新型インフルエンザについて
新型インフルエンザの本格的流行期がごく間近に迫っています。夏休み終了前から感染者が増えだしており最近では運動会、遠足、修学旅行の後に集団で発生しているケースが目立つようになっています。
救急病院の小児科等では休日に発熱で受診する患者さんが激増している状態で、担当医師の過労も問題となっています。基幹病院に軽症の患者(新型インフルエンザに罹患して外来受診をする95%は軽症であると言われています。)さんが殺到しないように地域開業医師等との連絡も必要な状況となっています。
新型インフルエンザの感染力あるいは臨床症状は季節性インフルエンザとほぼ同様です。重症度は高病原性鳥インフルエンザほど強くはありませんが季節性インフルエンザよりは高い可能性があります。重症化率、死亡率等については不明点もありますがほとんどの人は軽症のままで治癒します。
ただし季節性インフルエンザとは異なり大半の人は新型インフルエンザに対する免疫がないために感染が拡大すれば重症例あるいは死亡例が増える可能性があります。なお、5歳以下の小児あるいは65歳以上の高齢者、慢性呼吸器疾患、心疾患、腎機能障害などの基礎疾患をもつ患者さん、妊婦さんは重症化しやすいためにハイリスク郡といわれています。
特に妊婦さんでは妊娠後期になるほど重症化しやすい傾向があります。ハイリスク郡には早急にタミフルあるいはリレンザと言った薬の服用が必要です。
なお、健康成人あるいは小児に対してのタミフル、リレンザの使用についての方針はさまざまとなっています。海外では健康な成人あるいは小児に対しての投与は積極的には行っていません。
国内でも季節性インフルエンザについては基本的には患者さんからの希望がなければ強いて投与しないという対応が多い状態です。ただし、健康な成人、小児においても重症例あるいは死亡例が相次いでおり、専門家によっても対応が異なります。
なお、日本感染症学会が発表したガイドラインではすべての患者さんにタミフルあるいはリレンザを早期から投与すべきであるとなっています。
なお、解熱剤としてはアスピリン、ボルタレン、ポンタールの処方を投与しないことについては季節性インフルエンザと同じです。なお検査においての迅速検査キットの使用については陽性と出ないこともあり臨床症状が診断の大切であり、患者さんによっては検査はせずに投薬を行うこともあります。
軽症例が多い新型インフルエンザですが、季節性とは異なり呼吸不全が多くなっています。
季節性インフルエンザの呼吸不全は高齢者あるいは基礎疾患がある人の2次感染によって起こる2次性の細菌性肺炎が多いために感染早期ではなくしばらくしてから呼吸困難等の症状が出るようになりますが新型インフルエンザによる呼吸不全は新型インフルエンザそのものによる肺炎であるために発症早期(1-2日)に呼吸状態が悪化する事が多くなっています。この時の症状としては痰が出ない咳が特徴です。
その他、脳症や心筋炎等の合併症もあり注意が必要です。予防としてはワクチンがあります。国産ワクチンは治験も終わり先日、13歳以上には1回の接種でよいと決定されました。
ワクチンは医療従事者を先頭に優先順位があり10月下旬から接種が開始します。一般には通常は11月中旬以降になる可能性が高くすでに本格流行後の接種となるために効果についても不明点があります。当院においても適宜接種を開始しますのでまた医師等に分からない事等はお聞き下さい。
山田医院 医師 山田 良宏 |