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鉄過剰症について 「鉄」と言えば従来は鉄欠乏製貧血のイメージが強く鉄を摂る事は体によいと言う考えが広くあります。 ただし、この「鉄」は必須の金属である一方で過剰になると細胞障害、臓器障害を起こす有害な物質である事も分かって来ました。生体内に鉄は約4g存在しています。その半分はヘモグロビンとして酸素の運搬に携わっています。 通常は1日当たり1mgが十二指腸から吸収され、ほぼ同量の鉄を腸管の上皮細胞の剥離などにより喪失しているに過ぎません。鉄は生体の代謝には非常に重要な金属であるために積極的な排泄経路がないのが特徴です。この鉄が過剰になると活性酸素の触媒として働き、活性酸素・フリーラジカルを産生するいわゆる酸化ストレスが生じます。これにより鉄が蓄積しやすい肝臓、膵臓、心臓などに対する臓器障害がおこり、また細胞障害としては生命の設計図であるDNAに影響を与えて発癌につながると言われています。 最近有名なアスベストによる肺の中皮種も実は鉄過剰に伴うことが発癌の一因であることが分かって来ました。なお、最近は鉄の沈着のみが健康障害を起こすのではなく細菌・ウイルス感染、肥満、生活習慣病、アルコール摂取、食事の影響などいろいろな因子が長期的に鉄による障害をさらに悪化させる事が分かって来ました。鉄過剰症が起こりやすい原因としては輸血が挙げられます。特に再生不良性貧血、MDSといった長期にわたり輸血が必要な疾患は鉄過剰症が大きな問題となります。 なお、鉄過剰症の診断は実は難しいようで本来ならば肝臓の組織を取りその鉄量を測るのがゴールドスタンダードですが実際には困難であるために最近ではMRI検査で鉄を定量したりする方法も考えられています。なお、大まかな血液検査としては血清フェリチン値を測定する事が一般的です。 現在鉄過剰症で有名な疾患はC型慢性肝炎でインターフェロン治療の効果がない時には鉄をのぞくために瀉血治療が行われています。通常血液100mlには鉄が50mg含まれているために鉄を取り除くもっとも有効的な治療は血液を除く瀉血治療となります。 以前、山田医院便りでも紹介をしましたが当院においても慢性肝炎の治療には瀉血治療を積極的に導入しており、比較的良好な成績を得ています。なお瀉血治療に加えて鉄制限食も大切です。 一般に乳類は鉄量が少なく良質蛋白質源です。卵類は卵黄に鉄が多く卵白には少ない、魚あるいは肉類は鉄の吸収率が高くなります。一般に赤身度と鉄量は相関するために赤身、内臓はさけて魚は白身、肉は鶏肉をしようする事が大切です。 豆類は相対的に鉄が多く、野菜では淡色、黄色野菜には鉄が少なく青菜類には鉄が多くなっています。味噌、醤油は豆が原料なので鉄が多くなっています。調味料ではカレールーが多く、菓子類では豆類とチョコレート菓子に鉄量が多いので注意が必要です。なお健康食品ではウコンに鉄が多いので注意です。 健康のためには鉄の取りすぎには注意をして食事は気をつけることが健康寿命を延ばすのには大切です。 山田医院 医師 山田 良宏 |
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