食中毒が起こるケースも注目されています。これらは冬場に多く発生するのが特徴です。 家庭で出来る応急処置としては、水分を補給し吐きやすい体位で寝かせる。吐いたものを誤嚥しないように気 をつけて下さい。 自己判断で下痢止めや鎮痛解熱剤を飲まないで、診察を受けてくださいね。

では、これから暑さ、夏ばて、熱中症には充分気をつけて、しっかり食べて、たっぷり寝てくださいね。

山田医院 看護師 冨嶋友子

忍び寄る脱水にご注意!!

私たち人間の体の約60%~70%は水分です。その割合は年齢、性別、体の大きさによって異なります。

水分は血液 や細胞の間に入っている体液として蓄えられてさまざまな大切な役割を果たしています。人間の身体は、摂取される水 分量と排泄される水分量とのバランスが保たれなければなりません。

それが保たれないと、次のようなことが起こることが考えられます。

①血液が粘りのある状態になり、血流が悪くなる 血流が悪くなると、体全体に酸素が届きにくくなり体の機能が低下します。また脳梗塞、 心筋梗塞など血管が詰まることによる病気が起こりやすくなります。

②細胞全体の水分が失われる 代謝が正常に働かず組織が壊れ始めます。

③血液の量が少なくなる 血管内の圧力が下がり低血圧症状になります。

④体調不良に陥りやすくなる せっかく食事をとっても栄養素が十分に消化、吸収できず、風邪をひきやすくなったり、 便秘の原因になったりと、体調不良に陥りやすくなってしまいます。

⑤脱水症状による生命の危機となる体の水分は 1%失われると・・・のどの渇きを覚える 5%失われると・・・脱水症状や熱中症などの症状があらわれる 10%失われると・・筋肉のけいれん、循環不全(血液が全身にいきわたらない) 20%失われると・・死亡する

◆脱水予防方法◆

室内でも無理はせず、扇風機やクーラーを使用し、適度な気温、湿度を保ちましょう。

のどが渇く前からこまめな水分、塩分補給が脱水予防には大切です。 一度に大量の水を摂取すると、かえって体内の電解質のバランスが崩れ体調不良を引き 起こすこともあります。

水分補給をする時には、あわせてスポーツドリンクや経口補水液、 塩や梅干しなどを足して塩分の補給も行いましょう。

山田医院 医療事務 杉山恭子

「ロコモ」って何?

最近、ロコモ予防やロコモ運動といった「ロコモ」という言葉を耳にしたことはありませんか?

「ロコ モ」とは筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害がおこり「立 つ」「歩く」といった機能が低下している状態をいい、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)を略し て「ロコモ」といいます。

進行すると日常生活に支障をきたし「要介護」になる危険性が高くなります。

そこで2007年、日本整形外科学会は人類が経験したことのない超高齢社会、日本の未来を見据えこのロコ モという概念を提唱しました。

いつまでも自分の足で歩き続けていくために運動器を長持ちさせ、ロコモを予防し健康寿命を伸ばしてい くことが必要だと言われています。 しかし日本の平均寿命は男性80.21、女性 86.61と長寿であるにもかかわらず、健康寿命(健康上の問題が ない状態で日常生活が送れる期間)は男性71.19、女性74.21と男性で約9年、女性で約13年の差があり ます。(平成25年簡易生命表参考)

これではせっかく長生きしても何年もの間健康上に何らかの障害を抱え たまま過ごさなければなりません。また要支援や要介護になった原因の25%は運動器の障害だというデー ターもあります。

このことからもロコモ予防で健康寿命を延ばす必要があることがわかります。

階段を上がるのに手すりが必要である、家の中でつまずいたり滑ったりする、15分くらい続けて歩く事が できない、片足だちで靴下がはけないなどの症状かあるかたは一度整形外科で相談してみてはいかがで しょうか。

ロコモ予防やロコモ運動、ロコモチェックなど色々な情報が得られますよ‼ 最後の時まで自分らしく生き生きと過ごせるようにロコモ予防で健康寿命を延ばしましょう!

