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日本にないワクチンについて
昨年12月に導入されたワクチンである[ヒブ]は小児髄膜炎の大きな原因であるヘモフィルスインフルエンザb型菌に対するワクチンで現在ワクチンの不足状態が続いており予約制となっていますがこのワクチンは米国では20年以上前から導入されており現在では世界100カ国以上ですでに使用されているワクチンです。このような世界的には常識となっているものの日本においてはまだ導入されていないワクチンにヒトパピローマウイルスワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンがあります。今回はこれらのワクチンについて朝日メディカルの特集を参考に記載します。子宮頸部がんで日本では年間に2500人の方が亡くなっています。この子宮頸部がんはヒトパピローマウイスル(以下HPV)が原因の99%を示しています。このHPV感染はごく一般的なものでセクシャルデビューした若者では容易に伝播して、その感染率は50%程度であり、また女性の80%は生涯に1度はHPVに感染すると言われています。このHPV感染は非常にありふれた事ですがその中の1000分の1ががんに進行すると言われています。HPVの中でも特にHPV16型と18型が子宮頸部がんの70%を占めている状態です。子宮頸部がんがこのHPV感染症により起こると確定された事によりこのHPV16型と18型に対するワクチン開発が進みました。 2006年にアメリカ合衆国、EU諸国でこのHPVワクチンが認可され、現在では世界100カ国以上で認可されています。特にオーストラリア、カナダ、アメリカ等では公費負担で実施されています。このHPVワクチンはセクシャルデビューする前の子どもたちに接種することが効率的であり最も推奨されるのは11から14歳です。すでに性交経験のある15から45歳の女性に対しては初回性交前接種よりはメリットは少ないものの接種の意義はあります。このワクチンの接種で子宮頸部がんは70%は予防可能であり残りについては検診で予防も可能です。婦人科を中心にこのワクチンの導入の声が高まっています。 次に肺炎球菌についてですが肺炎球菌は小児においては中耳炎、肺炎、髄膜炎の大きな原因となっています。小児では重症化する侵襲性肺炎球菌感染症の割合が多くまた一般の肺炎球菌感染症についても抗生物質に対する耐性菌の出現が問題となっています。現在日本においては老人に対して23価肺炎球菌ワクチンが使用されていますがこのワクチンは免疫の問題から小児の使用は限定されています。免疫原性を高めた7価の肺炎球菌ワクチンが欧米では2000年から導入されておりすでに16カ国で定期接種になっています。このワクチンにより肺炎は71%、中耳炎は63%も減少しました。なお、このワクチンについては最近は6種類を追加した13価のワクチンが開発されており治験をされています。副反応も少なく将来的にはヒブとともに定期接種に導入される事が望ましいと考えられています。 ちなみに現在日本使用されている大人用肺炎球菌ワクチンは23価肺炎球菌ワクチンといわれていますが成人の肺炎に対しては発症予防よりも重症化阻止のワクチンとして意義があると考えられており米国では65歳以上に公費負担があるために接種率は70%ですが、日本においては自費診療であるために5%程度となっています。日本の医療は進んでいると言われていますが予防医学とくに予防接種についてはかなりの途上国と言わざるをえません。今後のためにもワクチンの接種を行政とともに進めていく必要があります。
山田医院 医師 山田 良宏 |