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山田医院だより

第18巻第7号(第210号)

てんかんについて

てんかんと言うと子供に多いイメージを持つ方が多いと思いますが、高齢化の進む近年では60歳以上で新たに発症する高齢者てんかんが増えてきています。

てんかんは人口の1%程度、100人に1人という頻度の高い神経の慢性疾患の1つです。原因が特定できるものは半数以下ですが、約70%はお薬で発作が抑制されます。

てんかんとは

①慢性の病態であり
②発作は反復性であり
③通常は発作が唯一の症状で
④機序としては大脳ニューロン由来の過剰な活動であると定義付けることができます。

京都大学の池田先生は「炭・石炭の火種」にたとえて説明しています。

何らかの原因で炭・石炭に火がつくとその部分は赤く盛んに火力を増して(てんかん焦点)さらに強くなると炎を出して燃え(大発作)大きな炎は水(薬)をかけると一旦炎は消えるが(発作時の治療)芯の火種は残っておりそのまま放置すると再度火種が強くなり早晩繰り返して炎を出してくる。そのために適切な種類の水(適切な薬)を丹念にかけながら火を消すことになる(慢性の治療)。

てんかんの診断は詳細な問診が最も大切でこれで診断の大部分は可能とも言われています。その上で脳波検査を行い、必要に応じては頭部MRI検査あるいはビデオ脳波同時記録を行い診断を行います。なお、一見するとてんかん発作ですが、急性疾患(脳血管障害などの中枢性疾患、髄膜炎などの感染症、ホルモンのバランス不調による電解質異常、薬物など)が原因でけいれん発作が起きることもありこれらは急性症候性発作と言われます。てんかんの薬は長期にわたり服用するためにこれらの急性症候性発作の鑑別は大切になります。

頻度の高いものとしては失神があります。失神は脳全体の一過性の脳血流の低下です。迷走神経性失神が多く、これは長時間の立位、痛み刺激、精神的、肉体的ストレス、人ごみの中など環境的因子も加わり発症するものです。よくある例としては注射を受けたあとに気分が悪くなり倒れたなどです。また状況失神は排尿、排便、嘔吐、咳嗽の後に意識を失うことで、よくある例としては体調悪い時に排便をしてその後意識を失うなどです。これらの失神は一見するとてんかん発作に間違うことがありますが状況について詳細な問診等で鑑別は可能です。てんかんにおいては薬物療法が基本となります。基本は単剤から開始してしかも開始薬剤はガイドラインにあるように部分発作ではカルバマゼピン、全般発作にはバルプロ酸などほぼ決まっていますが、これを十分量まで使用することが大切です。

なお第1選択の薬剤の効果がない場合には第2選択の薬剤を使用しますがこれで発作が十分に抑えることができない場合には専門医師の診察が必要になります。初回発作の後に5年以内に再発するのは35%程度であるために初回発作については原則としては治療を開始しないと言われていますが高齢者てんかんなど再発率の高いてんかんなど状況により異なります。なお、妊娠適齢期においても服薬を継続している人は多くいます。

この方に対する注意としては

①結婚以前から催奇形性についての説明を行い妊娠する半年から3ヶ月前までには相談をするように指導
②挙児希望の場合には早期から投薬の調整を行う
③安全な妊娠、出産ができるように発作を抑制して産科医と連携する、
④服薬中の授乳は可能である
⑤催奇形性、低IQ児、自閉症スペクトラムの頻度が増加するためにバルプロ酸は控える
⑥産後うつ病に注意をする。となっています。

高齢者の場合には痙攣発作でてんかんを発症するケースは少なく意識が低下して部分的に痙攣する型の複雑部分発作が多く診断が困難となることがあります。

一見すると認知症の悪化と間違えることもあり注意が必要になります。なお、最後に運転免許についてですが以前はてんかんの診断がつくだけで一律に免許を取ることができませんでしたが、現在では運転に支障する恐れのある発作が2年間ないことが条件となっています。薬の服用については関係ありません。なお、免許取得に際してはてんかんの病気があることを申告して医師に診断書を記載してもらうことが必要になります。