山田医院 看護師 中島早苗

夏野菜

野菜は、旬の時期に一番栄養価が高く、不思議とその時期に身体に必要な栄養素が詰まっています。

例え ば夏野菜には、水分やカリウムを豊富に含んでいるものが多く、身体にこもった熱を中からクールダウン してくれます。逆に、冬には身体を温めてくれる成分を多く含む野菜が豊富です。

今回おすすめするのは、夏野菜を代表するきゅうりです。実は、成分の90%以上が水分で目立った栄養素 がない為「世界一栄養がない野菜」とされていますが、色々な良い効果をもたらしてくれます。

塩分の多い食生活だとナトリウムの濃度が上がり、その濃度を下げる為体内に余分な水分を溜め込み、身 体がむくんでしまいます。きゅうりに含まれるカリウムは、その余分なナトリウムを体外に排出し、濃度 を下げて正常に戻すので、むくみ解消の期待ができ、高血圧予防の効果もあります。

また、脂肪分解酵素であるホスホリパーゼも含まれており、すりおろすことで何倍もの量に増えます。ダ イエットの為であればすりおろして食べると良いです。

普通に食べた場合も、すりおろした状態と同じく らい口の中で細かく噛めば同じ効果が得られます。 そして、身体を冷やす効果もあるので食べて内側から冷やしましょう。

ナス、もやし、ほうれん草、トマ ト、こんにゃく、ミョウガ、豆腐なども同じ効果があるので、組み合わせて料理を作るのもいいですね。

ただ、ビタミンCを破壊する酵素が含まれているので、これを含む野菜や果物とジュースやサラダを作る 場合は注意が必要です。

この酵素は熱や酸に弱いので下ゆでしたり、酢やレモンを利用すると良いです。 今日、スーパーにいけばどの野菜も一年中並んでいていつが旬かわからなくなりそうな時代ですが、旬の 野菜には旬の効能があり、栄養価がぐんと上昇します!

だから今年の夏も夏野菜を食べて元気に乗り切り ましょう!

山田医院 医療事務 平賀怜奈

乳幼児期のことばと発音の問題について

考え事をする時に我々はことばを思い浮かべます。

ことばが思い浮かばなければ思考は進まなくなります。言語発達 を含めた脳の発達は乳幼児期に急速に発達して学童期のうちにそれ以上発達しなくなる時が来ます。そのために早期 の発見が必要になります。

2歳くらいまでには難聴と視機能異常を確実に見つけておく必要があります。先天性難聴 の子どもはなかなか喋ってくれませんが先天性視機能障害の子どもはなかなかことばが増えません。

先天性難聴は生 後半年以内に見つけることが重要ですが、生後しばらくしてから発症することもあるので1歳6ヶ月児健診や3歳児健 診は大切です。この時期に注意が必要なのは一生懸命喋っているのに宇宙語の子どもです。

この中には舌や軟口蓋に 問題が有ることがあります。このような宇宙語の子どもにおいて食事が妙に早かったりあるいは逆に遅かったり、肉 などを詰まらせて頻繁に嘔吐する場合には構音器官の異常を疑う必要があります。

1歳半ころから急に語彙が増えて 発語量が増えたら2歳を過ぎて動詞や助詞の使用が爆発的に増加します。

この時期には音の不正確さや助詞などの誤 用は問題にする必要はありませんが子音をすべて省略する、パ行、カ行、ガ行がうまく言えない場合には構音器官の 問題を抱えている可能性があります。

2-3歳にかけての爆発的言語発達が起きず傍から見ると口数の少ない子ども を「ことばが遅い」と表現しますがこのような場合には1つとして構音器官に問題があり喋りたくても喋ることがで きない場合、もう1つは語彙の獲得が遅れ喋りたくてことばが見つからない場合です。

後者については聴覚、視力の 検査が再度必要で、それに問題がない場合には言語発達障害を疑う必要があります。

4-5歳になるとことばを文字 単位で意識するようになります。急速に言い間違いが減ってくる時期です。

単純に舌や軟口蓋の動かし方が悪くて発 音が悪くなる子どもは練習により問題解決しますが言語発達障害においては早期に発見して早期の介入をしないと小 学生になると学習障害等の問題が生じるために注意が必要です。

山田医院 医師 山田良宏