第26巻 第12号(第311号)
インフルエンザ最近の話題について
今年度のインフルエンザは例年よりも早く9月末から流行入りとなっています。
英国ではA型香港インフルエンザA(H3N2)の変異株が出現して10年に1度の大規模流行の可能性があるとされており、各国の専門家が今冬の流行に対して警戒をしているようです。
日本の最近のインフルエンザについては、COVID-19の出現後の2020年からは2年続けて流行はなく、その後2022-23年はA(H3N2)による小規模流行、2023-24年はA(H3N2)、A(H1N1)pdm09、B型の大規模な混合流行があり、昨年の2024-25年は11月中旬からA(H1N1)pdmの流行が始まり12月には全国的に警報レベルになったものの1月には収束、結果としては中規模程度の流行でA(H3N2)の流行はない状態でした。
今年は例年にはなく9月という早い時期に流行となりました。
定点の病院でのインフルエンザの患者さん数が1週間に1例を超えると流行の始まりとして、10例を超えると注意報、30例を超えると警報となります。
今年は9月末に1.04となり流行入りとなっています。
10月末には14.9の注意報レベルとなり、11月初旬には警報レベルとなっています。年末にかけて大規模流行が懸念されています。
英国では早期にインフルエンザが流行して抗原変異を起こした変異株の流行もあることから、日本での変異株の流行は英国からインバウンドの影響で変異ウイルスが持ち込まれた可能性が高いと推測されています。
現在はA(H3N2)が90%以上でB型は数%程度、A(H1N1)はほぼ0%となっており、A(H3N2)が今後流行の中心となり、またかつ変異株が80%程度の割合で占めていることから注意が必要です。
なお、昨年は米国では日本と異なりA(H2N3)とA(H1N1)pdmの両者の流行があり、小児インフルエンザの死亡者が過去最多の死亡者数となっており、インフルエンザ脳症も多数見られています。
これについてはワクチン接種の躊躇との関連が指摘されています。
なお半年先行する南半球、特に豪州でのインフルエンザの流行は日本の流行の予測の参考となりますが、今年の流行は主として(H1N1)pdmでありA(H3N2)の変異株の発生は報告されませんでした。
現在流行しているA(H3N2)の株はサブクレードJ2.4から派生した変異株subclade(サブクレード)Kとなっています。
日本では近年大規模なA(H3N2)の流行がないうえ、大幅に変異したサブクレードKの流行に備える必要があります。
現時点ではまだ子どもが主体となって広がっていますが、これからは成人、高齢者に拡大すると考えられています。
この変異株に対してはインフルエンザワクチンの効果は低下すると考えられていますが、ワクチンによる一定の重症化防止効果は期待できるとされています。高齢者、低年齢の子ども、妊婦、肺あるいは心臓に基礎疾患を持つ人はワクチンの接種が推奨されます。
今シーズンのワクチンの入院防止効果(重症化防止効果)は英国では早くも報告されており成人では40%、小児では75%と一定の効果を示しています。(ただし英国では日本と異なり細胞培養をベースとした不活化ワクチンを使用しているために、日本でのワクチン効果については明確ではないようですが)
なお、英国の子どものほとんどは軽微弱毒化ワクチン(フルミスト)を使用しており、今回の変異株に対しても十分の効果があったことは明らかにされています。
(日本では第3相試験ではA(H3N2)主体の流行に対して低年齢児(2-6歳)での発病防止効果については統計的には有意ではなかったことには懸念がありますが)
なお、小児についてはインフルエンザ脳症が問題となります。
インフルエンザ脳症は発症すると数日以内に急激に症状が悪化して最悪の場合には死に至ります。主なの初発症状は意識障害、痙攣、異常行動・言動で好発年齢は5歳前後(3-8歳)です。
明らかな意識障害があれば救急対応が必要となります。
痙攣については5分以上持続する場合には注意が必要です。異常行動・言動については長く続く場合には注意が必要となります。
例えば夜中に突然起きて見えないはずのアンパンマンなどが見えても意識状態に異状がなくすぐに寝るような場合にはインフルエンザ脳症だとは考えにくいものの、両親を認識できない、話す内容が言葉になっていないというようなおかしな言動、行動が持続する場合には注意が必要です。
