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山田医院だより

第19巻第5号(第220号)

誤嚥性肺炎を起こさないために

人口の高齢化に伴い肺炎による死亡者数は増加し続けています。

日本においての肺炎死亡者の多くは65歳以上であり(肺炎死亡者の9割は75歳以上の高齢者)、肺炎は死因の第3位となっています。なお、高齢者肺炎の8割以上は誤嚥性肺炎と言われています。誤嚥性肺炎を起こして入院をする人は日常生活動作(ADL)が低い人で低体重の高齢者が多く、入院中に身体機能が低下した人は70%もあり、退院時には経口摂取が自立できなかった人が30%もあると言われています。入院中に適切なリハビリや摂食機能療法の提供が不十分のまま退院する人が多いのが現状です。一般に誤嚥性肺炎で急性期病院に入院すると「とりあえずは安静で禁食・水電解質の点滴加療」を受けて入院中にさらに全身状態が悪化して身体機能や日常生活活動が悪化して退院することが多いと思われます。誤嚥性肺炎の確定診断は難しいのですが、ガイドラインでは嚥下機能障害あるいは誤嚥が証明された症例に生じた肺炎と診断をされています。重症度はI-OAD(I:immunodeficiency免疫不全、R:respiration呼吸不全、O:orientation意識障害、A:age高齢、D:dehydration脱水)において3項目を満たす場合には重症と判断されます。誤嚥性肺炎の危険因子としては嚥下機能障害、脱水、認知症、喀痰の吸引を必要とするなどがあります。嚥下機能低下がある高齢者は華麗、身体機能低下に伴う身体活動低下、嚥下機能低下に伴う栄養摂取量低下があり全身や嚥下関連筋群のサルコペニアが進行して嚥下障害と移行します。栄養管理をしながらリハビリテーションを調整する方法をリハビリテーション栄養と言いますが誤嚥性肺炎予防目的のリハビリテーション栄養の3つの柱は1ADL維持と2栄養量管理、3口腔ケアを主体とするケアですが、食形態の調整、食べる姿勢と食べ方の工夫、薬剤の見直しも含まれます。1ADL維持の取り組みの第1歩は日中起床です。起床まで行かなくても少しでも頭を挙げておくことで頚部筋にかかる荷重が起こります。頚部筋は食べる運動に関わっている筋で荷重が減ると筋力の低下すなわち嚥下筋のサルコペニアが起こります。また、臥床は胃食道逆流のリスクや換気量減少とも関連していることから日中の起床は大切になります。栄養量についてはエネルギー量を充足させることの意味は大きいと思われますが蛋白質の摂取量にも注意が必要です。体蛋白の喪失が過度に起こると免疫力低下、身体機能低下、代謝障害など不利益があるために一般成人では1日に摂取する必要蛋白質量は1.0×体重(kg)g/日以上ですが低栄養の痩せた人では1.2×体重(kg)g/日が推奨されています。なお、低栄養の判定は血液検査ではなく1栄養摂取量不足2経時的な体重減少3骨格筋量減少4皮下脂肪量の減少5浮腫6身体機能低下を用いることが推奨されていますがこれらのうち2項目以上異常があれば低栄養であると判断します。なお、口腔ケアにより肺炎発症率を下げることは実証されており口腔ケアを行うことは大切です。口腔ケアがキッチリとされていれば水分を多少誤嚥しても肺炎にはならないと言われています。最近では嚥下機能低下がある高齢者への包括的で多面的な食支援が予防法として勧められています。この実現のためのツールとしてKTバランスシートが有名です。これは先ほど栄養リハビリテーションでも述べた栄養状態と身体活動量の確保、口腔衛生の保持の3項目についてを13つの項目(食べる意欲2全身状態3呼吸状態4口腔状態5認知機能6咀嚼・送り込み7嚥下8姿勢・耐久性9食事動作10活動11摂食状況レベル12食物形態13栄養)で評価する方法です。誤嚥性肺炎はなってしまうと入院加療が必要になりまた予後も良くないために予防することが大切です。誤嚥性肺炎は嚥下機能低下だけが原因で起こるのではなく多くの要素(多面的)を多くの要素をできるだけ多くの目(多職種)で抜かりなく(包括的に)解決しながら予防することが大切になります。在宅医療において発熱がある場合あるいは発熱がなくても元気がなくなんとなくおかしい時には呼吸器疾患である肺炎(誤嚥性肺炎)、泌尿器科疾患の尿路感染症、褥瘡を含めた皮膚疾患を疑います。簡単そうでなかなか診断がつかないのが誤嚥性肺炎です。もし自宅において高齢の方に発熱がある、元気がない、食欲がないなど何かおかしい面がありましたら早めに主治医に相談をすることが大切です