ただし、大型免許と第2種免許の取得はできません。今回は日本内科学会雑誌平成28年8月から抜粋をしました。

山田医院医師 山田良宏

クラゲ

7月の第3月曜日の祝日は何の日かご存知ですか。
そう海の日ですね。この海の日は「海に感謝するとともに海の国である日本の発展を願う」目的で設けられたそうです。

海といえば水族館でクラゲの展示が増加しているのを目にします。昔は、クラゲというと刺されて痛いというイメージでしたが今は、綺麗、優雅、癒されるなどのイメージに変わってきています。

今回は、そのクラゲについて調べてみました。

クラゲは、プランクトン(浮遊生物)です。プランクトンとは小さなミジンコなどを思い浮かべますが本当は流れに逆らわずに海を漂っていたり、水中に浮いていたりする生き物のことを言います。

プランクトンに対して海の底にいる生き物はベントス(底生生物)といわれ、流れに逆らって泳げる魚や鯨などはネクトン(遊泳生物)と言われます。
クラゲは、刺胞動物と有櫛動物に分かれていて刺胞動物は口や傘の周りには触手がありこれで獲物を捕まえます。有櫛動物は刺胞を持っていません。そのかわり、膠胞(こうほう)というネバネバする細胞を持っていて、それで獲物をくっつけて捕まえます。

では、クラゲは、どうして私たちを刺すのでしょうか?
クラゲは、動きが非常に遅く甲羅などの防御を持っていません。そのため外敵から身を守ったり獲物を捕獲するために触手で刺すことがあります。刺胞はカプセル状になっていて中に毒針が仕込まれています。他の生物が刺胞に触れるとその刺激で刺胞内の毒針が外に飛び出すというわけです。クラゲに刺されると痛み、浮腫、かゆみ、水腫、頭痛、発熱、ふるえ、せき、くしゃみ神経系の麻痺、筋肉の壊死やけいれん、呼吸困難、……など報告されています。この刺症は、個人差やクラゲの種類によって異なります。そのため自分でクラゲ被害を回避する必要があります。

回避方法として浮遊力の弱い種類のクラゲは藻が集まっているようなところに吹き寄せられていることがあるので藻や流木の集まっている場所に近づかないなど気を付けましょう。ただし、注意を払っていても知らず知らずのうちに刺された時などは

①刺されたらすぐに海から上がり、安静にする。
②刺された部位をよく確認し、触手が付着していたら取り除く。
③水道水で洗う。
④冷やす。
⑤刺症が強い場合は病院に行くなど適切な処置を受けて下さい。

ではなぜ、毒のあるクラゲを水族館ではクラゲの展示が増えているのでしょう。それは、お客さんがクラゲを綺麗と感じるからです。水族館にたくさんある水槽のなかで、お客さんがその前にいる時間が長いのがクラゲの水槽だそうです。クラゲの拍動や触手が伸びてゆっくりと泳いでいる姿を見ると、人はリラックスできて、癒されるようです。クラゲの拍動が、人の呼吸や心臓の拍動に似ているからかもしれません。

これからまだまだ暑い日が続きます涼を求めに海に行かれる機会も増えると思います。クラゲには十分注意してまた、クラゲに癒されてみるのもいいのでは!!

山田医院医療事務 阿知波真弓

加齢黄班変性って知っていますか?

あまり聞きなれない名前ですが、知っていますか?
加齢黄班変性とは、目の、網膜にある黄班という部分に異常が現れ、見え方に色々と障害がでてくる病気です。これには、萎縮型といわれるもので、黄班の組織が歳をとるにつれて萎縮してくるものと、浸出型というもので、新生血管といわれる異常な血管が発生することのより、網膜に歪みが生
じ視力障害を起こします。

症状:
・視野に中心部分が波打つように見えたり、かすんで見えたりしますが、周囲はゆがみなく正しく見えるのが特徴。
・更に進行すすると、中心部に黒い影のようなものが現れ、見ようとするものが見えなくなるので、文字を読んだり書いたりすることが困難になります。
・色の識別がわからなくなる場合もあります。

※初期では症状に気づかないことも多く、見え方に違和感があったり、目の疲れを感じたりする程度の人が多いようですが、歳のせいと自己判断して病状を進行させてしまうケースもあります。

