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山田医院だより

第20巻第1号(第228号)

脳-心-腎関連と認知症について

認知症は65歳以上の14%が罹患しています。高齢化に伴い増加傾向でありこの傾向は世界的にも認められていることであり大きな社会問題となっています。認知症の原因疾患としてはアルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などがありますがアルツハイマー病が半数以上を占めています。これは記憶をつかさどる海馬、側頭葉を中心とした脳萎縮を認め、病理学的にはアミロイドβが脳実質に蓄積する老人斑、タウが蓄積する神経原繊維変化の存在で診断されます。慢性腎臓病(CKD)、循環器疾患、血管障害では脳血管性認知症が発生することは推測できますが、アルツハイマー病についても関連性が最近では指摘されています。今回は脳-心-腎臓と認知症についての関連を日本医事新報平成30年9月号から抜粋しました。多くの研究からアルツハイマー病と脳血管性認知症は従来考えられていたような全く概念の異なる病態ではないことが分かってきました。脳梗塞を予防することでアルツハイマー病の進行を予防でき、また血管性危険因子(糖尿病、高血圧、タバコなど)の管理を行うことすなわち栄養管理、運動管理などを組み合わせることで認知症の進行を遅らせることが分かってきました。慢性腎臓病(CKD)は糸球体濾過量(eGFR)の低下や蛋白尿などの腎機能障害が慢性に続く状態です。CKDは末期腎不全すなわち透析療法のリスクになるだけではなく心血管疾患の発症のリスクにもなることは広く知られています。以前から透析中の方は一般の人と比べると3倍もの頻度で認知症が発症することが知られていましたが実はCKDの段階でも認知機能低下の人が増加することが分かりました。なお、尿にアルブミンが排泄されるアルブミン尿(蛋白尿の前段階の状態)の存在も認知機能低下のリスクになることが分かりました。腎臓には太い血管から細い血管になる部位があり(strain vessel)この血管は高血圧や動脈硬化でまず障害を受けやすいところとなっています。この血管の障害では下流にある糸球体の圧が高まることでアルブミンが糸球体から漏出してアルブミン尿になります。動脈硬化によりアルブミン尿が出ているということは腎臓のstrain vesselの障害が既に進行している状態を意味しており、全身で見るとstrain vesselが存在する脳にも実は動脈硬化の影響が及んでいると考えることができます。脳にあるstrain vesselの障害によって起こる脳小血管病は微小脳出血、無症候性ラクナ梗塞、大脳白質病変などですがこれらは脳血管性認知症の主な原因となっています。CKDによる認知症はこのような血管病変を介した関係だけではなく直接的な影響としては尿毒素による蓄積による認知機能低下や認知症の発症があります。腎機能については透析を必要とする末期腎不全だけではなく中等度から高度の腎機能低下においても尿毒素の蓄積ならびに血管の障害により認知症の発症を起こします。なお、心疾患については心房細動がよく知られていますが、これは高齢に伴い増加する不整脈で脳梗塞の原因として一般にはよく知られています。これについては先ほど述べたように脳梗塞を起こすことで認知症を発症することは容易に考えられますが、明らかな脳梗塞を起こすことがなくても心房細動患者さんは認知症発症が多くなっていてまた認知症を発症すると死亡率も高くなります。心房細動においては無症候性ラクナ梗塞も多くまたこれ自体が認知症の原因となり、一方心房細動では脳の血流還流量の低下をもたらし認知機能低下の原因になると考えられます。その他、心房細動の患者さんではアルツハイマー病の原因となるアミロイドβの蓄積も多くなっておりこれも認知症発症増加のリスクとして考えられています。心房細動そのものを治療するカテーテルアブレーション手術により脳血管イベントを減らすことで心房細動による認知症を減らすことも考慮されます。なお心房細動自身にならないように予防を行うことも大切で高血圧、冠動脈疾患、弁膜症、慢性閉塞性肺疾患、肥満、糖尿病、メタボリック症候群、慢性腎臓病など生活習慣病の予防も大切になります。日々の節制した生活が血圧あるいは血糖、脂質の管理だけではなくその下流にある心筋梗塞、脳血管疾患などの血管病変さらにはその下流の認知症にも関連しているということは改めて考えると興味深いことでした。

山田医院 医師 山田良宏

美しい姿勢について

年の初めは能や狂言・和太鼓など日本の伝統芸能を目にすることが多く、どの人も美しい姿勢だと、いつも羨ましく思っていました。和服を着ると美しい姿勢になるとも聞いたこともあり、調べてみました。私たちは日ごろ、重心を無意識にコントロールしながら体を動かしていますが、歩くときは骨盤の上にある体幹と2本の脚が連動して体を運び、直立時は、背骨を支える筋肉が常に働いて姿勢を保っています。さらに、腹筋などに加え骨盤底筋が縮んで、骨盤内の内臓が下がらないように支えています。これらの複数の筋肉に意識的に力を込めることを「丹田に力を入れる」といいますが、芸能や武道には、この丹田と呼ばれる部位を意識する動きが多くみられます。丹田とはおへその約5㎝下で、おなかから5㎝ほど奥にあり、立つときの身体の重心にあたります。体の要を意識すると下半身が安定し、上半身の余計な力が抜ける為、美しい姿勢やしなやかな身のこなしが実現します。背骨がゆがんでいたり、骨盤の位置がずれていたりすると、丹田に力が入りにくくなります。この伝統的な和の動作を参考にした『和ピラティス』という運動があります。美しい姿勢や所作も身につくので、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。