日本では「Test And Treat」と言われるようにインフルエンザが疑われたすべての患者さんに迅速検査を施行して陽性患者全員にノイラミニダーゼ阻害剤で早期に治療する方針で対応する場合には死亡率が他国に比べると大きく低下しています。
今シーズンの変異株が流行してワクチン効果が低下する中ではTest and Treatの徹底が望まれます。
なお4種類の薬剤がありますがA型インフルエンザの治療薬の第1選択は小児から高齢者まで基本的にはオセルタミビルとなっています。
インフルエンザの流行について今回は日本醫亊新報令和7年12月号ならびに日経メディカル令和7年12月号から抜粋をしました。
山田医院 医師 山田良宏
この時期に注意してほしいこと
すっかり街は冬景色となり、温かい飲み物が恋しい季節になりましたね。今年は遠方の友人から大好きなココアが届いたので夜の楽しみになっています。
冬は空気が乾燥し、喉や鼻の粘膜が弱まりやすく、風邪やインフルエンザが流行しやすくなります。
今年は特に気温の変動が大きいため、体が対応しきれず疲れが出やすいと言われています。手洗い、うがい、十分な睡眠は勿論、加湿器や濡れタオルで適度に潤すことも感染予防に効果があります。
また冬は気温が下がると血管が縮みやすく、特に朝晩は血圧が上がりやすい傾向があります。
急に立ち上がったり、冷えた場所から温かい場所に移動した際に眩暈を感じた経験がある方も多いかも知れません。
さらに浴室や脱衣所など家の中での温度差が原因で起こる「ヒートショック」はこの季節に注意したい健康リスクのひとつです。お風呂に入る前に脱衣所を温める、熱すぎるお湯を避ける、入浴前後に小まめに水分を摂るなど、ちょっとした心がけが安全に繋がります。
室内で寒くなりがちな場所に御トイレもあります。いきみの動作が加わると、血圧は50mmHg程度上昇し、一気に心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。
上杉謙信が亡くなったのは、冬にトイレで、脳卒中を発症したと言われているそうです(戦の場でなくて不本意だったでしょうね)
朝起きて、すぐにトイレに行くときは特に注意が必要です。
就寝時には、体内の水分量が200~500ml失われると言われています。飲酒後はしっかりと水分を摂取して下さい。
就寝前にコップ1杯の水分を補給し、寝起きにも水分を摂取することも大切です。
つい最近、友人のお父上が86歳という若さで、ヒートショックで亡くなられました。遠方でお一人暮らしのお父様ですが、お手洗いの電気が24時間つかないと友人のスマホに連絡が来るようになっていたそうです。命を救うことは出来なかったけど、早くに見つけてあげることが出来たそうです。
湯沸かしポットなどにもそんな機能がつけれるサービスもありましたね。私は主人との二人暮らしですが、主人が寝静まってから入浴するので翌日まで気付いてもらえないので気を付けなくては(私は湯船で熟睡してしまう常習犯)
年末は忙しさに追われて食事が偏りがちですが、温かい野菜スープや根菜類は体を内側から温めてくれます。
香りのよい柚子やショウガを料理に取り入れるのもおすすめです。身体を温める食材を意識しながらバランスの良い食生活を心がけてみて下さい。
今年も一年当院に通ってくださりありがとうございました。
皆様が安心して健康管理が出来る場でいられますよう、これからも努めてまいります。健やかな新年を迎えられますよう心より願っております。
山田医院 看護師 冨嶋友子
白内障について
眼の病気の多くは、発症してもしばらくはあまり自覚症状がないため、気づきにくいのが特徴です。
しかし、症状が進むにつれて、その見え方が大きく変わってしまいます。
白内障の自覚症状で代表的なものは、目がかすむ、物がぼやける、細かい字が読みにくくなる、疲れ目が治らないというものです。
年齢が若い頃は透明だった水晶体が少しずつ濁ることで、物が見づらくなってくるのです。
老眼も、やはり加齢とともに物が見づらくなる目の病気ですが、違いがあります。老眼では、近くにピントが合わなくなるのに対し、白内障ではピントは合うのに、かすんだようになって見えにくいのです。
白内障は見え方がよくなることがありません。
また、白内障は、暗いところで物が見にくくなったり、明るいところで、ギラギラと眩しく感じることもあります。
また、白内障は、加齢とともに誰にでも起こる可能性のある病気なのです。
ではなぜ、目のレンズは濁ってしまうのか?