原因:老化現象の1つと考えられています。
検査:
・視力検査→加齢黄班変性があると、視力低下が起こりやすい。
・アムスラー検査→片方ずつの目眼で、方眼紙のような格子状に線が引かれた図を見て、格子が歪んで見えるか、黒く見えたり、欠けたりする部分がないか調べる。
・眼底検査→網膜の状態を調べ、新生血管があるか出血していないかがわかる。
・造影検査→静脈から造影剤を入れて、新生血管の様子などを詳しく調べる。
・光干渉断層像検査→網膜の断面を連続撮影し、網膜や新生血管の様子を立体的に調べることができる検査。造影剤を使わずに短時間でできるので患者さんの負担が少なく済みます。繰り返して検査できるのも利点です。

予防:
・タバコを吸う習慣のある人は、吸わない人に比べて発症の危険が高くなることが分かっています。禁煙が、予防の一歩となります。
・食生活にも注意が必要です。

抗酸化ビタミンとあわせて、亜鉛を積極的にとることが予防につながることがわかっています。ビタミンC,ビタミンE、βカロテンなどの抗酸化ビタミンが不足しないよう、緑黄色野菜を中心とした野菜類や果物、豆類やナッツ類、ひまわり油などとるよう心がけましょう。また、サプリメントを利用するのも方法ですね。

山田医院 看護師 川上啓

子どものアレルギー

アレルギーは、ウィルスや細菌などから体を守る免疫の働きが、本来なら無害であるはずの物質にも過剰に反応することにより起こります。
アレルギーを起こす原因としては、1歳ごろまでは食物が多く、その後はハウスダストやダニ、カビ、動物の毛、花粉などがあげられ、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎(花粉症)などの様々な症状を引き起こします。

食物アレルギーは子供に多く見られ患者数の80%近くを6歳以下の乳幼児が占め、1歳未満の子供では10~20人に一人が発症しています。その原因は成長段階で消化機能が未熟でアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)であるタンパク質を小さく分解(消化)することが出来ないのが一つの要因と考えられています。そのため成長とともに食べられるようになるケースも多いのでご家庭で自己判断し除去食にするのではなく病院で適切な検査、治療を受けましょう。

また両親に食物アレルギーがある場合でも必ずしも子供に食物アレルギーが出るとは限りません。喘息、花粉症(アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎)2~3歳ごろからは、春と秋を中心に胸がゼーゼーして息苦しくなる喘息や花粉症の症状(鼻水、目のかゆみ等)がみられることがあります。喘息は気道の炎症を抑えて発作が起こりにくくする薬を用いて長期的なコントロールをすることが重要です。

また、一年を通して喘息や花粉症の症状がある場合はハウスダストやダニが原因のことが多いので「部屋をこまめに掃除する」「防ダニ効果のある寝具を使う」など、原因となる物質を減らすことを心がけましょう。

症状が落ち着いているときは過保護にせず外遊びなどで元気な体作りも大切ですね。アトピー性皮膚炎は顔や首のまわりなどに湿疹ができるアトピー性皮膚炎は、かゆみが強いと精神的なストレスも大きいのでかゆみを解消することが重要です。症状を抑えるために有効なステロイド軟こうは医師の指示に従って正しく使用すれば副作用の心配はいりません。

医師の診断によりアレルギーの原因(特定の食物など)が判明した場合はそれを避け、汗をかいたらシャワーを浴びるなど肌を清潔に保ちましょう。皮膚の乾燥を防ぐにはシャワーや入浴後に保湿剤を塗るのが効果的です。

アレルギーの治療は長期にわたるケールも多いですが、医師の指導のもとで薬を適切に用いれば、辛い症状を取り除くことが出来ます。適切な診断、投薬を受け症状をコントロールすることで子どもの「生活の質」を高めていきましょう。(ベビーブックcafeBB参照)

山田医院 看護師 中島早苗

「冷え性」は手足が冷える、だけではない

この時期、熱中症のことがよく話題に上がりますが、エアコンなどによる体の冷やしすぎによる、冷え性(冷房病)にもご注意!
手足先の冷えだけでなく全身にも影響があるようです。