〈準備〉市販の麺棒、または新聞紙を硬く丸めたもの2本・タオル・背もたれ付イス

①イスに、背もたれに垂直になるように棒(新聞も丸めたもの)を1本おいて、タオルで覆い、その上に座る。(骨盤底筋が棒に当たるように座る)
②もう1本の棒を胸の前で垂直に持ち、ゆっくりと息を吸いながらまっすぐに棒を上げて、背筋を伸ばす。伸びきったら、息を吐きつつ棒をおろす。上下3回ずつ
③今度は息を吐きながら5秒ほどかけて棒を左右にひねりながら引き上げる。(盆踊りのような雰囲気で)左右3回ずつ
④続いて、棒を太ももの付け根におき、息を吐きながら背中を丸める。丸めきったら頭を持ち上げて、息を吸いながらゆっくりと背中をそらす。5秒ほどかけて丹田をへこませるようにしながら3回繰り返す。(1/5付日経新聞の健康づくり欄を参照しました)

山田医院看護師 橘智子

GCU.NICUそして孫育て

先日長男のところに双子の男の子が産まれました。生まれる2週間ほど前の健診では、1人は2200.1人は1900位と言われてて、NICUから、GCUへの可能性が高いと言われてました。ん??GCUって何??と思い調べてみました。GCUとは、「Growing Care Unit」の略で、「継続保育室」「回復治療室」などの意味があり、NICU(新生児治療室)で治療を受け、低出生体重から脱した赤ちゃん、状態が安定した赤ちゃんなどが、この部屋に移動してきて、引き続きケアを受けます。でも、まだNICUのある病院にGCUが必ずしもある訳ではなく、NICUのみの病院もまだまだ多いとのこと。そのお部屋がついている病院で、ひと安心。そして、双子の赤ちゃん、なんと無事2人とも2500グラム前後で元気に産まれてきました。帝王切開だったのですが、私の姉も帝王切開で双子を産みましたが、産後抗生剤の投与(ちゃんとテストしたのですが24時間で反応出ず)で全身に中毒疹が出て、入院が長引いたのですが、普通、6〜10日、ただママの体調によっては、2週間以上入院するなどの個人差があり、また、赤ちゃんに黄疸が出たら赤ちゃんだけ入院すると言うケースも良くあるみたいですが、なんと6日の最短で昨日3人で退院出来ました。
上に2歳半の長女もいるので、私が月曜の仕事後、息子宅に寝泊まりして、週末までお手伝いをしていす。皆に、上の子を中心に見てあげなくてはね〜と言われていて、分かってるよーなんて言ってたのですが、それは少し間違いで、出来る限り赤ちゃんの方を私がみて、上の子がママに甘えれるようにしなくてはと今朝気付きました。ママの入院中、私にべったりだったので、大丈夫と思っていたら、今朝、朝ごはんを
食べようとしません。パパとママは、1人ずつ、おっぱいとミルクをあげています。
そこで、ママがおっぱい終わったときに、私が赤ちゃんを見て、ママが横にいたら長女ちゃん全てご飯食べて、無事元気にニコニコ登園出来ました。どんなに頑張ってもママにはかないません(^^)保育園から、帰ってきたら、ママはなるべく長女ちゃんの横にいてもらおうと思っています。山田医院に働いてるから、月曜だけ勤務という我儘が通っています。当分月曜のみしか出勤しませんが、皆さま、忘れないで下さいね〜(^^)インフルエンザ流行っていますね!皆さまお気をつけ下さい!外に出るときはマスクですね!

