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高齢者の嚥下について
我々ヒトでは咽頭部において空気が通る道と食物が通る道は交差しています。 咽頭では空気の通りと食物の通りを自動的(意識的にはコントロールができない)に振り分けて行っています。この交差点があるために誤嚥(誤嚥)という問題が生じています。嚥下機能について嚥下反射の機能は健康な高齢者でも保たれていますが、誤嚥を生じる高齢者では機能の低下を認めます。
なお、嚥下については食べ物が口の中から食道に移動するまでの状態を分けることができその障害されている状態により原因が異なります。日本においては死亡別原因の第4位が肺炎であり、その90%以上が65歳以上の高齢者です。高齢者の肺炎の8割以上は誤嚥性肺炎といわれており、年代が上がるほど誤嚥性肺炎の比率は高くなります。誤嚥には咳、むせ込みなどを伴う顕性誤嚥と咳やむせ込みなどの症状を認めない不顕性誤嚥があります。不顕性誤嚥は睡眠中に起こる事が多くなっています。高齢者の肺炎は通常肺炎の特徴といわれている発熱、咳、喀痰、胸部痛、呼吸困難などの症状に乏しい事も多く、元気がない・意欲が低下している・体重減少・食欲の低下・不穏などの非典型的な症状を呈することも多く注意が必要です。 なお、誤嚥前の状態である嚥下障害の兆候としては唾液がたまる、唾液が多い、口から物をよくこぼす、飲み込みに苦労する、食事の時間が長くなった、水分を取るとむせるなどの症状が出るようになります。誤嚥を引き起こしやすい状態としては基礎疾患としては脳血管障害、とくに大脳基底核の脳梗塞は特に誤嚥の危険性が高くなっています。その他として認知症、歯周病、食道等の消化器疾患も危険因子になります。薬剤としては精神安定剤、睡眠薬、筋弛緩薬、抗コリン剤などが誤嚥を起こしやすくなっています。
この誤嚥の予防としては口腔内ケア、口腔リハビリテーション、薬物療法などがあります。口腔ケアの主な目的は誤嚥した際に呼吸器内に入り込む口腔内細菌数を減らす事です。口腔内細菌は唾液の中ではなく歯垢中や咽頭粘膜に存在しているためにうがいのみでは効果はなく歯磨きと粘膜の清拭が必要です。これにはスポンジブラシの使用が推奨されています。義歯については可能な限り装着する方がよく、また義歯の洗浄も必要です。口腔ケア時の誤嚥は注意が必要でケア中の吸引も重要です。
薬物としてはACE阻害剤、ドーパミン作動薬、テオフィリン、プレタールのほか、赤唐辛子のカプサイシン、黒胡椒精油などがあります。なお、誤嚥予防の姿勢としては30度リクライニング位がよく、頭部を軽く前屈して、腰部を固定、両膝を軽く立てるとの体位が良いといわれています。
なお、嚥下のタイミングとしては大きめの吸気で息こらえをしたまま嚥下し、呼気に移る。なお、空嚥下を数回繰り返す、少量の水と食物を交互に
嚥下するなどが効果的といわれています。食材としては口の中で散らばらず、まとまりやすい物(ゼリー、カレー、シチューなど)、口の中で張り付きにくいもの(ゼリー、ヨーグルトなど)、咽頭および食道入り口でスムーズに通過しやすいものがよく固形物と液体の混合物は誤嚥しやすくなっており、特にかんだ時に水分のあふ出す食材(がんもどき、スイカ、みかんなど)はむせやすくなっています。嚥下は生活の基礎的な部分です。心配な事があればまた主治医に相談をしましょう。
山田医院 医師 山田 良宏 |