加齢に伴って水晶体が変化するからです。皮質外側の水晶体上皮細胞で新しい細胞が作られ、古い細胞は水晶体の中央に移動し、中心部の細胞は長い間に水分を失い少しずつ硬くなり、水晶体に核が形成される。すると、酸素や栄養が届きにくくなり、蛋白質が変形してしまう。これが、水晶体の白い濁りの正体です。
白内障は、加齢で起こる加齢性白内障が多いのですが、老化以外にも白内障になる原因はあります。
先天性白内障、薬物性白内障、併発白内障、放射線性白内障、白内障の診断は、水晶体の透明度を検査することで、行えます。
ほとんどの場合、細隙灯顕微鏡検査や眼圧検査、眼底検査を行い、緑内障や網膜剥離などの病気を併発していないかを調べます。
その上で、白内障の進行に合わせて治療をスタートします。
まだ、初期段階で、生活に支障がない場合は、定期に検査を受けるのみで、経過観察になることもあります。外傷性白内障などがあります。
自覚症状が出ても軽度の場合は、まずは点眼薬と内服薬などを使って、進行具合の様子を見ます。
ただ、これらの薬は、あくまでも症状の進行を抑えることを期待するものです。水晶体は1度濁ってしまうと、もとの状態に戻すことはできません。
少しずつ症状が進み視力が低下してきたら、手術により、濁った水晶体を人工レンズに置き換えることを考えます。
どのタイミングで手術を受けるかは、患者さん1人ひとり異なりますので生活に支障をきたすようであれば、主治医の先生に相談してください。
人は、外部情報の80-90%を視野に頼っているとされています。
しかし、テレビやパソコン、タブレット端末やスマートフォンなど電子機器の使用時間が増えている現代、目への負担は重くなっています。視界に不具合があれば、日常生活に大きな負担がかかってきます。目がつかれてしまったときは、別の作業を入れる工夫をして、なるべく同じ距離ばかりを見つめないですむようにするなど工夫をしましょう。
山田医院 医療事務 阿知波真弓
生活の中で色からの影響について
私は水彩画を描いています。絵を観ると「これは誰の絵」とわかるほど固定されています。
人によっては好みの色、落ち着く色があるのでしょうか?色が人に与える影響について調べてみましたのでその一部を紹介します。
私たちは無意識に色から影響を受けているようです。色によっては、食欲が出たり気持ちが元気になったりします。
また、落ち着いたり自然にリラックスするものもあります。そのために、色彩心理学は建築やインテリアの領域でも必要な一つとなっているそうです。
色が人に与える影響
⓵心理的影響
色は人の心理に様々な影響を与えています。例えば、青は集中力と創造力を促進するので、暗記力や認識力を高めることが期待できます。
黄色や赤色は人を元気にさせてくれる色であり、注意力や短期記憶力を高める効果が期待できます。
⓶生理的・感情的影響
色は人の神経にも影響を与えます。黄色やオレンジは明るい気持ちに、赤は交感神経に刺激を与え、やる気や情熱を呼び起こします。
青や緑は神経を落ち着かせ気持ちを静めてくれます。
飲食店や大衆的なレストランの看板や内装に赤がよく活用されています。
これは交感神経を刺激することで食欲が増進する効果を狙っています。一方、青や緑は来院者が落ち着けるよう病院の内装などによく用いられています。
観葉植物の緑色も同じ効果があります。
➂文化的影響
色は文化によつて心理的に受ける影響は多少異なります。例えば、中国では「紫」は高貴な色です。
また、黒は西洋では「死」を象徴する色ですが、日本では「白」が死を象徴します。国の文化・宗教によって、同じ色がホジティブにもネガティブにも捉えられるので配慮が必要となります。