冷え性の症状としては、手足の冷え、鼻水やのどの痛み、頭痛といった風邪に似た症状から、全身のだるさや疲れやすさ、食欲不振や下痢などの消化器障害、イライラ感、肩こり、腰痛、肌荒れ、生理不順など人によってさまざま。中高年になると、動脈硬化や血管の老化などから血液の流れが悪くなるうえ、皮膚感覚が鈍くなってエアコンの冷気に気づかず、症状を悪化させてしまうこともあります。

さて、なぜ「冷え性」は起こるのでしょう?
エアコンのきいた部屋にいるときの「ちょっと肌寒い」状態を長時間、あるいは毎日のように続けていると、体は大きなストレスを受けます。とくに影響をうけるのは、自律神経系(交感神経と副交感神経)です。

暑い季節になると私たちの体では、本来なら副交感神経が活発に働き、血管を拡張させ体内の熱を外に出そうとします。ところがエアコンで体が冷えると、反対に体温を逃さないように交感神経が働いて血管を収縮させます。そのため血流が悪化し、冷えなどの症状が起こります。その状態がつづくと、次第に自律神経がダメージを受け体温調節が上手くできなくなってしまいます。エアコンのきいた部屋から猛暑の町に出たとき健康な人では少し
たつと体全体が温まり発汗します。ところが冷え性になると体がなかなか温まらず、汗もかきにくくなります。

汗をかかないと乳酸などの疲労物質が体内にたまるため、全身のだるさ疲れやすさ、さらには夏バテの原因ともなります。またエアコンのきいた場所と猛暑の外の間をくりかえし出入りしていると、自律神経が対応できず混乱しはじめます。自律神経は血液の流れだけでなく、胃腸の働きやホルモン分泌の調整などの機能も担っているため全身にさまざまな症状が起こってくるのです。

・エアコンは設定温度を低くしすぎず、風には直接当たらないようにする。
・エアコンの効いた部屋では厚手の靴下など服装で自衛し、温かい食べ物・飲み物をとる。
・適度な運動と入浴(ぬるめの湯温)で血流の改善。

などの対策が効果的なようです。エアコンとも上手に付き合って暑い夏を乗り越えたいですね。

山田医院 医療事務 東川敏美

子どもの亜鉛欠乏症について

食事中の亜鉛は主に十二指腸と空腸で吸収されますが吸収率は20-30%程度です。
亜鉛は尿への排泄は少なく便から排泄されます。亜鉛は300種類以上の酵素の活性化に必要な成分であり核酸代謝にも重要な役割を持っており蛋白合成全般に不可欠なミネラルです。

具体的な働きとなると:味覚を正常に保つ、抗酸化作用、免疫力の向上、成長発育、生殖機能の改善などになります。
通常の摂取推奨量は成人男性で10mg/日、女性では8mg/日ですが実際の摂取量は推奨量よりもやや少なく亜鉛はやや不足気味となっています。
亜鉛は筋肉、骨に多く分布しています。食材としては肉類、魚介類、大豆製品などのタンパク質に含有量も多くなっています。

血清亜鉛値を測定する場合の注意としては日内変動、食事の影響があるので早朝空腹時が良いとされています。
小児においての欠乏症ですが、乳児においては特に早産児、低出生体重時においてリスクが高くなっており皮膚炎(手先、口、眼瞼、外陰部などの開口部)、脱毛(後頭部から始まり頭部全体に。なお眉毛も脱毛します。)、下痢、爪変形、口内炎、精神症状(不機嫌など)などが起こります。小児期においては成長障害(低身長)が見られます。小児期においては皮膚炎や脱毛がないことも多く注意が必要です。

原因不明な低身長においては亜鉛欠乏の検討も必要になります。なお、スポーツ選手においては鉄欠乏性貧血が有名ですが亜鉛欠乏を伴っていることも多くこの場合には亜鉛の投与が必要になります。なお、サプリメントとして亜鉛を取りすぎると鉄あるいは銅の吸収が悪くなることもあるために推奨量以上の摂取は要注意です。亜鉛欠乏は味覚障害で有名になりましたが小児においても成長障害、皮膚炎など原因不明なときには検討する必要があるようです。日本医事新報平成29年5月から抜粋しました。

山田医院医師山田良宏