山田医院医師山田良宏

たかが口内炎、されど口内炎

寒暖差の激しい5月でしたね。私も、声枯れや咳に悩まされました。仕事中ご迷惑お掛けしてしまった患者様申し訳ありませんでした。

さて、今回は口内炎。皆様口内炎に悩まされたことありますか?
私も数年前までは良く出来て軟膏塗ってました。今闇雲に健康食品食べているおかげ?か、出来なくなりました(笑)
口内炎と一言で言っても沢山の種類があり、軽いものから重度のものまであります。誤って噛んでしまって出来るもの、ビタミン不足、栄養不足、過労、ストレスなどがありますが、原因ははっきりとはわからないようです。良くあるアフタ性口内炎なら1~2週間で治癒しますが、治りにくいものは、口腔衛生状態が悪い場合もあるそうです。理想的な歯磨きは一日5回だそうです。また、何度も同じところをかんでしまう場合はかみ合わせや話し方なども関係しているかもしれません。

また唾液が少ないと口内環境が悪く治りにくくなります。アフタ性口内炎は軟膏、噴霧剤、ビタミン剤、漢方薬などがありますが、一般的にはステロイド剤の塗布ですが、長期間の塗布は止めましょう。その他にもカンジダによる口内炎もあるので、その場合はステロイド剤塗布にて悪化することがあるのでちゃんと医師に相談して治療しましょうね。なかなか治りにくい口内炎にはまれに「天疱瘡」「扁平怠癬」などの疾患もあり、「口腔がん」もあります。

実は私の友人も先日口内炎の直りが悪く何件か医院を廻っても、治らず、数件目の医院で大きい病院紹介されたら舌癌でした。早期発見でもう手術して退院して元気にしています。滅多にないことですが心配なときには検査してもらいましょうね。
さて、これから辛い梅雨の時期ですね。体調管理お互い気をつけましょう(^^)

山田医院 看護師 冨島友子

アルコールとうまく付き合いましょう

お酒は、心の緊張をほぐし、会話をはずませて人間関係を円滑にします。お酒は『百薬の長』とも言われる効果がある反面、飲みすぎると肝障害や糖尿病、高血圧などの生活習慣病やアルコール依存症の原因になります。厚生労働省は「健康日本21」の中で「節度ある適度な飲酒」を以下のように定義しています。

 

「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適度な飲酒として、1日平均純アルコールで20g程度である。」

留意点として
①一般に女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅いので、体重あたり同じ量だけ飲酒したとしても、女性は男性に比べて臓器障害を起こしやすいことからも、男性で20g以下、女性で10g以下が1日の適量である。

②少量の飲酒で顔面紅潮を来す等アルコール代謝能力の低い者では、そうでない者に比べて有毒なアセトアルデヒドの血中濃度が高くなり、アルコール分解が遅れる可能性があり、がんのリスク等も踏まえると飲酒量を控えることが適当である。

③高齢者においては、アルコールの分解速度が下がることや、血中濃度が高くないにもかかわらず酔い方がひどくなることから、65歳以上の高齢者の飲酒量は少なくされることが適当である。

④アルコール依存症者においては、適切な支援のもとに完全断酒が必要である。

⑤飲酒習慣のない人に対して、飲酒を勧めるべきではない。アルコール20gの目安ですが、

お酒に含まれるアルコールの量(g)の計算式
=お酒の量(ml)×アルコール濃度×アルコール比重(0.8/ml)
例)日本酒1合=ビール中瓶1本強=ウイスキーダブル1杯=焼酎1合=ワイングラス2杯弱

 

適度な飲酒というのは個人差が大きくあります。飲み会で周りを見渡してみても、ビール1杯で二日酔いになってしまう人もいれば、何十杯飲んでも翌日にはお酒がまったく残っていなさそうな人もいます。アルコールの強さには個人差が大きくあるのです。

一人一人で違うため、適正飲酒量を知るためには、まず第一に「自分の身体としっかり相談すること」が大切です。ポイントは、支障を来さない程度です。明らかに第三者からみて悪酔いしている・途中から記憶があいまいで他者に迷惑をかけたり、嫌な思いをさせた可能性がある・一人で帰宅できずに誰かに送ってもらった・翌日の仕事でボーッとして集中できない、あるいは遅刻・欠勤してしまう、などなど。これらは支障をきたしているため、過度な飲酒の可能性があります。

自分の適正な飲酒量を知り、その範囲内で楽しむのが正しい飲酒法なのではないでしょうか。また、年に1回程度は血液検査を行い、肝機能検査などを受けて、飲み過ぎていないかチェックしましょう。

山田医院 看護師 橘 智子

牛乳を飲んで健康生活に心がけましょう!