色の効果
色の効果は、明度や彩度の高い色と低い色によるものです。
例えば、同じサイズでも色によっては、大きく見える色と小さく見える色があります。これは色の明度が要因であり、白の服を着ると黒の服よりも膨張して見え太って見えるといわれるが、これは錯覚によるものです。
彩度が高いと派手な印象を受け、低いと地味な印象を受けます。
色で人は誘導される場合
色は様々な印象、感情、錯覚を与えるが、これらの作用は部屋の空間からファッションなどあらゆるところで使われています
心理や生理的に影響を与えるので言葉で伝えられるのとは違い、自分が感じた印象として素直に受け止められることが多いのです。自分の好きな色というのは癒しの効果があり身につけると人は安心するのです。
色は人の心や気持ちにも大きな影響を与えています。改めて商品やロゴなどを見ると理由があってその色が選ばれていることがわかります。
色は文字とは違い見て感じるものなので自分で気付かないところで、いろいろな影響を受けている可能性が高いようです。身の回りの色を見てどんな影響を受けているか考えてみるのも、面白く新たな発見にもつながりそうです。
これは色とは関係ないことですが、洗濯する際に洗濯後に見かける糸くずが「灰色」になるのはなぜか? 考えたことはありませんか?
衣類には黒白、赤、青などいろいろな色のものがありますが、洗濯後にできる「糸すぐ」はすべて灰色です。
これの理由はいろいろあるようですが、洗濯中にこれらの色から出た細かい繊維や汚れが混ざり合って灰色に近い色になるそうです。
このようなことは、絵を描く際にもいろいろな色を混ぜすぎて黒っぽくなるのも同じことのようです。
山田医院 看護師 畑中幸子
便秘について
便秘とは便が腸に滞って排便回数が減ったり便を快適に出せなくなる状態です。
通常は排便が週に2回以下の時に疑いますが個人差もあり一概に定義は難しいと思います。
ただ、し子どもにおいては3-4日排便がなければ便秘を考えます。
排便時の肛門部の痛み、直腸に溜まった便が漏れ出す便失禁などの症状がでます。
便秘が起こりやすい時期としては
1離乳食開始時期、2トイレトレーニングの時期、3自宅外での排便が必要になるとき(入園など)です。
生後数か月以内では踏ん張り方が上手でないこともあり出にくいことがありますが通常は軟便であることが多くこのような場合には自然に改善することが多いです。
受診の目安としては
1食欲がなくなる、2腹痛、嘔吐などがある、31週間以上の便秘、4排便時の出血、5排便時の痛み
となっています。
まずは詰まった便を取り除くことが大切です。
早めに積極的に治療をしていくことが大切で治療には時間がかかることがあります。(半年から数年ほど)浣腸については癖になるのでは?と心配する方もありますが医学的には癖になる、効かなくなるという事はなく便秘の悪循環を断ち切るためには躊躇なく使用します。
水分摂取については脱水でなければ特別に配慮をする必要はありません。
ヨーグルトについては医学的根拠は少ないものの子どもによっては効果がある場合もあります。
治療としては便が詰まっている場合にはまず詰まった便を取り除くことから始まりますが、維持療法としては食事療法、薬物療法があります。
食事療法は基本的には食物繊維で便を柔らかくして排泄しやすくします。
薬物としてはまずは浸透圧性下剤としてのラクツロース、マグネシウムなどを使用して効果が乏しければ刺激性下剤としてのピコスルファートなどを使用します。
子どもの便秘についてはかかりつけ医と相談して早めの対処をしましょう。
今回も佐久医師会の教えてドクターを参照しました。
山田医院 医師 山田良宏