山田医院看護師 冨嶋友子

心臓病について

心臓は左胸にあると思っていませんか?しかし本当は左右の肺にはさまれた胸のほぼ中央にあります。狭心症や心筋梗塞の際に生じる胸痛の発作は、胸の左側ではなく、中央部を中心にして起こります。心臓の大きさはだいたい握りこぶし程度で、全体は筋肉でできた袋になっています。心臓は、1分間に平均で50-70回の拍動を繰り返しています。運動すると140-180回まで上昇します。1分間の血液流量は5ℓ。1日に換算すると、拍動数は約10万回、血液流量は約7000ℓにもおよびます。心臓病の病気で思いあたる症状は胸痛の発作ではないでしょうか。胸痛の発作の現れかたに狭心症と心筋梗塞は共通する症状ですが、そのあらわれ方は少し違います。狭心症の場合、多くは歩行や仕事などでからだを動かしたり緊張によって誘導されます。痛みが現れる場所は、胸の中央からみぞおちにかけてを中心に、胸全体にあれわれます。手のひらの大きさより狭いことはほとんどありません。さらに、首や奥歯、肩、腕などに痛みが広がっていくように感じることもあります。痛みは、息が詰まるような、締め付けられるような、圧迫されるようななどと表現されます。チクチク、ズキズキという鈍い痛みです。痛みの強さはいろいろで、かなり個人差があります。我慢できないほど強いものではありません。胸痛は、数秒から数分で収まるのが普通です。数秒以内、あるいは30分以上などということはありません。心筋梗塞は心筋が死んでしまう(壊死)まで長時間持続する特徴です。痛みが数十分から数時間も続くと耐えられないつらさとなります。えぐられるような、重いものでつぶされるような、やけひばちでつきさされるような、などと表現されるものです。痛みのために冷や汗が出たり、肺うっ血のために呼吸困難がしょうじ、血圧が下がりショックとなり顔面蒼白となって、死の恐怖を感じることが少なくありません。痛みは、最低でも15分以上、通常は30分以上続きます。生じた梗塞がおさまらなければ、激痛はさらに酸欠の心筋が死に絶えるまで何時間も続きます。その後、痛みは少しずつ弱っていきますが、神経が働きを失って痛みを感じられなくなるからで、梗塞がおさまったわけではありません。治療がおこなわれなければ、命にかかわるため、対応は一刻を争います。自分のからだの変調と重なるようであれば、医師の診察を受けるようにして下さい。

山田医院 医療事務 阿知波真弓

足裏の健康、大丈夫??

『第2の心臓』と言われるほど、大切な足。特に足裏の土踏まずが、とても重要な役割を果たしているのはご存知だと思います。
・腰が痛い
・かかとの高い靴を履いていないのに足が痛くなる、だるくなる
・姿勢が悪い などの症状は土踏まずがうまく機能せず(=扁平足)、理想的な歩き方ができなくなっていることが原因のことも多いそうです。
美しい姿勢で歩けないと老けた印象になるだけでなく、歩行困難によって外出がおっくうになると肥満につながって、やがて“寝たきり”の主要原因である、ロコモティブシンドローム(運動器の障がいのために移動機能の低下をきたした状態)に陥る可能性も出てきます。また自分の足で歩けなくなると、生活の中での活動範囲がとても
狭まってしまいます。
年齢を重ねるにつれて誰でも全身の筋肉は落ちてきます。特に足裏は、全体重を毎日支えているにもかかわらずケアを怠りがちで、知らないうちに衰えてしまう部位です。若いころは土踏まずがあっても、加齢のために扁平足を起こしている人もたくさんいるそう。解消法は足裏の筋力アップです。しかも足は最も心臓から遠く、血液循環が悪くなりやすい部位。しかし筋肉がきちんと働けば足周りへの血液循環も高められます。そうすることで歩くことが楽になるだけでなくむくみや冷えの改善、美しい姿勢で歩くことができるなど、きっといいことづくめですね。

山田医院 医療事務 東川敏美

臍ヘルニアについて

胎児は子宮の中で臍(へそ)を通じて母親から栄養などをもらっていますが、出生後には臍帯が脱落して腹壁に残った穴が残りますが、この穴は瘢痕組織や筋肉によって塞がりますが、その際に生じるくぼみが「臍」です。臍の直下には脂肪、筋肉はなく腹壁(腹膜)につながっています。このために「お臍をいじるとおなかが痛くなる」というのはあながちウソではなくお臍を触って菌が入ると腹腔内におよび腹膜炎になる可能性があります。臍ゴマをとること自体は問題ありませんが取る際に臍に傷がつき感染すると臍炎になり場合によっては腹膜炎になる可能性もあるので注意が必要です。今回はいわゆる「でべそ」である臍ヘルニアについての話題です。よく似ている名前の病気に「臍帯ヘルニア」というものがあります。これは腹壁が閉じずに出生時におなかの中の内臓(腸管など)が外に出てしまっている状態であり昔は致命率が高い病気でした。また「臍突出症」と言い見た目は臍ヘルニアと似ていますが臍の皮膚だけが余剰で突出しているように見える状態があります。生後すぐに閉じる臍の穴が閉じずにあいたままの状態が「臍ヘルニア」です。10-20人に1人くらいの割合で認められるもので低出生児の場合にはもう少し割合が高くなります。通常は生後3か月くらいまでは大きくなりその後はほぼ1歳くらいまでに自然に閉鎖していきます。以前は5円玉を臍に張り付けるなどの方法があったようですが圧迫療法は効果がないと考えられて一時はすたれていたようですが平成10年頃から再評価されるようになり平成24年からはこの治療法が保険収載されるようになりました。通常は生後2か月程度での開始が多く生後6か月以降では効果がなくなります。赤ちゃんが満腹ではなく機嫌がよいときに脱脂綿を丸めて臍の筋膜の隙間を押さえられるような大きさにしてこの綿球で穴に栓をするように抑えて防水性のフィルムドレッシング材を貼り付けます。通常は7日間ほどで張替えを行います。早いときには2-3か月でヘルニアの腫脹が見られなくなります。また興味のある方は主治医に相談してみましょう。今回はチャイルドヘルス2019年1月号から抜粋しました。

山田医院 医師 山田良宏