牛乳と聞くと私は小学校の給食の時に飲む牛乳が印象に残っています。牛乳には豊富な栄養素がたくさん含まれています。よくカルシウムをイメージされる方が多いと思いますが、実はカルシウム以外のたくさんの栄養素が含まれています。

◆タンパク質
筋肉、髪、肌、爪といった身体を生成していく上で必要な栄養素です。その他代謝機能に関しても深く関係しています。

◆炭水化物
糖質と食物繊維からなっており、糖質は体を動かすエネルギー源、食物繊維は食べた物の消化活動に関係してくる栄養素です。

◆脂質
体内のいろいろな機能を動かすエネルギー源となる栄養素です。この脂質の不足により、疲労や免疫力の低下につながります。

◆ミネラル類
細胞液・血管といった体液の調整や、歯・骨を丈夫に保つ働きがあります。

◆ビタミンA
主な効果は免疫機能を高める働きがあります。病気の予防、活性酸素の働きを抑制してくれる働きもしてくれるので、アンチエイジングとしても注目されています。

◆ビタミンB群
身体の調子を整えてくれる働きがあります。
牛乳を飲んで得られる効果は、カルシウムにより骨や歯を丈夫にしてくれることや、認知症、アルツハイマーの予防効果、腸内環境を整える作用による便秘の解消、健康効果によりダイエットにもつながることが挙げられます。たくさんの健康効果が得られますので、毎日の生活に牛乳を取り入れてみるのもいいかもしれません。

山田医院 医療事務 杉山恭子

帯状疱疹とは

ゴールデンウィークは如何お過ごしでしたか?連休明けは憂鬱になりがちなので、早めに寝る等気分を上手く切り替えて、だるさを吹き飛ばしていきましょう。

ところで、みなさんは帯状疱疹という病気をご存知ですか?私事ですが、知人で突然この病に罹り仕事も休職せざるをえない状況に陥ったと聞き、この病気の怖さを改めて知りました。今回はこの病について少し紹介したいと思います。帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる病で、体の左右どちらか片側にピリピリと刺すような痛みが起こり、これに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状にあらわれるのが特徴です。子どもの頃に感染した水疱瘡ウイルスが治癒した後も神経の中に長く潜伏し、疲れやストレスなどの要因で身体の免疫が低下した時に再び活性化して水疱ができるのが帯状疱疹と呼ばれます。

この病気は、症状が現れたらすぐに病院に受診して治療を開始することがポイントです。発疹がでて3日以内に抗ウイルス薬を服用すれば、多くは綺麗に治るとのこと。ただ中には発疹が消えた後も痛みだけがずっと残ってしまうことがあります。(←帯状疱疹後神経痛)この症状は一ヶ月ほどで治ることもあれば、年単位で痛みが続くこともあるそうで、日常生活に支障をきたす非常にやっかいな病気といえます。帯状疱疹を発症する年齢は50歳以上から増加するとはいえ、水痘にかかった人なら誰でもなる可能性があります。

予防するには免疫を低下させないように睡眠をとる、適度な運動をする、ストレスを溜めない等日頃から体調管理を心がけることが重要です。ちなみに50歳以上の方は予防のためにワクチンを接種することも可能です。(※完全に防ぐものではありません)治療が遅れると重症化する恐れがあるので体調管理には気をつけて、症状が出たらすぐに病院に行くようにしましょう。

山田医院 医療事務 川村理恵

食物不耐症について

食物の摂取後に起こる生体に不利益な反応のうち、抗原特異的な免疫学的機序を介するのが食物アレルギーであり、それ以外のものは食物不耐症といいます。この食物不耐症は元来、食物に含まている生理活性物質やヒスタミン、添加物などが原因でアレルギー反応に似た症状を起こすもので食物アレルギーと間違われることも多く、過剰な食物除去が行われることもあり注意が必要になります。これまで普通に食べていた食物で症状が出る、同じ食物でも症状が出る時と出ないことがある、アレルギー検査で陰性、除去食をしても症状が反復する場合などは食物不耐症である可能性が高くなります。食物アレルギーではあるアレルゲンが肥満細胞を活性化してヒスタミンやロイコトリエンが放出されアレルギー症状が出現しますが、食物中にもともとヒスタミン、セロトニン、アセチルコリンなど様々な生理活性物質が含まれているとき、これらの物質に過敏症を有する人、代謝、分解能力が低い人などはこれらの生理活性物質を多量に摂取するとアレルギーと同じ症状を起こすことがあります。これらの生理活性物質は仮性アレルゲンと呼ばれますが、例えばヒスタミンはナス、ほうれん草、チーズ、トマトに加えて最も有名なのが鮮度の落ちた赤身の魚、セロトニンはトマト、バナナ、キウイなど、アセチルコリンはナス、たけのこ、山芋などに含まれています。最も頻度が多いヒスタミン食中毒について提示しますと、これは鮮度が落ちた赤身の肉とくにマグロ、さば、かつおなどにおいて頻度が多く、これらの肉にはヒスチジンが多く含まれていて魚に付着したヒスタミン産生菌がヒスチジンからヒスタミンを産生することで起こります。一度ヒスタミンが産生されるとヒスタミンは熱に安定しているために食中毒発生の危険は高くなります。これの予防としては魚を購入したら常温ではなく速やかに冷蔵あるいは冷凍する。ヒスタミン産生菌が多くいるエラや消化管はできるだけ早期に除去する、ヒスタミンが高度に含まれた肉を口に入れた時には唇や舌先が通常とは異なるような刺激を感じることがあるのでその際には食べないようにする。などの注意が必要です。食物不耐症は診断が比較的むつかしいのですが、問診で引っかかることも多いので心配な人はかかりつけ医師に相談をしましょう。

山田医院 医師 山田良宏